興味があれば、後書きをどうぞ
ソウマの携帯電話から声が聞こえる。かなり焦っているのがわかる。ソウマはそれに気づき、イデアの顔を伺いながら電話に出る。
「ごめん、なんか、不審者に絡まれてさ。なんとか、響の場所がわかるかもしれないんだよね」
未来は、声を荒げて、どういうことかと説明を要求する。だが、ソウマは「ちょっと待ってて」と返す。イデアが笑みを浮かべながらソウマに向き合う。
「信じるのかね。私の話を……」
ソウマは自信満々に答える。
「なんか大丈夫な気がするんだよね。あんたのことを信じてもさ」
「そうか」とイデアは悲しそうな表情を浮かべながらも、先ほどの雰囲気に戻る。
「さて、そろそろ、本題に入ろうかな。始めようか、七実」
電話先の未来の声が困惑の声に変わる。
「どうした未来‼」
「あら、ごめんなさい。初めまして魔王様、私は七実、これからよろしく」
どこか冷徹にも聞こえる女性の声が聞こえる。
「さて、彼女を連れて現場に行くから、イデアも急ぎなさい」
イデアは肩を竦め、「ではいくよ」といい、ストールが突然伸びて、ソウマとイデアを包み込み、視界が開けると、そこには未来と白いワンピースに胸元に目立つ赤いプリズムのようなネックレスが目立つ長髪黒髪の女性だった。
あたりを見回すとどうやら、地下鉄と呼べる場所であったが、線路が瓦礫で埋まっている。
「さて、合流できたところで、説明しようかな」
イデアは、説明を始める。
「まぁ、この地下鉄に……おや、少し、ズレてしまったな。まぁいいか、そろそろ来るしね」
イデアが話を切り上げた瞬間、瓦礫が崩れ、ノイズが現れる。
「なッノイズ、どうしてこんなところに‼」
ソウマと未来が驚いた反応をしている隙に、ノイズが変化し2人に襲い掛かる。ソウマは、未来を庇うように抱きしめる。
ソウマが死を覚悟して抱きしめる力を強くする。未来は瞬時に彼の意図を読み取り、顔を歪め、押しのけようとする。だが非情にも彼に明確な死が迫る。
彼女は目を閉じる。これから襲うであろう残酷な現実から目を背けるために。しかし、ノイズが当たった衝撃で、吹き飛ばされるが、自分を抱きしめる彼の熱はなくならない。瞬間に顔を上げる。そこには、困惑したソウマの顔がった。
「どうして……俺はノイズに……」
困惑しているソウマに未来は涙目で力の限り抱きしめる。
「アツアツのところを失礼するが、これ以上は時間がもったいないからね」
二人は、イデアの声に驚き、反射的に離れ、顔を赤面させる。
「どうやら、主賓のご到着だ」
そこには、信じられない顔で立っている。見たことのない、特撮ヒーローのような恰好をした響が信じられないものをみた表情で、そこに立っていた。
「ソウマ……未来……どうして……ここに……」
立花響は呆然とした表情で二人を見つめる。2人の近くに、見たことのない男女がそばにいる。男のほうが声をかけてくる。
「私たちが2人を招待したのだよ。立花響」
その事実に、頭に血が上る。
「ふざけるな、なんで、二人を連れてきたんだ‼」
二人の正体等のすぐに思いつくようなことですら、考えが及ばないほどに激高していた。その感情の昂ぶりに響の顔が黒く染まっていく。その響の反応を他所に、男は上方に目を向ける。一瞬険しい顔を浮かべたが、すぐに口角を吊り上げる。
「そうか、君も針を早く進めたいようだね。いや、それとも、針を折りたいのかな。そんなことできるはずがないのにね」
「あぁ立花君、上に気を付けたほうがいい」
男が響に向き直り、上を気をつけろと忠告すると同時に、上部から何かが飛来してくる。
「アァァァ…………」
砂煙が晴れるとそこには、赤と青の姿を異形の姿があった。異形は、こちらに迫ってくるが、女、七実の手から放たれた衝撃波で押し返される。
響は、ソウマと未来に襲い掛かった異形に拳を本能のままに振り上げ、戦いに挑む。
響は一撃一撃を異形に正確に叩き込むが、異形の力は凄まじく、攻撃された場所は再生していく。どれだけ攻撃しても、破壊は再生を上回ることなく、響は徐々に追い詰められていく。
「おや、アナザービルド……いや、ノイズか……」
その存在を熟知をしているようにつぶやく。ソウマは響のもとに向かおうとするが、未来が彼を引き留める。彼女の顔を覗き込むと、苦悩に染まった顔をしており、彼女を止めたくて仕方ない顔を浮かべながらも、彼が傷つかないように、必死に引き留めている。
しかし、2人が目を離したすきに、響がアナザービルドに左足で腹部に蹴りこまれ、壁に打ち付けられ、血反吐を吐く。
その姿をみた彼は血が出るほどに右手を握り締めていた。突如、彼の感情の昂ぶりに答えるかのように、手の内側から白い光が漏れ出す。その光はさらに強める。その光により、視界が覆われていく。
何もない白い空間が広がっていた。
「ここは……」
つぶやくと彼の前に一人の男が現れる。
「ここは、君の心の中だよ」
男は、穏やかな顔をして、こちらをしっかりと見つめている。
「あんたは、どうして俺はこんなとこに、早く響のところに行かねいといけないんだ」
男は名乗り、逆に聞き返す。
「俺は、常盤ソウゴ。まぁ魔王様ってやつかな。でも、君が向かったところで何かが変わるわけじゃないのはわかってるだろ」
ソウゴの言葉にソウマは言葉を失くす。だが、しばらくして
「それでも、いくよ、二人が傷つくのは嫌なんだよ」
ソウゴは真剣な表情で聞き返す。
「それは、あの二人以外がどうなってもいいってことかな」
ソウマは首を横に振る
「いや、あいつが、響がそんなこと望まないよ。それに、俺にとって、あの二人が大事なように、そういう人が、みんなにはいるんだよ。きっと」
手のひらに、淡い光が集まっていく。
「だから、みんなが、明日に嘆く姿をこれ以上見たくないし、産み出したくないんだ。たぶん、響の奴もそう思って戦ってるんだろうしね。俺は戦うよ。みんなが幸せを探し続けられる世界を作るためにな」
ソウマの頭に、デジャヴのようなものが走る。なぜか、響も同じ気持ちなんだろうということが無意識的に理解していた。
この宣言は、人の心を理解していなかった頃から、小さくではあるが、成長の輝きそのものであった。
ソウマの宣言に合わせて、手のひらに時計型デバイス。シャドウジオウライドウォッチが生成される。それを見届けたソウゴは自分のポケットから、本来とは形状の異なるジオウライドウォッチを取り出す。
「でも、そんな世界にしたいんだったら、王様ぐらいにならないと無理だろうしね」
「まぁ実現するためにならなきゃいけないなら、俺は怪物になったっていいさ」
笑って、ソウゴはライドウォッチをソウマに手渡す。
「このウォッチは、アーマータイム用のウォッチだから、機会あったら使ってね。あぁ大丈夫さ、俺にはこれがあるからね」
そう答え、渡されたものとは、白い針の方向が逆の本来のジオウライドウォッチを取り出した。
「だったら、なってみたらいいんじゃない。最高最善の魔王にさ、それに、君は魔王以外にはなれそうにないしね」
ソウゴは、含みを持たせた言い方をして、笑顔を浮かべる。
「さぁ、戻ったほうがいいよ。守るんでしょ。みんなを」
ソウマは光に包まれる
「ここで見守っているからさ、がんばれ」
その声音はとても優しさに満ちていた。
光が晴れる。ソウマの手にはシャドウライドウォッチが握られていた。イデアは感嘆の声を上げ、ソウマにベルトを差し出す。
「使い方はご存じのはず」
ソウマは、未来を優しく、振りほどき、ベルトを手に取り、腰に装着する。
『ジクウドライバー』
ライドウォッチの針を回し起動させる。
『ジオウ』
ライドウォッチをベルトの右スロットに装填し、ベルト中央部のボタンを押す。そうすると、ソウマから広がるように、3つの灰透明な時計が姿を現し、ベルトの待機音に合わせて、針が回る。
右肘を引き、左腕を体を覆うように構える。
静寂にも似た空間を裂くように声高らかに宣言し左手首を返し、ベルトを、反時計回りに回す。
「変身‼」
ベルトが一周回り、時計の針が、10時10分に止まり、ライダーの文字が浮かぶ
『ライダータイム』『仮面ライダージオウ』
音声とともに、ソウマの体は、灰色のリングに包まれ、シャドウジオウへと姿を変える。
イデアは、変身が完了すると、手に持った本を開き、祝辞を告げる。
「祝え‼時空を超え、過去と未来をしらしめす、影にして深淵なる時の王者、その名もシャドウジオウ。まさに生誕の瞬間である」
今ここに、本来存在するはずのない、新たな時の王者が誕生した瞬間であった。この誕生を祝福するように、アナザービルドの開けた穴から見える星、アンタレスは凛然と強く輝くのであった。
シャドウジオウ
本来のジオウと異なるライダーであり、アナザーライダーの亜種の一つ、榊ソウマの魂と存在を糧に生成されたシャドウジオウライドウォッチを使い変身した姿、オリジナルのジオウには、戦闘力では劣るものの、ジオウにはない特殊な性質を持っている。
どうやら、未来では、オーマジオウの誕生に伴いシャドウジオウライドウォッチはドライバーと融合してしまい未来の時代には、変身することができなくなっている。