青色の下で…First season   作:オレっち

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第参章 超えるべき壁
第1話 変な声


 楽しかった夏休みが終わった。

 聖陵学院も学校が再開され生徒たちは楽しかった夏を惜しみつつ登校して来た。

 始業式を終え教室で担任が来るまで待機している俊哉たち。

 

「おい!今日から転校生が来るんだってさ!」

 

 どこにもよくありがちな転校生などが来る情報をいち早くキャッチして伝えに来る生徒。

 すると教室にいた生徒たちは一気に転校生の話題に持ちきりになる。

 

「どんな子かな?」

「イケメンかな?」

「可愛い女の子かな!?」

 

 等とこれからやって来る転校生のハードルがグングンと上がっていくような会話をしていく生徒たち。

 勿論その輪の中には俊哉もおり同じクラスの青木と話をしていた。

 するとガラリと扉が開き担任の教師が入って来る。

 教師を見た生徒らは慌てて自分の教室へと戻り座る。

 

「はい、今日から転校生がこのクラスに来ます!」

『おぉー』

 

 噂通り転校生が来る事が担任から伝えられると生徒たちから歓声の声が上がる。

 「さぁ入って来て」と担任が言うと廊下から一人の女性が入って来た。

 

「わ……」

 

 頬杖をつきながら見ていた俊哉が思わず言う。

 入って来た女性は聖陵の制服を身につけ髪は肩らへんまで伸びたロングに色は明るい茶色。

 そして何より上から下まで見ても惚れ惚れするほどの容姿端麗の美人であった。

 

「じゃあ自己紹介」

「はい!皆さん初めまして。藍野菫(あいのすみれ)|と言います よろしくねー」

 

 パチンとウインクをしながら言う藍野菫(以降より菫)に、男性陣は心を持ってかれたであろう。

 また女子も彼女の美人さに何も言えないどころか惚れ惚れするほどである。

 

(スッゲェ美人さん・・・)

 

 ぽけっとしながら菫を見ている俊哉。

 すると菫は俊哉の方を見て目が合うとニコッと微笑みかける。

 ドキッとする俊哉は笑顔を返すも彼女の見せた笑顔に顔を赤らめていた。

 

 休み時間に入ると早速菫の周りに女子生徒たちが囲み和気藹々と話をしていた。

 

「アメリカから来たの?ハーフ?」

「いいえ、日本人よ?パパの仕事でアメリカに少しいたの その前は日本を転々としててね」

「そうなんだ?」

 

 早速クラスの人気者になった菫。

 彼女の柔らかい笑顔がそうさせているのだろうか、近寄りがたい雰囲気など微塵も感じさせず、むしろ菫自身から色んな生徒に話しかけており社交性の高さを伺わせる。

 男子からも声をかけられており菫は笑顔で話をしている。

 

「コミュ力半端ねぇな」

 

「明るい感じでいいよね?」

 

 俊哉と青木が席で話しながら菫の方を見ている。

 すると菫が俊哉の方を見ながら何か周りの生徒らに話しかけると、生徒も何か話をする。

 そして菫が立ち上がると、俊哉の方へと近寄って来た。

 

「え?こっち来た」

「マジ!?」

 

 近寄って来る菫に動揺を隠せない俊哉と青木。

 そして俊哉の前に菫が立つと

 

「横山、俊哉君?」

「は、はい。そう ですが?」

 

 ドギマギしながら答える俊哉。

 すると菫の表情が一気に柔らかい笑顔に変わると、そのまま俊哉に抱きついた。

 

「やっと会えた!」

「ピャ??!!」

 

 突然の抱きつきに変な声を出す俊哉。

 菫の胸がムニュリと俊哉の胸へと押し付けられ俊哉の心臓が爆発寸前だ。

 また隣にいた青木は思わずガタリと立ち上がり一言

 

「何それ!スッゲェ羨ましい!!」

 

 正直に心の言葉を発する青木の隣で嬉しそうに俊哉に抱きつく菫。

 菫が俊哉から離れると嬉しそうな笑顔で話しかける。

 

「覚えてる?!私よ?藍野菫!」

「えっと……」

「あ、小学生の時に少しだけしかいなかったから印象薄いかな?ほら、5年生の時に少しだけいて直ぐ転校しちゃったけどね」

「あ あぁ!!スミちゃん!?」

「良かった覚えてたんだ 嬉しい!!」

 

俊哉の記憶の奥底から出て来た懐かしい思い出。

 思い出した事に対し菫は再び俊哉に抱きつく。

 

「ぴゃ、ぴゃー!!」

「スッゲェ羨ましい!!」

 

 また変な声を出す俊哉に心の声ダダ漏れの青木。

 騒つく教室だが、冷静になったのか落ち着いた俊哉が菫に話を切り出した。

 

「え?なんで聖陵に?」

「環境もそうだけど、勿論俊哉君がいるからよ?」

「あ、え、あ、ありがとう?」

 

 ストレートの言葉に照れながらお礼を言う俊哉。

 

「でもよく俺がここにいるって分かったね?」

「あぁ私のママと俊哉君のお母様は未だに仲が良くて連絡取り合ってるからね。それで調べたの?」

「そ、そうなんだ」

 

 菫の話に懐かしくも、ドキドキしながら聞く俊哉はチラリと別の方を見た。

 その彼の目線の先には、絶望の淵に立たされたような顔をしていた司がいた。

 

(あ どうしよう)

 

 俊哉もまた、絶望の淵に立たされた気分だった。

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