TS異世界転移-男がヒロインで大丈夫かよ-   作:変T

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田んぼの土作り手伝ってたら背中が死んだ。背筋が崩壊しながら投稿。


彼の家へ挨拶

「いや、意味わかんねえから!?」

「説明すると長くなる」

「だとしても説明しろよ!?」

 

 寝て起きたら故郷にいるとか意味不明だし。心の準備が全くできていない。しかもご両親ではないけど、修也の育ての親に当たる、祖父母と対面だと!?

 むしろあのクソ女神に頼んだのは俺の性別の決定権だろうが!

 

「俺たちを助けた女神フェルの力で戻ってきた」

「……だけ?」

「……だけだ」

「短えじゃねえか!! もっとなんかあるだろ!? 説明長くなるって言ってたのは何!?」

「細かく言うと、魔界を通じて俺たちの存在を認知してもらい、俺に加護を与えたであろう神とコンタクトを取ろうとしたところ、俺たちを助けた女神フェルと通じ、そのまま地球に運んでもらった次第だ」

「おーけー、半分はわかった」

「半分だけか」

 

 半分以上わけわかんねえし。

 女神フェルってのが、クソ女神様こと女神リシアじゃないということはわかった。とにかく現状は理解できた。修也は女神リシアの力を頼らず別の方法にて、地球に戻ることに成功したと、正直、女神リシアに魔王討伐の報酬を話した際に、地球への帰還は諦めているものだと思っていたが、女神リシアの目を欺くものだったみたいだ。あの女神の言いなりのまま、あの星で子作りして、魂を地上に開放させようなんて思うはずもない。人の恋愛感情にまで介入したかはわからないけど、気持ちのいい話ではない。むしろ悪い。

 そして、女神の目を盗んで、修也は地球に俺を連れて戻ってきたってところか。

 ……なるほど、ここでなら、何も気負うことなく、できると……。

 

「そ、それで……、なんで地球に……、来たんだよ……」

「俺の言葉で聞きたいか?」

 

 たぶん耳が真っ赤になっている。顔も熱い。

 

「俺も女神リシアの都合のいいように子を作りたくはなかった。意趣返しの意味もあるが、気兼ねなくムツメを抱くためだ」

 

 一寸違うことのない想定通りの回答だ。

 顔が熱くなる。

 想像するな。想像するな。

 股の間が大変なことになってしまうだろ。発情期なんて一切関係なく、とんでもない事態になりそうだ。修也の首筋の匂いを嗅いでいるのもあるだろうけど。

 

「というか、お前いつの間にオープンエロキャラに変化したの?」

「ムツメのせいだが?」

「……?」

 

 どういうこと?

 

「まったく……」

 

 俺は降ろされて、修也に無言で迫られる。

 無言の圧力につい、後ずさって、ビルの壁に背中が触れたところで、修也が壁に手を当てて、顔を近づけてくる。

 

「その続きも俺の口から聞きたいのか?」

「あぅ……」

 

 こ、こいつ誰だよ!?

 あの童貞むっつり無口系イケメン勇者はどこいった!?

 壁ドンなんてするキャラじゃないだろ!

 

「あれだけ誘っておいて、今更、清楚ぶるなよ」

 

 誘って……。

 日々の積み重ねですね、わかります。奈央香に対抗して修也の気を引くためにエロ路線突っ走ったせいで、修也もオープンエロになったと、なるほど、俺のせいか。

 まずい、俺も臨戦態勢という状態になってしまったようだ。ここがホテルなら、確実にアウトだろう。いや、ゴールだろう。

 

「しゅう、や……」

「ムツメ」

 

 少しずつ顔が近づいてくる。右手の手首を掴まれ、身動きが取れなくなる。

 そ、そういえば、いよいよ初めてのキス、だよな……、こ、こんな知らない場所でか? 場所は別にいいけど……、あ、目は瞑るのか? わ、わからない……。

 とりあえず、目をぎゅっと瞑った。

 ちゅっと音がした。

 感触は額にあった。

 

「まだ、とっておく」

「……」

 

 修也に右手首を握られたまま、修也が振り返るから、俺は転んでしまった。

 

「え?」

「待って、修也……」

「あ、悪い」

「違うんだ。腰抜けた」

 

 呆れた顔をされたけど、結局おんぶしてくれた。

 清楚ぶってるわけじゃない。ビッチぶってただけだ。

 あと下半身が大惨事なんだが……。この濡れた感触、修也に伝わらないよな……。

 

 

 

 修也の匂い……。

 揺さぶられながら、首筋の匂いを嗅ぎつつ、これまでの修也に対する感情を思い起こしていた。

 女神リシアのいる世界で恋愛感情を持った。俺は修也に惚れ込んでしまっていたから、恋愛感情が俺自身のものと信じて行動した。地球に来ても、修也に対する恋愛感情は続いている。狐耳がついていることから女神リシアの影響は薄れているかどうかはわからないが、やはり俺は修也のことが好きなのだろう。

 あのとき、まるでヒロインのピンチのごとく現れた修也、あれは格好よかった。でもたぶん、好きになったのは別の要素、匂い、だろう。

 この体になってから俺は完全に匂いフェチだ。

 修也の匂いを嗅いではオナニーをする毎日。完璧に変態だ。修也が遠征中にはベッドに潜り込んで、修也のベッドの中でもしたくらいだ。冷静に考えて、ビッチ通り越してるレベルじゃねえか。

 げふんげふん。このことは考えないようにしよう。頭痛くなる。

 すーっ、はぁー。

 ……修也の匂いがする。

 気づかれてない、よね?

 

「ムツメ?」

「な、何?」

「そろそろ着きそうだ」

「そ、そう」

 

 どこだここ?

 今いる場所はどうやら東京らしい。どの辺りかはわからないけど、俺も修也も家は近くにある。死んだ(仮)とき、帰り道が同じだったということは、家はそう遠くはないはずだ。

 家か。

 妹と弟がいるんだよなあ。

 あいつらが今どうしているかはすごく気になる。兄が死んでも、当時からそれぞれが独り立ちできていたから、生活には何も問題はないだろうけど、お兄ちゃん的には、お兄ちゃんが死んでしまって泣いたかどうかとか気になる。手塩をかけて育てた妹と弟だ。もっとも、大学に入る頃には2人とも立派に成長してお兄ちゃんのしがいがなかった。むしろ妹には世話されていた。

 そういえば、修也に性転換させてもらえれば、俺は兄のまま家に戻ることができるのか?

 男に戻っても狐耳生えたままとかないよな。というか、なんで地球まで来て、あのクソ女神様の影響である狐耳と尻尾が生えたままなのだろうか。距離的にも神の加護が得られる距離じゃないだろうに……。もしかして遺伝子レベルで狐っ子属性を刻まれたのだろうか。

 

「修也」

「なんだ?」

「その、男に戻せるのか? 一応言っておくが、あっち方面の話ではないからな」

「ああ、家に戻る際にか?」

「うん」

「戻すつもりだ」

「そ、そうか、ならよかった」

「別に戻さなくてもいいとは思うけど」

「いやいや、この女誰やねんってなるやん」

「ムツメだと気づくと思うけど?」

「そうか?」

 

 まあ、今の俺の姿は妹にそっくりだし、兄妹だから似るのはわかるけど、俺だって気づくものなのだろうか。

 妹そっくりか。

 あいつと顔を合わせたら殴られる気がするなあ。

 ……。

 …………。

 いや、待て、俺、今、冷静に最悪な事態が起きていることに気づいた。

 この流れだと、俺が帰るときに修也は同行するから、妹と修也が顔を合わせる?

 待て待て待て待て。

 あの誰に似たのかわからないレベルの才女と修也が顔を合わせる? 俺の完璧上位互換だぞ。奈央香に勝てても妹の如月には勝てっこない。料理の腕も如月の方が圧倒的に上だし、頭もいいから、大学に通わずに事業を立ち上げたし、顔もそっくりだから比べるに値しなくて、強いて言うならクソ女神様の恩恵である狐耳と尻尾の魅力くらいだけど、空河が相手なら武器にはなるが、対象が修也となれば、プラスマイナスゼロ。

 詰んだ。綺麗に詰んでいやがる。

 このままだと修也が妹の如月に取られてしまいかねない。修也が俺のことを好きなら、如月を魅力的に感じてしまうだろう。敵は身内にいた。

 

「しゅ、修也は俺の家には来るのか?」

「当然だ。家族に説明するのにも、俺がいた方がいいだろう」

 

 ですよねー。知ってた。

 どうする? あの妹と修也を合わせない方法が見当たらない。

 

「お、俺の家に行かない選択肢は?」

「ないけど?」

 

 きっぱり言うなよ……。

 

「俺も挨拶には行きたい。ムツメの両親の墓参りにも」

「……」

 

 墓参りか。俺、自分の墓を見ることになるのか。

 違う違う、考えを脱線させるな。

 とにかく、妹に取られない程度に、妹の如月は俺の中ではトラウマの一種だ。幼い妹と弟のために料理を覚え、事故で亡くなった両親の代わりに育てたと思えば、すぐに上達した妹の料理の腕に簡単に追い抜かれ、学力は学年どころか、模試で1位をとってくるし、頭が良すぎて大学に通わずに会社を立ち上げる始末。如月は完璧美少女だぞ。胸は絶壁微小女だけど、俺と大差……。

 待てよ。

 俺は膨乳事件の後遺症でCカップ近くまで大きくなっているBだ。つまり、あのAAカップの妹に勝てるということか!

 あ、これ口にしたら絶対ぶっ飛ばされるから黙っておこう。

 よし、とりあえず、おっぱいの差で勝てる。修也と如月が出会っても問題ないな!

 

「何か良くないこと考えているんだろうな……」

「何か言った?」

「何も……、着いたぞ」

「おお」

 

 老舗の旅館かってくらいに、立派で趣のある日本屋敷だ。

 おい、こいついいとこの坊ちゃんだったのか?

 

「ただいま」

「おいぃぃぃ!?」

 

 なんかあっさりと入っていった。

 

「ほら、ムツメも」

「いやいやいや、俺たち地球じゃ死んでるんだよ!? なんかこう、あるじゃん、葛藤みたいなの!」

「ないけど?」

「なんでだよ!?」

「どうせ爺さんも婆さんも理解してくれるさ」

「いやいや、意味わかんないって」

 

 朝の4時くらいという時間帯で普通に門から入っていく。不敬にもほどがある。玄関に到着し、ドアを開けると、中に物腰の柔らかそうなおばあさんがいた。

 

「おや、久しい顔だね」

「ただいま」

「ああ、おかえり修也」

 

 ……は?

 いや、なんで受け入れてんねん。死んだ孫だぞ。化けて出たレベルだぞ。もしかして幽霊とか見えるお方だったり? 日常茶飯事的な?

 

「爺さんや! 修也が転生して帰って来たでー」

「ほんまか!」

 

 ……は?

 転生って何?

 ……。

 …………。

 ああ、死んだからか。転生扱いってこと? 転生って仏教用語だったっけ? 爺さん婆さんもそういう言葉には詳しかったりするのかな?

 

「転生したのに連れて来たのは1人だけかい?」

「修也も真面目じゃのう」

 

 いやいやいやいや、何言ってんの?

 

「最近はなろう系もなろうしてなかったりするからのう」

 

 ……は?

 

「転生といえば、ハーレムじゃろう、修也はテンプレというものを理解しとらんなあ」

 

 ……おい。

 

「なんでこの2人、現代の若者みたいな発言してんの!?」

「だから、俺は問題ないって言っただろう」

 

 この方向性での問題なしは想定してないわ!




 ちょっと変わってる爺さん婆さん。

 次回も4日後。
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