日本本土防空戦――日本国召喚・異譚   作:スカイキッド

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11/12 22:00 一部間違った表現を訂正
 


第4話「次なる脅威」

 

超重爆撃機<グティーマウン>約200機は航空自衛隊のF-4EJ改とF-15Jを基幹とする約90機の戦闘機に狙われて壊滅状態に陥っていた。

 

「畜生! あんなバケモノみたいな戦闘機がいるなんて聞いてないぞ!」

 

爆撃機200機を率いるトリガーは悪態をつく。彼の機体の周りを見たこともないような戦闘機が纏わりつくように飛び交う。

鏃のような機体、プロペラがなく、後ろから二本の炎を吐き出しながら飛行する姿はミリシアル帝国軍の戦闘機にどこか似ている。

しかし、その機体はミリ帝の戦闘機よりも形状が洗練され、速度は信じられないほど速く、何より機体に描かれた赤い丸は、それが日本軍機であることを示している。

 

「操縦士、高度を下げろ! この高度にも敵が上って来れるとなると我の高高度飛行のアドバンテージはない! 降下して速度を稼げ!」

「了解!」

 

勢いよく射撃を続ける自機の防護機銃の射撃音に負けんばかりの声で、トリガーは操縦士に命じる。

続けざまに通信士の方へと振り向くと、その声量を維持したまま通信士にも声をかけた。

 

「通信士、先行している友軍戦闘機隊との通信はまだ繋がらないのか!?」

「ダメです! 無線機は依然ノイズだけです、未だに繋がりません!」

「クソッタレ!」

 

そんなやり取りをしている間にも、空中で爆散したり、翼が折れたり、炎を纏ったりしたまま、流星のごとく友軍機が落ちゆく。

爆発、あるいは敵戦闘機が高速通過することによる衝撃波で機体がガタガタと揺れ、その揺れにトリガーら乗組員は怯える。

機内にはアンモニア臭が充満してる、それが何を意味してるか、トリガー含む乗組員らの飛行服の股関部が濡れてるのを見れば明らかだ。

 

(これは撤退するべきか……?)

 

トリガーがそう考えた途端。

銃座員が悲鳴に似た声で叫んだ。

 

「敵機、本機に急接近! あっ!」

 

次の瞬間、トリガーらの乗る<グティーマウン>に機首を向けたF-4EJ改が、20mm機関砲弾を大量にぶち撒けた。

被弾した機体は胴体の中ほどから真っ二つにへし折れ、急減圧により、トリガーは機体から外へと吸い出された。

与圧された機内から酸素の薄い高度一万メートルの高空へと投げ出されたトリガーが、酸欠で気を失う前に目にしたのは、爆散して火を噴きながらバラバラになる自身の乗機だった。

 

 

グラ・バルカス帝国軍の爆撃機203機を撃墜した空自戦闘機隊の次の目標は、低空を飛行する345機の帝国軍戦闘機である。

防衛省では、敵爆撃機に続けてこの帝国軍戦闘機345機の編隊の迎撃も空自戦闘機隊に行わせようとしていた。

だがここで問題が起きた。

 

「敵戦闘機345機、なおも本土に接近中」

「迎撃準備は出来ているな?」

「ダメです、戦闘機隊は作戦継続が困難」

「何ぃ……?」

 

敵爆撃機の迎撃を終えた段階で、大半の機は作戦の継続が困難になっていたのである。

残弾がない、という訳ではない。全機が空対空兵装をフル装備してたので、一部を除きほとんどがミサイルも機関砲弾も残してた。

 

「なぜ作戦継続できない」

「戦闘機隊ですが、給油に時間が掛かります」

「給油?」

「アフターバーナーを使用したパイロットが多数いるようです。戦闘機隊は残燃料に余裕がないとのこと」

「クソッ、なぜアフターバーナーなんて使う…… これだからファイターパイロットという人種は理解できん」

 

問題は残燃料の方だった、敵爆撃機をリーム発進直後に迎撃すべく、航続距離ギリギリのリームまで戦闘機隊を展開させたのが仇となった。

本来であれば余裕を持って対処できたが、戦闘中にアフターバーナー(A/B)を使用する戦闘機パイロットが多発。

A/Bは燃料を大量消費するので、燃料不足を引き起こしてしまうのは仕方あるまい。しかし一斉に出撃したから給油も一斉に行うことになる。

 

「給油を早めに終わらせられないか?」

「給油はすぐ終わりそうですが、複数のF-4パイロットと一部のF-15パイロットが機体の不調を訴えてます。点検が必要です」

 

ただでさえF-4なんて何十年も前から使ってるオンボロ機なのに、今回無理やり出撃させたから、そのせいで故障機が出てるらしい。

F-15の方は何とかなるだろうが、これでは敵の迎撃に回せる戦闘機が足りない。

 

「戦闘機はもう出せないのか?」

「出せない訳ではないが、345機も迎撃するには明らかに数が足りん。さっきは90機出撃させたが次はそうはいかんぞ」

 

一応、国内にはまだ戦闘機は残ってる。基地が宮崎県にあるため、距離的な問題で敵爆撃機の迎撃を断念した第305飛行隊だ。

今度は日本近海で迎撃するため305飛行隊でも迎撃可能だが、ただ全力で出撃させても20機がせいぜいであり数が足りない。

 

「となるとやっぱり、海自と高射部隊で迎撃するしかないか……」

「問題は、敵がどこを攻撃するかだ。護衛艦も高射部隊も攻撃目標の付近にすぐ展開できるほどの即応性はない」

「戦闘機も燃料と残弾に余裕のある機を回せ。もちろん再出撃可能ならすぐ出せ」

「これは最悪の事態がホントに起こるかもしれないな……」

 

最終的に、防衛省では陸自の高射特科部隊、空自の高射部隊、日本海に展開中の海自戦闘艦艇、少数の戦闘機で対処することとなった。

グラ・バルカス軍機345機は、空自のレーダーサイトと展開中の早期警戒機が常時監視してたが、どこを攻撃目標としてるかは、この時点ではまだ不明だった。

 

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