俺ガ・アート・トリガー(新番)   作:小説大工の源三

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プロローグ

第一次大規模侵攻二週間前

 

あるゲートから数人の人が現れた。一人は大人、他は少年が三人、少女が一人だ。

 

「到着したようだな」

 

最初に声を出したのは茶色のサングラスをかけた極道のような男だった。その顔には荒々しい傷痕もあり、多数の修羅場を潜り抜けてきたということがわかる。彼の名前は柊蓮(ひいらぎれん)、この一団のリーダーである。

 

「俺はこの後知り合いの《こっち側》で俺達の同志──忍田さんや城戸さんがいるようだから、そいつらと協力を要請してくる。お前らは自由行動だ」

 

「分かりました師匠」

 

「ならアタシもレンの手伝いするね」

 

彼のことを師匠と呼んだくせっ毛の少年の名前は殊原竜翔(しゅばらりゅうと)、少しフワッとした印象を受ける人物で、《あちら側》にいた時多数の人が癒し枠だと口を揃えて言ったそうな。

次に手伝いに行くと言った肩までかかるセミロングでアホ毛の少女の名前はストレア。《あちら側》の人間で孤児だったところを蓮が買い取り、助けられた。それからは蓮にベッタリである。

彼の左にいる銀髪の少年が口を開いた。

彼の名前は寺井蒼魔(てらいそうま)、少し目付きが鋭く初対面だとびっくりする印象だ。

 

「自由行動と言われたがどうするんだ?生憎オレと竜翔は拐われた時に家族が殺されて住む場所もないぞ」

 

その問いに答えたのはアホ毛のある少年だった。

彼の名前は比企谷八幡(ひきがやはちまん)、彼の目付きは蒼魔と違い黒く若干濁った目をしておりパッと見ると怖い。しかしよく見ると目の奥には熱い光が灯っている。

 

「とりあえず俺の家来るか?……でも住所変わっているかもしれないな……」

 

「ハチ、それなら師匠から住所が書いてある紙もらったけど」

 

「何であの人そんなの書いてるんだよ……相変わらずの規格外の謎だ……」

 

蒼魔は頭を抱えた。

彼等が《あちら側》にいたときも蓮のスペックを測りかねていた。蓮に三人で束にかかっても勝てないほど強く、そればかりか遊ばれていた。

 

「ひとまず竜翔がもらった紙に書いてある住所に行くか」

 

─────────────────────────

 

竜翔達は紙に書いてある住所の前に着いた。

 

「ここか……」

 

「とりあえずオレと竜翔は離れてるさ。家族水入らずゆっくりしとけ」

 

「わかった」

 

一軒家の表札には『比企谷』と書いてあることから八幡の家族が住んでいるのだろう。

八幡は恐る恐るチャイムを鳴らす。

 

『はーい』

 

聞こえたのは少女の声だった。

扉が開くとそこには小学生位の少女が現れる。その少女はこちらを──八幡を見るとくりっとした両目から大粒の涙を流すと同時に八幡に飛びかかった。

 

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」

 

「ただいま小町」

 

八幡は少女──小町のことを抱きしめながら頭を撫でる。

小町の泣き声を聞いたのか扉の奥から二人の大人が出てくる。おそらく八幡の両親だろう。

 

「「どうした(の)小町!」」

 

「お兄ちゃんが!お兄ちゃんが!帰って来たの!」

 

「ほ、本当か!小町!」

 

「うん!」

 

先に小町のところへ来たのは父親だった。八幡の顔を見た途端小町ごと八幡を泣きながら抱きしめる。

 

「よく……よく帰って来てくれたな……!」

 

「ああ、ただいま親父、それと少し苦しい……」

 

「すまん、お前が帰って来てくれたと思うと抑えられなくてな……」

 

八幡の父親が離れると入れ替わるように母親が抱きしめる。彼女も涙をぼろぼろこぼしていた。

 

「お帰り……お帰り八幡」

 

「おう……ただいまお袋」

 

こんどは優しく抱きしめられる。八幡はそれを心地よく受け止める。数年ぶりの家族の温かさにふれた彼の目からは涙がこぼれ落ちる。

 

「話すことがあるから一旦離れてくれ」

 

「わかったわ……」

 

母親が離れると八幡は竜翔と蒼魔がいる場所に歩きこちらへ来るように話した。

 

「紹介する、向こうで共に生き抜いた親友の二人だ」

 

「殊原竜翔です。八幡には色々助けてもらいました」

 

「寺井蒼魔です。オレも色々助けてもらいました」

 

二人は彼の家族にお辞儀をする。

 

「こちらこそ八幡を助けていただき本っっっっっ当にありがとうございます!」

 

 

 

八幡の父親は二人よりも深く頭を下げる。

そして八幡が話を切り替える。

 

「親父にお袋、1つ大事な話がある」

 

「なんだそれは……?」

 

「……二週間後に大規模侵攻が起きる。俺達はそれに立ち向かわなくちゃいけない。だから親父達はここから遠く離れた避難予定地に避難してくれ」

 

八幡は地図を出そうとすると、小町が八幡の腕に抱きついた。

 

「小町?」

 

「いや!行かないでお兄ちゃん!小町またお兄ちゃんと離ればなれになるのやだ!」

 

小町は再び泣き出す。八幡はどうしたものかと竜翔に視線を送る。しかし竜翔は手で✕印を出す。

八幡は小町の肩を掴み、彼女の目をしっかり見ながら説得を試みた。

 

「小町、お兄ちゃんは強いから大丈夫だ。今ここに俺がいる、だから負けないからな」

 

小町の頭を撫でながら話す。小町は落ち着いて八幡の話を聞き、渋々納得する。

 

「お兄ちゃん……約束して、ちゃんと小町の所に帰って来るって」

 

「ああ約束するさ、お兄ちゃんだからな。それにあの時も言っただろ?絶対帰って来るって」

 

最後に八幡は強く小町を抱きしめる。

 

「親父、お袋……行ってきます」

 

「本当は行かせない方がいいんだろうけど……必ず帰ってこいよ八幡……!」

 

「ええ……元気な姿で帰ってきてちょうだい……!」

 

八幡の両親は嗚咽混じりの声で送り出す。

八幡達は隊長の元へと歩き出した。

 

─────────────────────────

三人称side

 

あれから二週間が経過し、第一次大規模侵攻が始まった。

 

蓮達はトリオン兵の討伐、及び無力化をしている。二週間前にはボーダーという組織と協定を結び互いに助け合うことと技術提供をすることを約束した。

現れたトリオン兵はすぐさまボーダーによって討伐された。

その間にも八幡達は手分けしてトリオン兵を破壊していく。すると逃げ遅れたのか息を切らして物陰に隠れている少女を目にした。

 

「おいあんた逃げ遅れたのか」

 

「……ええ……私、体力が……ないから……」

 

「そうか、なら少し失礼するぞ」

 

八幡は一言謝り、少女を抱き抱える。突然のことに驚き少女はアワアワする。 

 

「安全な場所に連れてく。しっかり掴まっていてくれ」

 

そのまま高く飛び上がる……と言ってもビルなどの壁をつたいながらだが。

 

「キャアァァァァァァ!」

 

当然少女は叫ぶ。そのままトリオン兵がいない避難場所へ到着し少女を下ろす。

 

「怖かったろ、すまんな」

 

「いえ、助けてくれたのだから……大丈夫よ」

 

「そう言ってくれると助かる。んでお前さんの家族は……」

 

「えっと……あそこね」

 

するとボブカットの少女がこちらに向かってくる。そしてそのまま少女に抱き着く。

 

「雪乃ちゃん!」

 

「姉さん!」

 

「よかった……無事で!」

 

「私もダメかと思ったのだけれど、そこの彼が」

 

そう言って八幡の方を見る。

少女は八幡の手を取り目をうるうるさせながら感謝の言葉を話す。

 

「ありがとう!本当にありがとう!雪乃ちゃんはわたしにとって大事な妹だから!助けてくれてありがとう!」

 

八幡は照れくさそうに笑う。

 

「そうか……大事にしろよな」

 

「──ッ!」

 

そのまま八幡が立ち去ろうとすると、少女の姉が彼の手を掴む。

 

「待って!名前教えて!」

 

「比企谷八幡だ」

 

「わたし陽乃、雪ノ下陽乃。こっちが雪乃ちゃん」

 

「比企谷くん助けてくれてありがとう」

 

八幡は「おう」と一言告げてそのまま戦場に向かった。

二人の少女は彼が跳び去った後を見つめていた。

 

「ねぇ雪乃ちゃん」

 

「何かしら姉さん」

 

「また会えるかな」

 

「そうね」

 

─────────────────────────

 

竜翔side

 

「こっちは強いのはいないけど……物量が多いな……」

 

僕はトリオン兵の残骸の上で周囲の様子を伺う。師匠達に連絡を取ろうと通信機能を起動しようとすると一人の少女が新たに出現したトリオン兵に襲われているのを予知した。

僕は彼女が通る道を建物の屋根を跳び移りながら探す。

すると予知で見た少女と瓜二つの少女を発見した。

そして何も無い場所に射撃トリガーを放つ。するとそれに吸い込まれるように、自ら当たりに行くようにトリオン兵が現れ破壊される。

少女は爆発音に驚いたのか、後ろを振り向く。

 

「何が起きたの……?」

 

「おーいそこの君!」

 

「ふぇ?ボク?」

 

「そう君、ケガとかしてない?」

 

「うん……大丈夫です……」

 

「よかった……」

 

僕が安堵するとまた予知が僕の頭に流れ込む。少女を中心にトリオン兵が現れるのだ。おそらく彼女はトリオンが多いのだろう、トリオン兵が集まって来てしまう。

 

「えっと……これから避難所に案内するよ、確実に君の周りに奴らが現れるから」

 

「う、うん……ありがとう」

 

僕はそのまま少女を護衛しながら避難場所に着く。そこは人がたくさん集まっていて、とても彼女の家族が簡単には見つかりそうにない。

 

「もう、大丈夫だから。君は他の人を助けに行って」

 

「わかった、それじゃあ」

 

 

─────────────────────────

 

それから数時間に及ぶ戦闘が続き、終わる頃には既に日も暮れ、空はもうすでに真っ赤に染まっていた。

撃退は果たしたがボーダーも少なくない犠牲を出した。さらには同盟国が襲撃されることもあったりなどもした。

それからは忙しくなった。国との交渉や本拠地の移設&建設。隊員の募集やトリガーの開発なとが行われていった。

その募集隊員の中には僕らが助けた人も居た。

そしてあれからおよそ五年が経過したのだった。

僕が助けた少女の名前は紺野木綿季(こんのゆうき)といい、彼女は入隊すると僕に弟子入りをお願いしてきたのだ。僕は少し考えたのち、弟子に取った。因みには双子の姉がおりその姉も同時に入隊した。

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