私はどこまでも澄んで青いあの大空が大好きだ。
私はその大空をどこまでも自由に飛び交う鳥たちも大好きだ。
だからか幼いころは鳥になりたいとさえ思っていた。
そして私はついに空へ羽ばたき、そして一瞬にして墜ちた。
それから2年後、ワカバタウン
「すぅ、すぅ」
少女は気持ちよさそうに寝息を立てている。だがそこに一人の女性が近づく。そして、
「いい加減起きろー!」
「ピギャ!?」
少女は母親に布団を引っぺがされ、少女は恨めし気に睨む。
「布団返して、寒いよ」
「そりゃそうでしょうよ、パジャマも着ないで上下下着1枚で寝てりゃあね!」
「別に家の中ならいいじゃん。減るもんでもないんだし」
「なら外に出てこい!毎日毎日家の中でグータラグータラ!最初こそ許したものの、さすがに2年も続けば我慢の限界だわ!」
「だって用事ないんだもん」
「そう、ならちょうどよかったわ」
「? 何がちょうどいいの?」
「おとなりのヒビキ君からの伝言よ。ウツギ博士が呼んでるってね」
「・・・ワタシイソガシイ」
「さっさと行ってらっしゃい!」
「PI E N」
ウツギ研究所
「あっ、シエルちゃん来てくれたんだね」
「母親に半ば無理やり気味に」
「あ、アハハ、大変だね君も、君のお母さんも」
「それで用件って何ですか?私忙しいんですけど」
「うん、シエルちゃん。ポケモンじいさんって知ってるかい?」
「いえ、知りませんけど」
「僕の知り合いなんだけどさっきメールで珍しいものを見つけたって送ってきてね。多分ポケモンの卵だと思うんだけど。研究所のみんなは忙しくてね。そこでシエルちゃんお願いできないかな」
「・・・だがことわ」
「そこを何とか頼むよ。僕の周りで頼れるのはスクールを高成績でくぐり抜けた君しかいないんだ!」
「それこそヒビキに頼めばいいのでは?彼主席だったはずでしょ?」
「それがヒビキは今忙しくってね」
「私の忙しいは無視して彼の忙しいは無視しないんですね」
「ま、まぁまぁ君に何があったかは大体聞いているがそれでも2年だ。そろそろ大人になるべき時じゃないかな?」
「・・・はぁ12歳はまだ子供なんですが」
「うっ、と、とにかく頼んだ、ってシエルちゃん?君の相棒はどうしたんだい?」
「多分母親の伝書鳩中かと」
「・・・わかった。あまりよくないことだがそこに3つのモンスターボールがあるだろ」
「確か初心者用のポケモンでしたっけ?」
「うん、この仕事を引き受けてくれればその中から1匹プレゼントしようじゃないか」
「・・・」
「・・・どう、かな?」
「・・・はぁ、しょうがないですね。わかりました受けますよ」
「よかった!ほらほらじゃあ君の感性に合うポケモンを選んでくれ!」
「えーと、チコリータ、ヒノアラシ、ワニノコ」
「どうだい?どれもいいポケモンだろう?」
「博士?私が何タイプが好きか知っててそれを言ってるんですか」
「うっ、確かにそのタイプのポケモンはいないが」
「まぁ、じゃあワニノコをください」
「おっ!何か理由でもあるのかい?」
「好きなんですよ。空色」
「そ、そうかい」
「それじゃあ行ってきますね。出ておいで、ブル」
シエルはワニノコをボールから出す。
「ワニャ、ワーニャ?」
「よろしくねブル」
「ワ、ワニャ」
「・・・なんか避けられてるみたいでショックです」
「そ、その子ちょっと慎重な性格なんだよ」
「はぁ」
「ワニャ?」
「そうだちょっと遠出にもなるしお母さんにも報告したらどうかな?」
「・・はい。じゃあ行くよブル」
29番道路
「ふぅ、どうやら見つからずにすん」
「でないわよ」
「ひっ!?母さんどうしてここに」
「そんなことより何か言うべきこと。あるんじゃない?」
「・・・はい、」
そうしてシエルは母にこれまでのいきさつを話した。
「なるほどね、わかったわ。行ってらっしゃい。あっ、そうだ修理に出してたポケギア戻ってきてたわよ。はい!」
「あ、ありがとう」
「まぁ入ってる番号私とウツギ博士の分しか入ってないけどね。いざっていうときがあるし」
「・・・行ってきます」
そうして私はポケモンじいさんの家に向かったのだった。
ポケモンじいさんの家
「こ、こんにちは」
ポケモンじいさんの家に入ると中には茶色い服を着た男と白衣を着た男の二人がいた。こちらに気づいた二人のうち茶色い服を着た男のほうがシエルに近づいてきた。
「やぁやぁ君がシエルちゃんだね?私がポケモンじいさんだよ。それで、」
ポケモンじいさんは奥のガラスケースから卵を手に持つと私にそれを手渡した。
「ウツギ博士に調べてほしいのはこれなんだよ」
(ウツギ博士の言うとおりだった)
「これはエンジュの知り合いから譲り受けたものでね・・・」
「はぁ、なるほど」
「ということをポケモン研究家のオーキド博士もおっしゃっておられるのだよ。」
興味なさ過ぎて今まで話を聞き流していたなんて言えないなぁなんて考えながらシエルはここぞとばかりにワカバタウンへ帰る言い訳を考えていた。すると
「というわけでワシがポケモン研究家のオーキド博士じゃよ」
奥にいた白衣の男話に割り込んできた
「え?」
「君がシエルちゃんか」
「・・どうも」
「ふむ?シエルちゃん。どこかでワシと会ってはいないかね?」
「!? いえそんなはずは」
「いやどこか、あれはポケモンスクールで」
「ところでどうしたんですか?あの有名なオーキド博士が私なんかに」
「う、うむ、いやなに君のポケモンも君との絆が芽生え始めておる。いいトレーナーなのだと思ってな。つい声をかけてしもうた。」
「そうですか」
「ふむ、君ならあるいは」
「?いったい何の話です?」
「いや何、君これを受け取ってくれんかね?」
「これはポケモン図鑑?」
「うむ未完成なだがな、これを完成させるお手伝いをしてくれんものかとな」
「い、いやでも私ただの引きこもりですし」
「ただの引きこもりはこんなところまでは来んと思うが?」
「そ、それは親から無理やり、金輪際これで最後です」
「ふむ、まぁ気が向いたらでいい。ぜひ受け取ってはくれんか?」
「まぁ、受け取るだけですよ?」
そうして私はオーキド博士からポケモン図鑑をもらった。
ヨシノシティ
「ウツギ博士からの電話があったんだけど。何があったんだろう?あんなに慌てて」
そうして29番道路に向かおうとしていたその時だった。
「お前さっき研究所でポケモンもらっていたな」
「?」
突然前の方から歩いてきた赤髪の男から声をかけられた。
「何ですか急に?私急いで」
「お前にはもったいないポケモンだぜ。出てきなチコリータ」
「・・・バトルでもしたいならほかの人に」
「逃げるのか?まぁ当然か」
「はぁいいですよ。その安い挑発乗ってあげる。行くよブル!」
「ふん、いくぞチコリータ!なきごえでヤツの攻撃を下げろ!」
「ブル正面突破行くよ!ひっかく!」
チコリータが鳴き声を発する前にワニノコのひっかくがチコリータに当たる。だが致命傷にはならず、なきごえによってワニノコの力が緩まってしまう。
「っ!高々なきごえ1回程度!ブルもう一度ひっかく!」
「まだまだ攻撃を下げろ、チコリータ!なきごえ!」
ひっかいては鳴き声で力をブルがつい緩めてを繰り返し、4回目の鳴き声の後だった。
「ブル!もう一度ひっかく!」
「ワニャ!」
「チッ!」
「チコリータ!たいあたり!」
「チコッ!」
「ワニャ!?ワニッ!」
「ブル!ひるまないで!ひっかく!」
「ワニャー!」
「チッチコ・・・」
「ハッハッ勝った、の?」
「・・・・ふん。戻れチコリータ」
「ちょっとどこ行く気!」
「俺がどこ行こうが勝手だろ?」
「ただのトレーナーならね。でもそのチコリータ、どこで手に入れたもの?」
「ふん・・ウツギ研究所。これで満足か?」
「あなた!」
「じゃーな」
「本当にじゃーなでいいのかしら?」
「なんだ、!? そのトレーナカード、返せ!」
「じゃあ一緒に来てもらいましょうか!」
「チッ、出てこいニューラ!どろぼう!」
「へ?きゃあ!」
そうしてあいつのトレーナーカードは奪われた。そして・・
ワカバタウン
「君が犯人なのか!?」
場所はウツギ研究所、なぜか戻ったら戻ってきたという理由だけで疑われた。
「いや警官さんそんなわけないじゃないですか。奪われたのはチコリータなんでしょ?」
「うっ!?」
「それに奪った犯人なら名前も顔もわかりますよ。」
「なに!?名前がわかるのか!?それをそうと言いたまえ!それで何て名前だと?」
「トレーナーカード通りならラント、だったかな?」
「なるほどその少年を追えばいい、とご協力ありがとうございます。」
そういって警官は出て行った。
「うぅ、シエルちゃん。大変な目にあったよ」
「・・・ご愁傷様です」
「まぁそれで落ち込んでばかりもいられないか。それでポケモンじいさんの大発見って何だったの?」
「ポケモンの卵でした」
「うん?確かに見たことない種類の卵だけど。まぁ何か発見があるかもだし僕の方で預かってみるよ」
「それから偶然いたオーキド博士からポケモン図鑑をもらいました。」
「え!?オーキド博士から!?それってすごいことだよ!なんたってオーキド博士はトレーナーの才能を見抜く力の持ち主だからね!」
「はぁ、そうなんですか」
「ワニノコもすっかりなついているようだし。このまま旅に出てみるのはどうかな?」
「・・・いやいやそんなことただの引きこもりにできるわけが」
「・・まだ忘れられないのかい?」
「えぇ、まぁ」
「まぁ無理にその傷をえぐるようなことはしなくていいさ。君の旅なんだ。君の好きなようにすればいい」
「・・ありがとうございます」
「億が一にも旅に出るなら親との相談とかもあるだろうしね」
「そ、そうですよね!」
自宅
「いいわよ。いってらっしゃい」
「少しは悩めよクソ親が!」
「もう2年、荒療治にも出たくなるわよ。あ、お小遣いは私の方で管理してあげるからね」
「最悪の親じゃねえか!」
「でもあなた使い込みすぎる癖あるじゃない」
「うっ!」
「とにかく行ってらっしゃい。そうだちょうどソラ帰ってきたわよ。旅に出るんなら連れて行くんでしょ?」
「う、うん」
「ほらソラちゃん?ご主人様のところにお帰り?」
母がそういうと私の相棒であるポッポがこちらに近づいてきた。
「ポッポ?」
「よろしくねソラ」
そうして私の長い長い旅は始まることになったのだった。