感謝。
……あやべ、予約投稿時間間違えた
雄英入試試験からしばらく日が経って、現在。
「たでーまー」
「おう、おかえり」
「ほいこれ」
「おお、ありがとう」
「親父は?」
「まだ帰って来とらんぞ。 もう少しかかるんじゃないかの」
「ふーん」
俺の親父であるアーカードは元第一位のヒーローであり、現在は引退……ではなく、ヒーローを
表向きは、今年で10になる双子の姉妹であり俺の妹達であるレミリアとフランの能力……表向きは個性の制御の練習に付き合う為。 まぁ、体のいいように言えばただの「育児休暇」ってやつだ。
そうでない理由はまぁ……親父達があんまりにもチート過ぎた上に、頑張り過ぎちまったってのが一番かな……。
一時期は夜のヴィランによる犯罪発生率が激減して「もうあいつらさえ居ればいいんじゃね」と囁かれる程だったし、今でこそ少し落ち着いたが、しばらくはメディアにも引っ張りだこで大変そうだったな……本人達の見た目もメディア受けするビジュアルなのが拍車をかけてたのもあったし。
ついでに、原作に関わる事で一つ。
ただでさえ後継者探しが遅すぎると定評のあるオールマイトに「こんなに強いヒーローが居るならまだ後継者を探さなくても大丈夫だよね!」と心の余裕を与えた結果緑谷出久が原作開始時点でワンフォーオールを受け継がなかった……なんて事が無いようにっていうのも理由の一つ。
また後継者と緑谷出久に関しては「自分にもしものことがあると困るから」という理由で親父自身が後継者を探す手伝いをする事になっている。
実際レミリアもフランも親父を殺すのに十分過ぎる能力の持ち主だし「もしもの事」自体は普通に起こりえるし、そうなった時、オールマイトの後継が居ないと今後が不安なのもまた事実だ。
そうして後継者候補を秘密裏に探す……フリをして、もしヘドロ事件があった時にオールマイトと緑谷出久が出会わなかった場合に予め彼を監視し「ヒーローの資質がある」とかなんとか言って、後継者として推薦すれば……原作通り、オールマイトの後継者としてワンフォーオールを緑谷出久が継承できるという事だ。
まぁ、所々「ちょっと強引過ぎない?」っていう所はあるけどな。
……以上を簡単にまとめると、現在親父は「新しい子供達の個性ヤバいから制御する練習に付き合う為に休業するね」「そうなるともしもの時の為にオールマイトの後継が要るだろうから、そっちを探すのもやっとくね。 あ、もちろんオールマイト自身も探せよな」という状況にある。
……で、今日帰ってくる、ということはつまり、上手くいったと見て良いんだろーな。
……大丈夫だよな? やっぱ無理だったって言って帰ってきたらどうしよう……俺試験中に出久みてないんだよなあ……。
ま、最悪原作主人公不在! みたいな事になっても俺らが居るから大丈夫だろうと思うけど。
「……これ、どこに置けばいい」
「台所にでも置いておけ」
「はいよ」
これ、と掲げた野菜やら肉やらが入ったビニール袋を台所に乱暴に置く。
さて、おつかい終わったしまたゲームの続きでもするかね。
「あ、そうだスタズ」
「んぁ?」
「さっきこれ届いてたぞ、雄英から」
「マジで!? ついに来たか……ほんとに遅いんだな~これ来るの」
「……スタズよ」
コト、ともっていた包丁を置き、今までに無い真剣な表情で俺を見据えるおふくろ。
「……な、なに?」
「……もし落ちてても自棄になるでないぞ」
「なっ、なんねえよ!! 多分!!」
やたら心配そうな顔のおふくろからやたら分厚い封筒をぶんどり、さっさと自分の部屋へと向かう。
『私が投影されたァ!!』
うおっ!? 知ってたのにビビった……いきなりアメコミ調のマッスルの顔がドアップで投影されて大声で喋られるとビビるな。
『何故雄英から届いた物に私が投影されてるかって……? 今年から私も雄英に勤める事になったからなんだ!』
ええ~!? な、なんだって~!?(棒読み)
『スタズ君! 君は……筆記は……まぁその……ギリギリ最低ラインに指の先がひっかかってるレベルの成績だ……もうちょっとだけ頑張ろう!』
「ぶへぇっ!!」
思ってたより悪い評価じゃねえか……最低ラインに届いているならまぁいい……か。
『そして肝心の実技試験なんだけども、その前に一つ言っておかないといけないことがあるんだ。 というのも、実技試験はヴィランポイントだけを評価しているわけでは非ず!! レスキューポイントという完全審査制のポイントが存在していたんだ!!』
「あ、知ってた」
『それを踏まえた君の成績はァ~~~?……ドン!! ヴィランポイント72ポイント!! レスキューポイント8ポイント!! 合計80ポイント!! 主席合格だ! おめでとう!!』
しゅ……しゅせきごうかく?
主席 合格……?
主席合格!?
「よ、よっしゃあ~~~~ッ!!!」
『なんだけど……スタズ君、あの、自覚無い? 君ね、他の受験生を怖がらせてたって気付いてた?』
「……えっ?」
そういえば……受験する奴の殆どが俺を避けていたような……? っていうか、怖がっているように見えた事もあったな……?
『君のレスキューポイントは本来は22ポイントもあったんだけど……そのせいで減点して8ポイントになっちゃったんだよね……それでも主席合格には変わらないけどね!! とにかく、今後は気を付けるんだぞ!』
ウソォ!? いや、でも主席合格だし……もしかしておふくろが微妙な顔してたのってコレで減点されてるの知ってたから……それで落ちてると思われてたって事か……?
うーんありえる。
そしてなんかゴメン他の受験者……でもわざとじゃないし怖がる方が悪いと俺は思うんだ。
『と、小言はここまで! とにかく主席合格おめでとう! 来いよ! スタズ少年! ここが君のヒーローアカデミアだ!!』
そこまで言い切ると、ホログラムが停止し、部屋に静寂が戻る。
成績がギリギリだったり、減点の事もあって若干……というか全くもって、最善のスタートを切れたとは言えないが……それでも首席で合格出来たという事実はデカい!
俺のヒーローアカデミアはこっ
「スタズ、ごはん……何してるの?」
「……なんでもない。 今行く」
「……ん」
……こっからだ!!
微妙な気持ち2割、主席合格で嬉しい気持ち8割でリビングに行くと、そこにはいつの間に帰ってきていたのか……赤いワイシャツと黒いパンツに身を包んだ長髪の男性……俺の親父、アーカードがくたびれた、というように椅子に寄りかかって天井を眺めていた。
「……おかえり」
「ああ、スタズか……ただいま」
CV.中田譲治でくたびれた何の覇気も無いセリフ、しかも見た目がアーカードなのに服装がこれだと違和感が半端ではないが、もともと親父はこういう人なので俺はもう慣れてしまった。
「どうだった、原作主人公は?」
「そっちこそ、今日届いたんだろ? 通知。 落ちてたか?」
「受かってたよ。 そっちは?」
「おめでとう。 こっちは……まぁ概ね成功だ。 彼はちゃんとワンフォーオールを継承した。 そのあたりは全員が揃ってから話すことにしよう」
「喋ってないで手伝ってくれんかの。 ほれ見ろ、レミリアとフランも……」
「てつだえ~!」
「てつだいなさい!」
「……だって」
「はいはい」
「私は疲れてるんだが……」
今日は……カレーか。
……改めて思うけど、吸血鬼なのに普通にメシ食えるのは有難い話だよな。
まぁ、俺はともかく、おふくろと親父は定期的に血を摂取しないといけないらしいが、それも俺を含めた家族の誰かが血を提供すればそれでいいしな。
おふくろは吸えば吸った相手を眷属にする事が出来るし、親父は命のストックに出来るらしいけど……現状、そんな事する必要無いしな……。
大体そんなことしたらヒーローっていうよりヴィランだし。
「お、今日はカレーか」
「兄貴の分、それな」
「おう」
吸血鬼なのに食卓に並んでいるのがカレーだったり、全員出典となる作品が違う事や
「では、全員が揃った事だし、食べながら話をしようか」
「んじゃ」
『いただきます』
「んじゃ、俺の試験結果から言うけど、主席合格だった。 以上」
「ほう」
「すご~い!」
「すごいの?」
「以上って……もうちょっと何かあるじゃろ? 怖がらせたせいで減点されたと聞いたぞ」
「やっぱ知ってやがったか……ちょっと頑張り過ぎただけだよ。 減点受けても主席合格だったし、0Pの爆豪よかマシだろ」
「正直受かった事の方が驚き。 成績はいつもギリギリだった」
「……まぁ、それはこれから頑張るって事で……俺の事はもういいだろ! 親父の方は? 原作主人公の話を聞きたいんだけど」
「スタズにはさっきも言ったが……見た限りでは成功だ。 彼はワンフォーオールを継承し、恐らく雄英にも合格したハズだ」
「流石」
「ようやく原作開始か……長かったな」
俺達が存在している時点で、既に原作からは隔絶した世界になりつつあるのは言うまでもないけどな。
なんせ原作には登場しなかったヒーロー、それも公式チートと名高い者が二人……いや、兄貴を含めれば三人か。
彼らがヒーローとして成したことの大きさはこの世界に大きな影響を与えているのは間違いない事だし、それによってどんなバタフライエフェクトがあるのかは誰にも分からない。
そう思うと、現状、緑谷出久が原作と同じ道を進んでいるのは奇跡と良いんじゃないか?
「だがこれからはそうもいかないだろう。 なんせスタズ、お前が居るからな」
「……まぁな」
「スタズが入った事で、誰かが落ちたかもしれないっていうのは言うまでも無いが……ご都合主義よろしく21人目になったとしても、主席合格となったお前は嫌でも目立つことになるだろうな」
「目立つ事自体はいいけどよ……誰かが落ちたかもしれないってのは改めて言われるとちょっとキツイな」
「……まぁ、本来雄英に入れたような者はたとえ落ちたとしても別の場所でヒーローの卵になっているだろうし、お前が気にしていても仕方あるまい。 受験というのは本来そういうものなのだからな」
「……逆に、落ちた人の事を今から気にしているようじゃこの先が不安」
ずけずけ言ってくれんな……まぁでもその通りなのは俺も分かっている。
成績の結果を見ればどうなったか分かるかもしれないが……。
「じゃ、次の話する」
「ん?」
……次の話? 俺の受験結果と原作以外に何が……?
「……もしかして忘れてる? オールマイトに関わる事」
「……あん???」
「はぁ……スタズ……アレだ、オールマイトの怪我の事だ。 前々から言ってただろう。 オールマイトの傷を治すかどうするか」
……そんな事話してたっけ?
「案①、私が再生魔法を使って傷を塞ぐ。 案②、ママが血を使って傷を塞ぐ。 案③のこのまま放置する、はスタズ以外の全員で否決になった。 ①と②、どっちにするか、という話をしていた。 ……そういえばスタズは受験勉強に集中していて聞いていなかったかもしれない」
「俺が受験と向き合っている間にそんな面白そうな話を……!?」
でも、そうだ。
ただし魔力量からして一日にそう何度も乱発する事は出来ない。
「やはり、もう縫合して塞がっている傷って事を考えると、ユエの魔法の方が確実なんじゃないか?」
「私もそう言いたいけど、臓器が何個か摘出されているっていうレベルの重症を治した事は無い。 それに、オールマイトを何時間か……下手をすると半日程拘束しなければならなくなる。 あと、再生魔法の事を説明して、理解が得られるか分からない」
「最後のはわしのもそうじゃろ。 再生するからわしの血を浴びろって言って素直に浴びる……か。 あやつなら普通に浴びかねんな……。 いや、でもやっぱり絵柄が良くないじゃろ。 あと、一度縫合を解かないといけないしな」
……ん? 待て待て。
「てかよ……二人でやればいいんじゃね?」
俺がそう言うと、あ、と全員がぽかんと口を開き「その発想は無かった」とばかりに茫然とする。
「スタズ、お前……時々頭良いな?」
「ん」
「最終的にはオールマイト自身の意思に任せる他無いがな」
「えらい!」
「でかした!」
……俺が言うのもなんだけど、こいつら……大丈夫か……?
スタズの試験結果
ヴィランポイント72ポイント
本当はもっと稼げたが、周りに目を配っていたことや、途中から0Pヴィランをぶちのめす事を考えていたので爆轟の77ポイントに僅かに及ばなかった。
レスキューポイント8ポイント
0Pヴィランを倒したこと自体、ただの戦闘狂のようなもんだと思われており、それ自体は加点になっていない(デクの時は女の子を守ろうとしたという所が評価されていたが、スタズにはそれが無い為)故に、単に0Pヴィランを倒したことで周りの受験者達が動きやすくなった事による加点で22点だった。だが、彼を怖がる受験者達が多かった為、減点で8点になってしまった。
減点がなければぶっちぎりで主席合格だった。
もっと言えば、成績が優秀なら元No.1ヒーローの息子ということもあって推薦入学も可能だったが……まぁ結果は見ての通りである。