青色の下で…First season   作:オレっち

22 / 49
第14話 ゴールデンウイーク

学校での生活も早一ヶ月が経とうとしていた。

ゴールデンウィークが迫る中、教室の中では友人同士で遊びに行こうという計画をたてる者や家族で旅行に行く予定であることを話す者など様々だ。

 

運動部は練習試合や活動日が入るなど連休中の動きも活発になる中、野球部の監督である春瀬は職員室でスケジュール表を見ながら悩んでいた。

 

 

(ゴールデンウィークは約1週間。全部活動日にするのは流石になぁ…かといって正直あいつ等には夏までにもっとやってもらわなければだし…。そしたら土日に練習試合を…いやいや無理だ。この時期で受けてくれるとこなんて、しかも家みたいな弱小が…。あぁ~…悩む)

 

 

1人職員室で頭を抱える春瀬監督。

そんな監督の様子などお構いなしといった所か、教室では野球部の面々が数人で集まり話をしていた。

 

 

「なぁ、ゴールデンウィークどうする?」

 

「遊ぼうぜ 遠出しよう」

 

と本人らは練習をする気は微塵も無いように盛り上がるのは、竹下、青木、山本等である。

 

「そういやウッチ―はどこか行くって言ってたよね?」

 

竹下が背がやや高めで少し太い眉と垂れ目が特徴の生徒に話しかける。

彼の名前は内田浩輔。

野球部のメンバーの一人で、高校から初めて野球をやりたいと入部してきたのである。

温厚で優しい雰囲気を醸し出した生徒で部員やクラスメイトからは“ウッチ―”と愛称で呼ばれている。

 

「僕はライブに行くんだ」

 

「ライブ?」

 

「そう!AIS!」

 

彼の口から出てきたのは全国的に有名なアイドルグループの名前。

この内田浩輔は学校きってのアイドルオタクである。

野球部のメンバーも初めて会ったときは本を読んでそうな大人しい感じの生徒という印象を持っていたが、携帯の着信音がアイドルグループAISのメロディが流れ疑惑が生じ、その疑惑が確信へと変わったのが彼に見せてもらった直筆サイン入りの写真ファイルの束であった。

 

「あー!!もう楽しみでたまらん!!」

 

超絶笑顔で話す内田に若干引き気味の竹下ら。

すると、山本がポツリと一言

 

 

「あ、でもさ 連休中は練習とかあるんじゃない?」

 

「えっ?」

 

「えっ?」

 

一瞬で空気が凍りつき内田の目から輝きが消えた。

竹下も何か予定があったのか表情が曇る。

 

「え?いや無いでしょ」

 

「え?むしろあると思うが…」

 

「え?」

 

「え?でなくて…」

 

端的に言葉を交わす山本と竹下。

するとどこからか現れた明輝弘が山本の後ろに立ちながら愕然とした表情で話しかけた。

 

 

「なん…だと?連休中に練習とか…普通にありえん」

 

「い、いやいやいやいや むしろ運動部なら普通だと思うが!?むしろなんで無いと思ったの?!」

 

「いやいや連休は休むためのもんだろ!?」

 

「間違っては無いけど、それは違うぞ竹下!?」

 

「適当言ってんじゃねぇぞクズ本」

 

「クズ本!?」

 

明輝弘からの辛辣なセリフにガガン!とショックを受ける山本。

そんなやり取りの隣では真っ白になった内田が椅子にもたれており、青木が手首に指をやると驚愕の表情を見せながら震える声で言葉を放つ

 

「し、死んでる」

 

「ウッチ―!?そんなにショックだったの!?ウッチ―!!」

 

 

教室でワイワイやっている頃、職員室では春瀬監督が決まったのか独り言をつぶやきながらスケジュール表に○をいくつか書き込んだ。

 

 

「よし。最後の3日間のだけ練習であとは自由にしてやるかぁ~。夏休みに入れば練習も増やしていくしな。最初の3日間か最後かで悩んだけど」

 

日程が決まり春瀬監督は安堵の表情を見せながら職員室から出ていくのであった。

その日の練習後にゴールデンウィーク中の練習日程が発表された。

最後の3日間を練習に当て、他は休日。

 

その発表に内田は歓喜の笑みを見せ、竹下はドンヨリと暗い表情を見せるなど、明暗分かれる練習日程となる。

部室で着替える先週らの口からは早くも連休中の予定や遊びに行く予定を立てる等の声が聞こえる中、内田はガッツポーズをとりながら嬉しそうに話す。

 

「練習に被って無かったーー!!よっしゃー!!」

 

歓喜の声を上げる内田の隣では、暗い表情を見せながらスマフォ片手に何か打ち込む竹下の姿がある。

 

「残念だったね」

 

「おぉ神よ…」

 

涙目になりながらスマフォを打つ竹下に同情を見せる山本。

また別の場所では秀樹と明輝弘が鞄にユニフォームを詰めながら話をしていた。

 

「明輝弘はどうすんの?」

 

「あぁ、俺はどこかブラブラするさ。あとは家でギターの練習だな」

 

「へー、ギターやってんだ」

 

「まぁな」

 

感心しながら話す秀樹と少し得意げに話す明輝弘。

そんな二人に鈴木康弘が連休中に皆で遊んで交流を深めようぜという提案があり、秀樹は参加を表明したものの明輝弘は“用事があるからパス”と言い断りを入れる。

また鈴木は他の選手らにも声を掛けていくも、すでに予定が入っていたりと断る者が多く人数を集められず泣く泣く中止となったのは別の話である。

 

着替えが終わり部室から出ていき帰宅の途へ着く選手たち。

俊哉も入部以来仲良くなった青木とアニメの話をしながら部室を出て正門へと向かう中、二人の女子生徒に声を掛けられる。

 

「おーい トシちゃんー」

 

「あ、マキに明日香ー」

 

正門付近で立っていた女子生徒に声を掛けられ返事をする俊哉。

その女子生徒は宮原マキと神宮寺明日香の二人。

四人はそのまま共に歩き出す。

 

「このGWは練習とかどうするの?」

 

GWの話題に触れてくるマキに対し俊哉は最後の3日間が練習であることを伝えるとマキと明日香は互いに笑みをこぼすとマキが楽しそうに話を続ける。

 

「私たちも最後の3日間だけ練習なんだ~、よかったらGW初日遊ばない?青木君もどう?」

 

「あー、ゴメン俺はその日はイベントで無理だわー」

 

「俺は大丈夫だよ」

 

残念そうに断りを入れる青木にOKを出す俊哉。

四人はしばらく歩き駐輪場まで向かうと帰路が違う青木とはここで別れることになる。

俊哉、マキ、明日香の三人となり自転車を押しながら歩いているとマキが俊哉を見ながら話を進める。

 

「じゃあ、どこ行こうか」

 

「んー…市内とか?」

 

「それでいいんじゃない?」

 

尋ねるマキ、答える俊哉、同調する明日香の順に会話をする。

その後はどこに行くかとか何を買うかなど色々と話をしながら自転車を押していく三人。

普段なら自転車で20分程で着くのだが、歩きながらなので約50分程掛かりながらも自宅へと到着。

 

「んじゃあ、そんな感じで」

 

「うん よろしくね」

 

手を振りながら別れる俊哉に対しマキと明日香は同じように手を振り家へと戻っていく。

二人を中に入るまで見送る俊哉も自転車を玄関わきへと置き、家へと戻っていくのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。