日本本土防空戦――日本国召喚・異譚   作:スカイキッド

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第2話「迎撃開始」

 

二日後、リーム王国よりグラ・バルカス帝国軍の爆撃機と戦闘機が出撃するのを、警戒中のE-2Cのレーダーが捉えた。

高空を行く爆撃機と低空を飛ぶ戦闘機を合わせてなんと合計548機。これと合わせて敵艦52隻も日本に迫って来ている。

有線通信を利用した航空攻撃情報(いわゆる空襲警報)が発令、即座に日本全国の通常放送はすべて緊急放送へと切り替えられた。

 

「航空攻撃情報。航空攻撃情報。当地域に航空攻撃の可能性があります。屋内に避難し、テレビ・ラジオをつけてください」

 

防災サイレンが忌々しい報知音をがなり立て、都市圏では人々が消防と警察の誘導で地下鉄や地下街へと避難する。

これと同時に、空自では警戒警報(レモンジュース)から防空警報(アップルジャック)へ防空状態が変更され、即座に全国の戦闘機隊に緊急発進の命令が下される。

 

「スクランブルーッ!!」

「第301飛行隊、緊急発進せよ」

 

茨城県、百里基地。

ここでも戦闘機が次々に発進していく。

 

「スゲェ、ファントムの総出陣だ!」

 

避難指示にも耳を傾けず、基地の敷地外からカメラの砲列を基地の滑走路に向けていた、いわゆるマニアたちは唸った。

滑走路から次々に飛び立っていくそれは、旧式戦闘機のF-4EJ改<ファントムⅡ>。

空自でも三年以内に全機が退役予定の彼らは、空中給油が不可能で、在外基地まで飛行できないがために国内に留まっていた。

その旧式機が30機以上、百里基地の滑走路から飛び立っていく。

しかし旧式機故にパイロットもベテラン揃い、しかも彼らにとって最後の実戦となるだろうことから、士気も高い。

 

「各機、これより他の航空隊と合流する。イーグル乗りの連中に遅れを取るな」

「イーグルドライバー如きにファントムライダーが負けやしねぇよ」

 

百里基地を飛び発ったF-4EJ改の編隊は、しばらくして飛行中に別の基地より発進したF-15J<イーグル>の編隊と合流する。

そのF-15Jのほとんどは非近代化改修機であり、どうやらそれが理由で彼らは敵艦隊攻撃に派遣されなかったらしい。

やがて別の飛行隊の戦闘機も加わったことで編隊の規模は格段に増え、教導隊の塗装をしたF-15DJ改、武装したRF-4EJの姿まであった。

おおよそ国内に残ってる戦闘機のほとんどがかき集められた形だろう。F-2の姿が無いのは、ほぼ全機が海外出張中だからだ。

 

「敵爆撃機、方位3-1-5、高度33000フィート」

「全機上昇しろ」

 

後方の早期警戒機からの指示に従って戦闘機隊は敵編隊の方向へ向かう。

彼らの第一目標は、まず敵爆撃機。

編隊は、敵爆撃機の飛行する高空目掛けてぐんぐんと高度を上げ、本州上空では幾筋もの飛行機雲が一直線に引かれる。

さすがに九州等の地域の部隊は距離の問題から含まれないが、それでもこのときの空自戦闘機の数は90機に上った。

 

「レーダーコンタクト!」

「敵機、正面80nm(148km)!」

 

しばしして戦闘機のレーダーが敵影を捕捉。さすがに200機ともなると、数が多過ぎて戦闘機のレーダーに完全に映りきらない。

レーダーが敵の姿を捉えるのとほぼ同じタイミングで、ECMポッドを搭載してきたF-4EJ改による電子戦が開始される。

おそらく、第二次大戦レベルのグラ・バルカス軍機はこれにより、レーダーと無線が使えなくなっている筈だ。

その間にも相対速度により両者の距離はみるみるうちに狭まる。

 

「各部隊、攻撃開始地点まであと3マイル」

「了解。マスターアームON。攻撃準備!」

「全機スタンバイ!」

「いつでもいけるぜ」

 

リーム王国への先制攻撃こそ政治的な理由で不可能だったが、今の彼らにはウェポンズフリー、武器使用自由が発動されていた。

グラ・バルカス帝国による日本への侵攻が確実視された段階から、自衛隊の最高指揮官である総理大臣により発動されたのだ。

両者の距離が70kmを切り、ついに空自戦闘機による攻撃が開始された。

 

「攻撃開始! 攻撃開始!」

「交戦を開始せよ!」

「ターゲットロック! FOX1!」

 

一斉に戦闘機の翼下からミサイルが解き放たれ、固体燃料に火を灯すと共に一直線に敵爆撃機の方向へ突進する。

放たれたのは比較的射程の長いAIM7スパロー。やはり旧式のミサイルだ。旧式機は最新のミサイルの運用に対応してない。

だがそれでも、マッハ4の超音速で飛翔するそれらは、第二次大戦レベルの航空機を撃墜するには充分なミサイルだった。

一機当たり一発のスパローが発射、同時にごく少数のF-15J改が搭載していたAAM-4が全弾まとめて敵編隊に向けて発射される。

数十本のミサイルの群れは、日本海上の青白い空を高速で飛翔しつつ、敵爆撃機との距離を急速に縮めていった。

 

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