歌姫と仮面の狂想曲   作:白紙の可能性

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第36話 0000/解放

 響にとって、目の前の光景を受け入れられずにいた。

 

 

 了子のノイズを食い止める姿に対して、彼女は行動できずにいた。

 

 

(なにこれ……でも、これ、どこかで……)

 

 

「しょうがないわね。貴方の思うようにやりなさい‼」

 

 

 その言葉に、どこかデジャブを感じるが響は、立ち上がる。

 

 

「……私、()()()()‼」

 

 

 戦う意思のみを示し、響は歌う。しかし、いつものガングニールとは異なり、装備と装飾が変化する。

 

 

 各所の装備が変化し、より格闘に特化したものへと変化する。ハイヒール型から、シューズ型に変化を遂げると、彼女の首に七海と同じ、マフラーが形成されて自分の手で首に巻く。

 

 

 巻いたマフラーで口元を隠す。

 

 

「……ッ‼」

 

 

 自分の中の疑念と不満を晴らすように、心の中の負の感情をすべてを歌に変えて、彼女は走り出す。

 

 

 拳を使い、目の前のノイズに殴りつける。

 

 

 衝撃が広がり、後ろのノイズを3体ほどまとめて倒す。

 

 

 振り返る勢いを利用し、回し蹴りで自分に飛んでくるノイズを処理する。

 

 

 中華拳法のように、構えるも踏み込み等の行動を最小限の動きで行い、相手の懐に潜り込む形で自慢の力と身のこなしで、ノイズ相手に今までの場当たり的な立ち回りと異なり、安全に立ち回る。

 

 

「アイツさえ、捕まえれば、あたしは……」

 

 

 柱の上に立つクリスは、響に対して、強い敵意を向ける。

 

 

 勢いに任せ、手に持つ鞭を使い、響の死角から攻撃を当てる。

 

 

 背中から受けた攻撃に響は吹き飛ばされ、地面に転がる。

 

 

「……カハッ‼」

 

 

「おい‼背中がガラ空きだぞ。お調子者‼」

 

 

 吹き飛んだ響に対し、間髪入れずにクリスは飛び蹴りを放つ。

 

 

 しかし、響もタダでやられる筈もなく、転がり、直撃を避け、腕と背筋の力を利用し、飛び起きクリスの腹部に蹴り込む。

 

 

 クリスも体を捻じり、相手の攻撃を腕と鞭を使い、直撃を防ぐ。

 

 

「ッ‼あなたは……」

 

 

「グゥ……ッ! このッ!」

 

 

 力を逃がしきれず後ろに飛ばされるクリス。しかし、ただ飛ばされるだけではなく、飛ばされた勢いで鞭を使い刺突攻撃を繰り出す。がしかし────

 

 

(体を跳ね上げて最小限で攻撃を躱しやがった……でも、コイツの戦い方じゃない!)

 

 

 クリスの認識では、響の攻撃では、もっと大きく踏み込んだり、大げさに動くはずであった。

 

 

 この動きと似た動きが脳裏に浮かぶ。あの時の夜に自分と戦った灰色の異形の動きが過る。

 

 

 最低限の動きとそれに併せた一撃ずつ相手のダメージを重ねていく戦い方、それこそが、今の響の基礎となる動き方であった。

 

 

(なんで、なんでアイツの戦い方が、アイツと同じなんだよ! どうしてアイツがァ)

 

 

 心の奥底より、クリスは自身にとって不可解な怒りに身を焼かれていた。

 

 

 だが、その怒りは無意識にクリス自身の思考回路を飲み込んでいく

 

 

「どうして……どうして……どうしてお前が……アイツの技を使うなァァァ」

 

 

「え! きゃあ」

 

 

 相手の動きが激しくなり、その暴風のような怒りに任せながらも精細に響の最小限に行動する幅を想定し、確実に手を潰していく。

 

 

 七実の戦法を真似ていく過程に出来上がっていった今の動きであったが、クリスにとっては、灰色の異形が得意とするものであり、それを響が真似ていると思い違いをしていた。

 

 

 二人の肉薄していく戦いに、了子は呆然としていた。

 

 

(なに、なんで、こんなに早く、あの子達がこんなに強くなって……)

 

 

 了子の知るクリスと響の技量の何倍も上回るものとなっており、クリスに至っては、完全に自分のことを意識の外に追いやっている現状であった。

 

 

「……ッ! これは……まさか」

 

 

 デュランダルの入っていたケースが震え出す。ロックが自動で解除され、そのケースが内側からの高エネルギーに焼かれていた。

 

 

「きゃぁぁ……」

 

 

 響の悲鳴で、二人の戦闘に意識を向け直すと、クリスが尻餅をついた響に止めを刺そうと攻撃しようとしていた。

 

 

(ごめんね……未来……ソウマ……)

 

 

 諦めから目をつむり、謝罪を浮かべるが、自分に一切の攻撃は襲ってくることはなかった。

 

 

 

 

 

「ごめんね、響、待たせちゃったかな?」

 

 

 今一番聞きたかった声が自分の近くに聞こえる。

 

 

 響はその声に意識をを傾けるように目を少しずつ開けるとそこには、クリスの鞭を手でつかんでいるシャドウジオウ──榊ソウマの姿がそこにはあった。

 

 

「ァァ……ァ、アァ……」

 

 

 クリスは信じられないものをみてしまったような、認めたくない光景が目に前に広がっていたのであった。

 

 

「さてと、よくも響を……ここまでやってくれたね」

 

 

「どうしてお前が……ここに」

 

 

「うん? あぁ、それはこれだよ」

 

 

 ソウマはオレンジと白のウォッチを取り出した。

 

 

「フォーゼの力でここまで飛んできたってわけさ」

 

 

「あ、あ、あァァァ」

 

 

 自身が対峙する相手に対し、敵対している現状に対して、絶望感と焦りが高まっていき、恐怖のあまり、持っているソロモンの杖を使用しノイズを彼との壁として呼び出す。

 

 

「……フッ!」

 

 

 しかし、シャドウジオウは掛け声と共に紫電を纏いだす。

 

 

 少しずつ、だが確実に力が解放されていく。

 

 

「うぉぉぉぉぉ」

 

 

 彼の体の奥底から、力が湧き出すかのように紫電が強くなっていくと彼のウォッチに皹が入っていく。

 

 

 彼の脳裏に響と未来の姿が映る。更に、ぼやけながらもあと5人の姿が浮かび上がる。

 

 

「俺は戦う。みんなのために……俺自身が守りたい人たちの笑顔と幸せを守るために! そのためなら、なにとだって戦ってみせる!」

 

 

 ()()()()()()()()()()()との会話でやっと自覚した思いを口にすると更に装甲にまで皹が入り、広がる。

 

 

「うぉぉぉぉぉ! ……ハァッ!!」

 

 

 彼の掛け声とともにウォッチの外装が弾け、本当のシャドウジオウのウォッチとしての黒いものに姿変える。

 

 

 それに併せる形で、装甲の皹からエネルギーが広がり、より黒が濃くなった灰色の装甲が形成されていく。

 

 

【シャドウタイム!! 仮面ライダージオウ・シャドウ!!】

 

 そのウォッチから発せられた機械音声が戦場の喧騒さをはね除けるように響き渡るのであった。

 

 

 

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