七月中はほぼ毎日を練習で終わる事となった聖陵野球部の選手達。
練習の最終日の練習後に春瀬監督は選手らを集めて話をする。
「とりあえず今日で練習はひとまず終わり。次は八月の第二週に少し練習をして、お盆明け位に練習試合を入れようと思う。これが八月の予定だ」
練習スケジュールの書かれたプリントを渡す春瀬監督。
選手らがプリントを確認し、そのままの流れで解散となった。
グラウンド整備と片付けが終わり部室で着替えをする選手達。
すると竹下が俊哉に話しかけて来た。
「トシ。来週の日曜日暇か?」
「ん?・・・ゴメン予定入ってる」
「え?!?」
残念そうに言う竹下。
「お?どこか行くのか?」
山本が俊哉に聞いてくると俊哉はすぐに答える。
「あ?、司ちゃんと遊びに行くんだよ」
「へぇ?姫野とか・・・え?」
『え?!!??』
何気なく聞き流そうとした山本。
だが俊哉の話に違和感を感じ山本だけでなく竹下と青木ら数人の選手らが声を合わせて驚いた。
「うわビックリした!」
「は!?え!?誰とだって?!」
「え?司ちゃんだけど?」
「司・・・え?誰?」
誰か分からないのか首を傾げる竹下。
すると明輝弘が後ろから話だす。
「姫野の事か?」
「そうそう」
明輝弘は知っていた。
それもそのはず、俊哉と明輝弘は同じクラスである。
それと同時に司とも同じクラスで名前だけは知っていたのだが、司は見た目暗い雰囲気を醸し出していた為、明輝弘は声をかける事はしなかった。
「ほう・・・何処に行くんだ?」
「沼津港だよ。水族館に行くんだ」
明輝弘の質問に答える俊哉。
すると竹下がワナワナと体を震わせながら俊哉の両肩を掴みグワングワンと揺らしながら言う。
「なんだそりゃ?!!羨ましすぎるだろうが!!デートとか!!」
「えぇ?デートじゃあないよ?遊びに行くんだよ?」
「は!?水族館に行くなんてデート以外にないだろうが!」
「え?でも遊びに」
「それをデートって言うの!!」
肩を揺らしながらツッコミを入れる竹下。
山本が引き剥がすまで竹下は俊哉を揺らしつづけており、俊哉は目が回っていた。
「なんだよお前!!いつから女の子と・・・パパはそんな子に育てた覚えはありません!」
「いやお前の子じゃないし」
「うっさいぞ眼鏡野郎!」
「眼鏡野郎!?」
山本の言葉にキレる竹下。
荒れに荒れる竹下から逃げるように俊哉はさっさと着替えて部室から出る。
ハァッとため息を吐きながら歩き出そうとすると俊哉を止める声がする。
振り向くと、そこには明輝弘がいた。
「どした?」
「いや、まぁちょっとな」
「?」
「まぁそう言う事の先輩から助言だ。コレを持っとけ」
そう言いながら俊哉にあるものを手渡す。
俊哉は手の中に握らされた物を確認すると顔を真っ赤にしながら、それを地面に叩きつけた。
「なんっだよコレ!!」
「はっはっはっ。必要と思ってな」
「まままま、まだ早い!!」
「いや、意外と早いかもな。まぁ武運を祈ってるぜ?」
そう言いながら先に歩いて行く明輝弘。
俊哉は再びハァッとため息を吐きながらも、先ほど地面に叩きつけた物を拾い上げ自分も帰路へと着くのであった。
そして数日後、俊哉は司とのデート(?)の日を迎える。