身長120と、バスト120 作:肉裂秘剣
……風石って貨物船のおっさんとか平民はどうやって使ってたんだろう?
スクウェアというランクを強みにワルドが交渉できたことと、エネルギーが有限的な火石の特徴を考えると、船にメイジはおらず、砕いたりして使うのかなと思っています
あれから夕食は熊鍋となり、食卓は全員が笑顔で迎えられたものの、次の日の朝に行われた熊とワイバーンの解体は困難を極めた。
まず熊、既にこちらでも大きすぎた。ユーミルが仕方なく輪切りにするも、腐らないよう干し肉にするには、まだそれでも太い。これでは森で人目にばれないようにしつつ、干したり燻しきれなかった。仕方がないので、それを更にティファニアと子供たちが削いでいく。
革を剥いだりといった処理は、マチルダの捕まえてきた獲物の肉でこなしていたらしい。子供たちは固い毛のある熊相手でも、なんとか処理出来た。だがその一人辺りの負担は、精肉店の息子どころか、成人間近の見習いがこなす作業量になった。遊ぶ元気も残せず、子供たちとティファニアは昼寝を強いられる。
次いでワイバーン。こちらは革の剥ぎ方から解らなかった。似ているとすれば蛇だが、全員で分けあえるほどの肉の量はないために、マチルダは捕まえてきたことはない。蛇の剥ぎかたなんて解らないと言ったときに、ユーミルの肩が跳ねたがそれを見たものは居なかった。
ではどうしたのかというと、内蔵を抜いた後にやはり、ユーミルに真っ二つにしてもらった。そこから適当、かつ大雑把に肉を皮から切り離し、塩やらで保存処理をしつつ、早めに使いきろうという事になる。例えるのならば、贅沢な食べ方をしたスイカといったところだろうか。まだ皮近くに肉が余っているが、それは放置された。野菜ざんまいの生活の次には、ワイバーンの肉ざんまいの生活が待っていた。味こそ悪くなかったものの、空の上に浮かぶ大陸故の寒い気候であっても、肉が数日で痛み始めて棄てることになった。しかし、それを惜しむ者は居なかった。ユーミルを除いた全員が、そろそろ完成する干し熊肉も食べる気が失せていた。
「何だい、こりゃ」
そんなこんなで、街の通りにある精肉店のような状態と化した我が家を見て、ティファニアの保護者と言われた緑髪の女性……マチルダは目を瞬かせていた。
「あ、マチルダ姉さん! お帰りなさい!!」
「あ、あぁ……ただいま、テファ」
「遅かったから、心配したわ」
満面の笑みを浮かべて抱きついてから、安堵の声をあげるティファニアの頭をマチルダは撫でつつ、もう一度我が家を見た。
「すまないね。仕事先でちょっと、ゴタゴタがあってさ……ところでさ、何なんだいこの肉は?」
「えっと、熊の肉」
「熊ぁ? まさか、あんたが狩ったのかい!?」
量もそうだが、あまりに危険な相手の肉だと聞いて、マチルダは驚かされた。
「ううん、わたしじゃないわ。ユーミルが捕ってきてくれたの。」
「ユーミル?」
そんな名前の孤児はいなかったはずだ。ティファニアが新しく拾ってきたのだろうかと首を傾げていると、家の中から少女が出て来た。その少女はあまりにも幼く、孤児と言うには綺麗すぎるドレスを纏っていた。
「え、エルフ!?」
危険な存在を突然目にして、マチルダは咄嗟に杖を抜こうとしたもの、その手をティファニアが止めた。
「待ってん姉さん! 彼女は違うの!!」
「何言ってるんだいテファ、あんた……いくら小さい子だからってエルフを家になんか――」
「だからユーミルはエルフじゃないの! 彼女はドワーフなのよ」
「ドワーフって……なんだい?」
聞き慣れない単語に、マチルダがユーミルをより訝しげに見つめる。その視線を受けたユーミルは、やれやれといった感じに肩を竦めてため息を吐くと、子供たちやティファニアの時のように、また語り始めた。
「わしはエルフでも、ガキでもないわ……」
ユーミルが一通りの説明を終えても、それを聞いたマチルダは、ティファニアや他の子供達やと違って、その話をを信じることはなかった。
「ガイノス? 聞いたことがないねそんなところ。」
「なんじゃ、疑るのか?」
「そういうわけではないんだけどね……」
正確には、信じきれないといった感じである。エルフが力強いなどという話は聞いたことがなく、ユーミルがドワーフという種族であることは納得できた。しかしマチルダとしては、何処にあるのかも分からない場所へ行く為の金や、情報を集める時間を割くことが出来ないのだ。
「そうは言ってものぉ、調べねば何も出てこんわ。」
動けないユーミルやティファニアに変わって、マチルダがガイノスへの道を探してくれなければ、情報は何も得ることができない。 困ってしまったユーミルを見て、ティファニアは何かを思い出したのか、ぽんと手を叩いた。
「ねぇ、それならユーミルの言ってた話を、マチルダ姉さんにしてみたらどうかしら?」
「ぬ?」
「ほら、何かを作るって言ってたじゃない。」
「おお、そうじゃ、そうじゃった! のうマチルダよ、わしも金儲けを手伝うから……それならなんとかならんか?」
今度はユーミルが大きく手を叩く。
「あん? 何をする気なんだい」
「わしはドワーフじゃからな、武器を作るのが得意なんじゃ。だから、わしの作った武器をお主が外へ行く時は、ついでに売ってきてくれんか?」
「武器って……金属のかい? そりゃ平民の武器じゃないか。大した金になんざなりゃしないよ。」
「なんと!? わしが打ってもダメなのか!?」
「そりゃあそうさ。どんなに出来が良くても、固定化のかかってない武器は、錬金一発でダメになっちまうからね」
「そ、そんなぁ~」
珍しくユーミルが思いっきり落胆した声をあげながら、膝をついた。自分の作るものには相当の自信があったものの、そういう話ですらないと言われたショックは大きかった。何を考えていたんだかと思いつつも、マチルダは財布を預かる身故か、がっくりとしているユーミルの手にあるバトルアックスを、つい品定めするような目で見てしまった。
白金よりも白く、しかし陶器ではない体に、金色の刃と宝石の装飾を持つ不思議なそれ。あまりの美しさに、何かのマジックアイテムではないかと思わず彼女は、探知の魔法であるディテクト・マジックをその戦斧へかけようとしてみた。
ぱちんと不思議な音と共に、ディテクトマジック自体が打ち消された。あまりの不思議な現象に、マチルダの動きが止まる。
「ん……? こりゃ! わしのバトルアックスに何すんじゃーっ!」
「あ、ああ……悪いね。あまりに綺麗だったんで、ちょっと魔法で調べようとしただけだから、そう気を悪くしないでおくれよ。」
「ぬう……まあ魔法でどうにかなるとは思わんが、これはわしが作った大切なものなんじゃ。あまり変なことはするでない。」
「そう言えば、そんなことを言ってたね……」
マチルダは所詮平民の近接武器ということで、ユーミルが自慢を交えて話していた内容をまともに聞いていなかったが、少し考えを改めることにした。とある疑問がひとつ、湧き出ててきたからだ。
「……ねえあんた、やっぱりそれを作るときは大変だったのかい?」
「うむ、ミソチル鉱は加工が大変でな……鉄や銀、金を打つのとは訳が違う。だからまず、石炭でな――」
また熱く語り始めたユーミルの話は他にも飛び火して長くなったものの、マチルダは今度は真剣だった。特に、先祖が作った魔法の込められたマジックアイテムというのは興味深く、そして疑問も確信に変わる。
「ふうん……ってことは、だ。アンタはもしかして"金の加工"も、できちまうのかい?」
「当然じゃ! あ……だがのう、いくらわしでも炉と鎚に、炭やら作業する環境がなくてはさすがに無理じゃ。なんじゃ? まさか金で武器を作らせるつもりか? あんな柔いもので作ろうものなら、いくらわしが作ったとしても、簡単に曲がってしまうぞ」
「いや、別に武器にしたい訳じゃないよ。むしろ逆さ」
「逆?」
「アタシの仕事の報酬は、現物支給が多くてね……宝石やらの部分だけでそのままマジックアイテムとして使えるし、売ることもできるのに、金属の部分が飾りについててね……正直、分けて売った方が金になるのさ」
そう、金属の加工が出来るのであれば、溶かしたり打ち直してインゴットや別の何かにすることも出来るのではないか。それがマチルダの狙いだった。
メイジは金を錬金しようとすると大変な労力がかかる。また、加工でも銅や鉄やと比べて非常に面倒だ。価値が劣化した物質にして良いのならどうにでもなるが、それでは加工する意味がない。
もしも手持ちの品々を、より効率良く売りさばけるようになれれば、その分からいくつかを、ティファニアがより幸せに過ごすための世界を探すことに割いてもいいだろう。そうマチルダは考えていた。
「ふむ……金でよいのならば、そこまで大変なことでもない。鉄よりも溶けやすいからの」
「そういうものなのかい? それじゃあ頼むよ」
「うむ。代わりと言ってはなんだが、道具と小屋を作ってくれんか。お主は土を操る魔法を得意とすると、ティファニアより聞いておる。何をするにも、まずは準備がいるのじゃ。」
「あぁ、良いよ。それくらいなら……ね」
マチルダは己のこの発言を後悔する事になる。製鉄技術の進んでいるドワーフの精錬場は、単に炉があれば良いというわけではなかった。力量に自信があったからこそ、ムキになってそのお願いを聞いた彼女は、あれやこれやの注文を受けこなしつつ、最後に固定化をまでもしっかりやり遂げた。これならば、熱い鉄を打っても変に砕けたり、ハンマーや金床が溶解したりはしないだろう。しかし結果として、限界を意識することも忘れて使い続けたせいで、精神力は尽き果ててマチルダは倒れた。本人もまさか、自分の全力が必要になるのは予想外だった。
「なんと、自動で動くものまであるのか、便利なものじゃのー!」
ついでに、商品だったガーゴイルをひとつユーミルにとられた。何でも今の環境で熱を保つには、空気を送る者が必要になるらしい。空気自体は、この地域で掘れば風の力を持つ魔法の石……風石が低品質な物なら多少掘っただけでも多く出るものの、それだけで済ませるようにユーミルを説得できなかった。仕事中は、風を常時発動させる為の人間が必要だと、ユーミルは言うのだ。ティファニアは仕事や孤児の面倒があるために、ユーミルの製鉄の手伝いをする余裕はなく、子供たちにもまだ厳しい。
マチルダは初期投資だと己に言い聞かせつつ、より高度なマジックアイテムである、スキルニルというものを取られなかっただけで良しとするしかなかった。
何はともあれ、小さな小屋だがユーミルの環境は整い、孤児達の住む家と小屋の更に隣を、マチルダが休んでいる間に堀り始めていた。
目を覚ましてもしばらく精神力か回復せず、ベッドで寝ていたマチルダは歯噛みこそしたものの、同時に笑みをこらえられなかった。
分けた方が売れるというのは、半分は本当だが半分は嘘である。正確には、足がつかないように仲介を頼んだり、火のメイジに金の妖怪を頼む必要がなくなるから、余計な金がかからなくなるのだ。その結果的に、マチルダは得られる金が増えるというものだった。特に、もとのままでは足がつきやすく、裏にそのまま流す場合は中継を何度もするせいもあって、特に買い叩かれる。面倒な交渉や紹介、待つ時間がなくなるだけでも大きかった。インゴットの金なら直ぐに換金も、買い物もできる。魔宝石の回りをユーミルに再度作らせて、同じ効果のある別の品をもとの持ち主に売り付けるのもありだろう。
マチルダの仕事は、盗賊。現物支給か多いどころか、現物支給しかない。ここ数年に突如現れ、まだ誰も捕まえることの出来ていない盗賊、土くれのフーケこそ、彼女の正体だった。
「はっはっは!! 鋼鉄山でもない! 何があるかもわからぬ! 未知の大地を掘るというのは……何とも心が踊るのう!!」
そんな彼女の正体など知らず、受け取ったマジックアイテムをとっくに金のインゴットと属性を持つ魔石、そして残りの鉄屑や不純物に分け終えたユーミルは、子供のようにシャベルにつるはしと、ハンマーを振り回しながらアルビオンの大地を掘り進めていた。
「ある程度掘り進めたら、落盤など起きぬようにもせねばならぬが、幸いここは森じゃ。坑木のする木も山ほどあるし、後は何か……楽しい素材となる物が見つかれば言うことなしじゃ!」
鍛冶の小屋は大分好き放題です。魔法と謎知識混じりのご都合鍛冶場
原作の小説やら色々なものを見ると、たたら鍛冶の方向の知識もユーミルはある程度(私よりも)あるのかなと思いつつ、アニメだとより強い火を求めているので、低温の鍛冶は実践する機会はなくて知識止まりなのかなと思っていたり
ミソチル鉱石含めどれもすごい高熱が必要そうですし、そっちがメインになってるのかもしれません
鍛冶はユーミルの得意分野ですが、宝石加工や風石など魔石の扱いをどうするか悩みました。でも、先祖が既にガントレットというマジックアイテムを作っている為、それをドワーフが誰一人として研究せず放っておくということは無いだろうとし、ユーミルにもある程度の知識があるとします
リベリオンでは色々作ってるどころか、ガントレット二つに増えてますし……
無印だとサンダークラップスはカトレア産だけど、クローデットは今回特になにも書いてなかった気がしますので、その辺も気になるところ
買わないと明言していた無印と違い、直接配下の隊長達の武具を鋼鉄山に買いに来たりしてますし……