歌姫と仮面の狂想曲   作:白紙の可能性

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第28話 0000/夕焼けの決着

 二人が姿を変えたことに、2課は2つのエネルギーの変質を起こしたことに、衝撃が走り、沈黙が支配する。

 

 

 暫くの間、支配していた沈黙を桜井了子と風鳴弦十郎が破る。

 

 

「やはり、あの時の検知したエネルギーの変質は誤検知ではないみたいね」

 

 

「あぁ、ここまで、エネルギーの波長が変質するとは……」

 

 

「えぇ、でも、どちらかというとエネルギーの性質の融合に近いわね。アスカ君とソウマ君は同じ形態になっても一部波長が異なっているもの」

 

 

「……」

 

 

「これじゃあ、データ収集は困難を極めそうね、ハァ……」

 

 

 桜井了子のため息が2課に木霊する。

 

 

(でも、これでオーマジオウやアダムへの対抗策を講じることができる。今までのように多少は対抗することができそうね)

 

 

 彼女のフィーネとしての記憶が告げる彼らの強さを、今まで、自分が計画を実行する度に不自然なほどに彼らが介入してきて計画が頓挫する。

 

 

 隣の弦十郎は了子の少し含みを持たせた笑みを横目で盗み見るが彼女の内心を一切読み取ることができないでいた。

 

 

「……あぁ……そのようだな……」

 

 

 多少の疑念を彼女に抱きながら、その疑念を払うようにモニターに意識を向けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 二人は新たにアーマーを装着し臨戦態勢をとる。彼らの形態変化にその場にいた奏は内心で驚愕しながらも戦闘に集中する。

 

 

(あいつら能力を互いに使い分けることができるのかよ……)

 

 

「なるほどな、使い方が頭に入ってくるとはな」

 

 

「まぁね結構、簡単に馴染むよ」

 

 

 2人は軽口を叩きながら、力の使い方を確認する。

 

 

「いける?」

 

 

「あぁ!」

 

 

「行くよ、アスカ!」

 

 

「来い! ムサシ、ニュートン、エジソン、ロビンフット!」

 

 

 2人が戦闘に向かっていく。アスカは4体のパーカーゴーストを召喚し、攻撃させる。

 

 

 斬撃、斥力、電撃、射撃の4種の攻撃がそれぞれノイズを塵に還していく。

 

 

「うぉりゃぁぁ」

 

 

 ソウマは特徴的な掛け声と供に徒手空拳でノイズを確実に1体ずつ仕留めていく。

 

 

「う~ん、やっぱりクウガは一対一に特化しているなぁ、でも、クウガだったらバイクでしょ!」

 

 

 ライドストライカーを起動させ、バイクモードに変形させ、乗車する。

 

 

 勢いのまま発信し、前輪を上げ、ウィリー走行でノイズに突撃し、バイクの車輪を利用してノイズを轢き倒していく。

 

 

 二人の攻勢に加速的にノイズを消滅していく。そのまま攻勢を強めていくと目の前に槍が降り注ぐ。

 

 

「おいおい、私を忘れんなって」

 

 

「忘れてないって、でも後のノイズはあれだけかな」

 

 

 目の前にいる一団の敵が最後のノイズであった。

 

 

「みたいだな、一気に決めるぞ!」

 

 

「うん、一気に決めよう!」

 

 

「お前が、仕切るな!」

 

 

 軽口を叩きながら、奏は最大の攻撃を構え、アスカとソウマはベルトを操作し、必殺技を発動させる。

 

 

【STARDUST∞FOTON】

 

 

【フィニッシュタイム! ゴースト! オメガ! タイムバースト!】

 

 

【フィニッシュタイム! クウガ! マイティ! タイムブレイク!】

 

 

 アスカと奏は上空高く跳び、奏は、自分の力を槍に集め投げる込む。槍は複数に分裂し、勢いよくノイズの集団に対して閃光となり、降り注ぐ。

 

 

 アスカは、パーカーゴーストたちを自身のもとに集め、一体化し投げ込まれた槍とともに、ノイズの集団に蹴撃を落とす。

 

 

「ハァァァァ」

 

 

 二つの光が、相手のもとに向かっていくのを仮面越しにその光を見ながら、ソウマはどこか懐かしさを感じていた。

 

 

(不思議だな……この二人と会うのは初めてのはずなのに、それが懐かしく感じるなんて……)

 

 

 体は、勝手に動く、あの時の炎の中と同じように、不思議と構えを取り、そのまま、手を開き、腰を落とす。

 

 

 右の足首を捻り、ノイズの集団に向かって駆け出す。右足を踏むたびに炎が燃え上がる。

 

 

 周りの音が少しずつ聞こえなくなっていく中、ソウマは、踏切、大きく飛び上がり、空中で体を抱え、前転を行う。

 

 

「うぉりゃぁぁぁ」

 

 

 彼の掛け声とともに前転の勢いを殺さずに必殺の蹴撃を相手に与える。

 

 

 光に視界が包まれ、相手に一撃が命中すると古代文字である鎖の文字が徐々に広がり、周りのノイズに封印の力を伝播し、致死量の傷を与える。

 

 

 アスカのゴーストの力と合わさり、周りのノイズは抵抗する間もなく、一瞬の内に塵に還り、その塵を炎で焼き尽くす。

 

 

 炎の中に包まれるとアスカとソウマは立ち上がり、互いに相対する相手に視線を向ける。

 

 

「「……」」

 

 

 無言のまま、炎が晴れると、そこには、1体のノイズすらなく、熱に焼かれたコンクリートの地面から煙と熱気が上がる。

 

 

「お~い、二人とも大丈夫かぁ~」

 

 

 奏が手を振りこちらに向かって歩いてくる。ソウマとアスカは、肩の力を抜き、仮面の下に苦笑いを互いに浮かべながら、一緒に彼女のもとに向かって歩いていく。

 

 

「うん、大丈夫だよ。ほら、アスカも!」

 

 

「フンッまぁな……」

 

 

「ここにいたノイズはすべてを倒せたみたいだな、多分そろそろ、おっさんたちがくると思うけど、行かなくていいのか?」

 

 

「え……でも、いいの?」

 

 

 奏の対応に少しだけ、困惑する。彼女の所属する2課からすれば、自分たちは身柄を拘束されるのではないかと考えていたが彼女は見逃してくれると、そう問いかけていた。

 

 

「あぁ、今回も、助けてもらったしな、今回で3回目だ。だから、早くいけ!」

 

 

 後ろを振り返り、奏はこちらを見ないようにしてくれている。

 

 

 それが彼女の優しさであり、誇り故の行動なのであろう。

 

 

「ソウマ~」

 

 

 自分の名前を呼ぶ声に反応して視線を向けると未来が手を振ってこちらに走ってくる。

 

 

 地面から反射する熱気に充てられ、少し、肌は赤く火照り、汗が滲む。

 

 

 自分たちは変身しているからこそ、周囲の熱の影響を受けていないが、生身の彼女にとっては、とても厳しい環境だろうに、そのそれでも、自分のところに走って向かってきている。

 

 

 その姿にソウマは顔がにやけるのを止められずにいた。

 

 

「未来、ここはまだ危ない。俺がそっちに行くよ」

 

 

 未来の方に向かって走っていくソウマに対して、自身の判断を誤ってはいないと自身に言い聞かせる。しかし、少し遠目に、いるソウマと未来の睦まじさに溜め息が溢れる。

 

 

「アイツが魔王か……フッ、早くするぞ! 2課の奴らがそろそろ来る」

 

 

「わかったぁ! じゃ、行こっか」

 

 

 ソウマとアスカはライドストライカーを起動し、跨がる。ヘルメットを装着し、未来にも予備のヘルメットを渡す。振り返り、此方を見ようとしない奏に対し、礼を述べる。

 

 

「ありがとう。また、今度お礼をするよ!」

 

 

「感謝するぞ、天羽奏……友人が早く回復するといいな」

 

 

 天真さが見えるソウマとぶっきらぼうながらも、感謝の気持ちが彼女の心に少し穏やかさを取り戻す

 

 

「今日はありがとうございました。それと、響のこと気にかけてくれて、ありがとうございます」

 

 

「もぉいいから、御託は要らないからサッサといけ!」

 

 

 未来の言葉を最後に照れを隠すように、急かすと、ソウマとアスカはエンジンに火を灯し、帰る場所に向かうため、アクセルを回して走り出す。

 

 

 奏の耳に入るバイクの駆動音が聞こえなくなると振り返り、彼らの通った道を眺めながら、苦い顔をする

 

 

「どうやっておっさんに言い訳するかなぁ……ハァァ」

 

 

 これから迫るであろう現状に溜め息とほんの小さな絶望感から遠目に見える2課所属の人たちの車両に対して、目線を上げ空を睨むのであった。空は既に暗くなり、特段明るい1等星のみが光輝くのであった。

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