青森県沖、漁港よりおよそ一海里の場所に一隻の漁船が浮かんでいる。
とは言ったものの今日の漁獲量はゼロ、つい数ヶ月前にこの海域で怪獣とGフォースの戦いが繰り広げられた事による生態系への影響もあってか、最近は大しけ続きで漁港はすっかり冷え込み、G対策センターへの不信不満も強まっていた。
「ふんふんふ〜ん♪」
だが船は出なければならない、年々増加する食料問題に生活の困窮、一匹でも多くの魚を摂るために漁師たちは今日も早朝から海へ向かう。
そんな切羽詰まった事情を知ってか知らずか、浅利七海は今日も愉快に鼻歌を奏でながら釣り糸を垂らす。
「七海ちゃん! 今日は船酔い大丈夫なのかい!」
船に乗せてくれた知り合いの漁師がそう声をかけると。
「なんらか今日は調子がいいのれす〜♪ ぶい♪」
と、笑顔でVサインを繰り出してから……。
「おぼろろろろろろろろ!!」
吐いた。
「言わんこっちゃねえや! ほれ水だ! 口ゆすぎな!」
「ゲッホゴッホ! オエッ……はぁ……はぁ……!! ほえ……?」
ひとしきり吐瀉物を海に還したところで、七海は海面に浮かぶいくつかの白い小さな塊を目にした。 何かと思い人を呼ぶと、漁師は目を細めて言った。
「……魚の骨か?」
波に揺られてるせいでハッキリとは分からないが、魚の頭骨のように見える。 それもどうやら肉も皮もなく綺麗に骨だけが浮いているようだ。
自然にできたものとは考えにくい、魚の骨だけを食う生物なんて聞いたこともない。 誰かが川に骨だけ流したのだろうか?
「……ん〜?」
ふと七海は視線を上げた、足元の骨を見ている視界の端に、チラッと別のものが映ったからだ。 静かな海、波も小さく風もほとんどない。 だが、その静けさが逆に不気味な空気を作り出す。
「ぎょ、ぎょ、ギョえぇぇぇ〜〜〜!!?」
視界の端に映ったものもまた、魚の骨だった。 そしてようやく気づく、この海域で何か異常な事態が起こっていることに。
見渡す限りの海原に、おびただしい数の骨が漂っていた──。
〈2040年9月12日、13時58分〉
青森県の漁港から謎の怪現象の通報を受けたGフォースは、その調査と解明のために一隻の潜水艦を発進させた。
航空型原子力潜水艦・轟天号、池袋博士の設計した反重力エンジンを搭載した初の大型兵器であり、現在日本が誇る最新・最強の対G決戦兵器だ。
反重力エンジンの力により全長150m、総重量1万tを超える巨体でありながら、空中を自在に飛び回る事が可能。 この兵器の完成に全世界が「現実がSFに追いついた」と大騒ぎになった。
兄弟機である羅號と共に人類の宿敵であったマンダを掃討し、先端のドリルは怪獣界随一の硬さを誇るガニメの甲羅をも貫くGフォース最強兵器が、今回の海域調査に駆り出された理由はいくつかある。
ひとつは海底への調査を行うため、もうひとつは未知の怪獣との遭遇が懸念されるため、そして最後にひとつ……この海域全体にある不安材料が存在しているためだが、内容は一部の乗組員にしか知らされていない。
「通報は昨日の早朝、漁船・栄光丸の乗組員が多数の魚の骨を発見、同日、その近くにいた備後丸も同様の現象を確認し通報に至る……ですか」
G対策センターに所属する和久井留美が事の発端が書かれた報告書を読み上げる、Gフォースの数ある兵器の中でもトップシークレットだらけの轟天号に乗り込んでもなお、気後れすることなくクールな姿勢を崩さない。
彼女の役割は海洋生物学の専門家である新田教授の補佐だ。 新田教授もまたG対策センターに在籍する研究者で、今回の奇妙な事件の原因が水質、あるいはプランクトンのような未知の微小生物の発生にあると見て調査に出向くことになった。
「それと申し訳ありませんが新田教授の行動できる範囲は制限させていただきます」
「構わん、部屋に閉じこめられるのは性分に合ってる」
冗談かどうか分からない発言に一歩遅れて苦笑しつつ、留美は今後の作戦内容を事細かに話した。
「最後に、念の為海水には直接触れないよう防護服の着用もお願いします」
「わかった」
新田教授の受け答えは淡白だった、別段それだけでは気になるような事では無いのだが、留美にはその様子が何処かうわの空であるように見えて引っかかる。
「何か気になる事でもございますか?」
「……いや、なんでもない」
含みのある声色でそう答えて、新田教授はロッカーから防護服を取り出した。 留美もこれ以上の追求はせず、研究室を後にする。
機密情報の塊である轟天号の中で留美が行き来できる場所はごく限られている、研究室とベッド以外はこの食堂くらいのものだ。
昼食も終わり人のいない食堂の中で留美はノートPCに向かい書類を整える、彼女は常にマルチタスクを抱えている。 この轟天号での水質調査が終わって陸地に戻ったとしてもすぐに次の仕事に取り掛からなければならない。
(…………)
表情を崩さず、どんなハードスケジュールであろうとも淡々と仕事をこなしていく彼女を人は鉄の女と評する。 だが人は人、彼女も疲れを溜めているのは事実だ。
留美はテーブルに肘をつき、両手で顔を覆い隠すと特大のため息を吐き呟いた。
「…………ネコ撫でたい……」
ちなみに、彼女は猫アレルギーでもある。
「ネコ派?」
「きゃぁぁぁ!!?」
突然声をかけられた留美は飛び上がり、壁を背にして張り付いた。 心拍数が一気にMAXまで跳ね、どっと汗が吹き出す。
「ご、ゴメンゴメン! そんなに驚くと思ってなかったから!」
「え……いえ……こ、こちらこそ驚いてすみません……あ、あなたは整備士の原田美世さんですね……?」
「うん、そうだよ」
Gフォースのロゴが印刷され黒で統一された作業服に身を包むのは、整備士の原田美世という女性だ。 女性ながらに原田班という整備班を束ねるリーダーであり、泥臭い現場にいながらも40歳近いとは到底思えない美貌と若さを保つ彼女は、G対策センター内ではちょっとした有名人でもある。
なにより、あの大天才・池袋晶葉の姉のような関係であるため、それだけでも注目を集める。
「うわ〜、すごい文字の羅列……目が痛くなりそう」
「え、ええ……まあ、このくらいなら、それより原田さんはどうしてここへ?」
「美世でいいよ、女の子同士じゃない」
「はあ……では美世さんで」
気さくな人とはよく聞いていたが、こうも距離感が近いとは。 それにしても若い、噂以上に若々しく留美も自分と並んでいてもほとんど年の差がないんじゃないかと思うほどだ。
「で、何しに来たかだったよね、まあ良くいえばこの船で1人になってる乗組員の心のケア」
「私のですか……?」
「そう、1日だけとはいえ潜水艦の中で過ごすのはストレスでしょ? 女子も2人しかいないからね」
と、言いつつ美世は留美の向かいの座席に腰を下ろし、ん〜〜っと気持ちよさそうに伸びをした。
「……悪く言えば?」
「サボり、えへへ」
あっけらかんと答える美世の態度につられて留美も肩の力が抜ける、それからというもの2人は何でもない身の上話に花を咲かせた。
美世の過去話は興味深いものだった、あの池袋晶葉と親戚同士で小さい頃から近くに住んでいた事や、マキノとの付き合いも20年近いという事。 留美にとってあまり関わりのない研究室の人物像はイメージしか無く、その輪郭がハッキリと見えてくるのは新鮮な気持ちだった。
「留美ちゃんはなんでG対策センターに?」
「理由は特にありません、事務仕事が向いてると思ってただけなんですけど……」
「仕事が不満?」
「いえ、ここには人を守るため、怪獣と戦うための覚悟を持って入ってきた人が多くて、けど私にはそういう大義名分というものが無いので、温度差を感じることがたまに」
全員が全員、そうでないことは分かっている。 だが身近な人の命を奪われた者、生まれ故郷を失った者、人類のために戦う決意を持つ者たちとの差は誰しも感じる。
復讐心を原動力に今まで生きてきた者の中には晶葉もいる、そして復讐に取り憑かれ道を誤った結果、志希は姿を消した。
「美世さんは……いえ、何でもありません」
言葉を遮り、留美は席を立った。
「新田教授の研究室に戻ります、海水サンプルの回収が終わったようなので」
「私がG対策センターに入った理由はね」
立ち去ろうとする留美を引き止めるように、美世は声を大きめに話を切り出す。 振り返る留美に目線を合わせること無く、言葉を続けた。
「復讐のためだよ」
左手の薬指をそっと撫でながら、怨嗟とも言うべき黒い感情の混ざったその言葉を聞いた時、留美は気づいた。 彼女が話していた昔話の中に、彼女自身の話が含まれていなかった事に。
やはりそうだ、強い意志を持ってここにいる人間は自分とは違う。
「でもね、だからこそ留美ちゃんみたいな人は必要なんだと思う」
「……それは何故ですか?」
「まともな人がいないとみんな好き勝手に暴走しちゃうんだよ、車にはブレーキが必要でしょ? それを皆、分かってないんだよ……」
複雑な、計り知れないほどに複雑な感情が入り交じった声に、留美は返す言葉を見つけられなかった。
天才を支えるメカニック、原田美世。 彼女の過去は如何にして怪獣に踏みにじられたのか、それを留美に知る由はない。
研究室に戻ると程なくして海水サンプルが届けられ、新田教授と数名の助手、それに留美も防護服を着込んだ。
海流を加味して発見ポイントから離れた場所も数箇所周り、集められた海水をこれから調査する。
民間漁船に回収された魚の骨はいずれも身がほとんどなく、完全な白骨のみだった。 十数年前にたった1度だけ出現したヘドラのように溶解液を出すような怪獣の出現も考えられるが、それなら骨まで溶けて無くなるはずだ。つまるところ考えられる可能性は……。
「見てくれ、何かいる」
海水を調査する新田教授が周りの人間を呼び込む。 留美も一緒に水槽を覗き込むと、確かに微小な何かが数匹泳ぎ回っているのが見えた。
──1時間後、一通りの調査を終えた新田教授は会議室に乗組員を招集し、結果を報告する。
「回収されたサンプルの中から、ポイントDの海水の中に未知の極小生物が発見されました。 極小と言っても1mm程と肉眼でも見える大きさで、赤い甲殻を持つ多足類である事が確認できます」
スライドに生物を拡大した写真が表示される、その姿はカニに似ているが教授が言うように既知の生物のどれにも当てはまらない。
続いて表示されたスライドでは、衝撃的な実験映像が流れる。 極小生物のいる水槽に生きた魚を投下すると……魚に極小生物が群がりあっという間に捕食、まるで溶かされたように皮と肉を全て食い尽くされ骨だけが残された。
「……!!」
あまりの光景に会議室がザワつく、この生物が事件の犯人であることはまず間違いないと誰もが納得せざるを得ない。
「この他、牛肉、鶏肉、昆虫などを投下したところ、全て瞬く間に捕食されました。 恐らく人間にとっても有害でしょう。 短いですが現時点で報告できることはこれだけです、なにか質問は?」
「はい、海水そのものに何か異常は?」
「認められませんでした、潮の流れから考えてポイントDに生息するこの生物が捕食した魚の骨が青森県沖まで流されたのでしょう、他には?」
「……では私から」
そう言って挙手したのは、轟天の艦長だ。 ガタイのいい初老の男性で、落ち着いた威厳のある風格がいかにも軍人らしい。
「生物の大きさから考えて異常な捕食スピードに見受けられますが、これだけの体格差の魚や肉を食いきれるものでしょうか?」
「現段階では分かりません、排泄物を出してる様子もなく、詳しい調査は陸に戻ってからになります」
「では他の怪獣との接点は? 見たところ“エビラの近縁種”とも取れる姿をしているように思えますが」
「それも詳しい調査をしてみない事にはなんとも、なにぶん、ここの設備だけでは限界がありますし時間も必要です」
「……分かりました」
「他になにか? ……では、報告を終了します」
明かりがつけられ、スライドも消されたところで艦長が立ち上がる。 すると艦長は教授と小声で言葉を交わすと、入れ替わるように壇上に立つ。
「すまない、私からも報告しなければならない事がある……ポイントDという海域についてだ」
艦長の言葉に注目が集まる、ポイントDという名前はただ単純に4番目の海水汲み上げ地点というだけで、深い意味は無く資料にも特別この海域がどういった場所であるかなどの注釈はない。
「ポイントD、この海域は数ヶ月前に新兵器の実験に使われた場所で、その時に“ICS”と言う化学物質が投下された」
ICS……その単語に、誰もが反応を見せた。 特に後ろの座席に座っていた美世はあからさまな態度で顔を顰めている。
「私は実験に立ち会っていないため当時の様子を知らないが、その薬品の使用によってエビラの大群を一掃したとされている……そこで発見されたこのエビラに似た赤い甲殻の生物、私の個人的な所感であるが決して無関係とは思えない」
製法や効果といった実態の全てが謎に包まれている兵器、ICS。
その真実の姿を隠すためにG対策センター極東本部の工作によりわざと多くの憶測や噂を流し、闇に葬られようとしていたはずの物。
ただ1つ共通している事は、ICSがその真実を知るもの以外にとって、あるいは真実を知るものにとっても、多くの不確定要素を孕む未知の物質であるという事だ。
これはICSを生み出した天才、一ノ瀬志希を持ってしても予見し得なかった事態。 人類滅亡という最悪のシナリオを引き起こす最後の悪魔が、今地獄の底より顕現しようとしていた。
──轟天号内、研究室
艦長がポイントDについての説明をしている頃、数名の研究員は研究室に残って謎の極小生物を引き続き調査していた。
しかし、顕微鏡を使っての観察に注視しすぎたあまり、その場にいた全員が水槽で極小生物が急速に巨大化し、1匹の生物として集合・合体していることに気づかなかった。
暫くして、研究員の1人が足下が水で濡れていることにようやく気づき振り返ると、水槽の底にまるで溶かされたかのような穴が見つかった。 当然、ポイントDの海水が入った水槽だ。
他の研究員に呼びかけ慌てて水槽の様子を確かめるが……既にその頭上に、悪魔の尖兵は待ち構えていた。
集合・合体した極小生物は、あろう事か人間大の蜘蛛のような形に姿を変えて天井に張り付いていたのだ。 常識では考えられないほどの形態変化を遂げたソレは、頭上から覆い被さるようにして研究員達に襲いかかり、瞬く間に捕食する。
なんとか初撃から免れた研究員も緊急事態を知らせるアラームを発したのを最後に、悪魔の手に落ちた。
警報が艦内に鳴り響く、発信元の研究室に内線をかけても繋がらない。 留美と新田教授は艦長らと共に艦橋まで避難し、美世は機関室へと向かう。
艦橋へたどり着いた艦長が現状の報告を促すと、内部監視カメラに赤い甲殻の蜘蛛型怪獣が映っていることを知らされ映像を確認する。
「信じられない……」
新田教授のその一言に尽きた、外から侵入された形跡はない、ならばこの生物は元々この船の中にいた生物に他ならない。
ゴジラ、モスラ、ヘドラ、キングギドラ……今までにも生物としての規範を大きく超えた超常的な生命体は数多く確認できたが、そのどれらとも違う異質な雰囲気が、この生物にはあった。
唯一幸運だったのは、今の成長段階で見つかった事だ。 怪獣のもとへ駆けつけた隊員の小型メーサー銃による攻撃で程なくしてこの生物は抹殺され、被害はさほど大きくならずに済んだ。
しかし犠牲となった3人の研究員は指の一本も残らないほどに食い尽くされており、魚と違い骨まで捕食されていた。 後には、重たい沈黙だけが残る……。
──数刻後、一部始終を本部に報告した艦長は帰投指示を受け、放送でその旨を乗組員たちに伝える。
新田教授は助手たちを殺害された怒りを抑え、会議室に残りひとり怪獣の研究データを見つめていた。 研究員たちの打ち込んだデータはパソコン間でリアルタイムに共有されており、彼らが最期に残した記録に目を通している。
「……すまん、退屈だろうが休んでてくれ」
「いえ、コーヒーを煎れますね」
研究室を潰されたとあっては、これ以上の活動は不可能。 教授自身手持ち無沙汰なのだから留美に出来ることは何もなかった。
留美の疎外感は強まるばかりだ、あんな事件が起こり人も死に、それにも関わらず皆平常通り動かなくてはならない。 轟天号という日本最強の兵器が留美にはまるで牢獄のように思えた。
「……俺たちはなぜ生き延びたんだろうな」
コーヒーをひと口飲むと、藪から棒に新田教授が話を切り出した。
「なぜ、と仰いますと?」
「…………いや、上手く言葉では言い表せないな、忘れてくれ」
新田教授の様子を見てふと、自分に似ている、と思った。
眉ひとつ動かすことなく、淡々と仕事をこなしながらも、心のうちでは脆さを抱えている。 自分も新田教授も仕事人間ではあるが心無いロボットではない、当たり前の事だが、ちょっとだけ意外でそんな所もまた似ている。
「少し休みませんか、教授」
上手く自分の弱みをさらけ出せないところも似ている。 新田教授は見るからに心労を溜め込んでいる、だが2人になった今だからこそ話せることもあるだろう。
教授は無理に働こうとしている、それが死んだ研究員達への弔いのつもりなのかは分からないが、いずれにせよ今必要なのは休息だ。
「……そうだな」
それから2人が交わしたのは他愛のない会話、なんてことはない身の上話、ただそれだけで凝り固まった心は解されていくものだと美世に教えられた。
「新田教授も広島出身なんですか? 私もです」
偶然にも2人は同じ広島出身で、地元トークが存外盛り上がった。
やがてコーヒーを飲み干した頃、新田教授は子供が2人いることを話した。 姉の方は今年大学生になったが、もう半年は家に帰れておらずいまさら顔を合わせるのが気まづくなってしまい、帰るタイミングを逃してしまったのだと言う。
「子供たちにはここで働いている事を黙っているんだ、ただの海洋生物学者だと偽ってな」
「どうしてですか?」
「余計な心配をかけさせたくないんだ、今日みたいなこともある」
分からない話じゃない、留美もG対策センターに務めると親に話した時は心配されたし、その時は基地で事務仕事だけするものだと思っていて、命の危険を感じる事態になるとは夢にも思わなかった。
「いつまでもこのままではいけない事は分かってる、だがどうしたらいいのか……ここ最近ずっと悩んでいてな」
そこでようやく、留美は調査前に見せた新田教授の上の空の理由を知った。
「……近いうちに帰れるといいですね」
「そうも行かなくなったがな……彼らの残したデータに信じ難い記録が残されていた、回収した海水の成分を調べたところ極端に酸素濃度が低い事がわかった」
「酸素濃度?」
「さらに極小生物を別の水槽に移したら徐々に酸素濃度が減っていることも確認できた、異常な捕食速度も併せて何か秘密があるんだろう」
「まさか、アレは酸素を食べているとでも?」
新田教授は静かに息を吐いて考えを整理する、魚や肉に対してあの大きさでは全てを瞬く間に捕食する事は物理的に不可能なはず。
つまり捕食ではない別の方法でエサを急速に分解している事になる、さらに酸素を消失させるこの特性……専門外であるためそれが可能であるかは分からないが、新田教授はひとつの仮説を導き出していた。
「恐らく酸素という物質そのものを破壊しているんだ、魚の細胞内にある酸素すらも破壊し細胞の結合を解く事で分解している、それがあの捕食の正体だ」
「酸素を破壊!? ……そんな事が本当に可能なんですか?」
「私も専門ではないから確証は持てない、だが不可能ではないだろう……酸素を破壊する生物、私はこの怪獣を“デストロイア”と名付けるつもりだ」
「デストロイア……破壊者、ですか」
恐るべき力を持つ怪獣、デストロイア。 新たなる脅威の出現に意気消沈する暇もなく、轟天号内に再び警報が鳴り響く。
警報より数分前、轟天号は静かに海の中を進んでいた。 滞在していた海域から極東本部への航路はポイントDの海域を掠めるが、以降の調査は後日に持ち越しとなった。
今は潮の流れを回避すべく、海中を航行しながら反重力エンジンの起動を待っているという状況だ。
「ん……? 窓に何か……」
操縦席に座る男のひとりが、窓にヒトデのような生物が張り付いている事に気づいた。 しかしヒトデにしては大型で、ウヨウヨと長い触手を腹側から伸ばしているのが見える。 男は、この特徴に覚えがあった。
「べーレムだ……艦長! 窓にべーレムらしき生物が張り付いています!」
「なに?」
べーレム、姿はヒトデによく似た見た目をしているが、実態は強酸性の体液と無数の雑菌に塗れた生きる猛毒であり、海の尽くを汚染する極めて危険な怪獣である。
そしてその母体でもある海魔獣ダガーラはあのマンダと並び海の支配者とまで呼ばれる凶暴な怪獣であり、日本近海に現れた例は今までに無かったはずだが、べーレムが居るということはその親であるダガーラも近くに居るという事になる。
「ダガーラの反応は!?」
状況を瞬時に理解した艦長は青ざめた表情で指示を飛ばす。 轟天号ならダガーラにも勝てるだろう、だが長年怪獣と戦ってきた事で培われた軍人の勘が、ここで挑むべきではないと告げている。
今までに例のなかった領域での既知の怪獣の出没……それが異常事態の発生であることは疑いようがなく、寄りによってクラス-Aにも分類されるダガーラの行動に異常をきたすというのは、ダガーラ以上の何かが現れたという可能性にも繋がる。
「ソナー反応ありませ……いや、反応あり! 怪獣らしき影が2つ!」
「生体電磁波を照合、1つはダガーラと一致! しかしもう1つは該当データなし!」
予感していた“ゴジラ”の名が上がるという最悪の結果にはならなかった、しかし事態はより深刻になったかもしれない。 全ての怪獣はそれぞれ周波数の違う電磁波を常に発しており既知の怪獣であるならばすぐさま照合できる。
未知の怪獣の出現、次に艦長が考えた最悪の事態とはこうだ。
(ダガーラすら脅かす、未知の怪獣……!?)
「か、艦長! 窓に張り付いていたべーレムが、しょ、消滅していきます!」
窓を見ると、ベッタリと張り付き触手を伸ばしていたべーレムが、瞬く間に食い尽くされていく様子がハッキリと見えた。
会議室で新田教授の見せたあの映像と全く同じだ、この海域にあの極小生物がいるのは間違いない。
「反重力エンジン起動! そのまま急速浮上し海域の上を突っ切れ!」
極小生物……デストロイアの急速な巨大化を見た時から確信していた、デストロイアはまだ子供でありその親となる怪獣がどこかに潜んでいるはすだと。
奇しくもポイントDを掠めるこの海域でダガーラと謎の虚影と接敵した、先程は姿を見せなかった“親玉”である事は明白。
どのような怪獣であれ、未知の存在との対面は避けたい。 いくら最強の轟天号であろうと相手が分からなければ分が悪いのはこちらの方だ。艦長がアラートを鳴らし急浮上によるショックに備えるよう放送で呼びかけ間もなく、轟天号は海中から海上へ、やがて空へと浮上する。
「なんだ!?」
2頭の怪獣の頭上へと差し掛かるその時、海を割り巨大な影が姿を顕にした。 目に映るのは海魔獣ダガーラ……そしてダガーラに組み付き槍のように鋭い腕でダガーラの翼を根元から引き裂く、赤い巨大怪獣。
ダガーラが、マンダと並び海の支配権を我が物としていたあのダガーラが、悲鳴を上げている。
赤い怪獣……デストロイアの姿は蜘蛛のような6本足の下半身から胴体を伸ばし、人の指の骨にも似た細く鋭利な腕を持つ。 そして一瞬の出来事でこの時は分からなかったが、ダガーラはデストロイアから逃げようとしていたのだ。
大きな口を開けてダガーラの首元に噛みつきトドメを刺しにかかる、隙をついて轟天号は海域を脱しようとするが、デストロイアの目は既に逃げおおせる轟天号を捉えていた。
二頭は縺れるようにして海へと落ちてゆき、一面が血で真っ赤に染まる。 もはや戦いにすらなっていなかった、信じ難い光景だが、一方的だ。
海に静寂が戻る暇もなく、デストロイアは海面を再び飛び出し飛行する轟天号に迫り──6本の足を轟天号の装甲にくい込ませて船体後部に馬乗りになった。
「……っ!! き、教授! 大丈夫ですか!?」
「ああ……!」
激しい揺れに見舞われた留美と新田教授は地べたに転がりながらもお互いの無事を確認すると、大切なデストロイアの研究データが入ったノートパソコンを抱えてなんとか会議室から脱した。
「2人とも艦橋へ急いでください、避難を!」
そう言いながら通路の先からGフォース隊員が2人の元へ駆け寄る、轟天号の艦橋は戦闘態勢に入ると外部の攻撃から身を守るために船の内部へと丸ごと移動する仕組みになっている、そのため戦闘時においては一番安全な場所になるのだ。
「こちらです、揺れるので壁に手をつきながら……」
その時、突如横の壁から突き出してきた赤い外骨格が船員の体を巻き込んで通路を塞いだ。 デストロイアの腕が、真横から突き刺されたのだ。
留美も新田教授も腰を抜かして倒れ込み、悲鳴すら上げる暇も無く消え去った船員の、数メートル先に見えた死の恐怖に怯えた。
たった今言葉を交わしていたはずの男の声が聞こえない、いたという痕跡すらもうどこにも確認できない。 次は我が身か、そんな逃げ場のない絶望から逃げるように、必死にその場を離れようともがき地べたを這いずる。
先になんとか立ち上がった新田教授に腕を引かれながら辛うじて留美が立ち上がり、デストロイアの腕がゆっくりと引き抜かれると、今度は爆発音が船の外から響き渡ってくる。
生き残っている後部主砲による砲撃が始まったのだ、だがこんな至近距離で撃っては轟天号の主砲自体も当然ダメになる。
案の定砲撃はすぐに止んだが、どうやらデストロイアを引き剥がすことには成功したらしく悲鳴のような甲高い鳴き声が遠ざかっていく。
すると、通路の灯りが非常灯に切り替わり船内が薄暗くなった。 大量の電力を必要とする光学バリアを展開した合図だ、これでデストロイアによる外部からの攻撃にもある程度耐えられるだろう。
「何の音だ?」
しかし一安心するのも束の間、薄暗い通路の向こう側から、聞き慣れない音が聞こえてきた。 いや、違う、聞き慣れてはいないが、聞いた事はある音だ。
つい数刻前に見た、船内の監視カメラ映像を見ていた時にその足音を聞いている。
「あ……っ!」
悲鳴を上げる余裕もなかった、音の正体に気づいた時には既に、それは目の前に迫っていたからだ。
研究員を殺害したものと同類の蜘蛛型デストロイアが天井を這いながら猛スピードで2人に迫って来ていた、突然降かかる死から身を庇う時間すらなく留美が目を伏せたその瞬間、銃声が鳴り響く。
ゆっくりと目を開けると、蜘蛛型デストロイアはピクピクと痙攣しながら仰向けに倒れていた。
「大丈夫ですか!?」
駆けつけた美世が2人の前に出てさらに2発、デストロイアは完全に沈黙した。 手に握られていたのはMリボルバーという、小型怪獣用の特殊弾を撃てる銃だ。 エビラの幼体の甲殻すら貫く破壊力を有しながら、女性の美世にも扱えるほどに取り回しが良く各国のGフォースで広く使われている。
「美世さん!」
「ついてきて!」
狭い廊下を急ぎ足で駆けながら、美世から船内数ヶ所で蜘蛛型デストロイアが出現している事と、本部からの救援は恐らく間に合わないという二重の悪い知らせを聞かされた。
だが、何故蜘蛛型デストロイアが湧いて出たのか、その理由は分からないと言う。
「……デストロイアは分裂と合体を繰り返すのかもしれない」
「デストロイア?」
美世が聞き返す、新田教授は物質に含まれる酸素を破壊する性質から怪獣をデストロイアと名付けたことを話し、さらなる仮説を捲し立てた。
「最初にデストロイアが巨大化した時、私は急速に成長したのかと思った。 実際のところある程度は極小体から成長していたのかもしれない、だがそれにしては数が合わないんだ」
「数……と、言いますと?」
「極小体デストロイアはサンプルの中に数十匹いたはずなのに、現れた蜘蛛型デストロイアは1匹だった……デストロイアは群れから集合し、文字通りひとつの個体へと合体するのかもしれない」
「では分離というのは……」
「今襲ってきた巨大なデストロイアは轟天にしがみついている内に体の一部を分離し……大量の蜘蛛型デストロイアを船内に放ったのだとしたら……」
仮説だ、という前提は置いたものの、2人にとってはあまりにも突拍子のない話だった。
今までにも人類の理解を超えた生態を持つ怪獣はごまんと見てきた、だが複数の生物が集合し合体、あるいはその逆をやってのける怪獣など全く前例がない。 それもヘドラやドゴラのような不定形だったり単純な構造の怪獣ならまだしも……。
「自分自身の細胞の結合を解いて分解している……? 餌に対する酸素破壊を自身の分離に応用できているならば……」
薄暗い通路を早足で進みながら新田教授は考えを巡らせる、全てが仮説、自分でも信じ難いような突飛な理論だが、違ったとしても何らかの方法で自身の体を変化させる能力があるのは確かだ、そうでなければ研究員を襲った蜘蛛型デストロイアの出現を説明できない。
考察に耽ける新田教授を現実へと引き戻すように、銃声が2度鳴り響く。 進行上にまたもや蜘蛛型デストロイアがいたらしく、厄介なことに狭い通路を塞ぐようにして倒れ込んでしまった。
「ちょっ! なんでそんな邪魔な倒れ方しちゃうのかなー!?」
節足動物の裏側が生理的にかなりキツい見た目をしているのは想像に難くないだろう、女性二人がデストロイアの死体を見て鳥肌を立たせるのを他所目に、新田教授は興味深そうにまじまじと死体を観察している。
当然艦橋まで避難するにはこれを飛び越えるしかないのだがそんな度胸もなく足踏みしていると……来た道から聞こえてきた別の足音に背筋が凍りつく。
「やばい、やばいよコレ、もう弾がないんだけど!」
「……っ……!!」
覚悟を決めて留美が先行すると、続いて新田教授、そして嫌々ながら美世も後に続いた。 さらに振り返ってMリボルバーを構え最後の1発、命中はしたが撃ち落としたデストロイアの背後から、さらに2匹のデストロイアが迫ってきている。
「あーもう!!」
リボルバーを投げ捨ててがむしゃらに走ると、ようやく艦橋への入口が見えてきた。 出入口に2人隊員が立っており、3人を急かす。
振り返る余裕もないが2匹のデストロイアが追いかけて来ているのは分かる、緊張と疲労で何度も足がもつれそうになり、肺が潰れそうな程に痛むのをなんとか耐えながら、あと少しのゴールへとスパートをかけたその時、船体が大きく上下に揺さぶられた。
エネルギー不足で光学バリアが切れたタイミングを見計らって、巨大デストロイアが轟天号の前方ドリル部分にしがみついたのだ。
だがこのデストロイアの行動は轟天号にとって僥倖だった、デストロイアは先端のドリルが武器である事を知らない。 艦長の素早い号令でドリルを起動させると、対ゴジラを想定したドリル攻撃に耐えられるはずもなく、巨大デストロイアは瞬く間に胴体を真っ二つに引きちぎられ海へと落下した。
「ぐぅっ……!」
激しい揺れに体勢を崩した留美と美世は体を壁に打ち付けたものの大きな怪我はなかった、だが新田教授は打ちどころが悪く足を痛めたようで、立ち上がる事が出来ない。
「教授!」
だがデストロイアは容赦なく迫る、隊員からは斜線上に人がいては発砲出来ない、そして距離を詰めようにもデストロイアの方が先に3人を捕らえてしまうだろう。
逃げなくては、だが教授を見捨てる訳には行かない、そんな葛藤をする間もなく、教授は2人を突き飛ばした。
「うっ……!」
「行け! 俺に構うな!」
一瞬だった、それとも、本当はもう少し長い時間だったのだろうか、急転直下の出来事に留美はただ困惑し何が起こっているのか理解出来ず、後になってもこの時の事を全て鮮明には思い出せない。
新田教授は雄叫びを上げながら、食らいついてきたデストロイアに必死でしがみついていた、2人を守るために命を賭して。
留美は言葉にならない悲鳴を上げ、美世はそんな彼女を引きずるようにして前進する……教授に牙を突きつけるデストロイアを乗り越えもう1匹のデストロイアが2人を追おうとしても、教授がその足を掴んで食い止める。 死の間際、1人でも多くの命を救うという決死の覚悟が、限界を超えた力を手に宿らせていた。
「────」
それでも留美は教授の最後の言葉をハッキリと耳にした、故郷に残してきた家族の名前、妻と娘と息子の名前……。
気づいた時にはすでに新田教授は絶命していた、隊員の1人が自動小銃でデストロイアを撃ち抜き、完全に沈黙させると、留美と美世を引き連れて艦橋へと飛び込む。
留美は……ただ呆然と力なく崩れ落ち、美世が体を強く抱きしめていた。 今日だけで何人の人の死を見た事か、何人の乗組員が犠牲になったのか、留美は心に深い傷を負いながらも、助手としての仕事を全うした。
生きて新田教授の研究を持ち帰るという、最後の仕事を。
「海底にアンノウンの反応あり! 急速に上がってきます!」
突如響く船員の声に馬鹿な、と艦長が狼狽し、息付く暇もなく緊張が走る。 デストロイアは倒した、ダガーラも死んだ、なら何が? 何がこの海域に潜んでいる?
「距離30、20、10……浮上!」
爆発とも見まごう大飛沫を上げ海より出現したのは、翼長だけでも轟天号の直径の倍近くはあろう超巨大怪獣。 赤黒い血のような体を持つそれこそが、真のデストロイアの親玉だ。
まるでファンタジーに登場するドラゴンのような見た目で、禍々しさと威圧感を放ちながら、デストロイアは轟天号を掠めるようにして太平洋の彼方へ飛び去って行った。
「今倒した怪獣ですら子供だったというのか……!」
デストロイアは轟天号に目もくれなかった、あるいは敵だとすら思われなかったのか……嘲笑うようにしてデストロイアは轟天号を見下した。
命拾いしたのは確かだが、目測でゴジラよりさらに巨大な怪獣の出現、そしてこの戦いがまだ序曲でしか無かった事に、誰もがただ絶望するばかりであった。
あらゆる生命が死に絶える悪夢の侵食海域を越えて、傷だらけの轟天号が本部へと着艦する──。
〈9月25日・広島〉
あれから一週間、新田教授たち研究員の残したデータは無事届けられ、新怪獣は正式にデストロイアと命名された。
その間、本格的に活動を開始したデストロイアは手始めとばかりにメキシコを襲撃、先にメキシコに上陸していたつがいのラドンをいとも容易く捕食した後、わずか十数時間のうちに800万人を超える死傷者を出し、大西洋へと消えた。
留美は新田教授の葬儀のために広島を訪れていた、久しぶりの生まれ故郷も、法事とあっては浮かれられるような気分ではない。
「本日は父の葬儀にご参列いただき、ありがとうございます……」
受付に立っていたのは彼の妻と娘だった、轟天号の中で写真を見せられた留美には彼女たちがそうなのだとすぐに分かった。 リストに名前を記入すると、留美はじっと娘の顔を見つめる。
「新田……新田美波さん、ですね」
「あ……はい……えっと、和久井……さんは父とはどういった……?」
「轟天号でお父様の助手をしていました」
「そうだったんですね……父の最後の仕事を手伝ってくださり、ありがとうございます」
感謝の意を述べられた途端、留美の目に涙が滲む。それを隠すようにして、留美は深々と頭を下げた。
「ごめんなさい……教授は私を助けるために身代わりになって……本当にごめんなさい……!」
「わ、和久井さん!? や、やめてください、そんな、謝らないでください!」
「教授はずっと悩んでました、家族に会えない事、美波さんの進学祝いも出来ないでいた事、ずっと気に病んでいました……それだけを伝えたくて……」
許して欲しいわけじゃない、伝えたかったはずの新田教授の想いも上手く伝えられない、悔しさと不甲斐なさでボロボロになった顔を上げると、美波はぐっと涙を拭い留美に微笑み返してくる。
「分かってます……父の想いも、留美さんの気持ちも、ちゃんと分かってます……だから顔を上げてください、それが父のためになりますから」
「…………」
留美はそれ以上の言葉が出ず、もう一度深く頭を下げて受付を後にした。顔を上げて歩むことが新田教授の為になる、という理屈は自分だって分かっている。 それでも自分がこの先どうすべきか、留美は答えに迷っていた。
バッグに忍ばせた退職届もこの一週間提出すべきかずっと悩んでいる、ただ今は、感傷的な心の癒しを求め家族の元へ帰ろうと思う。 それで何が決断できるのかも分からないけど、未来の選択から逃げないためにも、今だけは逃げ道を選びたい。いつか失うかもしれないなら、せめて今だけは。
あてもなく見上げた青すぎる空に、留美は一粒の雨を落とした。
〈エピソード10:侵食海域〉 ー完ー