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今回もホームズ陣営視点です!第二の事件はホームズ達からはどう見えていたのか…ぜひお楽しみに!
私達はあの時の判断を未だに後悔することがある。
もっと何か良い方法があったのではないか…と。
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私とホームズがボーンズ家跡に到着したとき、まだ太陽は高いままだった。
「ホームズ、結局どこから探すんだい?」
そう、レイチェル嬢が失踪したのは3年前。普通に探しても見つからないだろう。
「まず探すべきは、生き残った二人のうち、使用人の方だ。」
「使用人?ああ、なるほど。もしかしたら未だに交流があるかもしれないからか。」
「そのとおりだ、ワトソン。そして、使用人はおそらくこの近くに住んでいるはずだ。」
「それまた何故?もしかしたらもっと別の所に住んでいるかもしれないじゃないか。」
「ボーンズ家の屋敷の庭を見てみたまえ。しっかり手入れされているだろう?それに塀もキレイだ。だが、完全にキレイなわけではなく、汚れがあまり取れていない部分もある。これは、掃除を個人でしているからだ。おそらく、一週間か一月に一度掃除に来ているんではないかな。ただ、掃除を他人に頼んでいたらここまでキレイではないだろうし、遠くから通うのは流石に金がかかりすぎる。だから近くに住んでいるのではと考えたんだ。」
「なるほど…。」
私はそんなことを思いつきもしなかった。
「やはり、君は凄いなホームズ。」
「いつも言っているが、私の推理は観察とそこからの推測で成り立っている。まずは観察なんだよ、ワトソン。」
「それでも、だ。で、天下の名探偵シャーロック・ホームズはどうやってその使用人を見つけるんだい?」
「それは簡単さ。」
「ほう?どうやって?」
「もちろん聞き込みだよ、ワトソン。」
「やっぱりな。」
そうして私達の午後はゆっくり過ぎていくのだった。
……
夕食を食べながら今日を振り返る。
「一日目は収穫なしか…。ホームズ、どうするつもりだい?」
私達は結局、使用人の家を発見することは出来なかった。そもそも、名前すら知らないのだから当然といえば当然なのだが。
「ふむ…そうだな、ワトソン。明日は依頼人の所へ行ってみよう。こういうときには調査の焦点を変えるのは有効な手段だ。」
それもそうだ。詰まったところでずっと考え込んでいてもどうしようもない。
「もしかしたら、行くだけでもある種の情報は得られるかもしれない。朝の第一便で届くようにしたいから…。」
ホームズは手紙を書き、店から蝋を借りて封をした。そして支払いを済ませると、店の外の通りにでて、
「馬車屋ぁ!」
近くを通った馬車を止めた。
「おう、どうした旦那。」
「ベーカー街まで頼む。あと、これを出してきてくれないか?」
そして御者に手紙を渡して、私達はベーカー街へ帰ったのだった。
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「おはようワトソン!そろそろ起きたまえ!」
朝の目覚めは最悪だった。
「なんだいホームズ?まだ朝の8時じゃあないか。こんな早くに起こすことは…」
「出かけるぞ。外に馬車を待たせてあるから30分以内に支度してくれ!」
「そんな無茶な!」
……
「で?ホームズなんでこんな朝早くから出かけるのかね?」
私は頭痛と早く起こされたストレスとで割とキレていた。
「まぁ、そんなに怒るなワトソン。依頼人の屋敷に行く前によっておきたいところがあったんだ。」
よっておきたいところ…?それは…?
「君一人で大きな屋敷を掃除するときに、君ならいつ掃除を始めるかい?」
何を言っているんだホームズは?
「それは…朝からじゃないか?屋敷は広いんだ…ろ…、…まさか!」
「そう!昨日確認したとき、少々汚れた部分があったんだ。つまり、そろそろ掃除に来る頃合いということだよ。」
「それは…そうかもしれないが、でも、今日なのか明日なのか明後日なのかわからないじゃないか。まさか毎日通うつもりでもあるまい。」
そう。近々来るとわかっていてもそれがいつなのかわからないのだ。毎日張り込むのも難しいし…
「よく分かっているじゃないか、ワトソン。」
「…はぁ…。」
私は、溜め息を一つ吐くと、そのまま座席に沈み込んだ。
……
私達は依頼人の屋敷に向かっていた。…それで、ホームズ?
「結局…使用人見つからなかったじゃ無いか。」
私達は今日も使用人には会えなかった。ただし…
「使用人の名前が分かったんだ。大きな収穫だろう?」
そう。使用人の名前はオリバー。オリバー ノーランドと言うらしい。屋敷の近くで犬の散歩をしていた婦人から教えてもらったのだ。
「はぁ…。そういう問題では無くてだな、ホームズ」
このままでは毎朝8時起きという苦行を背負わなければならない。
「そのために、今から依頼人の屋敷に行くんだろう?なぁ?ワトソン。」
「…………はぁ…。」
この不健康探偵を病院に突っ込みたいのを我慢しつつ、私は溜め息を吐くのだった。
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私達がスペンサー卿の屋敷に到着した頃には既に日は高く登っていた。呼び鈴を鳴らしてしばらくすると、一人の老紳士が出てきた。どうやら彼はこの屋敷の使用人らしい。
「依頼の件で来ました。シャーロック・ホームズです。そしてこっちが友人のワトソンくん。」
「どうも。ジョン ワトソンです。」
自己紹介をして、中に入ろうと思ったのだが…
「すみませんが、旦那様は誰とも会わないと申しておりまして、屋敷の中に入れることはかなわんのです。」
「ほう?それはまた何故?」
誰とも会わない…?こっちは依頼を受けたというのに?
「…そうですね…、旦那様は今少し風邪気味で、寝ているのです。」
「ワトソンくんは医者だ。」
「そうだな。良かったら診察をしましょうか?」
私も医者だ。一目見れば病気かどうか分かる。が、
「今、かかりつけの医師が来ているので大丈夫です。」
そう言って断られてしまった。
……
結局私達は屋敷に入ることすら出来なかった。
「依頼をしておいてあの態度は無いだろう、なあホームズ。」
「いいや、ワトソン。彼はとても有益な情報を私達にくれたよ。」
何も話すらしていないのに?
「どういうことだい、ホームズ?スペンサー卿とは挨拶すらしていないじゃあないか。」
「その通りだ。風邪だと言っていたが、おそらくは仮病だろう。それほどまでして外部との接触を避けている…まるで『命を狙われている』みたいにね。」
「な!?まさか、ベーカー氏を殺害した犯人が次はスペンサー卿を狙うというのか!?」
「少なくとも、スペンサー卿はそう思うだけの心当たりがあるということだよ。で、なければこんなことはしないだろうな。」
私は驚愕した。もしかしたら、私達は連続殺人犯の前に立つことになるかもしれない…そう考えただけで背筋に氷が走るようだった。
「ところで、さっきからこちらをこっそり見てる君は、スペンサー卿の屋敷のメイドかな?」
その言葉を聞いて後ろを振り向くと、
「バレちゃいました?」
と言って一人のメイドが木の後ろから出てきた。
「足音が聞こえていたからね。で、君は何故こんなことを?」
「えぇ〜と、ロンドンで有名な探偵さんが来ているって聞いて見てみたかったのと…、スペンサー卿に会う方法をお教えしようかと思ったんですよぉ。」
スペンサー卿に会う方法!?いったいどうやって…?
「どうやってスペンサー卿に会うのかな?」
「えぇ〜と、明後日の夜にスペンサー卿はパーティーに参加するので、そこに行けば会えると思います、はい。」
その瞬間ホームズの表情が明らかに曇った。
「そうか…。ありがとう。参考になったよ。」
そう言ってそのまま踵を返し、馬車の方に歩きだしてしまった。
「情報ありがとう。ではこれで。おーい、ホームズ!」
私もメイドに礼を言ってから歩き出した。それにしても…
「どうしたんだ、ホームズ?せっかくスペンサー卿に会う方法が分かったのに。」
ホームズは先程からずっと苦い顔のままだ。
「なぁ、ワトソン。もし、君に、どうしても殺したい相手がいるとしてだ。」
「ん?あぁ、いるとして?」
「その相手がずっと家から出てこないとして、」
「それは困るな、殺しようがない。」
ホームズはなんの話をしているんだ?
「もし、その相手が明後日のパーティーに出てくるとしたらどうする?」
明後日のパーティー…まさか!?
「ホームズ!君は明後日のパーティーでスペンサー卿が襲われると思っているのか!?」
「ああ、少なくとも私だったらそうするだろう。」
ホームズが語った最悪の推測に、いつの間にか私の表情も歪んでしまっていた。
ーーーーーーーー
3日目の朝、私達はまた、ボーンズ家跡に来ていた。
「なあホームズ、本当に来ると思うかい?」
私はホームズにずっと思っていたことを聞いてみた。
「だって屋敷の半分は焼け落ちてしまっているんだ、こんなところを掃除しに来たりするのかな?」
「人間、長年ついた習慣はなかなか離れないものだよ。」
ホームズそう言って軽く笑う。そして…
「来たぞ、ワトソン!間違いない!あれがおそらくオリバー ノーランドだ!」
一人の男性が門の前まで歩いていき…そこで足を止めたのだった。
「ふむ…どうしようか…。」
「ん?声をかけるんじゃないのか?」
「いや、声をかけて逃げられたら、二度と彼に会うことはできないだろう。そうだな…、ワトソン。先に帰ってボーンズ家に別荘とかがないか調べてくれないか?」
「ああ、構わないが君はどうするんだい、ホームズ?」
「私は彼を、尾行してみるよ。ではワトソン、6時半にパーティー会場でどうだい?」
「分かった。ではまた後で、頑張れよホームズ。」
「君もしっかり頼むよ、ワトソン。」
こうして私達は別れて調査を行うのだった。
……
午後7時、私達はパーティー会場に居た。
「ホームズ、収穫は何かあったかい?」
「あぁ、オリバー ノーランドの家が分かった。ボーンズ家跡から少し離れたところにある一軒家に住んでいるようだ。」
「やはり君の推理は合っていたということか。」
「まあ、推理というほどのものでも無いが、そういうことだ。それで君のほうはどうだった?」
「ああ、郊外に別荘が一つあった。ここからだと…おおよそ2時間くらいかな。」
「なるほど、馬車が必要な距離か…。」
そうしてホームズは歩きながら思考の海に落ちていく。その時、拍手が鳴り響き、誰かが正面の舞台に上がってきた。
「皆さん、今日は私の開いたパーティーに来ていただき、誠に嬉しく思います。一応自己紹介を。私の名前は
ノーマン スペンサー。軍で大佐をしておりました。今日は…」
スペンサー卿の挨拶が始まったので、ホームズに声をかける。
「おい、ホームズ。あれがスペンサー卿らしい。」
「ふむ…挨拶が終わったら声をかけようか。それにしても…軍人しかいないな。」
そう。この部屋は今や軍服の赤で埋め尽くされていた。と、その時私はふと、窓際に歩いていく青年を見かけた。一瞬、モリス君かと思ったが髪の色が違う。その青年が気になって見ていると、彼は辺りを見渡して、こちらを一瞬見たあと窓を開け、外に向かって軽く手を振った。
その時だった。
大きな破裂音が窓の外から聞こえた。
続いて窓ガラスが割れ…、スペンサー卿の真横にあった花瓶が粉々に砕け散った。
誰かの悲鳴が上がり、私達の後ろにある出口に人が殺到する。そのまま、私とホームズは人の波に飲まれた。
「何っ!ワトソン!スペンサー卿は無事か!?」
「幸い外れたようだ!今、誰か将校がスペンサー卿の方に走って行った!」
「それは本当かワトソン!皆さん!どいてください!」
なんとかホームズが人の波を抜け走り出す。
「くそッ!裏口か!ワトソン出来るだけ速く来てくれ!」
そういうとホームズは裏口の方に走っていった。数十秒遅れて私も脱出し、裏口に走る。
私が裏口から出るとホームズは表通りに走っていた。
「ホームズ!?スペンサー卿は!?」
「やられた!馬車で誘拐されたんだ!っ、馬車屋ぁ!」
ホームズがなんとか馬車を捕まえた。私達は急いで乗り込み、
「郊外のボーンズ家の別荘までだ!急いでくれ!」
ボーンズ家の別荘に馬車を走らせた。
……
馬車の中で、何が起きたのかホームズを問い詰めた。
「ああ、この事件の犯人は、私が戦ってきた数々の犯罪者のなかでも、一番と言っていいほど狡猾で計画的だ。それに何より、スペンサー卿を憎悪している…。犯人は、私達がこのパーティー会場にいることすら予想していたんだ。それで、私達が出入り口…つまり、パニックが起こったときに巻き込まれる位置に行ったのを確認して、スペンサー卿の『横の花瓶』を狙撃させたんだ。」
「何!?何故スペンサー卿を撃たなかったんだ!?」
「それは、おそらくスペンサー卿を誘拐する必要があったからだ。」
誘拐する必要があった…?
「いや、正確にいえばあの場では殺したくなかったと言ったところか…。私の予想が正しければ、スペンサー卿はもう…殺されただろうな。」
この時ほど彼の予想が外れていて欲しいと思ったことは無いだろう。だが、私達の正面から馬車が走って来たのを見て…確信してしまった。
四人乗りの馬車で御者が一人。馬車の中にはランプがあるらしく、薄っすらと光が漏れていた。
すれ違った瞬間、中を見た私は…
真っ赤に染まった目をした青年と目があった。
目の色とは反対に、その目は感情の一つも感じさせない、氷のような視線をこちらに向けていた。
「ワトソン!しっかりしろ!」
ホームズの声で私はハッとして大きく息を吸った。どうやら私はあの瞬間から息を止めてしまっていたようだ。
「すまない、ホームズ。で、どうする?あの馬車を追うか?」
「いや…別荘に向かおう…。ほんの少しの確率でもスペンサー卿が生きているかもしれないなら、私達は確認しに行かねばならないからね。」
そういうホームズの顔はとても苦々しく歪んでいた。
……
私は今でもあの光景を夢に見ることがある。
屋敷に入った私達を出迎えたのは想像の何倍も凄惨な光景だった。
スペンサー卿だったものは何にも例えることができないほどの恐ろしい顔をしていた。
「………気をつけろ、ワトソン。周りに飛び散っているこの液体は…おそらく硫酸だ。」
ホームズの一言で私はここで何が起きたのか理解してしまった。
口を、喉を、食道を、胃を、内臓を
生きたまま焼かれ、溶かされるのはどれほどの痛みなのだろう。
人間にこんな残酷なことが本当に出来るのだろうか?
私には私達と同じ人間がこんなことしたのだと言うことを信じられなかった。……信じたく無かった。
ふと、ホームズが地面に落ちていたメモを見つけた。彼はそのままメモを拾い上げ…
「……っ!くそッ!!」
メモを見た瞬間今まで見たことがないほど表情を歪ませた。その表情はもはや…憎悪に近かった。
「どうした、ホームズ!?」
「……見てみたまえ…。」
「『あと一人』…?これってまさか!?」
「……このままならもう一人死ぬことになるだろうな…。」
ホームズはそう言って天を仰いだ。
私は絶句した。
あのホームズを出し抜き、人を惨殺した上で、ホームズに挑戦状を叩きつけた人間がいるということを知ってしまった。
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あの日からホームズは朝早くから家を出て、帰ってくる頃には日付をまたいでしまうという生活を繰り返していた。もともと青かったホームズはますます疲弊し、このままだと、病気になってしまうことは誰の目から見ても明白だった。
そうして2日が過ぎた。
その日はホームズは早めに眠ったおかげで幾分か顔色も良くなっていた。そうして、朝食をとり…
「ワトソン。レイチェル嬢に会いに行くぞ。」
そう言ったのだった。
今回は長めだった。(当社比)
次回からは本編に戻ります!
こんな駄文を最後まで読んでくれてありがとうございます!
また次回もお楽しみに!
ネモォォォ…。(石残り2個)