みなさんこんにちは、雪ノ下雪乃よ。
さて……今日の部活での姉さんによって起こされた大災害。大人気なくも自分がブタになった腹いせを私の黒歴史を暴くという手法でもって返してきたあの出来事。みなさんは覚えてくれているかしら?
あれから時間はそんなにたっていなくて、今はたかだかあの大災害から数時間しか経っていない夜なの。
ふっ……私が立ち直るのに何日もかかると思ったのかしら? たしかに被害は甚大だったわ。
あれから小町さんには可哀想なものを見る目で見られるし、一色さんの目の奥には嘲笑が浮かんでいた。……由比ヶ浜さんはどう私に接したらいいのか分からないのか私を見るときだけ目から感情を頑張って消そうとしていたし、なにより……比企谷君が……今日、一回も目を合わせてくれなかった……近づかせてもくれなかった……
ええ、もうこれだけで、万死に値するのよ。
私は、姉さんを絶対に許さない……
やられたらやり返す……1000倍返しよ。
* * *
というわけで、私は今、実家の風呂に入っている姉さんの声をとるために、風呂の中から一枚ドアを隔てた外にいるわ。
え? どうして風呂の中にいる姉さんの声をとることが仕返しになるのか疑問なの?
ふふっ……それはね? 本当に数少ない姉さんの弱点だからよ……それも、相当に恥ずかしい……ね……
これに気づいたきっかけは本当に些細なことだったわ。
忘れもしない、とある木曜日。それはまだ姉さんが私の元いたマンションの一室に住んでいた時のこと。私は忘れてしまっていた私物を取りに行くために、親から鍵をもらって入ったの。私が中に入ってもいるはずの姉さんは何の反応もなかったから、留守だと思って家の中を進んだら……
『んあああああんんん!!!!!!!!!!!ひきがやぐぅぅぅん!!!!! 』
『だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!!!!!!! 』
『はげしすぎてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇイッちゃうのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!! 』
『んあんなああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁあああああああああああああうあああああああああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああ』
風呂場から聞こえてくる姉さんの絶叫。生々しい喘ぎ声に聞こえてきた私のパートナーの名前。異常に長い断末魔のような叫び。
その時は、流石の私も恐怖を覚えてすぐに逃げ出したわ。
でもね? その日の夜、実家に帰ってみて、ベッドに入ってまた考えてみたの。いくらなんでもあの姉さんがあんな狂人な訳がないと。きっとあれは私の心の中にいる、姉さんを畏怖するモノが生み出した幻聴に過ぎないのではないかと……
だから私はまた、もう1週間たった木曜日にまた姉さんが住んでいたマンションに同じ時間に行ってみたのよ。あれは幻聴だったと証明するかのように。
すると……
『ぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁあああああああああああああ』
真実だった。
酷いことに、もう1週間たった木曜の同じ時間にもこの恐ろしい出来事は行われていたわ。
さらに悪いことに、最近姉さんが実家に住み着くようになってからも、木曜の夜の時間帯には父と母が仕事でまだ帰らない且つ、私が予備校の時間帯に絞って……姉さんは、毎週木曜日にこれを続けているの。
さすがにね? 恐ろしすぎてこれをエサに姉さんをゆすろうとも思えなかったわ。この現実は、私だけが墓場まで持っていこうと……そう、決めていた。
「もうそうとも言ってられないから……死なばもろともよ……姉さん」
とにかく、そういう経緯で私は今脱衣所で、携帯のカメラ機能をonにしたまま身を屈ませているの。姉さんを……姉さんの心に私と同じくらいの辱めを味あわせてあげるために。そのためにわざわざ今日は予備校だって休んだのだから!!
『ああっん……ひきがやくぅん……今日は一段とはげしいよぉん』
ふふふ……始まったわね。
* * *
「えっと……なんでここにみんな呼ばれたんだ? 雪ノ下」
翌日、私は奉仕部のみんなを半ば無理やりに実家に招待した。リビングにとりあえず腰を落ち着けてもらう。比企谷君はビクビクしながらも、みんなの疑問を代表するように私に問うた。
「いきなりごめんなさい……でも、あなたたちに聞いてほしいことがあるの」
その真剣な私の言葉に、比企谷君は真面目な顔になる。由比ヶ浜さんも何かを恐れるような目をし始め、一色さんと小町さんは戸惑いを隠さない。
「雪乃さん! そんなっそんなことする必要ないですよ! 」
「そうです雪乃先輩! そんなことで別れるなんて雪乃先輩らしくないです! 」
何を勘違いしたのか、二人は私に懸命に訴えた。
「大丈夫よ。私としては……比企谷君と、絶対に離れたくないから」
「そ、そうなんだ……よかった。でも、じゃあここに私たちを呼んだのはどうして? 」
由比ヶ浜さんの気遣わしげな声が聞こえた。そしてそのすぐ後には、私が聞き慣れた声が聞こえる。
「雪乃? 私を呼び出した意味は何なのかしら? 」
「それは、私も聞きたいな」
「うぐぇっ!? 」
そう。お母さんとお父さんも呼んだのよ。目が飛び出そうなほど驚いている比企谷君にはちょっと申し訳ないわね……
「母さん、父さん……もちろんあなたたちも、来てくれてありがとう。ここに集めた意味なら、もうすぐ分かるわ」
「ただいまぁ! ……あれ? なんで? こんなとこにみんないるの? 」
これから何が起こるかも分からず、未だに昨日の勝利に酔った様子の姉さん。私を一瞬見た彼女の目は、優しさに溢れていた。ムカつく。
「姉さんも、聞いてほしいの。私の気持ち」
「え? 雪乃ちゃんの気持ち? 」
「そうよ」
言いながら、私はスマートフォンからデータを移したパソコンを起動させ、全員に見せるために事前に用意しておいたプロジェクターがきちんと準備できているかを確認。問題ないことを確認できた後に、リビングの電気を消す。
「これから、全員に見てほしい……聞いてほしい音声があります」
「ん? これは……ウチの風呂場かな? 」
音声を出す前、プロジェクターに映る動画を動かす前に出てきた映像に、父がそんな感想を漏らす。
善は急げ。それを聞いた私はすぐに昨日スマホの動画機能で録音した”あの音”を公開した。
『あぁん……ひきがやきゅん……すきぃ』
『だめん……ひきがやくんったらがっつきすぎよぅん……そんなにお姉さんがいいのぉ? 』
『あっ……そんな汚いとこなめないでん……』
『ひきがやくんはげしすぎぃぃん』
『あっ……だめぇぇん!!!!!! 』
『アンっきもちぃ……アンアンっきもちいいよぅ……あああんっ!! もっとぉ』
『ああ!!! っあああああああああ!!!!! ぁああああああああああ!!!!! イくぅぅぅぅぅぅぅ!!! 』
『あああああああああああああああぁあああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああ』
上映が終了した。たしかに映像はひたすら風呂場のドアしか写っていない。だが、ここにいる人たちならみな分かるでしょう。
……この声の主が、誰なのか。
父が、母が、比企谷君が、由比ヶ浜さんが、一色さんが、小町さんが、とある一人の方を向いた。
「い、いやああああいああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああぁああああああああああ!!!!!!!!!!!! 」
私は、晴れやかな気分でターゲットの、動画とは違った意味の絶叫を聞く。
Mission complete
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スキルまとめ
雪ノ下雪乃
・乙女ポエム
雪ノ下陽乃
・ド変態←new
・ぷよぷよ
由比ヶ浜結衣
・⁇
一色いろは
・⁇
比企谷小町
・⁇
川崎沙希
・⁇
比企谷八幡
・⁇