超次元ゲイムネプテューヌTHE AMINATION ~別次元からやって来た2人の女神~ 作:玄武の使者
「友好条約調印式」
―――プラネタワー地下―――
【プラネテューヌ】での滞在許可を貰ってから5日後。
街の郊外に広がる草原に墜落した〈エグゼアーク〉は【プラネタワー】の地下格納庫に格納されていた。
流石に強力なモンスターがうじゃうじゃとうろついている場所に放置しておくことはできなかったので修復が終わるまで隠れ蓑を提供してくれたのだ。
もちろん、提供する代わりに【極次元ゲイムギョウ界】の技術の一部を開示することが条件になっているが。
「うーん・・・装甲をもう少し頑丈な物に取り換えたいですね。」
「まあ、エグゼアークは一般人の移民船と違ってあり合わせの材料で作ったからね。」
地下格納庫ではイストワールとディオーネが〈エグゼアーク〉の改修案を話しあっていた。
ジェネレイティングアーマーがあるとは言っても本体の装甲はそれほど頑丈では過信できない。
それに、強固な防御膜も通常空間に移行した直後や次元空間に移行した直後は消失してしまう。
この【ゲイムギョウ界】に墜落してしまったのもその欠点と〈エグゼアーク〉の装甲の脆さのせいだ。
「何とかして素材を集めて、装甲を強化した方が良いかもしれませんね。」
「問題はそう素材がこの世界に存在するのか、改修するだけの量が存在するのか。」
ディオーネの言葉に司書イストワールは頷く。
〈エグゼアーク〉の全長は107m。それだけの巨体全体の装甲を張り替えるにはかなりの資源が必要になる。
例え2人が納得するような素材があっても、その量が少なければ全体を改修することはできない。
「うわっ、何此処!! 広っ!?」
地下格納庫に底抜けに明るい声が響く。
入り口の方を見てみると、クーデリアとネプテューヌが入り口に立っていた。
「わたし、地下にこんな秘密基地があるなんて聞いたことないんだけど!?」
「言っておくけど、今は魔法で拡張してるだけで本来の広さは5分の1程度だからね?」
「さらに言えば、作ったのは貴女の妹よ。」
「わたし何も聞いてないよ!? こんな秘密基地があれば、仕事サボり放題なのに・・・・・」
「「女神が仕事をサボるな!!」」
クーデリアとディオーネの言葉が見事に重なる。
そう、【プラネテューヌ】の女神であるネプテューヌは基本的に不真面目な性格なのだ。
女神の仕事をサボることも多々あり、教祖イストワールを悩ませている問題児である。
ちなみに、妹のネプギアは正反対の性格で仕事をきちんとこなす優等生だ。
「はぁ・・・・・・イストワールも大変でしょうね。」
司書イストワールは呆れと同情が混じったため息を零す。
「あ、あれ?」
ネプテューヌはごしごしと目を擦る。
「いーすん、いつの間に大きくなったの? 戦隊アニメの悪者ばりに巨大化してるよ?」
「そう言えば、貴女には説明しませんでしたね。
私は貴女の知っているイストワールではなく、この子たちと同じ次元のイストワールです。」
「どゆこと?」
「そうですね・・・世界には同じ顔の人が3人居ると言いますよね? それと同じです。」
「お~なるほどね。」
かなり端折っているが、史書イストワールと教祖イストワールは単に似ているだけではない。
そもそも「イストワール」は【ゲイムギョウ界】とよく似た理で成り立つ次元世界の歴史を記録するために生み出された存在だ。
あちこちの次元世界に散った彼女らは互いに次元の壁を越えて通信することもでき、無意識で別次元の「イストワール」の存在を認識してしまう。
「ネプテューヌ。そろそろ、教えてくれない? アタシたちを探してた理由」
「ん? ああ、そうだった。はい、これ。」
ネプテューヌは服のポケットから取り出した一通の手紙をクーデリアに手渡す。
手紙の内容はパーティへの招待状。その日付は今日。
「今日ね、調印式の後にパーティがあるんだ。それでクーちゃんたちも来てほしいんだよ。」
「アタシたちは部外者よ?」
「女神であるわたしが招待してるんだから大丈夫だよ。じゃあ、ちゃんと来てね。」
要件を済ませたネプテューヌは慌ただしく去って行った。
おそらく友好条約調印式の準備に忙しいのであろう。今回ばかりはサボり魔のネプテューヌも真面目に仕事をしているのだ。
「どうする?」
「せっかく招待してくれているのですから、無下にするのは失礼でしょう。」
こうして、クーデリアたちも調印式後のパーティに参加することになった。
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そして、時間は過ぎて行き、友好条約調印式の時間となった。
クーデリアたちは地下格納庫を出て、【プラネタワー】の最上階の女神たちの居住スペースに戻っていた。
当初は〈エグゼアーク〉に設けられてる居住区画の部屋を使うつもりだったのだが、ネプテューヌが部屋を貸してくれたのだ。
そして、リビングにある大きなテレビで三人は調印式の様子を観察していた。
『ゲイムギョウ界にあまねく生を受けし皆さん。新しき時代にその第一歩を踏み出せるこの日を、皆さんと共に迎えられることを、喜びたいと思います。』
テレビに女神化して、紫色のドレスを着たネプテューヌの姿が映し出される。
普段の天真爛漫を絵に描いたような性格は鳴りを潜めて、そこに居るのは【プラネテューヌ】の国民が信仰する立派な女神だ。
『ご承知の通り、近年、争いが絶えることはありませんでした。』
三人が見つめる中、テレビの向こうのパープルハートは式辞を述べつつ会場の中央に向かって歩き出す。
『女神、ブラックハートの治めるラステイション』
カメラが回されて、テレビに黒いドレスを身に纏った白髪の女性――ブラックハートが映し出される。
『女神、ホワイトハートの治めるルウィー』
再び画面が変わり、今度はクーデリアとそう変わらない体型の少女――ホワイトハートの姿が映し出される。
『女神、グリーンハートの治めるリーンボックス』
次に映し出されたのは白いドレスを着た豊かな胸を持つ女性――グリーンハートが映し出される。
『そして、私。パープルハートが治めるプラネテューヌ』
カメラの照準が再びパープルハートに戻ると同時に式場の中央に4人の女神が集結する。
すると、4人の足元に半透明なパネルが現れて、重力に逆らうように彼女らを空へと運んで行く。
『4つの国が国力の源であるシェアエナジーを競い、時には女神同士が戦って奪い合うことさえしてきた歴史は過去のものとなります。』
4人の女神を乗せたパネルはある程度の高さまで上がると、その場に停止。
そして、女神が足を踏み出すと落ちないように新たなパネルが現れて4人をさらに中央に案内する。
互いの両手が届くような距離まで全員が到着すると、パープルハートが再び式辞の続きを読みあげる。
『本日結ばれる友好条約で武力によるシェアの奪い合いは禁じられます。これからは国をより良くすることでシェアエナジーを増加させ、世界全体の発展に繋げて行くのです。』
女神たちは互いに手を取り合って、最後に誓いの言葉を口にする。
『『『『私たちは過去を乗り越え、希望溢れる世界を作ることをここに誓います。』』』』
同時に祝砲が打ち上げられ、会場に集まった各国の人々から溢れんばかりの拍手が送られる。
普通なら喜ぶべきことなのだが、【極次元ゲイムギョウ界】出身の3人は何処か複雑そうな表情を浮かべていた。
「結ばれちゃったわね。」
「うん。まあ、アタシたちが口を挟める訳じゃないから、仕方ないけど」
「この友好条約に反対する人々が出て来なければ良いんですが・・・・・・」
三人が警戒しているのは友好条約に反対する者たちの秩序の破壊だ。
かつて、【極次元ゲイムギョウ界】もそんな人々たちによって滅ぼされたので3人は素直に喜べないのだ。
「まあ、必ずしもアタシらの世界と同じになるとは限らないしね。」
「そうですね。」
史書イストワールはテレビの主電源を切る。
「さて、そろそろ行きましょうか。着替えもありますしね。」
「うん。ドレスなんて着るのは何時振りかなぁ」
「暢気ねぇ・・・・・・・」
三人はいそいそとパーティの支度を始めた。
〈エグゼアーク〉の修理場所を何処にするか迷った結果、プラネタワーの地下ということになりました。ちなみに格納庫はネプギア製。
機械オタクであるネプギアなら地下に格納庫とか作っててもおかしくないかなぁ~、みたいな軽い感じで付け足しました。史書イストワールの拡張魔法で実際の広さの5倍になっています。
―――おまけ―――
クーデリア・フォン・リヒトシュナイデン
身長…139.8㎝
武器…双剣
出身…極次元ゲイムギョウ界 プラネタリア
極次元ゲイムギョウ界の紫水晶の女神。
元々は名門貴族の出身で高飛車な一面があったが、女神としての役目を全うしている間に軟化して、現在のような親しみやすい性格へと変貌した。
天然のウェーブが掛った長い金髪に碧眼。低身長であるが、本人は気にしない。
プラネタリアの技術者が作り上げた双剣を武器に戦い、魔法全般が得意(一番得意なのは幻術関係の魔法)。
イメージモデルは株式会社ガストのゲーム「アトリエシリーズ」に出てくる人。
(多分、身長を照らし合わせれば一発で分かる。)