今日も何事もなく、俺は奉仕部へと足を進める。雪乃はもう着いているだろうし。
ガラガラと引き戸を開ける。やはりすでに彼女は椅子に座っていた。
「よう」
「こんにちは八幡」
「今日はまだ依頼はないのか?」
そう言いながら隣に座る
「いえ、今日はボーダー関連の依頼があるわ。そろそろくるはずなのだけれど」
それから数分後扉が開き数人──葉山隊の面々が入って来た。彼らのランク戦の解説もしたばかりだ。
「どうしたお前ら?」
「比企谷くんに依頼があるんだ」
「俺に?」
一息置き全員同時に頭を下げ声を揃えて口を開いた。
「「俺(私)達に戦い方を教えて下さい!!」」
ちらりと雪乃を見ると、すごい驚いてた。信じられない物を見るような目だ。そのまま硬直している。
「うーむ、教えるのはいいけど、正直もう少し実力が欲しいな」
あのランク戦のあとポイントを調べたのだが、全員B級に上がりたてだったのだ。
「とりあえず全員6000前後目指してからだな。それと三浦に由比ヶ浜、この前の解説で言ったんだがトリガーはどうしたんだ?」
一応そこら辺も聞いておかないとな。それで変わっているなら変わっているで考えておかないとな。
「えっと……とりあえず弧月を……」
「私も……」
「わかった、ちょっと待ってろ……」
俺はボーダー支給のスマホで蒼魔に連絡を入れる。
「蒼魔、今本部か?」
『オレらの隊室だが、どうした?』
「実は見て欲しい隊があるんだが」
『葉山隊か?』
「おう」
『今、双葉いるが大丈夫か?』
「問題ない、少しだけ教えてやってくれ。んで6000超えたら本格的に教えてやってくれ」
『わかった』
電話を切る。
「よし……本部行くぞ」
「えっとそれってつまり」
「とりあえず基礎を叩き込む、それからランク戦を頑張れ」
「わかった!みんな頑張ろう!」
「「「おー!」」」
気合いは充分だな。これからの頑張りに期待しますかね。
「そういえばオペレーターは?」
「姫菜なら今日は用事あるって言ってた」
「そうか」
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本部、殊原隊隊室にて
「蒼魔、入るぞ」
「おう」
俺が扉を開けると、エプロンを着けてホットケーキを作る竜翔と黒江と勉強している蒼魔がいた。
「あ、いらっしゃ~い葉山隊の皆」
「ん?おお来たか」
「?」
「蒼魔、弧月の基礎教えてやってくれ」
「ああ、それじゃ八幡フィールドに的とかセットしてくれ」
葉山隊を連れて蒼魔はトレーニングルームに入る。俺はトレーニングルームのフィールドに仮想の的を表示する。
『よし、始めるぞ。まず切り方なんだが、普段お前らどんな風に切ってるかあれを切って見せてくれ』
蒼魔は的を指さし、葉山隊に切らせる。全員無事に両断するがやはり少し力任せに切っている。
『やっぱりそう切るよな……八幡、硬い的を出してくれ』
別の的を出してそれをまた切らせるが今度は切れずに弾かれる。力任せに切ると切れない、弧月は日本刀と同じように滑らすように引いて切ると綺麗に行く。尤もトリオン兵に使用する技術だが。
『とりあえずこれを一人そうだな……今日は20個切ってくれ。オレも蓮さんほど鬼じゃないからな連続じゃなくていいから。後は、チームメンバー同士でやって何かあればアドバイスする。オレは双葉の勉強を見るから全員終わったら言ってくれ』
それから葉山隊はしばらく弧月を振り続けた。
二時間ほど経ち彼らがトレーニングルームから出てくる頃にはかなり疲労していた。
「お疲れ、明日からはランク戦をやって6000ポイント前後まで上げてこい。三浦と由比ヶ浜は弧月のポイントが葉山にと戸部より少ないから5000ポイント前後だ」
「「は、は~い……」」
フラフラの彼らに、キッチンから出てきた竜翔がホットケーキ(4枚重ね)を4皿並べ更に耐熱ボウルには大量の生クリームが入っており使い放題だ。
「お疲れ様。これは僕からのご褒美とこれからも頑張れの意を込めて作ったから」
「「いただきます!」」
由比ヶ浜と戸部は生クリームをドンと乗せ、葉山と三浦は一度切り分けた後にドンと生クリームを乗せる。
そして一口食べ、全員の顔が驚愕に染まる。
まぁ竜翔の卵を使う料理を初めて食べたらそういう反応をするよな、あの二宮さんや風間さんも驚いたし。いままで真顔でいられた人なんて蓮さんくらいだろう。
「べー……正直男の料理だからなめてたっしょ……旨すぎる」
「どこのプロが作ったんだって思うよ……」
「この生クリーム、甘過ぎなくて丁度いいし」
「ホント、あたしこれ作ってみたい」
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「「ご馳走さまでした」」
「うん、喜んでもらえて良かったよ」
「いやーこれからも頑張ったら作って欲しいっしょ」
「あーしもお願いします……」
「あたしも……」
「俺もお願いしていいいかな?」
「勿論!その代わり頑張ってね?」