同点へと追いつかれ秀樹から桑野へと交代。
しかし桑野は明倭の勢いを止められない
キィィィン…
続く6番打者にレフトへとタイムリーヒットを許してしまう。
勝ち越しに大いに沸き上がる明倭ベンチ。
その後は何とか守り切りはしたものの、聖陵は6回にして逆転を許してしまったのだ。
「すまない…」
「ドンマイっす桑野先輩!!」
「そうですよまだ1点差です!」
謝る桑野に声をかけていく選手たち。
7回表の攻撃。
1点差を追いかけたい聖陵だが、土屋を打ち崩せない。
8番の竹下はサードゴロ、9番の池田は三振、そして1番の青木も三振と三者凡退に終わってしまった。
少しずつであるが聖陵ベンチの雰囲気が変わる。
その流れからか、7回の裏の明倭の攻撃。
9番の土屋をセカンドゴロに打ち取りアウトにするが先頭に帰り1番打者に対してはカーブを狙い打ちされセンターオーバーの二塁打。
一死二塁とし2番打者はここでも送りバントを決め二死三塁とする。
次は今日無安打の3番打者とあって竹下と桑野に少しの油断があったのだろう。
初球に投じた甘く入ったストレートを打ち返されるとライト前へ落ちるヒットとなり二塁ランナーが一気に帰り1点を追加した。
「ナイバッチー!!」
と明倭ベンチが盛り上がる。
聖陵ベンチ陣は静まり返り、またスタンドにいる生徒らも黙ってしまっていた。
「うーん…」
唸る明日香。
「相手は甲子園常連校の明倭 得点圏に二死になってでも進めて得点を入れていく 強いわね…」
と冷静に話す明日香に対しマキは少し不満そうな表情。
「でも、勝ってたよ?」
「最初はね でも後半からジワジワときて逆転。ヒデ君が調子落とさなければ分からなかったけど…」
と話す明日香とマキ。
その二人の話を聞いていた司達であったが、本人たちは応援する事しかできない。
二死一塁として4番の所だが古屋監督が動いた。
「代打、川口」
そう言われて出てきたのは短髪の髪の毛でタラコ唇が特徴の選手である。
彼を見て竹下の表情が変わる。
(川口だ。今年の明倭ベンチで3人入っている一年生の一人。)
竹下はマウンドへと向かい桑野に話しかける。
「桑野さん 川口は速球に強い打者です 甘いとこに行ったら確実に持ってかれます ですので際どいコースで最悪四球でも良い位のピッチングで行きましょう」
「あぁ…」
そう答える桑野だが、どこか浮足立っているのは竹下でも分かっていた。
だがこれ位しか声を掛けれない。
試合が再開し初球は変化球を投げるもボールとなり二球目の変化球もボール。
ツーボールとなり迎えた三球目。
(ヤバい!真ん中に…)
出したサインは外へのストレート。
しかし桑野の投じたボールは真ん中付近へ入ってきてしまうコントロールミス。
川口は待ってましたと言わんばかりにフルスイングをした。
カキィィン…
響く打球音。
振りぬいたバットをポンと地面へと落とす川口に打球の行方を追う竹下と桑野。
打球を追っていたレフトの青木はすぐに追うのを止めスタンドの方へと向くと、打球はそのままレフトスタンドへと飛び込んでいく。
「おっしゃああ!!」
と雄たけびを上げながらダイヤモンドを回る川口。
聖陵の選手らはただ茫然と白球が弾むレフトスタンドを見つめるだけ。
これで2点が入り7点目。
その後の次打者をセンターフライに打ち取り、この回を終えたが手痛い失点3を喫してしまう。
スコアボードに欠かれる7の文字に選手たちは黙ってしまう。
そして8回表の聖陵の攻撃は2番の山本。
山本は初球を打ちに行ってしまいサードフライで一死を与えてしまう。
一死となり打席には俊哉。
ベンチの選手は自然と俊哉への期待感で一杯になる。
アイツなら打ってくれる、アイツなら何かやってくれる。
そう期待感を俊哉に持ちながら打席を見つめる。