日本本土防空戦――日本国召喚・異譚   作:スカイキッド

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11/12 22:07 第4話の修正に伴い一部文章を改編
 


第6話「対空戦闘」

 

最初に帝国軍機345機と戦闘を開始したのは、空自第305飛行隊所属機を基幹とするF-15Jだった。先の敵爆撃機迎撃に出撃しなかった部隊だ。

彼らは空対空兵装をフル装備して緊急発進、敵を確認するや敵編隊向けてスパロー(AIM-7)中距離ミサイルを猛射。

スパローを全弾発射したところで第305飛行隊からなる戦闘機隊は攻撃を終了、機関砲や短射程AAMを使用することなく即座に撤退した。

下手に近づいて、味方の攻撃による誤射を受けないようにするためだ。

 

「ペトリオット、発射準備完了」

「発射を許可する」

「発射!」

 

そして第305飛行隊の攻撃直後から、福井県と石川県に展開した空自高射部隊の地対空誘導弾ペトリオットが射撃を開始。

かつて湾岸戦争時にイラク軍のスカッドミサイルを撃墜した記録もある対空ミサイルが、グラ・バルカス軍機の大編隊に向かって飛翔する。

 

「対空戦闘」

「スタンダード攻撃始め。一斉発射(サルヴォー)!」

 

さらに舞鶴港でドック入りの待機中だった、停泊中のイージス護衛艦<みょうこう>が最大射程ギリギリから艦対空ミサイル12発を発射。

そしてさらに編隊が日本本土に近づくと、陸自高射特科の03式中距離地対空誘導弾や改良ホークといった地対空ミサイル部隊も射撃を開始した。

 

 

グラ・バルカス帝国軍の戦闘機隊はなおも日本列島目指して飛行を続けていた。

ひどい有り様だった。

日本へと近づくたび、次々に戦闘機が叩き落とされ、瞬く間に編隊を構成する爆戦型<アンタレス>が数を減らしていく。

 

「クソッ、ここは地獄だ!」

 

指揮官機の座席で、空中指揮官は友軍機が次々に爆発していく様子を見ながら叫んだ。実際、彼の言うとおり地獄のような光景だ。

ようやく敵を見つけたかと思えば、それは正体不明の対空兵器で、それがとち狂った速度で突っ込んで僚機を易々と叩き落していく。

カルトアルパス港で帝国軍と交戦した日本の白い巡洋艦が、帝国軍機を多数墜としたとの情報から、日本の対空兵器は強いとされていた。

もちろん指揮官とてその話を聞いていた。だがまさかここまで強いだなんて聞いてない!

 

「友軍機の損害は!?」

「不明! 無線が混乱してて状況が掴めません!」

 

この時点で345機いた編隊はすでに200機を切ってたが、編隊全体が恐慌状態に陥っていることで指揮官は状況が把握できない。

つまりそれほどの大損害を受けていることに気づいていないのだ。

それもあって編隊は日本列島への進撃を続けていたし、何より彼らが進撃を続ける理由が目の前に現れようとしていた。

 

「前方に陸地を確認! 日本列島です!」

「ようやくか!」

 

攻撃目標の日本列島が見えてきたからだ。ここまで来るともはや退くに退けない。

ここまで来たら突撃するしかなかった。

 

「全機に告ぐ、小隊ごとに散開して突撃! 高度を取れ、上昇しろ!」

 

さすがにここまで来たら海面スレスレを低空飛行する必要もない。次々に爆戦型<アンタレス>の編隊が上昇していく。

もちろん指揮官機も高度を上げた。それと同時に日本の内陸部から次々に閃光と白煙が吹き伸びる光景が目に入った。敵の対空砲火だ。

彼らが日本列島へと接近したことによりペトリオット、03式中距離地対空誘導弾、改良ホークの攻撃がよりいっそう集中する。

射程の短い81式・11式短距離誘導弾も射撃に参加し、対空砲火の密度が急速に増す。

 

「なんて濃密な対空砲火!」

 

指揮官は思わず叫ぶ。

同時に、操縦士も叫んだ。

 

「右前方、敵艦船!」

「完全に待ち構えてたか!」

 

加賀市沖に緊急展開していた海自第14護衛隊の旧式護衛艦<あさぎり>、<せとぎり>、<まつゆき>、<せんだい>だ。

彼らも対空戦闘を開始、シースパロー艦対空ミサイルや76mm単装速射砲の射撃が指向され、何機ものグラ・バルカス軍機が叩き落とされる。

イージス艦ほど優れてはいないが、レシプロ機相手には充分強力な迎撃であった。

 

「クソッ、流石に迎撃が激しすぎる!」

 

被撃墜機が次々に増加し、黒煙と炎をあげる友軍機の成れの果てが流星が如く落ちていく。

すでに領空内へと侵入したグラ・バルカス軍機は海岸まで距離10キロ圏内にまで迫ってたが、対空砲火により数は50機を切っていた。

 

(百発百中の対空砲火が、近づくたびに密度を増す! こんなの突破できる訳が――!!)

 

次の瞬間、グラ・バルカス軍機を指揮する指揮官の意識はそこで途絶した。

指揮官機も81式短距離誘導弾の直撃を受け、それに搭乗する空中指揮官、操縦士、航法兼通信士もまとめて物言わぬ肉塊へと変貌させたのだ。

この瞬間、グラ・バルカス軍戦闘機隊は完全に統率の取れない集団へと変化した。

 

 

 

「敵、なおも接近!」

「散開した敵機の一部が小松基地の方向に向かいました!」

「撃ち続けろ! 奴らに日本を攻撃させるな!」

 

指揮官を失っても帝国軍の爆戦型<アンタレス>は突撃を止めず、残存機が20機以下になりつつも海岸まで5kmを切る距離まで迫った。

もはや彼らは一方的攻撃により精神が麻痺してたのかもしれない、指揮官を失った事すら気付かず日本上空への突撃を続けていた。

 

「機関砲、射程圏内!」

()ェーッ!」

 

北陸自動車道上に展開した93式近距離地対空誘導弾、91式携帯地対空誘導弾、高射教導隊の87式自走高射機関砲も射撃開始。

各種の短射程ミサイルや、35mm機関砲弾が敵機に集中する。

また近傍の空自小松基地に所在する第6基地防空隊も20mm対空バルカン砲VADSや、基地防空用地対空誘導弾による射撃を始めた。

赤色の曳光弾とミサイルの噴煙、落下する敵機の黒煙等々で、芸術家を前にしたキャンバスのように空は瞬く間に汚されていく。

対空砲火が倍近い密度となり、より一層早い速度でグラ・バルカス軍機が墜とされていく。

 

「こんなッ、こんなバカな事がッ」

 

グラ・バルカス軍戦闘機隊、その最後の一機となった爆戦型<アンタレス>は、87式自走高射機関砲の35mm砲弾の直撃を受けて粉砕された。

ギリギリだった。

日本上空に侵入される一歩手前、日本国内に被害が出る直前だった。

日本本土防空戦の中盤戦はここに終了、続く最後の戦闘が転移前は日本海と呼ばれた海上にて広がろうとしていた。

 




 
普通に考えたらパトリオットと03式とイージス艦が射撃した時点でレシプロ機345機くらい殲滅できると思うんですよね。

けど召喚の世界では、レシプロ機よりかなり鈍足のワイバーンが250騎で突っ込んで来られたイージス艦がCIWSの射程圏内まで接近を許したので、それを勘定した結果ということで。

あとVADSと87式を出したかったっていう個人的な欲望です。
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