ダブルヘッダー初戦は沼津南に敗北。
聖陵は次の試合をグラウンド脇で見学をしながら昼食を取り、午後2時過ぎに2試合目を行うことになった。
2試合目のオーダーは
1:竹下・捕
2:山本・二
3:俊哉・中
4:明輝弘・一
5:早川・遊
6:望月・三
7:堀・右
8:桑野・投
9:青木・左
と初戦とはまた違うオーダーで挑む。
二戦目の対戦相手は静岡北高校。
この夏は聖陵と同じ3回戦敗退だったが昨年はベスト8に残るなど力のあるチームである。
試合が開始されると、先発の桑野は安定感のあるピッチングを見せた。
初回二回と三人で打ち取ると、三回には三者三振で打ち取るなど今日の桑野は絶好調である。
そして打撃陣も初戦とは打って変わって好調だ。
初回に竹下のヒットで繋がると二番の山本は定石の送りバントで一死二塁のチャンスを作ると三番の俊哉が七球粘り八球目を叩くとセンター前へ抜けて行くヒット。
この当たりで竹下がホームへ帰り先制点を奪うと、二回には堀が・・・
カキィィィン・・・
「あ・・・」
打った堀自身が一番驚いていただろう。
堀は初球を振り抜くとはじき返した打球はレフトへ高く舞い上がるとそのままホームランゾーンに落ちるホームランとなったのだ。
「やったぁー」
まだ驚きながらダイヤモンドを回る堀。
当たったら飛ぶと言う長打力を見せる形となった堀の打棒。
その後もコンスタントに得点を重ねていき八回までに8得点を入れる等、打線が爆発した。
投手陣も桑野から鈴木に継投し最後は望月がマウンドへと上がりシャットアウト。
結果は8対0と完封勝利したのである。
試合が終わり選手たちはハイタッチを交わしながら整列をする。
この日初勝利となったことで選手たちにも笑顔が出る。
だが、一人だけ表情が曇っていた。
「・・・」
明輝弘である。
彼はこの試合も変化球攻めを喰らい全打席で三振。
最後の打席では悔しがりながらバットを地面に叩きつけるなどしていた。
その明輝弘は試合が終わり着替えている所でもイライラを爆発させており憤りを口にしていた。
「クソが、変化球ばかり投げやがって それでも男かよ」
「まぁストレートに強い奴に直球勝負はしないわな」
「そこだよ。こう言う勝負は真っ向勝負じゃねぇのか?俺は納得いかん」
「真っ向勝負ね」
「そうだ、ストレート勝負できねぇ奴は男じゃねぇよ」
「あぁ?」
竹下が明輝弘に話しかけるも明輝弘の言葉に言葉が出てこないのか黙ってしまう。
また他の選手たちも何も言わずにおり、明輝弘がただただ文句を言うと言う状況が続いていたのである。
場所を変えてバックネット裏では監督同士で話をしている。
「今日はありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ」
「ははは!こちらこそですわ」
お礼を言い合う監督たち。
すると沼津南の監督が春瀬監督に話しかけた。
「いやぁ、聖陵さんは今後が楽しみですな」
「いえ、まだまだです」
「そう謙遜しなさんな。横山と望月の二人は中学の時の実力通りの力を発揮してますな。あと竹下や山本に堀などの個性のある選手がおりますしな」
「そう言っていただいて嬉しい限りです」
「だが一つ気になるのがありますわな」
「気になることろですか?」
「えぇ 四番の庄山ですわな」
沼津南の監督から出た明輝弘の名前に春瀬監督は“やっぱり”と言う顔をする。
「彼は、気をつけていかないと 潰れますよ?」
「潰れる……」
「故障とかではなくて、成長の方ですわな。ウチとの試合で最後の打席でホームランを打ったが、それまでの打席で全て三振。完全に変化球が打てないのが見てわかった形ですな」
「はい、その通りです。私も悩んでまして……」
春瀬監督は申し訳ないように話す。
すると沼津南の監督は顎に手を当てながら話出す。
「ああ言うタイプは自分のプライドがある選手だと思います おそらく中々言うことは聞くかは分かりませんが、理解させるしかないですな 監督から言っても良いし、あるいは彼より実力のある選手から言われるのが良いかと思いますな まぁでもまだ一年生 これからですよ選手も監督もね」
笑い飛ばしながら春瀬監督の肩を強くポンポンと叩きながら話す沼津南の監督。
監督同士も解散となり、それぞれ帰路へと着くのであるが、帰り道の中で春瀬監督は今後に不安を抱えながら帰るのであった。
ダブルヘッダー1勝1敗。
だが聖陵にとって幾つもの課題が残す形となったのであった。