青色の下で…First season   作:オレっち

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第16話 休日練習

あっという間にゴールデンウイーク前半が終了。

後半は野球部の練習に充てられた。

朝は8時30分にグラウンド集合となっており普段の通学と変わらない時間帯での登校である。

俊哉の住んでいる場所は学校から静岡市街方面へ自転車で約30分から40分ほどの場所であり朝6時半ごろには起きて身支度や朝食を取らなければならない。

俊哉自身朝は弱い方でほぼ毎朝母親に叩き起こされている。

 

この日も母親に起こされ寝ぼけながら朝食を取る。

部屋へと戻り荷物を持って自転車に乗りグラウンドへと向かうのである。

 

 

グラウンドではすでに他の部活動が始まっており休みとは思えないほどの賑わいを見せている。

野球部の部室にはすでに何人かの部員が来ており俊哉は部室に入ると彼らに挨拶をする。

 

「おはよー」

 

「おー おはよー」

 

最初に挨拶を返したのは背は高くはないがガッチリとした体格。

そして太めの眉毛が特徴の堀義隆である。

 

「ゴールデンウィークどうだった?」

 

「遊びに行ってきたよ 堀君は?」

 

「まぁボチボチかなぁ」

 

緩い感じに話をする堀に対し俊哉も緩い感じで話をする。

着替えてグラウンドへと向かうと既に何人かの部員が練習を始めていた。

俊哉も準備運動とキャッチボールを行い本格的に練習を始める。

金属バットの音が響くグラウンド、汗を流しながらグラウンドを翔る選手達を春瀬監督はパイプ椅子に座りながら見つめる。

 

(ゴールデンウィークの残りは練習に当てるとして、ボチボチ練習試合も組まなければ…だが、今の俺らを相手してくれてるトコがあるかどうかがだ…)

 

春瀬監督が頭を悩ませている中でも選手たちは練習に励む。

あっという間に午前中の練習が終わり昼食をとる選手たち。

俊哉が弁当を食べていると、竹下がサンドイッチを食べながら話しかける。

 

 

「トシはこの休み何してた?」

 

「んー、特に大きいことはやってないけど、明日香とマキと三人で遊んだくらいかなぁ」

 

「え?!いやいや、女子二人と遊んだの?!」

 

「そうだけど?」

 

「誘えよ!!誘うだろそこは~!!」

 

「んー…」

 

女子二人と遊んでいた事に誘うようにツッコミを入れる竹下に対し、俊哉は少し悩んだのちに一言

 

「…思わないかな」

 

「そうか、思わないかー・・・・じゃねぇよ!!え?!そこなんでドライなの?!」

 

ツッコミを入れる竹下に対し俊哉は首を傾げる。

そんなやり取りを見せながら昼の時間を楽しむ選手らを傍らに、春瀬監督はまだ悩んでいた。

 

(うーん…やっぱアイツに聞いてみるかな…)

 

考えた末、一つの答えを出した春瀬監督。

1つの悩みが消えたのか、昼休みが終わると春瀬監督は椅子から立ち上がりノックバットを手に選手たちにタップリとノックをしたのであった。

 

ゴールデンウィークでの初日練習が終わった夜、春瀬は1人暮らしをしているマンションの部屋にいた。

シャワーを浴びたのかバスタオルで髪を拭きながらスマフォを片手に部屋の中をウロウロと歩いて回る。

 

「・・・よし」

 

何かを決心したのか電話を掛ける。

プルルルと響く呼び出し音、しばらくすると呼び出し音が切れ男性の声が聞こえた。

 

『もしもし?』

 

「おぉ、夏野か?」

 

電話の相手を夏野と呼ぶ春瀬。

最初は他愛のない会話をするも、春瀬は本題に移ることとなった。

 

「ちょっとお前に提案というか、お願いがあるんだが」

 

『なんだ珍しいな。京壹が願い事なんて』

 

ハハハと笑いながら対応する夏野と呼ばれた男性。

春瀬も笑うが、すぐに真剣な表情へと移し話を続ける。

 

「いやな、夏前に練習試合を願いたいと思ってな 夏野のトコにお願いしたいんだ」

 

そう話す春瀬。

電話先はシンと静かになり暫く静寂が続く中、電話先から声が聞こえてきた。

 

『申し訳ないが、夏までの練習試合は無理だな 予定が入ってる』

 

「だよなぁ」

 

苦笑いしながら話す春瀬に夏野と呼ばれる男性は続けて話を始める。

 

『それに、もし日程的に空いていたとしても申し訳ないが、練習試合は組めないぞ?いくら春瀬の頼みでもな こんな言い方はしたくはないが…レベルの差があり過ぎる それに、ウチとしてもメリットがなさすぎるし、下手すりゃソッチの選手達がショックを受けかねないぞ?』

 

「うん、それは分かってる ここらでアイツらには少し勉強をさせたいと思ってるんだ このチームと同等や以下のレベルの高校と組んではいるが、このままの状態で行くと夏…いやその後に問題が残ると思うんだ だからここ等で強豪校、特に甲子園常連校と試合を組めればと思ってな… まぁ、驕りだな…俺の」

 

そう話す春瀬はマンションのベランダからネオンで輝く静岡の街を見下ろしていた。

静岡の毎年初戦負けのチーム、このレッテルが試合などを上手く組めないことにヤキモキしていた。

特に1年生に力のある選手たちが揃っているからこそ、色々な経験をさせたいと思っていたのだが、やはり現実は厳しい様だ。

 

『まぁ気に病むなよ京壹 そうだな、夏の大会が終わったらもう一度連絡をくれよ それなら組めるかもしれない』

 

「おぅ、そうか?ありがとう」

 

『今度じいさ…監督に聞いてみるよ。俺自身も京壹のトコにいる選手の何人か気になってるのがいるしな』

 

「OK。また連絡するわ」

 

『あぁ 夏大(夏の大会)頑張れよ?あっという間に来るぞ?』

 

「わかってるよ… ソッチは行けそうか?」

 

『さぁね、こればかりはやってみなきゃだしな でもとんでもねぇ1年が二人入ったからな…わからんぞ?』

 

「そう言えばそうだったな 俊哉からたまに情報は聞いてる 大切に育てろよ?」

 

『ハハハ、努力するよ じゃあな』

 

そう言い残しプツリと電話を切る。

ツーツーと電話の切る音が鳴り続く中、春瀬監督は静岡の街をボッと眺めながら大きなため息をつく。

 

「メリットはない…か ムカツク事言いやがって…あいつはその辺ストレートに言うからなぁ なんか悔しくなってきた」

 

そう呟き春瀬はそのまま部屋へと入っていくのであった。

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