ろどすおぺれーたー どくたー10さい!!   作:奈音

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※いっぱつねただよ!!


第1話 10さいのたんじょうび

「…それを舐めるのをやめなさい」

 

「なぜ?」

 

「あなたのやってることは間違いなく自殺行為よ。

 人間でなくとも睡眠も休憩もせずに生きていけるはずがないわ」

 

「しかし、ケルシー。

 結果は見ての通り、私は生きている。あなたという後ろ盾を得てね」

 

「そうせざるを得なくした悪党が何を言ってるの。

 あなたの舐めているそれは、いつから行っていることなのか聞いても?」

 

「勿論、物心がついた時からさ。それ以来寝てない。」

 

「……。

 睡眠が身体にもたらす効果はあなたに講義せずとも分かっていると思うけれども、

 何をそんなに急いでいるの?

 もうあなたを脅かす物はなくなったわ。文字通り。

 このロドスから出なければ、という条件が付くけれども」

 

「…ケルシーは甘いものは好きかな?」

 

「人並みには」

 

「そう、人には好き嫌いがある。そして人気があるものから品薄になっていく。

 やがて品切れになる。品切れになる前に準備を終わらせておくのが、今の私の研究内容さ」

 

「あなたの舐めているそれがそうだとでも?」

 

「これ? これは違う、おそらく私以外は無理だろうね、死んでしまうよ」

 

「その話をしているのよ、とても正気だとは思えないわ」

 

「両親の狂気から生まれた私にとって、正気という言葉はとても恵まれた言葉に聞こえるな…

 専属医師様のお言葉に従おう、私の寝床はどこかな?」

 

「こっちよ、付いてきなさい…。

 ……契約通り、最高の研究環境を用意したわ。貴方は試作品だけでも恐ろしい結果を出した。

 そしてそこにはあなた自身の健康状態も含まれていることを忘れないで。

 毎日8時間の睡眠をすること。いいわね?」

 

「うれしくて涙が出るね、いや本当に。くれぐれも後ろを振り向かないでくれケルシー。

 私は人生で初めて死を恐れずに眠れることに感動しているんだ。

 ――涙の止め方を教えてもらっても?」

 

「……機械のようだ、と聞いていたけれど」

 

「誤解だよ誤解。なんなら今まさに顔をぐしゃぐしゃにして感動している私を見てくれ。

 ……どうかな?」

 

「凄い顔ね……。それはわざとやってるのかしら?」

 

「表情筋のことを言ってるなら正解だ。様々な文献を参考にしてみたから、

 合っているといいんだが……。

 しかし涙だけが本当に止まらないんだ、歩く気も失せてきた。手を引いてもらっても?」

 

「……意外とかわいいところもあるのね。ほら、手を出しなさい」

 

「あぁそれなんだが、全身が震えて動かなくなってきてね。どうにかして欲しい」

 

「ぇえ? …え? やめ、止めなさい。自律神経を制御なさい!!」

 

「【――補助脳を起動します】」

 

「…なんてこと」

 

 若くして医者としての資格と、研究者としての権威を手にいれた子供が、常に手放さなかったものがある。黒い光沢を放つ、直方体のバックパック。それを説明するときに言われた言葉「培養した己の脳髄を持ち歩いている」

 

「本体は意識的に落ちてしまったようだ。おや。止めて欲しいな。

 ――化物をみるような目で見るのは。

 出来れば貴女がまだ見たことも想像したこともないような別種族のたまたま言葉が通じる……

 化物として接してほしい」

 

「貴方は化物なの?」

 

「そうだ。そしてこれからこの私を基にした素体を造る。私と同じような者を幾数も幾数も」

 

「契約の内容がそんなことだとは――待ちなさい、組織を円滑に動かす…生産に協力…量産品に関して口外してはならない…」

 

 両親は高名な学者であった。

多分に漏れずその叡智と英知の結晶として生まれた私は、同年代の子供たちよりも多少、そう多少学習への意欲が高く、物心ついた時には両親と同じ学問への門戸を叩き、そして当然のように親子としての関係は崩壊した。

 

 そうせざるを得なかった。

私が今、平気な顔をして嘗め回している飴は、咀嚼することは危険だ。触れることさえ危うい。 

両親は聖餐と呼んでいた。私の短い両親との生はすべて聖餐と共にあった。彼ら――両親を叩きのめすことは生きていくうえで仕方のないこと。その狂気に満ちた実験の成果が、気が付かないはずがないのに。

 

 研究者としては限りなく正しいが、人間として、一人の子供の親として。

この学術の世界から消したほうがいいだろうと冷酷に判断した私は、両親を監獄に追い立てた。

そうなるだろうと予測して取れる手段を全て取り、私は今ロドスアイランドという私が思いつく限りでの研究する環境としての最高権威の後ろ盾を得て、マスメディアと怒りの民衆様から逃げることにも成功した。

 

 そんな私を見て、世話をして。

私の専属医師となったまだやさぐれてないケルシーとという医者が頭を抱えて唸っていた。

 

「その悪魔のような顔をやめなさい」

 

「ケルシー、貴女はもう少し冷酷になれるタイプかな?」

 

「場合によっては」

 

「なら言葉遣いから改めることだ。そして気にしないことだ」

 

 ケルシーに先導されて入った、私専用の研究施設は不自然なほどに培養槽ばかりが並んでいた。

私は、そのうちの一つに私をセットし、そのまま本体をベッドに安置する。

出力先を機械音声に変更。

同一周波数検索...照合完了。空き培養槽全機起動、複製作業完了まで13日。

併せて本体の肉体的衰弱完治のため、寝台型培養槽起動...完治まで10日。

 

「残念だが本体の私は10日ほど眠り姫だ」

 

「そう。それで素敵な貴方はいつ眠るのかしら?」

 

「なぜ?」

 

「契約通り、8時間寝るのよ。新種族でもね」

 

「私をそういう風に扱ってくれてとても感動したよ。

 ありがたい専属医師のお言葉の通り、私も休眠状態に入るとしよう」

 

「えぇ、おやすみなさい。そして誕生日おめでとう」

 

「ありがとう、おやすみなさい」

 

 ロドス医療オペレーター:ドクター。

その名前以外失った10歳の少年は、生まれて初めて安息の眠りを得た。

それは今まで生きてきた中で、とてもとても恵まれていて、とてもとても素晴らしい

誕生日プレゼントであった。

 

 

 

 




二話目以降を書く気が起きない。続きがあれば…。
機械の躰を得て機械化歩兵化した脳髄ちゃんが、
本体と記憶を同期しながら各地に散らばりまくって同時並行的に人材を集める話になる(救済しろ救済)

機械の躰だから壊れることに頓着せず、
量産品だから己の犠牲を厭わない狂った行動が出来まくる(予定)
エイヤフィトラの火山に行かなきゃ…
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