日本本土防空戦――日本国召喚・異譚   作:スカイキッド

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先日まさかの日刊ランキング入りしました。こんな拙い文章でもそこまで行けたことに驚きです。
 


第7話「第44任務部隊」

 

敵編隊は撃滅したが、いまだに日本へと迫る脅威が存在していた。リーム飛び地の港より出港した、グラ・バルカス海軍の戦闘艦52隻だ。

これと併せて出港した、リーム王国海軍のものとおぼしき戦列艦と竜母の艦隊82隻も北から日本列島に向けて接近しつつある。

リームは、日本に敵対する意思は無いと宣言していたが、それはどうやら嘘だったらしい(実際は嘘というと少し事情が異なる)。

 

「爆撃機と戦闘機の次は艦隊のお出ましだ。どう対処する?」

 

もちろん防衛省に詰め掛けた防衛関係者らにとっては今後の対応の方が余程重要であった。

日本列島に迫る艦隊をどう対処するかで持ちきりである。

 

「帝国艦隊52隻は空対艦ミサイルで撃退する予定です。が、F-2がほとんどありません」

「ナハナートとかに出張中だからな……ファントム(F-4EJ改)はどうなった?」

「全機、点検と整備終わりました。一部の機体は経年劣化のガタが来ましたが……それ以外の機は給油と弾薬補給を完了済みです」

「となると、ここはファントムに対艦任務をさせるべきか」

 

F-2戦闘機は、小さな機体に中サイズの対艦誘導弾を4発搭載しながら830kmの航続距離を誇る、充分優れた対艦攻撃機である。

が、ほとんどの機が海外出張中であり、国内にはごく少数しか残ってなかった。

F-2以外だと、使えるのは対艦誘導弾の搭載可能なF-4EJ改だけだ。もっとも、こちらは対艦誘導弾を2発しか搭載できないのだが。

 

「とりあえず、対艦攻撃に出せそうな機体は極力出そう。あとは護衛艦とミサイル艇で対処するべきだろな」

「対艦攻撃に出せそうな機体……いっそ飛行開発実験団の連中も出しますか?」

「飛行開発実験団か……悪くないな、一応出撃を打診しよう」

「リーム艦隊はどうしますか?」

「地方隊と海保の連中で充分だろう。竜母が厄介だが、アウトレンジで叩き潰せばいい」

 

防衛関係者らの話し合いは続き、しばらくしてグラ・バルカス海軍艦隊52隻とリーム艦隊82隻への対処方針が決まった。

すでに防衛省の外は日が傾き、この調子だと攻撃は夕暮れ時になりそうだった。

 

 

それから数十分後、6機のF-2戦闘機が日本海の上空を飛行していた。機体の翼下には各機2から4発の対艦誘導弾がぶら下がってる。

 

(上の連中、ついに頭がイカれたのか?)

 

パイロットは、機体を操縦する傍らでふとそう思った。彼らの乗るF-2を見れば、パイロットがそんなことを思い浮かべたのも無理もなかった。

彼らのF-2は、何機かが通常のF-2特有の青と紺色の洋上迷彩ではなく、白色の胴体に翼端をオレンジや赤色という派手な塗装をしているのだ。

 

(いくらなんでも飛行開発実験団(ADTW)が行く必要はないだろうに……)

 

つまり、彼らはADTW――飛行開発実験団に所属するF-2なのである。

飛行開発実験団とは、空自が導入した航空機やミサイル等の装備品の試験と評価を行う、岐阜県岐阜基地に所在する部隊だ。

この部隊はF-2の試作機の4機と量産型2機を配備しており、つまりテスト装備部隊なのである。当然実戦に参加すべき部隊ではない。

だが、国内にて唯一残っていたF-2を運用する部隊だったので、そのまま対艦攻撃任務に投入される運びとなってしまった。

 

(それに実戦でテスト兵装の試験まで行ってこいだなんて、どうかしてる)

 

しかも飛行開発実験団のF-2の何機かが吊り下げてる対艦ミサイルも、量産前生産された新型空対艦誘導弾のASM-3だ。

防衛省は、今回の戦闘で攻撃も兼ねて新型空対艦誘導弾であるASM-3の威力試射もやってしまおうというつもりである。

すでにASM-3は退役護衛艦を標的に実射試験はやってはいるが、その標的は現代戦を想定した――つまり被弾を想定してない非装甲艦だ。

しかし敵艦隊には戦艦らしき3万トン級の艦艇の姿も確認されており、超音速の対艦誘導弾がどれほど装甲艦に有効か図れる絶好のチャンスだった。

 

「間もなく攻撃開始。第一波攻撃隊はASM-3を使用せよ」

 

やがてASM-3の発射距離が近づき、後方の早期警戒機に乗る航空管制官の声がレシーバーを通してパイロットらの耳に入る。

対艦誘導弾の攻撃は二波に分けて行う。

第一波攻撃はF-2のASM-3、第二波攻撃は戦果確認後、F-4EJ改と残りのF-2からASM-1とASM-2の二種類の対艦誘導弾で飽和攻撃を仕掛ける。

 

「……攻撃開始地点に到達した。各機、攻撃を開始せよ!」

 

攻撃開始地点に到達した飛行開発実験団のF-2から、次々にASM-3が射出される。

僅か数発しかない対艦誘導弾は、その後海面スレスレの超低空をマッハ3にまで加速しながら敵艦目掛けて駆けて行った。

 

 

グラ・バルカス帝国海軍、第44任務部隊に所属する艦艇52隻は日の沈みかけた洋上を日本に向けて巡航速度で航行していた。

任務部隊旗艦の巡洋艦<ダスト・オーシャン>の艦橋に、艦隊司令官のゼムはいた。ゼムは傍らにいた艦隊参謀の将校に訪ねる。

 

「艦隊の行動に異常はないな?」

「はっ、各艦今のところ順調に海上を進んでおります。脱落艦等は当然なしです」

「ウム、それは何よりだ。駆逐艦ばかりの艦隊で不安だったが、この3万5千トンの大型艦と共に行動しても問題ないようだな」

 

ゼムの乗る巡洋艦<ダスト・オーシャン>は、艦種こそ巡洋艦――より正確に言うならば大型巡洋艦と分類されている。

だが実際は、排水量3万5千トンの船体に31cm三連装砲三基を載せた、旧日本軍のB65型超甲巡の計画値に相当する大型艦だ。

巡洋艦を騙る巡洋戦艦なのだ。

彼の艦隊は駆逐艦がほとんどを占めるが、<ダスト・オーシャン>相当の大型巡洋艦3隻に、航空巡洋艦も多数含まれる有力な艦隊だ。

 

「日本よ、カバル殿下をさらうという不敬な行為をした貴様らには、業火にのたうち回るという罰が相応しい」

 

熱心な皇族シンパのゼムは、自身の艦隊で日本を徹底的に叩く腹積もりだった。

仮に攻撃目標がムーのオタハイトあたりなら出来たかもしれない。

 

「日本、今に貴様らの国土をこの艦隊で地獄の業火に曝し――」

 

彼の言葉は続かなかった。

飛行開発実験団のF-2が放った超音速対艦誘導弾(ASM-3)が飛来、彼らの艦隊()地獄の業火に曝されることとなったからだ。

 




 
原作でダスト・オーシャンは「巡洋艦」だったのに本作では「大型巡洋艦=巡洋戦艦」へと勝手にでっち上げる

それと第44任務部隊が44隻なのか52隻なのかよく分からなかったので本作では52隻にしてます
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