青色の下で…First season   作:オレっち

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第3話 かっこいい!!

聖陵学院歴史的初勝利から一夜明けた学校では、どこからか早速噂になっていた。

と言っても一部の間だけであり、学校全体としてはまだまだ浸透されていないのが現状である。

俊哉らも自分たちの口からは勝ったとは言いふらしてはおらず教室では至って普通の生活を送っている。

そんな中の昼休みのとある教室。

 

「そう言えばさ 野球部勝ったんだって」

 

そう話すのは少し変わった感じのお団子頭の髪型をしており、目はパッチリとした女子生徒が真琴に話しかけていた。

 

「あー、そんな事言ってたかなぁ」

 

お弁当を食べながら話す真琴。

その二人の会話に丁度向かいに座っていたロングヘアーで少しおでこが見える髪型をした女子生徒が紙パックのジュースを飲みながら話しかける。

 

「野球部?試合なんてしてたの?」

 

「いや、大会があるって話ししたじゃん私」

 

「いやぁ興味ないから聞いてなかった」

 

笑いながら話すロングヘアーの女子生徒。

真琴はため息をつきながらも野球部の話をしていると、彼女はふと思い立ったように提案を持ち掛けた。

 

「そうだ。今度観に行ってみようか」

 

「私は賛成ー」

 

「えー、いつ?」

 

「次の日曜日」

 

「えー、興味ないからパス」

 

賛同するお団子頭の女子生徒に対し乗り気でないロングヘアーの女子生徒。

 

「まぁまぁ、美咲 うち等チア部ももしかしたら応援に行くかもしれないしさ 偵察よ偵察。ね、絵梨もいいでしょ?」

 

「いいよー」

 

美咲と呼ばれたロングヘアーの女子生徒と、絵梨と呼ばれたのはお団子頭の女子生徒。

賛同する絵梨に対してどうも乗り気ではない美咲は渋っている様子を見せるが、真琴と絵梨が乗り気の為か美咲は渋々承諾するのであった。

 

数日後の二試合目が行われる日。

場所は草薙球場へ移しての試合で、対戦する相手は伊豆学園高等学校。

レベル的には決して強くはない高校である。

 

試合開始と同時に、真琴、絵梨、美咲の3人が球場へ到着。

応援席のある内野スタンドへ入ると人は疎らというより、ガラガラであった。

 

「余裕で座れるじゃんー」

 

急いできたのか汗を流しながらボヤくのは美咲。

美咲の言葉に真琴が「あんたが寝坊するからでしょ?」と怒りながらも3人はベンチの真上の席へと座る。

 

「まだ聖陵の攻撃始まってない」

 

後攻であったため攻撃には間に合った3人。

1回表は終わっており聖陵の選手達がベンチへと戻っている所であった。

 

「あ、ホントに明輝弘4番じゃん」

 

とスコアボードのオーダー表を見ながら話す真琴に対し、美咲は飲み物を飲みながら聞き返す。

 

「四番って凄いの?」

 

「凄いと言うか…信頼されてる感じ?チームで1番打つ打者ってとこかな?」

 

「んー…わかんない」

 

真琴の説明に難しい顔をしながら首をひねる美咲。

美咲自身は全くと言っていいほど興味が湧いていないようで早く帰りたいと思っているばかりであった。

聖陵の攻撃が始まり、オーダーは初戦と代わらず。

一番青木が三振、二番山本が内野ゴロに打ち取られてしまいツーアウトとしたところで打席に俊哉が入る。

 

「あ、トシ君だ」

 

少し嬉しそうに話すのは絵梨。

絵梨は俊哉と同じクラスでたまに話したりしているらしく面識がある。

 

その俊哉は三球目を叩くと三遊間を抜けていくヒットとなる。

そして打席には四番の明輝弘が入る。

 

「結構背デカいね」

 

そんな事を話す美咲。

そんな会話の直後であった。

カァァンと言う金属音が球場に鳴り響くと、明輝弘の振りぬかれたバットから白球がピンポン玉の様に弾かれると、大きな弧を描きながらライトスタンドの芝生へと叩き込んだ。

 

悠々とダイヤモンドを回る明輝弘。

その光景を見た真琴は感心したような表情を見せ、絵梨はパチパチと小さく手を叩きながら喜ぶ。

そして美咲は暫く黙っていたが

 

「…くない?」

 

「え?」

 

「か…こ・・くない?」

 

「え?何?」

 

「か、かっこよくない!?何アレ!ピンポン玉みたいに飛んでった!!あの人…凄くカッコいいよね!?」

 

「え…えぇ!?」

 

 

大はしゃぎをしながら興奮する美咲に対し、普段こんな姿を見たことがないのか若干引き気味の真琴と絵梨。

そんな大騒ぎをしているスタンドを他所に、聖陵学院はこの後も追加点を取っていき8対0で勝利をおさめたのである。

 

2回戦を終えた翌日。

昼休みの為、屋上で休んでいた明輝弘の元へ真琴と美咲と絵梨がやって来る。

 

「は?紹介?」

 

と突然の言葉にポカンとしながら聞き返す明輝弘。

その問いに真琴は頷きながら、後ろに隠れる美咲を無理やり前に出し紹介した。

 

「いやぁ、昨日の試合でアンタの打撃観てね。正直なんでアンタを…とは思うけどね」

 

「それは失礼じゃないか?」

 

「どーだか」

 

と明輝弘の言葉に鼻で笑いながら応える真琴。

そのやり取りを見ていた美咲は二人に向かって聞いてくる。

 

「ねぇ、真琴って…明輝弘君と付き合ってんの?」

 

「はぁ!?んな訳ない!ありえないわよ!私とコイツが?」

 

と笑い飛ばしながら話す真琴。

それに同調するように頷くのは明輝弘である。

 

「確かに それは無いな こんなガサツ人間」

 

「はぁ?それはコッチのセリフよ この堅物男」

 

「な…堅物だと?」

 

「そうじゃない 昔から変にプライド高いしね」

 

「この女…」

 

殴りそうになるがどうにか抑える明輝弘。

真琴はベッと赤い舌を出しながらアカンベをする。

 

「あぁ話し逸れた。この子なんだけど、氷川美咲(ひかわみさき)って言うの。良かったら仲良くしてやってよ」

 

「あー…まぁ、俺も暇ではないが…取り敢えず良いとするか」

 

どこか面倒くさいという表情をするが、ケンカをするが真琴とは古い付き合いがある為無下には出来ないと感じた明輝弘は紹介を受けることにした。

真琴は美咲をグイッと前に押し出すと、あとは二人でと言い真琴と絵梨が離れていく。

 

明輝弘と美咲の二人きりになる屋上。

いつもなら昼寝をしていたはずの明輝弘であるが、目の前に女の子がいるとあって少し雰囲気が違う。

 

「…で?昨日の試合来てくれたんだ?」

 

「え?あ、うん!昨日、真琴に無理やりね。正直あんまり興味は無かったっていうか」

 

恥ずかしそうに話す美咲。

明輝弘は彼女の言葉に耳を傾けるも、興味は無かったという言葉に“ミーハーで取り敢えず連絡先でも交換しとくか的な女かな?”と思っており正直早く終わってほしいとも感じていた。

 

 

「でも、昨日の明輝弘君のホームラン観て一気に変わったの!!なんていうか…上手く話せないけど、こう感情がブワッて中から込み上げてきたっていうか…凄い感動した」

 

目を輝かせながら話す彼女の表情に、先ほどの感情が消えていた。

本当にこの子は昨日の試合を見て感じて、明輝弘に伝えたんだなと。

 

「やっぱり、ホームランって良いよね!!」

 

「ほう。目の付け所が良いね。素晴らしい」

 

彼女の言葉に明輝弘は笑みを浮かべて褒め称えた。

自分のホームランを見て良いと言ってくれる女性に悪い女はいないと感じ、明輝弘自身も自分の長打力には絶対の自信を持っているが故の言葉である。

 

「次の試合も応援に行くから!!頑張ってね!」

 

「あぁ。俺が試合を決めてやるよ」

 

美咲の言葉に自信を持って答える明輝弘。

彼の言葉に美咲自身もとてつもない感動を覚えてたのは別の話である。

 

 

(やっぱり、明輝弘君カッコいい!!次の試合はチアとして行くぞ!!)

 

そう心に誓いながら、美咲は明輝弘と別れるのであった。

しっかりと連絡先を交換して…

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