ソウマは先ほど起動したウォッチをドライバーに装填し、ベルトを回し、新たな姿に変身する。
【アーマータイム!】
足を揃え、手を開くと、赤い魔方陣が頭上に現れる。
【プリーズ! ウィザード!】
魔方陣が上から通り抜けると、胸元で止まる。魔法陣が実体化し、分裂し、ウィザードアーマーが形成される。
左の手の甲を見せるように構えて、仮面の下で笑う。
「さぁ、ショータイムだ」
アナザーエグゼイドは、先ほどの奇襲を警戒し、こちらから、一跳びで距離をとる。
だが、その予想に反して腕を下すのみで、一切の攻撃の予兆を見せてはいなかった。
「グゥゥゥ……」
「フッ……どうしたんですか、弦十郎さん? そんなに警戒して……俺が怖いんですか?」
(なんでそんなに余裕そうなんだよ……)
軽口を叩く彼の姿に、クリスは疑問と困惑が渦巻く。
だが、近くで見ると、彼の呼吸が多少荒れていることに気が付く。
「……ッ」
(さて、どうするかなぁ……もう少しだけ、持ってくれよ……俺の体……)
先ほどの戦闘のダメージは癒えきることはなく、もはや限界に近い状態であり、気合と空元気で耐えているのみであった。
「そっちから来ないなら、こっちからいこうかなぁ」
手のひらを相手に向け、魔法を発動させる。
『バインド! プリーズ!』
相手の周辺に魔法陣が6つ現れ、鎖が勢いよく飛び出し、相手の四肢と胴体を拘束する。
拘束された鎖を破壊しようと藻掻くが、さらに魔法陣が増え、鎖が壊そうとするたびに各所をさらに拘束していく。
「グァァァァ!」
怒りの咆哮を上げるが拘束を完全に解くことができることができない。
「おいおい、全然外せてないじゃないか……まぁ俺が鎖を増やしているんだけどね」
「ガァァァ!!」
『レベルアップ!!』
「え……マジで……」
上半身の鎖がすべて破壊し、新たに、赤い装甲を纏ったアナザーエグゼイドロボットアクションゲーマーレベル3へと進化したのであった。
「うそ~」
棒読み気味な言葉を並べるが内心ではもはや呆れが支配しており、次に使う魔法の組み合わせを考える。
「じゃぁ次はこれかな?」
足の鎖を解く前に、剣を突くために平らに構える。
『ビッグ! プリーズ!』
魔法陣を相手との直線上の正面に作り出し、魔法陣を突ら抜くと、刃が何十倍に巨大化し、それがアナザーエグゼイドへと迫る。
「ガァァァ!」
右拳を振り上げ、そのまま、腰を捻ると下半身の鎖が砕け散る。
「いいこと教えてあげる。質量と密度と速度があれば破壊力は一気に上がるんだよ!」
迫る刃へ拳を振り抜くことで受け止めようとするが、一切密度が変わらず、ただ質量が大幅に増加した刃が通常通りの速さの突きが強化された拳に向かって飛んでくる。
「グ、グガァァ」
その破壊力を受け止めるがそのまま、押し返そうにも、まるで壁を押しているように1mmさえも動くことがない。
「じゃぁこれも、追加で」
フォーゼライドウォッチをジカンギレ―ドへと装填し必殺技を発動させる。
『フォーゼ! ギリギリスラッシュ!』
「ガ、ガァァァ」
さらに破壊力が増した光刃を止めることができずに、受け流す。
刃は地面を瓦礫を消し飛ばし、地面を成型する。
「ハァ……ハァ……ハァ……グ、グガァ……」
受け止めようとした際のダメージが先ほどのダメージを回復したとはいえ、限界に近いところまで蓄積される。
「さてと、これで、フィナーレだ!」
【フィニッシュタイム! ウィザード! ストライクタイムブレーク!】
「ハァァァ」
その場で一回転し、ゆったりと両手を構え、腰を落とす。下に魔法陣が形成され、右足に炎を纏う。
先ほどの成形された地面に向かって、飛び上がり、ムーンサルトで、空中で体を捻り、着地した勢いで、さらに空中に飛び上がり、空中で体制を整えて蹴りの体制を取る。
「フン」
『ドリル! プリーズ!』
体を高速で回転し、纏った炎がさらに燃え上がり、体を包むほどの炎の渦となって破壊力をさらに上げる。
アナザーエグゼイドは右腕にエネルギーをため、ミサイルのように打ち出す。
それに合わせて、巨大化の魔法陣が現れ、それをくぐえり、さらに炎を強めて、蹴り込む
「ダァァァァ!!」
貫通性能に特化した蹴撃でその飛んできた拳にぶつける。
「グ、グガァ……ガァァァ」
アナザーエグゼイドは、万全の状態では受け止めきれるほどの力はあれど、限界に近いダメージを受けていた彼の肉体は受け止めきれるほどの力はなく、跳ね返すほどの強い意志の力はなど初めからない。
ソウマの肉体はすでに限界であるが、強い意志の力でなけなしの体の内側から湧き出る力をさらに引き上げる。
ソウマの蹴りが飛んできた拳の軌道を回転の力で逸らし切りながら、回転する力で舞い上がる炎と共にアナザーエグゼイドへと突き刺さる。
「ガァァァァ!!」
一瞬その蹴りに抵抗する素振りを見せるが、その手を下げる。
回転を止め、膝を使い距離を取り着地する。その瞬間爆発し、弦十郎の姿に戻り、重力に従い地面に付す。
カラカラと音を立て、排出されたウォッチが地面に転がる。
「フィ~」
ソウマは張り詰めた気を緩め、息を吐き、変身を解く。
変身を解除し、姿が戻るとその肉体はもはやボロボロ以外に形容しがたいものであった。
その場で立っていられないほどのダメージに膝をつく。
「あらぁ、これは想定外……人類最強を当てれば、
地面に転がるウォッチを手に取り、再起動する。
『エグゼイド!』
「どういうつもりなんだよ! 七実さん!」
ボロボロなソウマのいつもとは違う荒い言葉に気を取られ、七実はそちらに顔を向ける。
「う~ん怒っているよねぇ、ごめんね。これもアーリの指示なんだよ。今神同士で、少しだけ面倒なことになっててさ……あなたが早く
ガシッと音が鳴るような音で、七実の足が捕まれる。
「……ッ!」
七実が足元を見ると強い意志で睨みつける弦十郎の姿があった。
「あぁ弦十郎君、まさか、あの状態でも自分の意志で抵抗するなんて、だから、固有能力が発動していなかったんだろうね。やっぱりあなたは素晴らしい! ……でも、それでも、貴方はただの人間、運命に選ばれたわけでもなく、人を辞めたわけでもない。つまり、私たち神に踊らされるだけの人間でしかない。だから」
大げさに演技をするように弦十郎を評価する。
弦十郎は彼女の声に乗る諦観の声に一瞬の迷いが生じる。
彼女はしゃがみ込み、彼に起動したウォッチを当てる。
「私たちに利用されて……あなた達のせいじゃないから……」
泣き出しそうな顔で彼女は笑う。その姿を目にしながら弦十郎の姿はもう一度アナザーエグゼイドの姿に変わる。
さらに、エネルギーがあふれ出し、竜の姿を取り、アナザーエグゼイドの姿をさらに進化させる。
『レベルアップ!!』
「グァァァァァァァァ!!」
竜の装甲を身に纏い、アナザーエグゼイドハンターアクションゲーマーレベル5フルドラゴンへとさらに進化を遂げた。
周りのブロックのほかに、エナジーアイテムが生成されていく。
「さぁ、もう一度始めましょう……試練を……」
七実の隣のアナザーエグゼイドの竜の口に火球が形成されていき、その砲撃がクリスとソウマの二人に向かって襲い掛かるのであった。