歌姫と仮面の狂想曲   作:白紙の可能性

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第38話 0000/希望的観測

 空白を埋めるように、彼の中に自分の願いが芽生え、その姿を後押しするように黒い異形は常磐ソウゴを榊ソウマの肩越しから、睨み付ける。

 

 

「まぁ、一応合格かな?」

 

 

「え? 合格ってどういう……」

 

 

「そんなの簡単だよ。君がもし、自分の願いを自覚できなかったらシャドウの力を完全に封印するつもりだったんだ」

 

 

 ソウゴの発言にソウマは目を剥く。

 

 

「そんな、冗談じゃ……」

 

 

「俺は本気だったよ。一応君の力のストッパーだから、いくらでも君の力を封印できるんだ」

 

 

「小難しい話はそこまでにしようぜ!」

 

 

 突如聞こえてきた聞きなれない声の主の方へと視線を向けると、底には改造された学生服にリーゼントの男性がいた。

 

 

「貴方は……」

 

 

「あぁ、俺は如月弦太朗! すべての仮面ライダーと友達になる男だ!」

 

 

 彼は、自分の胸を叩き、ソウマへと拳を突き出す。

 

 

 それに驚くソウマを他所に、弦太朗はソウマに詰め寄る。

 

 

「ところで、お前はなんでそこまで自分のダチを信じねぇんだ?」

 

 

「ダチ? 信じるって?」

 

 

 まるで意味が理解できないと言うように目を白黒させている。

 

 

「そんなの決まってるだろ、あのアスカって奴のことだよ」

 

 

「え、でも、俺はアスカのことを信じて──ー」

 

 

「じゃあ、なんであいつにあの場を任せなかったんだ」

 

 

 彼の言葉にハッとする。彼にとってアスカは守るべきとは、もはや考えてすら今かった。しかし、それでも彼が自分と並び立てるとも信じていなかった。

 

 

「それは……」

 

 

「信じようぜ! 今からでも遅くはねぇよ! あいつはお前のダチなんんだろ?」

 

 

「信じる……俺は……アスカを……信じている……はず……」

 

 

 無言の静寂の中、ソウマは腹を決めかねている。

 

 

「信じることと、信じていることは違うんじゃないかな?」

 

 

 ソウゴの言葉を理解しようと思案すると、自分が思い違いをしていたことに気がつく。

 

 

「そっか……結局、俺がアスカを信じきれてなかったんだな……」

 

 

 ソウマは目を閉じ、後悔を口にする。

 

 

 しかし、弦太朗は、ソウマに近付き、拳と拳をぶつけ合い、ソウマの手を握る。その手の温もりが、ソウマに勇気が起き上がる。

 

 

「信じてみるよ! アスカのこともみんなのことも! だって、俺の大事な友達だから!!」

 

 

 その言葉に満足したように、視界が白く染まっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気がつくと目の前にはアスカが、戦場には奏がいた。

 

 

「やはり、俺のことは信用できないか……」

 

 

 自身の無力さにアスカは仮面の舌で唇を噛む。

 

 

 しかし、ソウマは自分のベルトに装着されていたゴーストライドウォッチを外し、アスカの手に握らせる。

 

 

「俺は……二人のことを信じるよ。だから」

 

 

 アスカは手にもったウォッチを握りしめると、ソウマは後ろを振り向き、恥ずかしさを隠しながら、彼は戦場を託す。

 

 

「信じるよ! だから、ここを頼むよ」

 

 

「……フッ、あぁ任せておけ!」

 

 

 アスカは、受け取ったウォッチを起動し、6体のゴーストパーカーを付近に召喚する。

 

 

(大丈夫!)

 

 

 アスカに幻聴が聞こえる。優しいその声に気を取られているとソウマはフォーゼのスイッチを起動していた。

 

 

【フォーゼ!!】

 

 

 ソウマがウォッチを起動すると鎖が彼の体に巻き付くと消え、体に強い力が流れ込んでくる錯覚に襲われる。

 

 

 その勢いのまま、ベルトに装着しフォーゼの力を身に纏う。

 

 

【アーマータイム!!】

 

 

 ロケットのような形状のアーマが現れ、彼のもとに向かい、ソウゴと合体すると、アーマーが変形し戦闘形態となる。

 

 

【3、2、1、フォーゼ!!】

 

 

 ロケットのような姿をしたシャドウジオウ・フォーゼアーマーへと変わった。

 

 

「それじゃあ……行ってくる」

 

 

「あぁ、必ず響を助けてこい!」

 

 

 彼はアーマーを変形させてロケットの姿となり、爆音と共に響のところに向かっていった。

 

 

 

 

 

「ハァ~さてと、アイツが欠けた分を何とかしないとな!!」

 

 

 奏は勢いよく飛び出し、6体のゴーストパーカーと共に一気呵成に攻めるが、一向に此方に現れない。

 

 

 後ろを振り返るとアスカはただ呆然とその場から動けずにいた。

 

 

 彼はウォッチを握り締めているのみでそれをベルトに装填すらしない。

 

 

 そんなアスカに奏は憤りをぶつける。

 

 

「どうしたんだよ。アイツに此処を任せろっていったんだろ! それとも何か! アイツがいなきゃ何もできないのかよ!」

 

 

「あぁ、いや、何でもない……」

 

 

【ゴースト!!】

 

 

 ベルトに装填し、ゴーストの力を解放する。

 

 

【アーマータイム!! カイガン! ゴースト!】

 

 

 ゴーストアーマーがアスカの方を向く。表情はないが、彼に力を貸すように、アーマーは別れて彼に纏う。

 

 

 その瞬間に、力がアーマーを通して流れ込む。

 

 

 アスカは印を組むと、残り9体のゴーストパーカーが現れ、彼に従うようにそれぞれの武器を構える。

 

 

「安心しろ。俺は自分を、アイツの信じてくれた俺を信じる!!」

 

 

 ゴーストウォッチを撫でると、勢いよく飛び出して、ゴーストパーカー達と共にノイズの進行を押さえ込む。

 

 

「……ッあ~もぉ! 何なんだよアイツは!」

 

 

 奏はイラつきと戸惑いから髪をかきむしる。そのまま、落ち着く間もなく迫ってくるノイズの対処に迫られるのであった。

 

 

 

 

 

 空中を高速で飛行するソウマを迎撃するようにノイズが攻撃しようとするが、彼の推進力による速度から攻撃を当てることはできずに目的地に向かってげんそくせずに飛んでいく。

 

 

「あそこか!」

 

 

 爆発音と戦闘音から響がいる場所を見つけ出す。

 

 

 一定の高度を下回ると急速に減速し、ある程度減速すると、アーマーを解除して、響に迫るクリスの攻撃に割り込んだ。

 

 

「ごめんね、響、待たせちゃったかな?」

 

 

「う、うん。ソウマが守ってくれたから」

 

 

 ソウマは白い少女に向き直る。

 

 

「ァァ……ァ、アァ……」

 

 

 言葉にならない声が口から溢れ、まるで見捨てられた子供のようなクリスに対して、ソウマは怒りと同時に助けたいと願う感情が膨れ上がる。前者の感情の衰退しても、彼女への庇護欲に近い感情が退かずに強く残り続ける。それはまるで、響と未来に抱いている感情に近しいものであった。

 

 

「さてと、よくも響を……ここまでやってくれたね」

 

 

「どうしてお前が……ここに」

 

 

 自身の中の感情を押さえ込み、彼女へ敵意のみを向ける。

 

 

「うん? あぁ、それはこれだよ」

 

 

「フォーゼの力でここまで飛んできたってわけさ」 

 

 

 彼女の疑問に素直に答える。

 

 

 彼女は怯えた表情を浮かべ、ノイズの壁を作り出す。

 

 

 拳を強く握る。その意思に答えるようにシャドウが力を解放するのであった。

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