青色の下で…First season   作:オレっち

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第9話:気になってきただろ?

「あのさ、部活始まってしばらく経つけどよ。正直どうよこの野球部。俺は竹下が言うように勝ち続けるとかは無理だと思うぜ?」

 

そう話す明輝弘に望月は少し黙っているが飲んだジュースをゴミ箱の中へ入れると明輝弘の顔をまっすぐ見ながら話す。

 

「俺は行けると思うぜ?」

 

「それマジで言ってんの?」

 

そう会話を交わす2人の空間には、どこか張りつめた空気が流れていた。

明輝弘の言葉に返す望月に明輝弘はさらに食って掛かる。

 

「まぁなぁ。今のメンバーが俺を含めて現状以上の力を付ければ不可能ではないと思うよ?」

 

「そうか、秀樹なら話分かると思ったんだがなぁ。」

 

「まぁ今の力じゃあ無理なのは確かだよ?」

 

「そうか。それに俺は、俊哉だっけ?アイツの凄さが分からない。それにぶっちゃけ凄いとは思わないぜ?」

 

明輝弘の言葉に一瞬だが望月の表情が変わった。

その表情は怒るに近い表情をしており彼の眼は鋭く明輝弘を睨むように感じた。

 

「そう思うか?」

 

「あぁ。アイツにホームランが打てるとは到底思えないし。雰囲気的に見ても凄さを感じられないんだが。秀樹もそう思うだろ?」

 

「そうか。あぁ、明輝弘。お前抜いてるだろ?」

 

「は?」

 

「いや、明らか練習してるという感じがしない。」

 

望月に明輝弘は正直驚いた。

彼はきちんと見ていたのである。

この視力の広さに明輝弘は驚きを隠せなかった。

 

「さすがだな。結構中学じゃあ有名だったんだろ?そんな視野の広さがあるんなら」

 

「いや、これに最初に気付いたのはトシだよ。」

 

「は?」

 

「明輝弘。お前はトシを下に見てるようだけど…痛い目に合うぜ?」

 

望月の言葉には異様な重みを感じた。

恐らく望月は俊哉に対して大きな信頼感に似たようなモノを抱いており、俊哉に対してほとんど疑念を持ってはいなかった。

 

「へぇ、そうか。」

 

「あと知ってるか?10人の新入生中、5人がトシが入学すると聞いてやってきたんだってよ。」

 

「マジで?秀樹も?」

 

「いや、残念ながら俺は招集をかけてた竹下がほぼ諦めてたらしく声が掛かんなかった。んだけど、今こうしてここにいるのは偶然じゃあ無いかも。たぶん声を掛けられたら今この状況だったかもな。」

 

笑いながら話す望月に明輝弘は少し困惑していた。

自分では分からないことが他の選手らに分かる。

その事に困惑をする反面、分からなかった事に対して自分に腹が立っていた。

 

(何故あの俊哉に肩入れをするのかが分からないが、そんな事よりその事実を知らなかったことが腹が立つ。本当に奴はそこまでの人間か?)

 

1人脳内で考え出す明輝弘。

そんな明輝弘の表情を見ながら望月はフッと笑みを浮かべながら話し出す。

 

「気になって来ただろ?トシが。」

 

「あ、んん…まぁ否定はしない。もし秀樹や竹下たちが言うように俊哉に対して何か肩入れする力があるというなら、是非とも見てみたいものだ。」

 

「ははっ。そのうち分かるよ。試合とかになれば分かるかな。つっても、俺も実際の所は良く実感できてねえんだけどね」

 

そう言いながら飲み干した缶をゴミ箱に入れ歩き出す望月。

望月は星が広がる夜空を見上げながら何かを思い、再び明輝弘を見る。

 

「もし試合とかでも分からなかったら、止めるなり幽霊部員なりになれば良いさ。」

 

「まぁ元々そのつもりではあったがな。」

 

「やっぱりな」

 

笑みを浮かべ帰路に着こうとする望月を明輝弘は何か思い出したように背を向け歩き出す望月を止め話し出す。

 

「そういや、秀樹はなんでここに来たんだ?誘われてなかったんだろ?」

 

と質問をぶつける明輝弘に対し、望月は頬をポリポリと軽く掻きながら間を開けると再び背を向け歩きながら一言話した。

 

「そのうち話すよ。じゃあな」

 

「お、おい。まぁいいや」

 

一瞬引き留めようとするも諦める明輝弘。

そして明輝弘も空き缶をゴミ箱へと捨てると地面に置いてあった鞄を持ち歩き出したのである。

 

(全く来週にでも来なくなりだそうと思ったが、秀樹の話を聞いて正直なところ気になってきたじゃねぇか。まぁ良い。俺の眼は確かと言う自負があるし、そんなに長居はしなくて済みそうだ)

 

明輝弘もまた、帰路へと着くのであった。

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