怪獣ファイルその8
キングシーサー
体長:47m
体重:17000トン
クラスーE
出現個体数:1頭
発見場所:2016年・日本
生息域:日本・沖縄県
被害推定死傷者数:0人
①生態
黄金の鬣(たてがみ)と体毛を纏う二足歩行の怪獣で、顔は名前の通り沖縄のシンボル、シーサーそのもの。
非常に高い知能を有し、人語を完璧に理解出来ているものと思われる。
普段は沖縄のある崖に出来た洞穴で眠っており、琉球王国時代より伝わるキングシーサーの伝承に準え、ミヤラビの祈りという民謡を捧げる事で目覚め、沖縄を襲う怪獣を撃退しまた洞穴に帰ってゆく。 ミヤラビの祈りを捧げるにあたっては正確な条件付けがされているのか、実験では地元住民以外が歌を奏でても目覚める事はなく、キングシーサーを目覚めさせた事のある人物が沖縄に怪獣が居ない時に歌ったとしても、同様に目覚めなかったようだ。
その生態から食事や排泄といった通常の代謝機能はないと思われるが、怪獣達の中でも高い再生能力を持ち四肢を失っても数週間の内に再生する。恐らく通常の生物とは違う特殊なエネルギー生成機関を持っており、キングシーサーが沖縄を離れる事ができない事と関連していると思われる。
余談になるが、怪獣は古来より存在する生物であり、伝説上の生物のモチーフになっているという説がある。今なお議論される通説ではあるが、ことキングシーサーに関しては発祥が近代で比較的新しい伝承であるため、この説を裏付ける証拠として名が上がる。
私の専門分野ではないため意見はできないが、そう考えた方が辻褄が合う事もあれば、矛盾が生じる点も多く興味深い議題となっているので調べてみると良い。知人曰く、この説を紐解けば怪獣出現の謎に迫れると語っている。
②戦闘能力
高い身体能力を有し、見た目以上に身軽で力強い典型的な肉弾戦タイプ。
至近距離での殴り合いが通用する怪獣であればキングシーサーに敵う怪獣は殆どおらず、記録では物理攻撃の効かないヘドラ以外の全ての怪獣に単独で勝利している程の強さで、クラスーB相当とされている。
眼球はプリズム構造の瞳をしており、光を屈折・増幅させる事で虹色の強力な光線として照射できる。夜間でも発射は可能だが、日中と比べると大幅に威力が下がる。
隙のないオールラウンダーといった怪獣で沖縄県民からの信頼も厚い反面、軍事力増強に反発する抗議運動にも繋がっており、今なお決着には向かっていない。
ヘドラ
体長:不定
体重:推定10000トン〜35000トン
クラスーB
出現個体数:1頭
発見場所:2025年・日本
被害推定死傷者数:121万人
①生態
濃硫酸を含む不浄の泥の塊、としか言いようのない不定形の怪獣。水分を常に必要としており主に海中に生息するが、体を円盤状にしてガスを噴出しての飛行も可能。
1〜6個程度の赤く充血した目玉を体表に露出させるが、この目玉も気まぐれに破裂しては再生するを繰り返しており、恐らく視覚としては機能していない。
独自の神経系を働かせており脳にあたる部位はあったと思われるが心臓を初めとした臓器らしきものは一切無く、血管や筋組織も全く見当たらないため、どうやって動いていたのかも分からない。
脳にあたる部位があったと思われる、というのは、マダガスカル島に漂着した死体を調査した限りではその痕跡しか見つからず神経系の中心部が欠如していた為である。死体は大部分が消失し断面が焼き切れており、海中でゴジラの熱線を浴びたものと断定される。
異常なまでの雑食性で触れたものを飲み込み分解し、その質量分肥大化。体内を流動する濃硫酸によって溶かせないものでも問答無用で吸収する。恐るべきエネルギー変換機能だが、残念ながら死骸となったヘドラからは解明できなかった。
泥の体は非常に脆く動くだけで地面に体を撒き散らしていき、熱や乾燥に非常に弱い反面、物理攻撃が一切通用しない。
ヘドラの及ぼす被害は濃硫酸の泥による環境汚染、濃硫酸ガスによる中毒被害が主だが、特に市街地や自然を汚染する多量の泥はその後の除去も難しく、しばらくの間都市機能が一部停止する。
出現から僅か2ヶ月でクラスーBに認定されただけあり、何をとっても厄介な怪獣であった。早期に除去されていなければクラスーAへの認定も時間の問題だったと思われる。
②戦闘能力
濃硫酸の体は言わば全身が武器であり、怪獣との戦闘記録はキングシーサーとの戦いのみだが触れただけでシーサーの強靭な皮膚を溶かし重症を負わせた。
物理攻撃は通用せず超音速で飛ぶミサイルや、低空飛行で近づいた戦闘機を飲み込む事もあるように、見た目に反して非常に機敏。
水分を蒸発させるメーサー攻撃は非常に相性が良く討伐も期待されたが、3度目の出現から赤い光線を撃てるようになりメーサー搭載機を迎撃した。キングシーサー戦においては体全体を顔に見立てたような巨大な口を開いたとされており、人間のような歯も生え揃っていたと言うが、その後は似たような形状変化を見せておらず、その場その瞬間において最も有効な攻撃手段を考えて急速に体組織を変化させる機能があるものと思われる。
つまるところヘドラについてはほとんどが不明か憶測であり、モスラとはまた違うベクトルで人の理解が遠く及ばない未知の存在だ。
どこから現れ、何を目的としていたのか、疑問は募るばかりである。 ただ唯一判明しているのは、ヘドラの細胞にはオルガナイザーG1が含まれていた事のみである。
設定その8
登場キャラクター
伊集院惠
最大の変更点は、自分探しや趣味での旅ではなく、怪獣によって変わってしまった世界を見て記録に残していきたいという目的意識の上で旅をしている事です。
懸命に生きている人々の笑顔の裏にいつも不安が根付いている今の世の中を憂いており、人が生き残るためならどんな手段でも使うべきという考えと、人はもう取り返しのつかない所にまで来てしまっているという諦めの両方を心に抱えています。
必死に生きれば生きるほど、自分の愛する景観や世界の美しさが損なわれていく、そんな板挟みです。
今回の沖縄旅を経験した上での大きな成長や心境の変化はなく、これからも世界中を旅するでしょう。
余談ですが、日付が誕生日の前日になったのは偶然です。
瀬名詩織
沖縄は立地的に怪獣災害に遭いやすいため、幼い頃から何度も怪獣災害を経験しています。
キングシーサー信仰のある地域に生まれ育った他に特別な出自や変化はなく、怪獣災害が無くならない限りキングシーサーや自然が傷ついていく事に心を痛め、それでも生きたいと願ってしまう自分の傲慢さに悩む普通の少女です(ミヤラビの祈りはモスラの巫女などと違い、いくつかの条件を満たせるなら彼女ではなくても目覚めさせる事ができます)。
本当はもう少し登場シーンを増やしたかった。