聖陵学院の夏休み。
生徒らは友人や恋人、または家族らと旅行に行ったり遊びに行ったりと楽しい時間を過ごしているだろう。
だが聖陵野球部の夏休みは練習から始まった。
終業式翌日の朝から野球部の生徒らはグラウンドへと来ては練習を行われた。
準備運動から始まりキャッチボール、トスバッティングからノックへと移り昼食を挟んで午後からはフリーバッティングと丸一日をかけて汗を流す。
「ブハァ!!」
水道の水を飲み思わず声に出す竹下。
時間は夕方に差し掛かる頃の16時頃で他の選手達も初日だからなのか飛ばし気味で行った為、疲れている。
夕方にもかかわらずまだジリジリと暑い日差しが彼らを襲う。
「よし!最後はランニングして終了だ!」
竹下は元気を出しながらグラウンドへと向かうと他の選手達もゾロゾロと歩いて行きダウンのランニングを行う。
約一時間ダウンをしグラウンド整備、片付けをし全てが終わったのは18時だ。
初日からボロボロの状態で部室へと戻る選手達。
部室に入り着替えをしていると、竹下がボヤき出す。
「そういやさ、ウチってマネージャーいなくね?!」
竹下の言葉に全員が黙ってしまった。
実は聖陵野球部にはマネージャーがいない。
「トシ誰かいない?!」
「いや、いないし」
「何で!?こんな男臭い部活動だよ!?女の子の空気が欲しいだろ常に!応援されたいだろ常に?!!」
心の叫びをそのまま口に出す竹下。
だが他の選手らも同じ意見なのかウンウンと互いに頷く。
「確かに、分かる」
同調するのは明輝弘。
彼も実際、女子マネージャーのいない部活はないとのスタンスを取っており一日でも早く女子マネージャーは入ってくるのを待っていたのだが、結局夏まで入ることはなく不満げにしていた。
「女子マネのいない部活に未来はない」
「それだよ明輝弘?!!」
明輝弘の言葉に竹下は頭を撫でながら喜ぶ。
結局最後まで女子マネ待望論を叫んでいた竹下だが、俊哉は心の中で“なぜ自分で探さないのか?”と感じたが面倒臭くなるので黙っていた。
解散となり家へと戻った俊哉。
ベッドの上で寝転がりながらスマフォを弄っていると1通のLINEが届く。
「あ、シュウだ」
送り主は秀二。
俊哉は開くと優勝旗を前に秀二と神坂がピースサインで映る写メが送られて来た。
その写メを見た俊哉は思わず?を緩める。
ニュースでは陵應が優勝した事を知っていたが、秀二からこうして写メが送られて来たことに嬉しさを感じた。
「おめでとう・・・っと、送信!」
とお祝いのメッセージを打ち送信を押す俊哉。
俊哉はスマフォをベッドの上に放り出し真っ直ぐ天井を見上げると、秀二が甲子園へ行った事をまるで自分の事のように喜んでいた。
「凄いなぁシュウは・・・俺も、甲子園に行きたい」
そう呟く俊哉。
俊哉は居ても立っても居られないのか、立ち上がるとバットを持ち素振りを始めるのである。
「あと行けるチャンスは秋大会と来年の夏、秋、そして再来年の夏の4回・・・今以上に頑張らないと・・・ダメだぞ!」
そう独り言を言いながら素振りをする俊哉。
暫く振っていたのか俊哉の額からは汗が流れて行く。
タオルで拭いながら窓を開けベランダへと出ると、空いっぱいに広がる星空を眺めながら呟いた。
「でもまぁ・・・夏休みは楽しみたいなぁ?」
気の抜けた事を呟くのであった。
夏休み、野球部は練習がある。
だが全てを練習に割いているわけではなく、休みもある。
俊哉もまた夏休みを堪能する事ができるのである。
「楽しみだなぁ・・・夏休み」
ニヘラと笑みを溢しながら独り言を言う俊哉。
そんな俊哉は八月に入ってすぐに司とのデート(?)がある。
楽しい夏休みが始まった。