歌姫と仮面の狂想曲   作:白紙の可能性

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 ようやく、メンタルが回復してきましたの投稿を再開します。


第57話 2009+2012/竜の宴

 アナザーエグゼイドとシャドウジオウが切り結ぶ。

 

 

 衝撃が風となり、周囲一体を吹き抜ける。

 

 

「クッ……」

 

 

 切り結ぶも、腕力の差があり、ソウマは押し込まれる形で後方へと吹き飛ばされた。

 

 

『ジカンギレード! ケン!』

 

 

 新たにもう一振の武器を取り出し、踏み込みながら体を屈めて切り込むも、咄嗟の判断により、右手の剣で阻まれる。

 

 

(反応が速いか……だったら!)

 

 

 切り結ぶが、手に持つ二振りの刃では、力で押しきることはできない。

 

 

 腰を入れ、回り込むように剣で切り伏せるように切り込んでも、腕力の差で、弾き返される。

 

 

(相変わらずの防御力だなぁ……ッ!?)

 

 

 拳と、剣、銃を用いて、力と体に染みついた技術が合わさり、ソウマに向かって降りかかる。

 

 

 しかし、ソウマの技術を持って、その攻撃を完全に往なす。

 

 

「ガ、グ、グガァ!?」

 

 

 一閃と、一閃と、攻撃の隙を縫うように、アナザーエグゼイドを切り続ける。

 

 

 流れる水のように、澱むことはなく、迷うことはなく防御と攻撃を繰り返していく。

 

 

「ッ!? ガァァァァ!」

 

 

 攻めているはずである自分が逆に攻め落とされていく。

 

 

 技術と無限に等しい経験による戦闘勘、それと合わせて二刀流がアナザーエグゼイドの劣勢を生み出した。

 

 

 二刀流である以上は腕力が相手に勝れば攻撃性を持つが、現実的な状況に近づけば近づくほど、攻めよりも、受け流す防御が基本となる。

 

 

 文字通り、防御ありきの攻めとなる。柔よく剛を制す。まさに、この戦法こそ、榊ソウマが現状、風鳴弦十郎を上回ることができる数少ない武器の一つであった。

 

 

「うぉっと!? ……ッ!?」

 

 

 左手の銃で、ゼロ距離で打ち込まれそうになり、躱すように距離を取る。

 

 

 しかし、光弾は左わき腹を掠り、その衝撃で、意識を刈り取られそうになる。

 

 

ガァァァァ

 

 

 それを隙と定め、アナザーエグゼイドは炎球を作り出す。

 

 

 叫び声が響き空間が震えると、炎球が膨れ上がり、さらに大きくなる。

 

 

 しかし、それに怯えることはなく、ソウマはライドヘイセイバーの針を操作する。

 

 

『ヘイ! 鎧武!』

 

 

 オレンジの切り身のようなエネルギーを刀身に纏う。

 

 

『鎧武! デュアルタイムブレーク!』

 

 

 剣閃が炎を切り裂き、そのエネルギーがそのまま勢いを殺さずに、相手の装甲を切り裂く。

 

 

 直撃のダメージにより、よろめく。

 

 

『ヘイ! ファイズ!』

 

 

 赤いフォトンブラッドが、密度を高め、刀身を覆いつくし、さらに巨大な光刃となる。

 

 

『ファイズ! デュアルタイムブレーク!』

 

 

 左手のジカンギレ―ドを放り捨て、両手で、ライドヘイセイバーを握り締め、上段で構え、そのまま振り下ろす。

 

 

 赤い閃光が相手を飲み込む。

 

 

 吹き飛ばされ、相手は地面を転がり、うつ伏せになる。

 

 

「……グ、グガァァァ!! 

 

 

 力を振り絞るような、搾り取られていくような咆哮と共に、立ち上がる。

 

 

「哀れだな……本当に、踊らされるってのは……」

 

 

 そんな有様を見て、心底、呆れと哀れみ口から零れる。

 

 

「それは……俺もか……」

 

 

 自嘲の言葉が釣られて出てくる。

 

 

 そんな弱気を抑えるために、一つのライドウォッチを起動させる。

 

 

『ウィザード!』

 

 そのウォッチをディケイドライドウォッチのスロットに装填する。

 

 

『ファイナルフォームタイム! ウィ・ウィ・ウィ・ウィザード!』

 

 

 その音声と共に、ディケイドの力がウィザードの力をさらに引き出す。

 

 

 右肩の文字が『ディケイド』から『ウィザード』に切り替わり、胸部のバーコードとに『フレイムドラゴン』文字に切り替わる。

 

 

 それに合わせ、全身がモザイクに包まれ、胸部装甲とヘッドアーマーを覗いで、本来のウィザードの姿となり、炎に包まれたような竜の意匠を持つ赤い姿。

 

 

『シャドウジオウディケイドアーマーウィザードフォーム』へとその姿を変じる。

 

 

 心の内から燃え上がるような力が湧き上がる。腰マントを翻し、体を半身捻り、魔法を発動させる。

 

 

『コネクト! プリーズ!』

 

 

 魔法陣から、時計のようなガントレット型のアイテムを取り出す。

 

 

 それを掲げるように左腕に装着する。

 

 

『ドラコタイマー! セットアップ!』

 

 

 時計の針を回し、1回転させ、起動させる。

 

 

『スタート!』

 

 

「さぁ、ロスタイムといこうか」

 

 

 彼の言葉に乗るように、アナザーエグゼイドは、アナザーウォッチの力によって、強制的に立ち上がる。

 

 

「……ァ゛……ァ゛……ア゛ァ゛……」

 

 

 もはや、唸り声をあげる力すらないが、操られるように飛び込むように、ソウマのもとに迫る。

 

 

 回っていく、時計の針の背景が青の領域になった瞬間、ドラコタイマーのスイッチを押し込む。

 

 

『ウォータードラゴン!』

 

 

 青い魔方陣が現れ、その中からウォータードラゴンの姿のウィザードフォームが現れる。

 

 

「ッ!?」

 

 

 水を纏った刃が相手の左腕の生体装甲を切り裂く。

 

 

 切り裂いた装甲が砕け落ちる。

 

 

 今までの戦闘の影響により、各所の装甲に限界を迎えかけていた。

 

 

 いきなり、別の方向から受けた衝撃により、地面を転がる。

 

 

「ァァ……」

 

 

 ゾンビのように立ち上がる。そんな姿にソウマはため息をつく。

 

 

「まだ、来るのか……しつこいねぇ。本当に」

 

 

 それでも、緑の領域に入った時計のスイッチを押し込む。

 

 

『ハリケーンドラゴン!』

 

 

 後方から、ハリケーンドラゴンが現れ、風の弾丸を放つ。

 

 

 風の弾丸が、脚部の装甲に向かって放たれ、両足揃って破壊される。

 

 

 その勢いから脚部にさらに浴びせ続けて、動きを止めきる。

 

 

「まだ、もう一人いるんだけどね」

 

 

 青のソウマが、ジカンギレ―ドを銃にして、胸部に向かって撃つが、残った右の剣の光の刃が打ち落とす。

 

 

『ランドドラゴン!』

 

 

 その機会音声に、足を引き摺りながら振り向くと、そこには、竜の爪を装備した、ランドドラゴンの飛ぶ爪撃が襲い掛かる。

 

 

「ガァ!?」

 

 

 残った剣を叩き折られ、もはや、胸部と頭部の装甲を残して、すべてが崩れ落ちた。

 

 

「ガァァァァ、グガァァァァ!」

 

 

 炎の球を生み出し、砲撃する。しかし、

 

 

『ゲイツ! ギワギワシュート!』

 

 その炎球を光の矢が正確に打ち抜く。その矢が炎を破裂させ、暴発させる。

 

 

「……俺を、忘れるな!」

 

 

 ボロボロなアスカが武器を構えて、足をふらつきながら、こちらへと向かい歩いてきた。

 

 

「アスカ……」

 

 

「まだ、いける! 気にするな……」

 

 

『ファイナルタイム!』

 

 

 時計が最後の時を告げる。

 

 

 互いに肉体の許容を超えるダメージを受けている。

 

 

 いくら、ソウマの肉体が回復しているといえども、ダメージはそれでも蓄積し、体力は限界であった。

 

 

 だが、二人の間に心配の意図はない。そこにあるのは信頼のみであった。

 

 

「だったら、最後まで付き合ってくれる?」

 

 

「あぁ……当然だ!」

 

 

 二人の言葉のみが気力を持つが、

 

 

「さぁて、これで行くかな」

 

 

『ファイナルアタックタイムブレーク! ウィ・ウィ・ウィ・ウィザード!』

 

『オールドラゴン!』

 

 

 炎の竜のもとに、水、風、大地の竜が魔力となり、集う。

 

 

 竜の頭、爪、翼、尾が装備され、四属性が一つとなり、まさに、究極の竜へと姿が変じた。

 

 

『アーマータイム!! 3、2、1、フォーゼ!!』

 

 

 フォーゼのアーマーを纏い、姿を変える。

 

 

「すべての魔力を一つに……この一撃で終わらせるッ!」

 

 

「悪いが、ここで、雪音クリスを殺させるわけにはいかないんでなッ!」

 

 

 飛び上がり、二つの軌跡を描き、アナザーエグゼイドを挟み込む。

 

 

「ハァァァ!」

 

 

「ガァァァァ!」

 

 

 正面からくるアスカを、腕力で抑え込む。あまりの出力に地面に足が埋まる。

 

 

「負けて、負けてたまるかッ!」

 

 

『グラヴィティ! プリーズ!』

 

 

 ソウマの重力魔法が相手を地面に縫い付ける。

 

 

 いつもの冷静さをかなぐり捨て、意識をすべて、相手を押し込むことに向ける。

 

 

「ガァァ……ッ!」

 

 

「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛」

 

 

 重力により、さらに力を増し、押し込む。

 

 

 身体にかかる常軌を逸した一撃に耐えきれず、炎球を生み出し、吹き飛ばそうと打ち込む。

 

 

 しかし、燃え上がる爆炎がアスカの目の前を覆いきるが、止まることはなく、怯むことなく、地面に押し込む力をさらに強める。

 

 

「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!」

 

 

「──ガァァ!?」

 

 

 その勢いに負けて、その拳が、アスカの拳がアナザーエグゼイドの胸部装甲を打ちこわし、元の生体装甲のライダーゲージを削っていく。

 

 

「ガァァァァ!」

 

 

「──ッ!?」

 

 

 最後の力を振り絞ったアスカの無防備な腹部に、強烈な拳の一撃が突き刺さる。

 

 

 地上最強の一撃は、フォーゼアーマーを破壊し、突き刺さる。

 

 

 そのまま、勢いを殺され、吹き飛ばされる。

 

 

(あとは、頼んだぞ。オーマジオウ……否、ソウマ……)

 

 

 薄れゆく意識のなか、自分にとって、憎しみと友情を併せ持つ相手にすべてを託すのであった。

 

 

 

 

 

 その反撃に間髪入れずに、雷と風が、アナザーエグゼイドを包みこみ、冷気により、埋まった足と腕を固定する。

 

 

 その異常な状態に、現況であるソウマを探そうと、周りを見渡すが見つからない。

 

 

「……ッ、グッ、ガァァァ!」

 

 

 上空に四つの属性の魔法陣が現れ、竜の姿を取り、アナザーエグゼイドに食らいつき、拘束する。

 

 

 その中心にいる竜の姿となったソウマが、構えて、全速力で、垂直に、必殺の蹴撃がアナザーエグゼイドへ向かって放たれた。

 

 

「ダァァァァァァ!!」

 

 

 胸部に蹴りが突き刺さり、そのまま、地面へと押し込み、それでもなお、勢いが止まることはなく。さらに地面へとめり込ませ、弦十郎の中のアナザーウォッチを破壊するのであった。

 

 

 その蹴りが収まると、アナザーエグゼイドの姿から弦十郎へと姿が戻る。

 

 

「ふぃ~」

 

 

 その言葉と共にソウマの姿ももとの姿へと戻る。

 

 

 長い、長い、遊戯のような、神の試練は終焉したのであった。

 

 

 黒煙によって汚れた青空の光が唯々、彼らを包み込むのであった。

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