今回も設定を一部あとがきに掲載します。
──2年前
何気ない日常、見慣れた景色、だが、少年は違和感に襲われていた。どこか、空虚さと歪さをこの変わらない日常に感じていた。ふと、教室の喧騒に耳を傾ける。人殺しだの犯罪者などのどうにも剣呑な話題が飛び交っている。
(朝から、騒がしいな……なにか物騒な話題が聞こえてきたけれども、なにかここ最近であっただろうか……)
少年は、頭を巡らせ、最近に起こった出来事を思い返そうとするが、どうにも靄がかかったように思い返すことができないでいた。その靄は結局、晴れないまま、日常は過ぎ去っていく。
ちょうど太陽は中天まで昇り、まさに昼時といえる時間、購買でパンでも買ってこようかと思い至り、廊下に出てみると、朝の喧騒の正体があった。どうやら、寄ってたかって1人の少女を虐めているものであるようだ。近くでいる友人に状況について説明を頼むと、どうも、少女は、最近起こった「のいず」? と呼ばれる災害が起こったらしい。彼女はその災害の生存者というものらしい。
少年は、囲いに近づき一言声をかける。
「弱い者いじめも、終わりにしたらどうだ。もう十分楽しんだだろう」
囲いを行っているものは、反感と非難の意思を目に宿して、少年に向き直る。その中で目立っている学生が声を荒げる。
「弱い者いじめじゃねぇよ‼俺はこいつが生き残ってのうのうと生活しているのがゆるせねぇんだよ。こいつが生き残ってなんで妹が死ななきゃならなかったんだよ」
と学生は少女を睨みつけながら、自らの主張を振り下ろす。だが、少年は穏やかに返答する。
「だったら、妹が生き残ったら、妹にどうして生き残ったと非難するのか」
学生は押し黙る。少年は宥めるように学生に続ける
「生き残った人間を非難してどうするんだ。ただ彼女が生き残ったのは純粋に運がよかったからだろう」
少年は、学生に興味を失せたように目線を外し、少女に近づき、一言声をかける。
「大丈夫か」
これが、立花響と榊ソウマとの出会いであった。
──現在
どこにでもあるファミリーレストラン、夜が更けてくる7時ごろ、榊ソウマはある人物と待ち合わせのためにここにきている。
「ごめん、遅くなっちゃった」と声をかけて、待ち人である小日向未来は榊ソウマの前の席に座る。
2年前の騒動で、立花響を介して知り合った仲であり、今では、こうやって立花響を介さなくても話したりする程度には、仲が良い。
「それで、なんのようなの。こんな時間にこんなところに呼び出して」
未来はソウマの反応に少し、むくれたような反応を見せながら冗談を返す。
「もう少し、なんか反応あってもいいんじゃない」
「ハァ」とため息を吐きながら、真剣な目でソウマを見つめて本題に入る
「あのね、最近響の帰りが遅くなったり、なんか、よそよそしく感じるんだよ……」
ソウマはそういえばと反応しながら、少し前からよく未来には電話で愚痴をこぼされていたことを思い出した。ソウマ自身も最近の響の反応はどこかよそよそしく感じるものがあり、なにか隠し事をしていることは明白であった。
「確かに、最近の響は、何か隠し事をしている雰囲気だったな……なにか、こころあたりでもあるの?」
ソウマが未来に対し質問をするが、未来は首を縦に振り否定の意を示す。
「そうだなぁ、いっそのこと尾行してみるのはどうだろう」
ソウマが冗談交じりにジェスチャーを取りながら提案すると、未来は待ってましたと言わんばかりにソウマの手をつかみ、笑顔を向ける。ただし、目は笑っていなかった。ソウマは苦笑いを浮かべながら肩を落とすのであった。
──2×××
どこにでもある公園、中央にはモニュメントがそびえたつ。慰霊碑であろうか、いくつかの名前が刻み込まれている。そのモニュメントを一人の白髪の老人が眺めている。この公園は老人以外には人の気配というものをあまり感じさせない。
公園の静寂さを壊すように一人のローブをかぶった男が瓶を割り、アルカノイズを呼び出し、老人を襲う。
老人の腰に黄金の華美な装飾が施されたベルトが現れ、老人を魔王へと変身させる。
魔王は、アルカノイズたちを衝撃波で消滅させる。その際に発生した風圧でローブの男の顔があらわになる。
男の顔は、少年と呼ぶには険しく、青年と呼ぶには若すぎる印象を受けた。容姿は銀髪に紫の瞳が目立つ。
「ッ……」
魔王が息をのむ、魔王の表情は仮面で隠れて見えないが、驚愕の表情が張り付いているのが容易に想像できる。驚愕の後、豪快に笑い男に向かい合う。
「なるほど……こういう方法で利用してくるとはな。どうやら本当に度し難いものどもだな、錬金術師というのは」
最初の愉悦さを感じさせる声音から一転、怒気に満ちた声音に変わる。その怒気に押されて男は後ずさるも、白いベルトを取り出し腰に装着する。
『ジクウドライバー』
機械音声が虚空を木霊する。男は右手に赤いだが、どこか色あせた時計のようなものを構え、時計の盤面をそろえ、ボタンを押す
『ゲイツ』
ベルトの右スロットに装填し、ベルト上部のボタンを力強く押し込み、大きく弧を描くように、ベルトを両手で抱き込むように抱える。
「変身ッ」
叫びと合わせベルトを反時計回りに回転させる。男の周りを光の輪のようなものが複数囲み、男は異形の戦士へと姿を転じる。
男の姿は仮面ライダーゲイツと呼ばれる存在に酷似した姿に変わる。しかし、どこか色あせていて、その姿は、ゲイツを模した影武者のようにもうかがえる。
魔王はその姿を一瞥して、驚嘆の意を表する。
「ほう……変身まで可能だとはな。さながら、シャドウゲイツとでもいったところか」
魔王の反応をよそに、ゲイツは武器を構え、魔王に突撃する。
「同胞と家族の仇、今取らせてもらうぞ!! オーマジオウ!!」
男からあふれ出る感情は、魔王がかつて、宥め、非情に扱ったものであった。
魔王は、灰色のオーロラを作り、男をその中へと誘い込み、過去の時代にタイムワープさせる。
魔王は天を仰ぎ言葉をこぼす。
「若き日の私の一助になればいいが……どうか生き残ってくれよ……」
その日は、若き日の自分が初めてシャドウジオウに変身した日であった。
榊ソウマ その1
身長は、174程度でありすらっとした体系である。現在は、天然気質であるが、2年前は、他人への興味がなかったため、友人の名前すら憶えていなかった。現在は、県立の高校に通っている。2年前に知り合った立花響と小日向未来とは、交友関係が続いており、現在では、休日に遊んだりするほど仲が良い。小日向未来に、淡い恋心のようなものをもっているため、頼み事を断れなかったりする。
シャドウライドウォッチ
本来の色に比べ、色あせた色をしており、変身後の姿も同様に、本来のライダーよりもあせた色となる。生成される際に、本来のライドウォッチの力を媒介に生成者の魂を利用して作り出しているため、アナザーライダーのような醜い姿にはならないが、スペックは多少劣るものとなっている。
ゲイツの未来
荒廃した未来に比べて、文明は保たれているが、オーマジオウへのレジスタンスに近い組織が形成されており、人類とオーマジオウの対立構造は存在している。このことから、過去に何か事件があったと推察される。