吸血鬼。
黒いマントに身を包み、闇夜に舞い、美女の首筋に鋭い歯を立て、生き血を吸う怪物……ついでに日の光に弱く、十字架やにんにくが苦手で、流水にも弱い。
それが世間一般の者が持つ吸血鬼という怪物へのイメージだ。
暗い部屋でダルダルのスウェットに身をつつみ、ゲームに熱中し、ファ●チキに鋭い歯を立て、肉を喰らう……ついでに日の光はそんなにでもなくて、十字架やにんにくは平気、流水も平気な俺ことブラッド・チャーリー・スタズ。
【吸血鬼】の個性を持つ転生者一家の次男坊である。
転生者一家ってのは何か? それは……
「また部屋の中でゲーム?」
「あ?」
たった今転生がどうのと説明しようと思ったらノックも無しに流れをぶった切って来たのは俺と同じく吸血鬼一家の長女。 ロリ体系金髪ロングで赤い目の美少女……ありふれた職業で世界最強に登場するユエさんのガワだけもらった俺の姉である。
「だって学校も無くて暇だしな」
「たまにはおつかいに行ってほしい」
「お前、自分が平気だからってたまに俺らが何なのか忘れてねーか?日光キツいんだけど」
「スタズは平気なはず」
「……まあそりゃ母ちゃんとか兄ちゃんに比べたら全然マシだけどよ」
でも日光ってマジでキツいじゃん? 何がってこう……肌がチリチリする感じ? 姉ちゃんから魔力の操作を教えてもらってから多少はマシになったけど、でもそもそも俺ら原作違うし同じ魔力でも根本が違うと思うんだが。
「めんどくせえから、ヤダ」
「……今の発言、とても雄英のヒーロー科希望だとは思えない」
「こういうヒーローが一人は居たっていいだろ~? つかそれで言ったら兄ちゃんだって夜しかヒーロー活動してないじゃん」
「あの人は日光に対して耐性無いから仕方ない」
「じゃあ俺もめんどくせえから仕方ないな。つーかおつかいならお前が行けば良くね?」
「今日はお父さんも帰ってくるから私も料理の手伝いをしないといけない」
「バッ、親父帰ってくんの!? それを先に言えよ!!」
「じゃよろしく」
その場にメモと財布だけ置いてさっさと出ていく姉。
……仕方ない、パパッと着替えてちゃっちゃと買いに行ってくるか。
ダルダルのスウェットからジーパンとパーカーに着替えると、薄汚れた姿見の前には前世の俺とは違う……ギラッとした赤い目と鋭い目つきに、黒髪で、血色の悪い……ブラッドラッドに登場する主人公、スタズにそっくりそのままの男子が立っていた。
さっきの、この世界では俺の姉であるユエや、俺、そして他の家族全員が前世で何かしらの理由で死亡している。
死んだ後に神様を自称する者に出会い、そしてこの世界……個性という超常の力が当たり前のものとして受け止められ、それを悪用するヴィランと、それを取り締まるヒーローが現実のものとなって久しい「僕のヒーローアカデミア」の世界に転生した者である。
何故全員吸血鬼かは誰にも分からない。
元死人だからかもしれないし、単に神の趣味かもしれないし、はたまた何か事情があるのかもしれない。
「おっ、スタズ、おつかいに行ってくれるのか?」
「ああ、親父帰ってくるんだろ?」
「そうじゃ。 それでなんじゃが、ついでに酒も買ってきてくれると助かるのじゃが……」
「わかっ……いや、俺まだこの世界じゃ未成年だから無理」
「そうじゃった……」
今出てきてしょぼんとしているのは俺の母……化物語シリーズに登場する吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード(言い慣れた)……パッと見ドレスも来てないからただの外国人新妻だが、その気になればこの世界を滅ぼせるヤベー人だ。 元ヒーローだったようだが、今は引退している。
「スタズ、コーラもついでに頼むよ」
「兄貴帰ってきてたのか」
「今日は非番だって朝から言ってただろう?」
「そうだっけ」
……とナチュラルにパシッてくる俺の兄……言わずと知れた時止めチート野郎、ジョジョの奇妙な冒険第三部に登場する吸血鬼、ディオ・ブランドー。
相変わらず凄い筋肉と身長だ……だが原作と違って吐き気を催す邪悪ではなく普通にいい人な上に、この世界で普通にヒーローをやっているが、日光に弱いので夜だけ出勤するダークヒーローだ。
「お兄ちゃんどこ行くの?」
「おでかけ?」
「おつかいだよ」
「お菓子も買ってくる?」
「……別にいいよな?」
「カカ、そのくらい良いにきまっとるじゃろ」
「わあい!」
「やったあ!」
……そしてトテトテ歩いてキャッキャしている双子の姉妹……東方のレミリア・スカーレットとフランドール・スカーレット。
レミリアは運命を操る程度の能力で、フランはあらゆる物を破壊する程度の能力を持つチートロリ姉妹。 ぅゎょぅι゛ょっょぃ
「んじゃ行ってくるわ」
そして現在ここには居ない父を含め、7人の家族が俺達転生吸血鬼一家である。