でも、時系列的に6話と7話の間ぐらいの話という先の長い状況に愕然としてきますね。
灰色のオーロラを抜けた先に待っていたのは地獄絵図であった。ノイズの出現によってなにも変わらない日常であった風景が、一瞬にして非日常の風景に塗り替えられてしまった。目の前には炎と生物の焦げる黒煙が広がっている。耳には怒号にも似た悲鳴、ソウマは何処かで経験したような気配に囚われていた。
「何をボーっとしている。早くいくぞ‼」
アスカの罵声を受けて正気に戻る。2人はシャドウジオウとシャドウゲイツにそれぞれ変身する。
「行くぞ‼」「あぁ」
二人は武器を構えて、正面のノイズの大群に向かっていく。
2人はそれぞれ、連携を取りながら攻撃に点で制圧していく。ソウマは遠距離攻撃で敵を牽制しながらジカンギレードを剣に切り替えてそのまま攻撃に転じる。アスカはジカンザックスを斧の状態でブーメランのように投擲する。投げた武器は弧を描くようにノイズを塵に返していく。ノイズが死角から無手のアスカに攻撃を仕掛けてくるが、ソウマがそれを打ち落とす。
「アスカ、気が抜けてない?」
アスカは戻ってきた武器をその勢いのまま横に振り込み、近場のノイズを一閃に切り裂く。斧から弓に切り替えてソウマの背後の敵を打ち落とす。
「貴様のほうこそ、油断しているんじゃないか?」
互いに煽り合いながら周囲のノイズを倒していく。二人は、一か所に集まり、互いに背を向けながら、武器にウォッチを装填して、必殺技を弧を描くように打ち込む。
『ジオウ! ギリギリスラッシュ』『ゲイツ! ザックリカッティング』
桃色と赤色の剣閃が周囲のノイズを塵に還す。ソウマとアスカは近隣にノイズがいないことを確認する。
「どうやら、ノイズはこれで最後のようだな」
「そうだね。でも向こうのほうから、まだ煙が上がってる。確認しに行こう」
二人は、バイクウォッチを起動させてライドストライカーに変形させる。そのまま、炎と煙が渦巻く場所へ走っていく。
二人が向かう先には、黒い塵が風に舞っている惨状であった。だが、それでもノイズは湧き出すように空間の裂け目から現れる。二人はベルトを操作して必殺技を発動させ、桃と赤の波動を纏わせ、目の前のノイズをバイクで縦横無尽に暴れまわり一掃する。
ソウマがバイクを止めて周りを確認すると、黒い塵の山を前に涙を流しながら体育座りで蹲る少年が目についた。
「どうしたの?」
蹲った少年は泣き続ける。どうしてか現実逃避をするかのような様子に見えていた。
「どうしてこんなところに?」
アスカはソウマの肩を掴み、振り向かせ首を横に振るう。ソウマにはそれを理解できないように次の質問を少年にかける。
「君は一人なの?」
「やめろ……やめるんだ……」
アスカの絞り出すような静止から聞いてはならない質問だったと感じとった。
少年の指が静かに、ただ、ゆっくりと目の前の塵の山を指さすのだった。
「おとうさんと……おかあさん……」
ソウマは、父親が出て行った時の響を思い出す。その時、学び取った感情から後悔の感情が沸き上がり、仮面の下で歯を噛み締める。
「ごめん」
少年を直視することができず、目をそらしてしまう。
勇気を出して手を差し伸べようとするも、手が途中で止まり、拳を握り締めゆっくりと引く。
どうすることもできずにいると、後ろからノイズが現れる。
目の前の現実に押しつぶされそうになりながら、ノイズを見つめると
「ごめんね。君の両親を助けられなくなて……でも、君だけは助けて見せる。もうこれ以上君を泣かせない」
ソウマの手に淡い光が集まると、赤と金色の時計が手に握られていた。
その時計を腕のライドウォッチホルダーに装着し、オレンジと黒のライドウォッチを取り出し、盤面を揃えてライドオンスターターを押下して起動する。
『ゴースト』
起動した時計から、黒と橙色の鎖が現れソウマの体に巻き付き、彼の体を締め付ける。しばらくすると鎖は溶けるように消えていく。
ソウマは縛られる感覚から解き放たれると振り払うように、左側のD'3スロットにゴーストライドウォッチを装填し、ドライバーを回転させ、ゴーストの力を顕現させる。
『アーマータイム! 』
『カイガン! ゴースト! 』
仮面ライダーゴースト呼ばれる幽霊を模した鎧のが手印を結ぶと分裂するように、鎧は宙を舞い、ソウマの体に装着されていく。
顔に「ゴースト」の文字を模したものが装着される。ソウマとゴーストの力が溶け合うかのように力が沸き上がる。
「これが、ゴーストの力か……」
力の使い方をウォッチを通して知らせてくる。
手印を組むと、彼を守護するように4体の幽霊が現れる。赤、水、緑、白色の幽霊のことをなんとなくであるが理解する。
「力を貸してくれ、ムサシ、ニュートン、ロビン、ベンケイ」
彼らは、ソウマを見定めるように一度無言でソウマを見つめると、体を翻してノイズと対峙する。
4体のパーカーを模した幽霊は、己のパーカーを着込むように実体化する。それぞれ、剣、拳、弓、槌を構え、ノイズの大群に突撃する。それぞれ、剣技、斥力、制圧射撃、打撃を駆使して、ノイズを蹴散らしていく。
ソウマは装填された二つのウォッチのライドオンスターターを押下し、ベルトを回転させる。
『フィニッシュタイム! ゴースト! 』
『オメガ! タイムブレーク! 』
手で印を結び、背に紋章を作り出す。周りの炎を吸収し力に変換する。まるで、炎はここで死んでいった人の無念を浄化し天に還すように燃え上がる。
その力を足の一点に集約し天高く飛び上がり必殺の蹴撃をノイズの集団と一際目立つノイズにむかって放つ。
「オリャァァァ‼」
ノイズも負けじと、槍のようにノイズがソウマに向かって飛び出す。だが、足に留まることの出来なかったエネルギーが溢れ出し、ノイズを打ち払う。そのまま、巨大なノイズの体を貫き、勢いに乗せてエネルギーを開放し、地面に蔓延るノイズを焼き払う。
ソウマの一撃に合わせ、4体のゴーストも、同等の破壊力をもつ一撃を放ち、ノイズの集団を全て塵に変える。
地に降り立ったソウマは、周りを見渡す。周りにはいたノイズは、黒い塵となり、先ほどの惨状に終止符を打ったのであった。
風が熱を運び去り、穏やかな風が空間を支配する。顔を上げると、先ほどまでの火事の影響か雨が少しずつ降り注いできた。
ソウマはそのまま少年とアスカの元に向かう。歩いて向かうと、少年は顔を上げていた。その目は虚ろであり、表情はやはり死んでおり、生きる気力を失われていた。
少年は虚ろながらも、ソウマの方を向く。ソウマは少年に歩み寄り、しゃがみ込み顔を覗き込む。
「大丈夫だとは言えないけど、俺が今だけは君を守る」
最後まで責任を取り切れない。だからこそ、今だけは絶対に救うと彼に誓うのであった。
「お前は本当に、榊ソウマなのか……」
アスカの目には、どうしても自身の仲間を、両親を無慈悲な力で殺しつくした悪逆非道な魔王には思えなくなってきたのであった。先ほどから、その認識のズレが大きくなってきているのであった。
鎖
アーマータイム用のライドウォッチの起動後に発生した鎖。ライダーの力を強制的に使用者に接続させることで、ライダーの力を当人に馴染ませ、戦闘能力を原点のライダーに近づける。
隠された役割が存在するがそれは、榊ソウマにしか発動しないようになっている。