【RTA】FGORPG<傍観者>ルート   作:名無しのクラゲ

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作者)……ヴッ!(無言の死)

週間18位!みなさん読んでくれて本当にありがとうございます!!

今回もホームズ視点。そして、今回はホームズ側が完結です!

それでは今回もお楽しみください!!


幕間1 探偵の失敗 その終わり

 

私達は誰もあのような結末を望んではいなかった。しかし、私とホームズは選べた選択肢の中から、最低最悪の選択をしてしまったのだ。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

2日後の夜、私達はボーンズ屋敷跡に来ていた。彼…オリバー ノーランドによると、最後の復讐はこの屋敷の一番奥、レイチェル嬢の部屋だった場所で行われるということだった。

 

「緊張しているかい、ワトソン?」

 

「当たり前だろう、ホームズ。私達のやろうとしていることは、全速力の馬車の前に躍り出るようなものだよ。」

 

「しかし、私達はそれをして、なおかつ生き残らなければいけないのだよ。」

 

ホームズは軽く笑う。

 

「さあ、馬車が来たぞ!ワトソン、木の裏側へ!」

 

ホームズに言われたとおりに木の裏に隠れる。数秒後馬車が通り過ぎる音が聞こえた。

 

「なんとかバレてはいないみたいだよ、ワトソン。」

 

木の裏から出て、ホームズの方へと向かう。ホームズは植え込みに移動していたので、私もホームズの横まで移動し、植え込みから顔だけをだして屋敷の方を見る。

 

「どうだい、ホームズ。何か見えるかい?」

 

双眼鏡で見ているホームズに聞く。

 

「ん?ああ、今、ペイトン卿が屋敷の中に運び込まれたところだ。」

 

「ホームズ、こんなに悠長にしていていいのかい?」

 

「少なくとも一番奥、レイチェル嬢の部屋まで行ってから侵入したいね。逃げれられないようにしなければ、また、復讐しようとするだろうからね。」

 

それに、とホームズは付け加える。

 

「彼女はすぐに殺したりはしないだろうしね。」

 

そう言ってホームズは拳銃のチェックを始める。私も同じように、拳銃を取り出すと、銃の最終確認を行う。

 

そして、それが終わると私達は、屋敷跡の中へと侵入した。

 

「これは…なかなかにひどいな…。」

 

ホームズが思わずといった感じでこぼした言葉が耳に入る。私も同感だった。大広間だったと思われる部分はほとんど原型をとどめていなかった。大理石の床には瓦礫が散らばっており、真ん中のあたりは黒くなっている。

 

「ふむ…レイチェル嬢が向かったのは奥だから…あっちか。」

 

ホームズが拳銃を右手に、ステッキを左手に奥に向かって歩きだす。私も右手に拳銃を持ち、いざというときのために警戒しながら歩く。

 

足音一つ立てないように慎重に一歩一歩を進めて、しばらくすると、一つのドアの前にたどり着いた。ここまで炎は来なかったらしく、昔のままの姿できれいに残っていた。

 

「…ここだ。」

 

出来るだけ小さな声でホームズが私に伝えてくる。

 

「…行くかい?」

 

「…ああ、行くぞ。」

 

そう言ってホームズは拳銃のハンマーを下ろし、そのまま部屋のドアを開ける。そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこまでだ。モリス君、いや…レイチェル ボーンズ嬢。」

 

 

 

 

 

部屋の真ん中に立っていた彼…いや彼女はゆっくりとこちらを振り返る。

 

 

 

 

 

「…何故、ここにいるのですか?ホームズさん…いや、探偵シャーロック・ホームズ。」

 

今まで会っていた中で一度も感じることの無かった威圧感を感じる。彼女の片手には拳銃が握られている。

 

「君の従者、オリバー ノーランドに教えてもらったのだ。今日、ここにいたるまでのすべてを。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

モリス君…いや、変装したレイチェル嬢に会った次の日、私とホームズはオリバー ノーランドと会っていた。

 

「…それで、俺に聞きたいことって何なんだ。」

 

彼は気だるげにソファーに腰掛けている。

 

「簡単な話だ。…ホールド モリス、いや、レイチェル嬢の復讐について、君はどう思っているんだい?」

 

その瞬間、彼の顔があからさまに警戒へと変わる。

 

「探偵さん…あんたどこまで知っているんだ。」

 

「そうだね…何かしらの理由で、アラン ベーカー、ノーマン スペンサー、そして、トーマス ペイトンの3人に彼女の家族、使用人がほとんど殺されたこと。それに復讐心を抱いたレイチェル嬢が、陸軍に入って情報を集め、今回の一連の事件を起こしたこと。あとは…うん。まぁ、このくらいだね。」

 

「…お嬢、全部バレてるじゃないか…。」

 

ホームズが淡々と告げると、彼は観念したようにうつむき、苦笑した。

 

「…それで、どうするつもりだ…。警察に突きだすか?」

 

彼の表情には諦めが見えた。先程のがよほど効いたのか。それとも、もう、復讐をやめたかったのか。

 

「まぁ、落ち着きたまえよ。まずは…そうだね。レイチェル嬢は今どこに?」

 

「…知らねえよ…。お嬢は、あんたたちが昨日帰ったあとすぐにどっかに行っちまった。」

 

「ふむ…では、次の復讐はいつ、どこで行われるんだ?」

 

ホームズの言葉に対し、彼は、

 

「…言ったらどうするつもりだ?」

 

明らかな敵意を向けてきた。

 

「…私達は彼女を止めなければならない。」

 

そう言った後ホームズは、「だが…」と付け足す

 

「私はレイチェル嬢を、警察に突きだすつもりは無い。」

 

ホームズの言葉を聞いた彼は、ありえないといった表情で、

 

「…なぁ、探偵さんよ…。…嘘は良くないぜ。だってあんたが言っているのは2人殺した連続殺人犯を野放しにするって意味だってことわかってんのか?」

 

「ああ、そうだ。」

 

彼、オリバー君は絶句していた。それもそうだ。彼の目の前にいる探偵はレイチェル嬢の罪を知った上で見逃そうと言っているのだ。

 

「…ホームズ、君はまた自分勝手に…」

 

「ワトソン…法律というものは正しいが、正義では無い。……家族を殺した相手に復讐をすることを、この世の誰が裁けると言うのだろうか…。」

 

「…そうか、じゃあ私は何も言わないでおくよ。」

 

「…すまないね、ワトソン。いつも君には迷惑ばかりかけている。」

 

そう言ってホームズはオリバー君の方に向き直り、

 

「そういうわけだから、私もワトソンも事件のことを警察に話したりはしないから、安心してくれたまえ。」

 

と、軽く笑って言った。

 

「……あんたたち、本当に馬鹿だよ…。大馬鹿だ…。見逃したら、今回を防いだって、またいつかリベンジするかもしれないのにな…。」

 

彼…オリバー君はそう言って軽く天を仰いだ。そして…

 

「明日の夜、ボーンズ屋敷跡、その一番奥の部屋でお嬢は最後の復讐を行う。」

 

「…そうか…。ありがとう、オリバー君。」

 

彼はその言葉を聞くとうつむき、何かを考え込んだあと意を決したように顔を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………あんたたちなら、お嬢を救ってやれるか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……私達にできる最大限の努力を約束しよう。」

 

 

 

 

「……そうか、それで十分だ。」

 

彼はそう言って姿勢を正して、ホームズと私の方にしっかり向き直り…

 

「…探偵さん。『依頼』をさせてくれ。依頼内容は……、お嬢の『復讐』を止めることだ…。」

 

「…わかった。その依頼、受けよう。…だから、君の口から、今日、ここに至るまでを教えてくれないか。」

 

「……聞いても、つまらないと思うぞ。」

 

彼はそう前置きしたあと話しはじめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

11年前、オリバー ノーランドはボーンズ家の執事見習いだった。彼の家は代々、ボーンズ家に仕えていて、彼もその一人だった。

 

ボーンズ家は主人のジョージ、その妻と息子、そして、一人の娘の四人家族だった。

 

娘の名前はレイチェル。小さい頃から感情や自己意思が希薄だったため、ボーンズ家の中では気味悪がられ、部屋も一番奥の部屋が割り当てられた。しかし、十歳の誕生日が近くなると、人と話そうとしたり、笑顔を作ったりするようになり、家族と仲直りをした。

 

その少女が「とうさまと話せた!」と言っていた日などは使用人一同でほっとしていたものだ。

 

そして、少女の十歳の誕生日の日…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの事件が起こった。

 

3人の男が屋敷に侵入したのだ。

 

少女はその日体調を崩しており、一番奥の自室で眠っていたため難を逃れたが、少女の家族、家の使用人は全て殺された。

 

ただ、例外として、その日、仕事をサボっていた事を怒られ、庭に放り出されていた執事見習いは生き残った。

 

彼が異変に気づき、家の中に戻ったときには全てが終わった後だった。彼は急いで生きている人を探した。

 

そして、少女を除いた全ての遺体を確認して、生き残ったのが自分だけだと、知ってしまった。

 

 

 

 

彼は泣いた。

 

泣き叫んだ。

 

自分が気づくのがもっと早ければ、助かった命があったのかもしれないと。

 

自分がサボりをしなければ、自分も戦っていれば、全員が死ぬ事なんてことは無かったのではないかと。

 

声を枯らして叫んだ。

 

誰からも返事はなかった。

 

泣いて、泣いて、泣き叫んで………

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

後ろから、少女の声がした。

 

『…まだ…いきてるの?』

 

振り返って見れば、そこにいたのは…

 

てっきり死んだものだと思っていた少女だった。

 

『…ええ、残念ながら五体満足ですよ…。』

 

彼は答えた。

 

『なら…よかった。』

 

そう言って少女はかがんでいた彼の頭をなでた。

 

彼は少女を抱きしめた。

 

人のぬくもりを感じた。

 

この家でもう感じることはできないと思った温かさだった。

 

『……っ…お嬢こそ無事で…よかった…!』

 

彼は、自分だけが生き残った意味を知った。

 

この少女を守り抜こうと、彼は決意した。

 

 

 

数分がたち、彼が落ち着きを取り戻したとき、少女はこう切り出した。

 

『わたしは、みんなをころしたやつにふくしゅうをする。できるだけ、いたくて、こわいおもいをさせて、ころしてやる。』

 

彼はその時の少女の表情を忘れないだろう。

 

それを話しているときの少女の顔は悲しみと憎悪で歪んでいた。

 

彼は少女の表情が変わるのを見るのは初めてだった。

 

『だから、あなたも、わたしと、ふくしゅうしない?』

 

彼は少女の伸ばした小さな手を取った。

 

 

 

 

 

 

 

葬儀が終わってからは時間が過ぎるのはとても早かった。

 

少女は人を騙せるように、演技や変装の練習を夜遅くまでし続けた。

 

執事見習いだった彼は、馬車を動かせるようになり、また、ライフルも撃てるようになった。

 

 

 

 

 

 

気がつけば8年が経過していた。

 

少女だった彼女は、成長し、もう一人前の大人と変わりなかった。

 

執事見習いだった彼は、仕事中に誰が見ても執事だと思われるような完璧な執事になっていた。

 

そんなときだった。彼女が

 

『私、陸軍に入ろうと思うんだ。』

 

と、言ったのは。

 

当然、彼は

 

『無茶だ、お嬢。そもそも、お嬢は女だ。どうしたって入れっこない。』

 

と言ったが、彼女が自室に戻り、出てきたとき、言葉を失った。

 

『どうだい?()は?』

 

青年が立っていた。美青年だった。一瞬誰だかわからなくなるくらいだった。

 

結局、彼は彼女の意見を認めた。

 

そして、彼女は陸軍に入った。

 

 

 

 

 

 

 

さらに三年が経った。

 

彼女は、

 

『やっと復讐相手を見つけた。』

 

と言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうですか…。オリバーから…ですか。」

 

彼女…レイチェル嬢はホームズの方に拳銃を向けながら、大してショックも受けてなさそうに言った。

 

「…レイチェル嬢、一つ聞いてもいいかい?」

 

彼がレイチェル嬢と話している間に、私は部屋壁沿いを伝って、拳銃を構えたままレイチェル嬢の後ろに回り込む。

 

「…なんでしょうか?」

 

「…君は、何故、ここまで『復讐』にこだわったんだ?」

 

そうホームズが聞くと、拳銃を額にあて少し考えたあと、

 

「そう…ですね。別に、そこにいるゴミをどうしても殺したいとは思っていないんですよね…。強いて言えば…、『彼を殺さなければ、私は先に進めないから』って言うところでしょうか。」

 

そう言って、彼女は私と、その横にいる、縛り付けられて動かないペイトン卿を一瞥する。

 

「…レイチェル嬢、もう、終わりにしないか…?」

 

ホームズが言った。

 

「…アメリカに渡れば、君は追われることは無いだろう。少なくとも私達はこのことを警察に報告したりはしない。

だから…、もう人を殺さないでくれ。君なら、まだやり直せる。」

 

ホームズの言葉はまるで懇願するようだった。

 

「今更…止めろですか…。ええ、いいですよ。今は流石に分が悪すぎる。拳銃2人に勝てるなんて自惚れては無いですからね。…ただし、いつかまた来ますよ?」

 

彼女は困ったように笑い、ホームズと…私を見て、表情が突如として消えた。

 

その時、私は視界の端にふと奇妙なものを見つけた。

 

布…?何故…?

 

 

 

 

 

レイチェル嬢がこちらに拳銃を構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間だった。私の拳銃に大きな手が伸びてきて、掴まれる。

 

反射的に、手が伸びてきたほうを見ようとして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の視界はなぜか天井を写した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

轟音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の体が地面に叩きつけられたことで、私は殴り飛ばされたのだと初めて気づいた。

 

 

 

 

 

 

 

何が起きたのか確認するため顔を上げる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私がいた位置に大柄な男が立っている。

 

 

 

 

ペイトン卿だ。なぜ?椅子に縛りつけられていたはずだ。

 

 

 

 

拳銃を持っている。私から奪ったものだ。

 

 

 

 

 

銃口から煙が出ている…発砲した!?

 

 

私はもっと現状を確認しようとして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、レイチェル嬢が膝から崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………っ!!」

 

一番速く動いたのはホームズだった。

 

拳銃を片手で構えたまま、レイチェル嬢の近くまで走り寄る。

 

ペイトン卿はそのまま後ろに下がり、私とホームズから等しく距離をとった。

 

「レイチェル嬢!!返事をしてくれ!!」

 

ホームズがレイチェル嬢を支えているが、レイチェル嬢には意識が無いようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

動かないレイチェル嬢のその腹部がどんどん赤く染まっていく。

 

 

 

 

―――撃たれた

 

そう理解するのに時間はかからなかった。

 

私は彼女のほうに駆け寄ろうとして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「動くな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また轟音が響く。

 

 

 

 

レイチェル嬢が落とした拳銃が部屋の隅まで弾かれる。

 

 

 

 

 

「その場から動くなよ。」

 

ペイトン卿はそういうと、拳銃を私とホームズにそれぞれ向ける。

 

「俺は拳銃の腕に自信があってな。そこの青い顔のやつの頭を吹っ飛ばしてから、そのまま、そっちのひげ面を撃ち殺すことくらい簡単にできるんだ。」

 

そのまま彼は軽く体をほぐし、こう言った。

 

()()()()()、探偵さん?わざわざ、俺が縄を抜けるまで時間を稼いでくれてよォ。」

 

そのままガハハと品のない笑いかたで笑う。

 

「…トーマス ペイトン。1836年生まれで、16年前、アメリカでの銀行強盗のリーダーだった。それをボーンズ氏に知られ、家族もろとも殺害。……本当に救いようも無い社会の屑だ。」

 

ホームズが毒づく。が、ペイトン卿は逆に笑って

 

「よく知っているじゃねえか、青顔。なら、なおさら帰せなくなっちまったなァ。」

 

そう言ってまたガハハと笑う。

 

 

 

 

 

 

 

この状況になったのは完全に私のせいだった。

 

私が不用心に近づいたから。

 

私が拳銃を奪われてしまったから。

 

ペイトン卿のほうをよく確認していなかったから。

 

結果として、レイチェル嬢は撃たれ、私達は絶対絶命の危機に立たされている。

 

 

 

「どうした、ひげ面。懺悔してえのか?なるほどなァ。自分のせいで絶対絶命のピンチですってか?」

 

私のほうを見ながら彼は笑う。

 

「まったく…本当にありがてえことをしてくれたなァ。不用心なお前のおかげで、ボーンズの餓鬼は殺れたし、俺のことを知るやつを二人も消せる…感謝してえけどよォ、あいにく持ってるのが拳銃しかねぇんだわ。だから、お礼に弾丸しか渡せねえなァ?」

 

そう言って、彼はホームズのほうに向き直る。

 

「まぁ…とりあえずお前から殺らせてもらうぜ。」

 

ホームズは拳銃を構えたまま、真正面からペイトン卿を見据えている。

 

「私がそうやすやすと死ぬと思うかい?」

 

「ああ、死ぬね。そして、俺は法廷でこういうんだ。暴漢3人に襲われて、つい反撃してしまったってね。」

 

そして、ペイトン卿は拳銃を構え…

 

「じゃあな、青顔。恨むならそこのひげ面を恨むんだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拳銃に指がかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

轟音。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ペイトン卿が真後ろに倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

彼の額には、黒い点…いや穴が、空いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホームズのほうを見る。

 

彼の拳銃からは煙が出ていた。

 

ホームズの顔が驚愕で固まっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホームズの拳銃を握る手の上から誰かの手がかぶさっていた。血まみれの…包帯の巻かれた手…。

 

 

その時、私は、レイチェル嬢がホームズの手を握り込むことで、ホームズの持っていた拳銃を撃ったのだと気づいた。

 

「…っ、ワトソン!速くこっちへ!」

 

私はホームズのほうに走り寄る。

 

「ワトソン!レイチェル嬢の手当を!」

 

そう言われて、私はレイチェル嬢を診るが…

 

「…駄目だ。内臓を傷つけてしまっている…。」

 

「……っ…クソっ!!」

 

その時だった。

 

ああ…やっ…と…復讐が終わった…のになぁ…

 

「っ!レイチェル嬢!」

 

やっと…前に…進めるのに…

 

まるでうわ言のようにレイチェル嬢は言葉を発していく。

 

 

 

 

「ぁぁ…いたい…な

 

「…レイチェル嬢…もう喋らなくていい…。」

 

窓からの月光で部屋が照らされる。

 

たんてい…さん。わたし…ふくしゅうがおわったら、やりたいしごとが…あったんだ。

 

暗くてホームズの顔はよく見えない。

 

はいゆう…とか、けいさつ…とか、あとはおいしゃさまとか…

 

レイチェル嬢はまるで将来の夢を語る子供のようだった。いや、実際そうだったのかもしれない。彼女の時計は11年前のあの日から進んでいなかったのだ。

 

ああ…たんていも…い…いな。

 

何かが砕ける音がした気がした。

 

「……っ、ああ…。きっ…と…君なら…最高の探偵に…なれるっ…。」

 

ホームズの声の端々が揺れる。

 

不意にレイチェル嬢が何かを求めるように手をのばした。

 

……しにたく…ない…な。

 

ホームズが思わず手を取る。

 

あ…ぁ…さ…むい…よ…

 

レイチェル嬢の言葉が途切れ途切れになる。

 

く…ら………いな…ぁ……

 

よく聞こうとしなければ聞き取れないほど、声が小さくなる。

 

 

 

 

 

 

ぁ………あ…………も…う………こ…え…も……きこ…え………な…………い……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホームズの握っていた手が、床に落ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイチェル嬢の琥珀色の目は、もう何も映してはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから、だいぶ年月がたった。

 

この間、オリバー ノーランドが死去したと聞いた。ジョー大佐は2年前に亡くなったため、事件の当時者は私達だけになってしまった。

 

 

早朝、レイチェル嬢を運んだとき、オリバー君は

 

『……そうか、あんたたちでも駄目だったか…。』

 

と言った。明らかな諦観だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

私達はあの時の判断を未だに後悔することがある。

 

もっと何か良い方法があったのではないか…と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………あの少女を救いたかったと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ホームズ編のほうが先に完結してしまった…。

次回で生前パートが完結!
レズちゃんの言葉の裏で走者はどう発狂していたのか…。

次回もお楽しみに!!







ネモくんガチャ倍プッシュしました。







星4イベント礼装が3枚になりました。

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