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知波単バンザイ!
戦車道
それは古くから『乙女の嗜み』として存在していた武道。
そのなりたちは、日本では『馬上なぎなた道』、欧州では『馬上槍試合』であるという説がある。
礼節のある、淑やかで慎ましく、凛々しい婦女子を育成することを目指した武芸である。
「などと申しております同志」
「なるほどシベリア送りだ」
「なにやってるのよ……」
三人の女子が歩きながらたわいもない会話をしていた。
一人目は、いきなりわけのわからんことを口走った、可愛らしい顔立ちをしている女子。
二人目は、それに躊躇なく合わせた、中々の身長と歳の割にボリュームある胸をもった女子。
三人目は、二人のやり取りに呆れている、中々鋭い目つきを持った女子。
「どこからともなく言いたい気持ちが湧いて来たから言っただけ」
「言われたら条件反射で言葉が出てきただけだ」
「うん、本当に何やってるのよ?友人二人がいきなり共産主義者御用達のセリフを吐かれても困るのよ?わかる?」
「知らんでごわす」
「オレの知ったこっちゃないね!」
「うん、酷すぎない?」
まるでぶれない友人二人に鋭い目つきの女子、井河沙耶は溜息を吐いた。
この二人との付き合いは中学一年からであるため、二人から比べれば短いものである。それでも特徴も性格も長所も短所も知っている。
だからこそ面倒臭い。
「そんなんじゃ高校に進学しても、孤立するわよ?」
「大丈夫、孤立しても私達がいる」
「オレたちがいるから大丈夫だぞ沙耶!」
「私じゃ無くてあんたら二人よ!」
面倒臭いのである。
沙耶のストレスが溜まっていくがそんなことには気にもせず二人はくだらないことを喋りながら歩いていた。
そして話題は、ある出来事に移っていた。
「しかし僕たちもいよいよ受験だなぁ」
「そうだね、非常に面倒だけど」
「二人は志望校は決まった?私は決まったわよ」
沙耶は無い胸を張りながらドヤ顔しながら二人に向かって言った。
対して二人はあまり興味なさげではあったが沙耶の聞いて欲しいオーラを受けて仕方が無く聞いてあげた。
「沙耶は何処行くの?」
「聖グロリアーナ女学院よ」
「なんだ、ジョンブルに行くのか。つまんないなぁ」
「きっと毎日ウナギゼリーを食べさせられ英国面の洗脳教育が行われるだ」
「パンジャンドラムの中に入れられて突っ込ませられるに違いない」
「あんた達は聖グロになんか恨みでもあんの?」
「何故、戦車の中で紅茶を飲むんだ?」
「何故、ですわ口調にならないといけないの?」
「コメット導入しろ、話はそれからだ」
「なおトータスでも可」
「あんたらね………前者二つは未だしも後者二つは欲望じゃないのよ……」
聖グロリアーナに対する不満に溜息を吐く沙耶であったが、逆に二人に反撃しようと画策した。
「じゃあ、二人は聖グロよりもいろんな意味でいい学校に決めたんでしょ?言ってみなさいよ!」
「え?聞きたい?そんなに聞きたい?どうしよっかな~、どうする同志?」
「仕方がない、寂しがり屋の沙耶ちゃんのために教えてあげよう」
「あんたら本当に腹立つわね!?」
何度も言うが非常に面倒くさいのがこの二人である。
「で、どこに行くのよ?」
「「知波単学園」」
「へ~知波単ね。……知波単?あの知波単?」
「そうだ、あの知波単だ」
「戦術が突撃しかない、あの知波単?」
「真正面から突撃してものの見事に散っているあの知波単」
予想だにしない名前が返ってきて思考停止に陥った沙耶をしり目に二人は気にすることなく、入学後のビジョンを語り始めた。
「まずは一人暮らしを謳歌する!」
「夢の自分だけの部屋を手に入れる」
「それから好きな事をやりたい事を目いっぱいやる!」
「自分の欲望に忠実になる」
「そして!」
「そして」
「西住を叩き潰す」
「お嬢の夢を叶える」
胸のボリュームが良い少女、武者上総は笑う。
可愛らしい顔の少女、伊達崎愛は静かに言った。
そしてそんな二人に天を仰ぎながら沙耶は言う。
「せめて行くならプラウダ、サンダース、聖グロのどれかにして……絶対こっちの方が勝てる可能性高いから……!」
「バカ、プラウダにはもうノンナもカチューシャも居るだろ!そんなとこに行っても何にも変わらない!」
「サンダースは?」
「M4ファンの皆には申し訳ないが、シャーマンはオレの趣味に合わない!」
「聖グロは?」
「紅茶から麦茶にジョブチェンジしたら行ってやろう」
「BCは?」
「派閥闘争がだるそうだから論外」
「アンツィオは?」
「あのノリについてけそうに無いので遠慮します」
「継続は?」
「まずあそこ戦車ほぼ無いじゃん」
「………じゃあどうして知波単なのよ?」
沙耶の言葉に、にっこりと笑う上総。
ゆっくりと口を開き、答えた。
「あそこは、変える余地があるからだ、僕の色に染め上げることができるからだ!それに……」
「それに?」
「雑魚扱いされてた奴らが、王者の首を跳ね飛ばしたら、どれほど痛快で、どれほど気持ちいいだろうか!常勝軍団の首を引きちぎり喰い殺すことができれば、こんなに最高なことはないだろう?」
上総は女子としてあるまじき顔になりながら、ひどい言葉で理由を述べた。
そしてそれに同意するように頷く愛に、再び天を仰ぐ沙耶。
「あんた達は、本当にぶれないのね……まあ頑張って。私は聖グロに行くけど応援してるわ」
「何言ってるの?沙耶も俺達と一緒に行くんだよ」
「はぁ?いやよ、あんな突撃馬鹿どもの中になんて行きたくないし」
「知波単は以外にもお嬢様学校、実質聖グロ」
「そんなわけないでしょ!?何もかも違うわよ!」
「そんなわけだから沙耶も俺達と一緒に知波単に行くんだよぉ!」
「あくしろよ」
「絶対嫌だから!振りとかじゃないから!本当に行かないから!」
この物語は、武者上総を中心とした彼女らが知波単学園でいかに生き、いかに戦い、いかにして栄光と勝利を目指した物語である。
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