歌姫と仮面の狂想曲   作:白紙の可能性

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第63話 XXXX/時の魔人

 目が覚めると、ソウマ、未来、クリスの3人が心配した表情で、響を見つめていた。

 

 

「大丈夫、響」

 

 

「あ、あ、うん大丈夫……」

 

 

 未来が、心配の心情を口にすると、響は、反射で大丈夫だと答える。

 

 

 しかし、先ほどまで話していたアークと未来の姿が重なって見える。

 

 

「……」

 

 

 視線を腰に装着されているベルトに向ける。

 

 

 意識を失う前に、感じた激痛は今は感じることなく、なぜか、一部感覚が痺れていた。

 

 

「あら、起きたんだ。早くベルトを外したほうがいいわよ。外さないと体に悪影響が出るけど……そのままでいいならいいけど?」

 

 

 彼女の言葉を聞いて驚いて、ベルトに触れ、取り外そうとすると、ベルトが外れた。

 

 

 その勢いのまま、外れたベルトを上にあげてしまう。

 

 

「返してくれてありがと」

 

 

 その言葉と同時にベルトを手から取り上げられる。

 

 

「あっ」

 

 

 あっけに取られていると腹部から、激痛が走りだす。

 

 

「──ッ!?」

 

 

「あぁ、言ってなかったわね、痛みはあくまでベルトが中和してただけ、いきなり、外部からの神経接続を切られたなら、どうなるかはわかるでしょう?」

 

 

「さすがに、それを言わずに渡すのはどうかと思うけど」

 

 

「あら、魔王様も人道的に怒るのね。まぁ意外でもないけども……」

 

 

 七実の行動に、非難の意志を示すが、飄々と躱され、彼女は、近くの瓦礫に腰かける。

 

 

「さてと、立花響、貴女は会えたのかしら、1stに」

 

 

「うん……会え、会えました」

 

 

「あら、少し、しおらしくなったみたいね。まぁ、聞いたことを少し考えてみなさい」

 

 

 その顔は、自分に憎悪を向けるようないつもの貌と異なる貌が垣間見えた気がした。

 

 

 それがきっと彼女の女神としての貌なのだろう。その場にいた全員が感じていた。

 

 

「では……少し休憩したら、本格的にキングダムに向かうよ」

 

 

「そういえば、乗り物とかって使えないの?」

 

 

 ソウマが当たり前のことを今更ながら聞く。

 

 

 七実は呆れながら、ソウマの質問に答える。

 

 

「まぁ、一応、あるわよ。ただ、あの精神状態でこの悪路を運転するのを進めるほど悪魔じゃないわよ……」

 

 

「えぇ……それって……まぁ……そうだけども……今はある程度大丈夫だから乗り物で行こうよ」

 

 

「えぇそうね。でも、そうなると、アレを持ち出さないといけないんだよね……人数的に?」

 

 

「あれ?」

 

 

「バイクで移動ができないでしょ。人数的に……」

 

 

「まぁ……」

 

 

 そうすると、彼女が、空中に手をかざすと、一つのモニターを出現させる。

 

 

「アーリ、タイムマジーンの使用許可をお願いしたい」

 

 

『うぇ、いきなり、通信してきて……一応、理由を聞きたいけど……』

 

 

「移動のためです」

 

 

『……ん~、わかった。一応、タイムマシン機能を封印して、君たちに譲渡するよ。我らが魔王、アスカ君用にチューンした代物を1台ずつを用意する。それを使って、キングダムに向かってくれ……あぁ、俺も、現世に降りるから』

 

 

「何か、不具合が?」

 

 

『ううん、一応、アスカ君の妹を確保したくてね。このままだと、パヴァリアに利用されそうだから……さすがに……こっちの予定外の行動をされるには困るぐらいには、彼らの戦力は強くてね? 本気で困っているんだよ……今までの所業含めてね』

 

 

 アーリにしては珍しく本気で困っている表情を見せる。

 

 

「それでは、よろしくお願いします。では……」

 

 

『え、なんか、冷たくない? ねぇ──』

 

 

「ふぅ……どうしたんですか、皆さん?」

 

 

 アーリとの会話を断つように、通信を一方的に切った。

 

 

 その様をソウマ達は引いた目で見ていた。

 

 

「いや、一応主神だよね? 彼……」

 

 

「えぇ、私たち神の父でもあるけど、あの神はある種の目的のためならすべてを捨ててでも完遂するタイプだもの……これ以上の説明がいる?」

 

 

「ハハハ……いや、いらないかな」

 

 

 肩を落とすソウマとそれを無視するようにしていると、空に大きなゲートのようなものが現れた。

 

 

【ターイムマジーン!!】

 

 

 音声と共に、2台のバイク型の大きい機体であった。

 

 

「これが……」

 

 

「そう、タイムマジーン。これは本来は時間移動がメインだけども、今回はその機能についてはオミットされている」

 

 

「どうして?」

 

 

「それは多分……言えないかな。まぁ気にしなくていいよ。いつかわかる」

 

 

 二人の会話をよそに、三人は、興味深々にタイムマジーンを見ていた。

 

 

「これって、移動用にしか使えないんですか?」

 

 

 響が質問した。なぜか、この内容に疑問を抱いてしまった。

 

 

「あら……まぁいいわ、この機体は例外としてアナザーライダーを倒すことができる」

 

 

「アナザーライダーを……」

 

 

 響きの中にアナザービルドとの戦いが脳裏に張り付く。

 

 

 自分の中にあるトラウマが刺激される。

 

 

「響……」

 

 

「え、どうしたの?」

 

 

 響きのその顔は笑顔であった。しかし、その顔は決して笑っているというよりかは引きつったように笑顔であった。

 

 

「言っておくけど、これを貴女に渡すわけじゃない……ただ、安心して、アナザーライダーを倒す手段を与える。だから、少し待ちなさい」

 

 

「は、はい……」

 

 

「さてと、それじゃぁ──」

 

 

 バイクの爆音が耳に入ってきた。それを聞いて、七実が声を上げるが、ほかの全員も顔をそちらに向ける。

 

 

「うん?」

 

 

 遠くから、2台のバイクが此方に向かってきた。

 

 

「あれは……おーい」

 

 

 バイクに乗っている相手に気が付くと、ソウマはそちらに向かって手を振った。

 

 

 2台のバイクが、近づき、減速し、止まると、アスカの後ろに誰かが乗っているのが分かる。

 

 

「ソウマか……まぁ来ているよな」

 

 

 ヘルメットのバイザーを上げ、少し遠慮気味に、挨拶を交わす。

 

 

「なんだ、お前らも来てたのか」

 

 

「「奏さん!?」」

 

 

 響と未来が合わせて驚愕の声を上げる。

 

 

「おう、相変わらずのセットだな……ん? なんで、そいつと一緒にいるんだよ」

 

 

 いつも通りの反応から、クリスがこの場にいることに気が付き非難の視線を向ける。

 

 

「あぁ、一応な」

 

 

 目を背ける形で、会話を切るクリスであったが、視線が突き刺さる。

 

 

「おい、奏……これはなんだ、イデアが血相を変えてきていたんだが、あれはなんだ?」

 

 

「あぁあれは、っていうかイデアがここにいるの?」

 

 

「あぁ、あれだ……」

 

 

 視線を向けるとそこには、七実と談笑している、メットをつけているライダースーツを着た男がそこにいた。

 

 

「え……本当にイデア?」

 

 

「ん? あぁ……我が魔王、3日ぶりですね」

 

 

 気が付きメットを外すと、そこにはいつものイデアがそこにいた。

 

 

「まさか、タイムマジーンの使用許可が下りるとは……これを使って、行こうじゃないかキングダムへ!!」

 

 

 その声を聴いた瞬間にアスカとソウマのライドウォッチをが光ると2台のタイムマジーンの色が白から変化する。

 

 

 1台は、真紅と梔子色に、もう1台は藍墨茶色と紫色に染まった。

 

 

「ではいこうか、我らが魔王」

 

 

 その言葉に従う形で、全員が2グループに分かれて乗り込む。

 

 

 乗り込むと、イデアと七実が基本操作を教える。

 

 

 しばらくすると、操縦を覚えたソウマとアスカが操縦桿を握る。

 

 

「では、行きましょうか」

 

 

「あぁ! いざ、キングダムへ」

 

 

 両手に吸い付くように操縦桿を捻り、タイムマジーンを発信させるのであった。

 

 

【ターイムマジーン!!】

 

 

 2台のタイムマジーンが勢いよく加速してキングダム方面へと向かっていった。

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