超次元ゲイムネプテューヌTHE AMINATION ~別次元からやって来た2人の女神~ 作:玄武の使者
第2話 「緊急事態」
――――次元空間――――
極次元ゲイムギョウ界を旅立ってから数日後。
3人の旅人を乗せた〈エグゼアーク〉は今もなお、次元空間をさ迷っていた。
次元世界の移動にはそれなりの時間が必要になるので仕方のないことなのだが・・・・・・。
「今日も次元空間は安定していますね。異常もないようで安心です。」
イストワールは艦のセンサーが捉える情報に目を通しながら肩の力を抜く。
〈エグゼアーク〉にはオートパイロット機能が搭載されているのだが、少し問題がある。
搭載されたオートパイロットは極次元ゲイムギョウ界の航空機に使われていたモノと大差がない。
しかし、次元空間は常に安定している訳ではなく急に不安定になることもあるのであまり目を離すことができないのだ。
そのため、3人が交代で操舵室に入って次元空間の状態を監視しているのだ。
「でも、油断はできませんね。何処かで次元震が起これば、一気に不安定になるそうですし。」
次元震というのは次元規模で起きる地震である。
発生すると周辺に存在する次元世界にも影響を及ぼし、次元空間も不安定になってしまう。
余りにも規模が大きい次元震が発生すると実際の地震と同じように断層が発生し、周辺の次元世界が呑み込まれるらしい。
「イストワール。」
「おや、クーデリアさん。交代の時間には少し早い筈ですが?」
「部屋に居てもやることないもん。だからイストワールの話し相手になってあげようと思ってね。」
操舵室に入って来たのはウェーブが掛った濃い金髪の少女。
薄いピンク色のワンピースの上に濃い紫色の長袖のコートを羽織った碧眼の少女の名前はクーデリア。
女神アメジストハートの人間時の姿であり、フルネームはクーデリア・フォン・リヒトシュナイデンと言う。
女神の地位を継承する前はプラネタリアの貴族の令嬢であり、身長が139㎝と低身長なことを気にしている。
「お気遣いありがとうございます。でも、話すネタなんて何もありませんよ?」
「別に良いよ。こうやって、ゆっくり話してられるだけでも十分だから。」
クーデリアはクスッと笑う。
「思えば、アタシとイストワールとの付き合いも数千年ぐらいになるだね。」
「そうですね。クーデリアさんが女神の地位を引き継いでからずっと一緒でしたから。」
イストワールはクーデリアと初めて会った時のことを思い出した。
―――アタシはクーデリア・フォン・リヒトシュナイデン!!
プラネタリアを守護する女神、アメジストハートの後継者よ!!――――
数百年前、女神アメジストハートの居城に招かれてイストワールと初めて会ったクーデリアはそう言った。
プラネタリア建国とほとんど同時期に成立した貴族リヒトシュナイデン家の令嬢である彼女はまるで絵に描いたような高飛車な性格だった。
イストワールの忠告など一切聞こうとはせずに我武者羅に他の女神に戦いを挑んだこともある。
ちなみに、代替わりした直後はプラネタリアの国力が著しく落ち込んだという歴史がある。
(懐かしいですね。負ける度に木陰で人知れず大泣きして、それでも女神の地位を放棄することもしなかった。)
「どうかしたの、イストワール。急に笑って」
「いえ、女神になったばかりのクーデリアさんを思い出しただけですよ。」
「うわ~・・・その話、ディオーネにはしないでね? 恥ずかしい記憶だから。」
「分かってますよ。」
少し顔を赤らめるクーデリアにイストワールはクスクスと笑う。
今でこそ、プラネタリアに住む人々から“幻影の女神”と崇められていたが、女神になった当初は四女神中最弱と言われていた。
何度も敗北を味わされた彼女は人知れず先代の女神の戦い方や魔法を研究して自分のモノへと昇華させていったのだ。
それをサポートしたのが先代の女神との縁でプラネタリアに在住していたイストワールなのだ。
なので、イストワールが一番クーデリアのことを知っているのである。
「思えば、最初は不安になったものです。」
「あの頃のアタシは自分の力を過信してた愚か者だったからね。
でも、そんなアタシもイストワールのおかげで“幻影の女神”と呼ばれるまで成長した。」
「私(ワタクシ)は何もしてませんよ。全てはクーデリアさんの努力が実った結果です。」
「先代の女神さまの資料とか探してきてくれたのはイストワールじゃない。
アタシ1人だったら、あの資料を集めるだけでもどれだけ時間が掛ったか・・・・・・」
そんな思い出話をしていると、クーデリアはあることを思い出した。
「それはそうと、イストワール。食料の備蓄が尽きそうだから、何処かで補充しないと。」
「そうですね。元々、そんなに積んでませんから。」
〈エグゼアーク〉に積んである食料はお世辞にも多いとは言えない。
大部分の食料は先に旅立った民間人の移民船に積み込んだために、三人の食料は必然的に少なくなる。
極次元ゲイムギョウ界を旅立って数日が経過している間、食料の補充を行っていないので備蓄はほとんど残っていない。
「一度補充しましょうか。クーデリアさん、お願いします。」
「りょーかい。」
次元航行システム担当のクーデリアはすぐに席に着いて、コントロールパネルを操作する。
すると、三人を乗せた〈エグゼアーク〉は次元空間を出て、通常空間に移行する。
「植物の実りがない、ということはなさそうですね。」
「一先ず安心だね。これなら食料の補充もできそうだし。」
操舵室から見える惑星に進路を向ける〈エグゼアーク〉。
しかし、此処で緊急事態が三人に襲いかかって来た。
青い惑星の重力圏に入ろうとした時、ゴンッ!!という音と共に〈エグゼアーク〉が大きく揺れた。
同時に艦内全体に緊急事態を報せるアラートが鳴り響き、レッドランプが点灯する。
「推進機関と浮遊機関に異常発生!? さっきまで問題なかったのに!!」
「多分、小惑星か何かが衝突したんです!!」
「何で!? ジェネレイティングアーマーがある筈なのに」
突然の事態にクーデリアは狼狽する。
〈エグゼアーク〉には“ジェネレイティングアーマー”という防御膜が張られている。
動力炉から供給される魔力とシェアエナジーの複合4層式の防御膜は強固で小惑星程度ではどうにもならない。
しかし、この防御膜は常時展開されている訳ではなく、ある動作の前後には自動的に消滅するのだ。
「通常空間に移行した直後はジェネレイティングアーマーは消滅します!!
おそらく、その無防備になっている瞬間に・・・・・・」
「ああもう!! 何でこんなことになるかなぁ!?」
推進機関と浮遊機関が破損したことにより〈エグゼアーク〉は星に吸い寄せられる。
重力圏にかなり近づいていたこともあって、星の重力から逃げることはできない。
「こうなってしまって仕方ありません!! ジェネレイティングアーマー全力稼働!!」
艦体を保護するためにイストワールはジェネレイティングアーマーの出力を上げる。
重力に引かれて謎の惑星の大気圏に突入するが、最大出力のジェネレイティングアーマーに守られた〈エグゼアーク〉はビクともしない。
大気圏を抜けた〈エグゼアーク〉は防御膜に守られたまま、大きな街の郊外に広がる草原に不時着した。
「イタタ・・・・・・イストワール、大丈夫?」
「はい。少し頭をぶつけただけです。」
ぶつけた頭を摩りながら、クーデリアは艦の状況を確認する。
破損した推進機関と浮遊機関は相変わらずだが、不時着時に新たに破損した箇所は確認できない。
ジェネレイティングアーマーがなければ、大気圏を突破時と墜落時にさらに影響が出ていただろう。
「ちょっと!! 一体、何が起こったの!?」
「何でか分からないけど、推進機関と浮遊機関が破損したの。ちょっと確認してくるよ。」
クーデリアは女神化すると確認作業のために操舵室を出て行った。
「まったく・・・・・・気持ち良く眠ってたのに。」
「ディオーネさん。起きて早々で悪いですが、念のために他の破損箇所がないかチェックしてくれますか?」
「分かったわ。これ以上、何も起こらなかったら良いんだけどね」
そんなことをぼやきながらディオーネは頼まれた仕事をするために自分の席に着いた。
ご都合主義万歳。つか、小説なんてご都合主義じゃないとやってられない。
そんな訳で早速第2話を投稿しました。いつもこんなペースで投稿できる訳がないですがね。
極次元ゲイムギョウ界とゲイムギョウ界は似たような世界ですが、差異があります。
極次元では女神は一般市民の中から当代の女神が任命して継承していきます。
なので、クーデリアもディオーネも生まれながらにして女神という訳ではありません。
さらに、極次元の女神はプロセッサユニットを持たず、代わりにプロセッサアーマーを身に纏って戦います。簡単にいえば、女神版のバリアジャケットがプロセッサアーマーです。
取り合えず、重要なのはこれくらい。
ある程度話が進んだら、設定集を投稿するつもりなので詳しい設定はその時に。