歌姫と仮面の狂想曲   作:白紙の可能性

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第39話 0000/厄災の覚醒

 目の前に7人の女の姿を幻視する。

 

 

 記憶の果てに彼女達の声が聞こえる。笑う声、泣く声、絶望に伏せる声、喜び愛し合う声、7人の声に答えるように、自らの殻を内側から破る。

 

 

 黒い異形と魔王に交わした誓いに答えるように装甲に紫電が走り、鍍金が剥がれるように、概念の封印を破壊する。

 

 

「うぉぉぉぉぉ! ……ハァッ!!」

 

 

 掛け声と共に装甲が砕け散る。

 

 

 灰黒い装甲が現れ、シャドウジオウウォッチが黒い姿を取り戻す。

 

 

【シャドウタイム!! 仮面ライダージオウ・シャドウ!!】

 

 

 体から溢れる未知であり既知の力を制御すると、そこには、真の姿を取り戻したシャドウジオウの姿がそこにあった。

 

 

(なんだろう……頭の中がスッキリとする……でも、やっぱりまだ、消えないな)

 

 

 いつも以上に頭の中がスッキリとする。しかし、それでも、白い彼女への感情は鳴りを潜めることはなくソウマの思考を乱す。

 

 

(それでも……!)

 

 

 武器を取り出し、クリスに武器を向ける。

 

 

「あ……あ、あぁ……」

 

 

 怯えを隠すことができずに恐れから鞭を振り回す。

 

 

「あぁぁぁぁぁぁ」

 

 

「ッ!」

 

 

 武器で弾きながら、銃の状態にし、彼女の武器を撃ち落とす。しかし、それでも、武器を握り直し乱雑に振り回す。

 

 

 勢いのまま光弾を鞭を使って作り出し、ソウマに向かって押し付けるように押し込む。

 

 

「うおりゃぁぁ」

 

 

 横から、響が割り込みを入れて、クリスの攻撃を拳で打ち消す。

 

 

「ッ!? 、お前!」

 

 

「私を忘れられちゃ困るよ!」

 

 

 ソウマを助けるように響が割り込み、響のを助けるようにソウマが割り込むように互いの隙を打ち消す。

 

 

 2人の少女の歌声がぶつかり合う。歌の力が共鳴し、その力が徐々に高まっていく。

 

 

 目の前の闘いに意識が奪われていた了子の足下のケースのデュランダルが勢いよく飛び出す。

 

 

 古びた姿から、黄金に輝く真の姿を取り戻す。

 

 

「これは……覚醒……起動……」

 

 

 起動したデュランダルが宙を浮く。その輝きがその場にいた全員を照らす。

 

 

「「「ッ!!」」」

 

 

 3人の意識がデュランダルに意識が向く。

 

 

 ソウマが一番早く正気を取り戻すとデュランダルに向かって飛び出す。

 

 

「うぉ!?」

 

 

 ソウマが足を引かれたと思うと、クリスの鞭が足を捕えており、彼女は勢いよく、鞭を引き戻す。その慣性を利用し、デュランダルに飛びかかる。

 

 

(もらった! ……ッ!?)

 

 

 一瞬、視界の端に捉えていたソウマの姿が消えたかと思うと、慣性が弱まり、突然目の前に彼が現れる。

 

 

「なッ! どうやって」

 

 

「さぁ? あんまりよく解らないかなぁ」

 

 

 軽口を叩きながら、クリスをその場で押さえつける。

 

 

「今だ! 響ッ!」

 

 

 響がソウマの声に反応し、デュランダルを掴む。

 

 

「ッ!?」

 

 

 体に力が暴れだす感覚に響は支配される。

 

 

 濁流のような力が彼女の意識を黒く染め上げる。

 

 

「あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"」

 

 

 口から苦しみからうめき声が漏れ出す。

 

 

 力の奔流が彼女の体から噴き出す。

 

 

「響ッ……」

 

 

 その力の奔流からクリスを庇うように抱き留める。

 

 

 響がその力を更に開放し、工業プラントをその手に持つ光刃で切り裂く。

 

 

 轟音とともに工業プラントが爆発する。爆発は次の爆発を起こし、誘爆はさらに連鎖を繰り返し、その場にいた全員を巻き込み崩落する。

 

 

 了子は響を庇うようにバリアを張り、自身たちを崩落から守る。

 

 

 ソウマはそれを目線だけで確認すると、クリスを抱きしめる力を強くし、彼女の頭を胸元に押し付ける。

 

 

 瓦礫が2人をを押しつぶそうと降り注いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クリスは、先ほどの衝撃で気絶していたようで、目を覚ますと、目の前には、自分に敵意を向けてきた異形が目の前にいた。

 

 

「どうして……あたしを……庇って……」

 

 

 彼女は信じられないといわんばかりに、口から言葉が零れる。しかし、彼の反応は一切ない。

 

 

「おい、おい‼起きろ‼早く起きろ‼」

 

 

 彼女を抱き留めて、崩落から守ったため、受けたダメージにより、意識が戻らずにいた。

 

 

「おい……おい……起きろよ……頼むから……」

 

 

 クリスの心に理解できない喪失感が自身を内側から蝕む。

 

 

 涙が止めどなく流れ出す。彼女の中の両親の最期と見たことのない、自分に似た女性と男性の最期の姿が頭の中でフラッシュバックする。

 

 

「あ、あ、あぁぁぁ……アタシを……一人に……しないでくれぇ……」

 

 

 目の前の異形が死ぬという現実が受け入れがたく自分の中にいる何かが語り掛ける。

 

 

(マモレ! ソイツダケハ、ナニガアッテモ!)

 

 

 彼女の意識が闇に落ちていくと、どこからか現れた闇のような黒い泥が彼女を包み込む。

 

 

 そうすると彼女の腰にアークドライバーが生成される。

 

 

「まさか、アタシに呼び出されるとはな」

 

 

 クリスの目は赤く怪しく、輝く。

 

 

 ソウマの意識のない姿に気が付くと顔をバイザー越しに歪める

 

 

「死なせない! お前だけは絶対に!」

 

 

【アークライズ‼】

 

 

 ドライバーの上部のボタンを押下し、泥が彼女を包み、彼女の姿を異形の姿に変えていく。

 

 

【オールゼロ…】

 

 

 黒い悪意の化身となった左右非対称の赤い瞳が、自分の取るべき行動を彼女へと映し出す。

 

 

 それに応じるように、ドライバー上部のボタンをもう一度押下し、力を開放する。

 

 

【オールエクスティンクション…】

 

 

 自身の周囲に本来のアークに搭載されていない、スパイトネガを生成し、周りからソウマと自信を包む力場を作り、守りの体制をとると、周りの瓦礫に向けて、光弾を作り出し、爆発させ周りを巻き込むように消し飛ばす。

 

 

【オールエクスティンクション‼】

 

 

 その黒い衝撃波は周囲にあるすべての瓦礫を消し飛ばす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 周りを見渡して、今脅威となるものがいないことを確認すると、

 

 

 彼を横たわらせ、クリス、否、3rdは変身を解く。

 

 

 ソウマのほうに意識を向けると、彼も今までのダメージから変身が解除される。

 

 

「ソウマッ!」

 

 

 彼女が駆け寄ると、彼の脈を取り、息があることを確認すると力が抜け、座り込む。

 

 

「まったく、お前はいつも、自分以外ばっかり優先して、いっつも……アタシ達が……どれだけ、どれだけ心配してると……思ってるんだよ……」

 

 

 彼の頬を撫でながら、涙混じりの声で愚痴をこぼす。

 

 

「いつも、ヒヤヒヤさせやがって……本当に、心配したんだぞ……」

 

 

 一切の動きを見せない彼に彼女は愛おしさを募らせる。

 

 

「絶対に、お前だけは守って見せるよ……何を犠牲にしても……きっとお前は、喜んじゃくれないだろうけどよ……」

 

 

 しばらくの間、彼女はソウマの頬を撫で続けていた。

 

 

「貴女は……誰?」

 

 

 声の主に驚き振り返ると、そこには了子、否、フィーネが響を庇うように立っていた。

 

 

 3rdはその声に答えるように、ソウマを庇うように立ち上がる。

 

 

「なんだ、フィーネか……なんか久しぶりな感じだな」

 

 

「貴女、何を言っているの……」

 

 

「ハッ、まぁ、わかんねぇか……まぁ、安心しな、今の所は直接フィーネの計画を邪魔する気はねぇよ」

 

 

 呆れたような、諦めたような溜め息をつくと、彼女は懐かしむような、死んだ親とであったような、どこか穏やかな表情でフィーネを眺めていた。

 

 

「まぁ、ただ、ソウマに危害を加えるっていうなら、いくらフィーネでも容赦はしねぇ!」

 

 

「ッ! ……あら、それは約束できないわねぇ」

 

 

 空気に呑まれかけるもフィーネは気丈に振る舞う。しかし、3rdの瞳は暗く、光の失った赤い瞳で彼女を睨み続けていた。

 

 

「まぁいいか、まぁ、息災にな」

 

 

 フィーネから視線を外し、3rdは踵を返し、去っていった。

 

 

 その場には呆然としたフィーネと意識を失った響とソウマが取り残されるのみであった。ヘリの音がただただ煩く耳を支配していった。




シャドウジオウ
 第1の概念の封印を解除されたことにより、真の力の一部を解放できるようになった。
 灰黒い装甲の特徴を有し、以前までの形態以上の精神を安定させる性能と、各種機能が通常のジオウとほぼ同等に近い性能となっている。
 特殊能力として、時間の流れに干渉する力を獲得している。
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