鬼滅の刃 ~雨露霜雪~   作:口十

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 初めまして。口十という名で二次創作を作っております。あまり前書きは書かないので勝手が分からず。
 なので、ご注意を一つ。
 私は原作を全て読んでいるわけではありません。十巻までは手に入りましたが、その後の展開は仔細知りません。一応Wikipediaを参考にしているので、かぶりなどはないかと思いますが、何かありましたら、お気軽にご連絡ください。
 では、幕開けとなりますので、これからは主人公等にお譲りいたします。


彼女はいつも無茶を言う。

「ねぇ、少年」

 そう彼女に声をかけられたのは、齢十五の時だ。猛暑だったのを覚えている。

 私は手に持っている財布を懐に隠した。先程見知らぬ男から盗んだ財布だ。警邏隊か? と私は勘繰ったのだ。

 冷や汗は流れるし、どくどくと心臓も五月蠅い。

 彼女は洋装を纏っていて、綺麗ないで立ちをしていた。が、そこに生気は感じられなかった。笑顔であるものの、それは仮面のようでいて、白い肌と髪は幽霊のような、何か超常的な気配さえ感じさせる。何より、足音どころか、服の布が擦れる音さえもしなかった。

「そう睨まないでおくれよ。何も、私は君をしょっ引こうなどと考えてない。(いや)、それどころか、私は感心しているんだ。君の盗みには一切無駄がない」

「だ、だからなんだ」

 私は今すぐにでもその場から逃げ出したかった。けれど、それを彼女が許さなかった。足を少し下げると、彼女も一瞬の内にその分私に近づいてくる。情けない話だが、彼女に目を付けられた瞬間、逃げ切れないことを悟ってしまったのだ。

「簡単な話さ。うちに来てくれないかい?そろそろ跡継ぎを作れって周りが五月蠅くてね」

「な、何の話だ。俺は結婚しないぞ」

 言うと、女は腹を抱えて笑った。

「いやいや、そうじゃないさ。私の流派を継いでほしいんだ。君の気配の消し方は私でも感心してしまう程だからね。きっといい継子になるよ」

 彼女の言っていることが、当時は理解できなかった。流派と言うからには、武道に関することだろう。だが、私は一度も学んだことがない。それに学ぶつもりもなかった。

 けれど、当時の私には一つしか条件はなかった。

「金は、金は入るのか?」

 昔も今も、金がなければ何も出来ぬ。だから盗みもする。万引きだけでは怪しまれるから、何かを買って、何かを盗むのような思考を巡らせなければならなかった。

「うーん、やる気があれば高収入を得られると思うよ。私はあまり金に固執しないんだ。けれども、貰っている人もいるから・・・まぁ、実力次第かな」

 私は暫く考えた後、「継ぐ」とだけ言ってしまった。どうせきつければ逃げる。そんな程度の甘い考えだった。

「そうかそうか。いやぁ嬉しいなぁ。じゃぁ、まずは祝いということでみたらし団子でも食べよう」

 そう言って、彼女は私の横を通りすぎた。確かそっちの方に美味いと評判の団子屋がる。

 彼女の手には、先ほど私が知らぬ男から盗んだ財布が握られていた。

「いつ・・・盗ったんだ?」

 懐を確認してみたが、確かにあれは私が盗ったものだ。

 

 

 あれが、大体一年前だろうか。走馬灯のように鮮明に思い出せた。

 今はその女、名前を小鳥遊(たかなし)(すみれ)と言うのだが。その菫と共に夜間の中、雪の積もった山を散策しているところだ。相も変わらず、彼女からは不自然なほどに音がしない。瞬きした瞬間に幻のように消えてしまうのではあいか、と思う程に気配というものがないのだ。

「いいかい、少年。この山の中には鬼が二匹潜んでいる。一匹は弱い。もう片方は強い。それは少年が見極めるんだ。そして、私は両方にちょっかいをかけた後、その場を去る。少年はその二匹を朝日が昇るまでに仕留めるんだ。改めて言うよ。私は一切手助けをしない。少年の持っている、私の予備の日輪刀で首を掻っ切るんだ」

「無茶な・・・」

「無茶をしなければ、高収入は得られないよ。呼吸法だって教えたし、気配の消し方だって覚えているだろう?ならば問題はないよ。じゃぁ、ちょっとちょっかいをかけてくる」

 心底楽しそうに笑って菫は姿を消した。風に流される綿のように、何の音も立てず。

 私は一度深呼吸をし、吐いた後、ゆっくりと、静かに呼吸を薄くする。自分と外界がより鮮明に映し出される。木々の揺れる音は勿論、闇夜に光る雪の結晶さえ、一つ一つ明瞭に見えてくる。

 ”待春”と名付けられた呼吸法だ。自身の基礎代謝を下げ、冬眠する熊のように最低限の消費だけで最大限、空間把握能力と危機管理能力を向上されるものだ。どうやら菫が考案したらしい。

 

 

 鬼を殺すことを生業とする部隊。だから鬼殺隊。その中で彼女は柱という言わば幹部のような立ち位置にいるそうだ。”雪の呼吸”の創設者であり、雪柱でもある。

 雪の呼吸は菫が我流で生み出したものであり、気配を消すこと、奇襲に長けている流派だ。それでいて、シンプルなものでもある。それ故、難しいのだが。

「来た」

 二時の方向で鳴る足音を聞き逃さなかった。走らず、しかし素早く木の影に隠れる。

 闇から出てきたのは、中国神話に出てくる餓鬼のように手の長い、腹の出た鬼だった。恐らく、こちらが弱い方の鬼だろう。もう片方を知らないが。

「どこ行きやがったあの野郎!姿も見えなかったぞ!」

 鬼は喚きながらぎょろぎょろと見開いた眼で周囲を見渡す。

 私の羽織には、西洋の服に見られるフードが取り付けられてある。それを目深にかぶる。少し視界は制限されるが、それを支払ってもおつりが返ってくる程度には姿を消すのに一役買ってくれる。

「あと少しだ、あと少しで間合いに入る」

 柄にてあを当て、ゆっくりと居合の体制を取る。

 あと五歩、四歩、三歩・・・

 待春を解除し、大きく息を吸い込む。

 雪の呼吸、一の方。六花(むつはな)斬り。

 鬼の視界にギリギリ入らないところでゆっくりと刀を抜き、すぅっと腰を落とす。

 六花斬りは雪の呼吸の基本の型だ。最初に菫に覚えさせられたのもこれだ。敵に見つかることなく、着実に近づき気付かれない内に首を落とす。

 極端に簡略化され、隠密に長けた水面切りのようなものだ、と菫は言っていた。

 鬼のすぐ後ろまで近づき横に薙ぐ。刃に触れた雪が二つに切れるのを、何故か分かった。




 ここまで閲覧いただき、誠にありがとうございます。久方ぶりにハーメルンに投稿したもので、あまり勝手が掴めずいます。やはり、継続は力なり、ですね。
 鬼滅の刃は、去年人気になった辺りから気になってはいたのですが、中々見る機会がなく、先日テレビで放送されていたのを見て、家族全員がはまってしまい、今では鬼滅ブームに遅れながら乗車しております。

 いやぁ、しかし、昨今鬼滅の刃は何処へ行っても売り切れですね。ハマったのが遅いせいか、未だ十巻しか集められておりません。冷めるだろう、冷めるだろうと機を伺ってはいたのですが、まさか映画化されるとは。私も二度行って二度泣きました。

 さて、今回はいかがだったでしょうか? 投稿していない間もオリジナルだったり二次創作だったりをワードの方で書き続けていたので、腕は落ちていないと信じたいのですが、矢張り初めて手を付ける作品は少々怖いですね。
 文字数が多い、原作と矛盾がある、などありましたらご連絡ください。

 次回までならストックがありますので、近くに投稿できるように精進いたします。
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