ダブルヘッダー初戦は聖陵学院と沼津南高校。
6回を終わり7対0とリードを広げられた聖陵は7回の攻撃へと移る。
先頭は今日2安打の俊哉から。
マウンドには未だ山梨が上がっている。
(俊哉には2安打許してる メンドくせえなぁもう!)
山梨の投じた初球。
インコースへの変化球だが俊哉はこれを腕をたたみ弾き返すとレフト前へのヒット。
これで俊哉は3安打だ。
「また打たれた なんだよアイツ」
一塁にいる俊哉を見ながら思わず苦笑いする山梨。
続く二番の山本はこの回もバントの構えをしコツンとバントをきめ一死二塁とする。
そして打席には今日無安打の望月。
前の試合とは打って変わっての成績である。
(望月は投球は安定感あるんだが 打撃はムラがあるのか)
春瀬監督はベンチで望月を見ながら納得している。
その望月はフルカウントまで粘るも最後の変化球を打ち上げてしまいフライアウトとする。
これで二死となり打席には今日無安打の明輝弘が入る。
(さて、庄山は今日全部三振。サインは……)
捕手からのサインを確認する山梨は少し驚いた表情を見せるもスグにコクリと頷き初球を投じる。
「ストライク!!」
山梨の投じたのは、ずっと明輝弘が欲しがってたストレート。
明輝弘はこれを見逃してしまいストライクを取られる。
「なん、だと?!」
驚く明輝弘に山梨はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
その顔に明輝弘も笑みを浮かべる。
(やっとか 男だなお前は)
その二球目。
山梨の投じたのはストレート。
明輝弘は待ってましたと言わんばかりにフルスイングをする。
カキィィィン・・・
弾き返された打球は高く舞い上がるとライトの守る場所から遥か遠くへと飛んでいき見えなくなった。
バットを放りゆっくりと走りだす明輝弘。
この打球に山梨は苦笑いをする。
(ヤッベェな ストレートに対してはここまで打てるのか それなら尚更変化球攻めが増えるな)
そう考えながらダイヤモンドを回る明輝弘を見る山梨。
明輝弘は山梨からの視線に気づいたのか、山梨を見るとフッと笑みを浮かべてベンチへと戻って行く。
「笑うなよ庄山。ぶっちゃけ、お前は怖くないぞ?」
そう呟く山梨。
明輝弘には聞こえていなかったのだろう、明輝弘は選手らとハイタッチを交わす。
「ナイバッチ」
「あれが俺の実力だよ」
「ははは……」
明輝弘の言葉に苦笑いをするのは俊哉。
彼には分かっていた。
沼津南ベンチがあえて明輝弘に対してストレート勝負をしていた事を。
そして試合は進みゲームセットとなった。
結果は9対2で敗北。
その後も点を入れらてしまい9失点、また得点は明輝弘のホームランのみの2得点で抑えられてしまったのである。
挨拶を終え両校の選手らでグラウンド整備を行う。
俊哉がトンボで土を慣らしていると、山梨が近づいき話しかけてきた。
「おう俊哉 やっぱお前には打たれたわ」
「また打ってやったわ」
「言うようになったじゃねぇかよ」
俊哉の肩を軽く小突き笑い合う俊哉と山梨。
しかしスグに山梨は表情を変えると真剣に俊哉に話す。
「お前んちのチームは結構実力あると思うぜ?」
「上から目線は置いといて、ありがとう」
「こっちは真面目だ だけど、庄山はどうにかした方がいいぞ?」
「明輝弘?」
「あぁ、アイツのあの変化球が全く打てない打撃 あれどうにかしないと、お前にとって足枷になるぞ?」
「・・・」
「俊哉だけじゃねぇな チームの足を引っ張るわ これじゃあ」
「なんだ、優しいね 心配してくれるなんてさ」
「ウルセェ。ただ、お前らが強くなってくれなきゃツマンネぇんだよ!分かったな!」
俊哉の言葉に恥ずかしそうにしながら別れる山梨。
笑っていた俊哉だが、彼もスグに表情を戻しトンボをかける明輝弘をジッと見つめるのであった。
ダブルヘッダー初戦は敗北で終えた。