ゴジラvsシンデレラガールズ   作:キシ

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[追加]〈エピソード2.5:人喰い山の怪奇〉

 

〈2020年8月11日、14時29分〉

 

「む、むむむむむむ……ムムムムン……!」

 

「むむむむ……むぅ〜……?」

 

 茹だるような炎天下にセミ達の大合唱が響き渡る、夏休みの昼下がり。 ここ福井県越前市の民家で、外の暑さなど忘れてしまえるほどクーラーの良く効いた部屋に籠り、唸り声をあげる2人の少女がいた。

 1人は何やらスプーンを持った手に気合いを込め、1人は何の意味があるのか虫眼鏡でその様子を真剣に見つめている。

 

「ムムムム……ぷはぁ〜〜!」

 

 と、力尽きたようにスプーンに込めた力を解いて、背中の方へ寝転んだ少女、名は堀裕子。

 

「っはぁ……! な、なかなか曲がりませんね……」

 

 特になにかしていた訳では無いが妙な緊張から解放され、裕子の向かいに座る安斎都が息を切らす。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「お、おかしいですね? 本当に、曲がる時は簡単に曲がるんですけど……力の込め方が悪いんでしょうか?」

 

「あの、力で曲げたらそれは超能力じゃないですよね……?」

 

「いえ! 本当にサイキックパワーを込めるんですよ! 力技じゃなくて何かこう……サイキックなパワーが指先に集まる感じがあるんです! ……たまに」

 

「サイキックなパワー……なるほど、それが超能力……」

 

「そうです! 何なのかはよく分かりませんが!」

 

 ……このまま頭の痛くなりそうな会話を続けても良いが、話が進みそうにないので状況を説明しておきたい。

 2人は共に同じ高校に通う高校生で、高校入学までは面識もなくクラスも別々と、ついこの間まではまるで接点のない2人であった。 そんな間柄なのに、なぜ都がこうして裕子の部屋にいて、面と面を付き合わせているのかと言えば、話は夏休み前に遡る。

 夏休みに入る直前、都はクラスで裕子の噂を聞いた。 自称・超能力者の堀裕子という子が、予知夢を見たり、未来予知で危機を回避したと言うのだ。

 それも証言者がおり、未来予知によって怪我や事故から免れた生徒も数名いるのだとか。

 裕子が超能力者を自称しているのは小学生の頃かららしく、その噂も小学校、中学校、そして現在までずっと続いている。

 そんな噂を耳にしては自称・名探偵である安斎都は黙っていられない。 裕子のサイキックパワーの謎を追うべく、早速裕子とコンタクトを取った都は、夏休みの間もこうして何度も会ってはサイキックパワーを拝もうとしていたのだが……。

 

「今日もサイキックパワーは不発でしたね……」

 

 結局、何度試してみても裕子の超能力は発現しなかった。 これには裕子も困り果てていて、話を聞いたところによると自発的に超能力を使えた試しは無いのだとか。

 予知夢や未来予知も、いつでも見れる訳ではなく何か危機的な状況が迫っている時にしか見れない。 しかし直感や偶然と言うにはハッキリとしすぎているし、予知夢もただのデジャブ等ではなく、予知夢を見た翌日には必ず同じ状況が発生すると言う。

 それはそれで凄いことなのだが、裕子はそれら“予知”に纏わる何かしらの能力を持つだけで、別にスプーンを曲げたりした事は1度もないのに、どうしてかそういう事も出来るのだと思い込んでしまっていた。

 つまるところ裕子は思い込みが非常に激しかったのだ。

 

(しかし……“超能力”はただの飛躍した思い込みだとしても、予知は本物のようですね)

 

 未来予知が本物だとする確たる証拠もまだ都は掴んでいないが、とにかく周りの人への聞き込み調査の結果、誰もが口を揃えて未来予知だけは事実だと答えた。

 それがどう間違えて超能力を使えると裕子自身が思い込むようになったのかはさておき、これは使えるかもしれない、と都は思った。

 

「ところで……」

 

 都は、しばらくの沈黙の後に大の字に力尽きる裕子に声をかけた所で、ふと我に返った。

 

「い、いえ、なんでもありません!」

 

 この先を言ってはならない、と思い留まったからだ。 都の頭の中でぐるぐると回り続ける不安を裕子に打ち明けてしまえば、何の関係もない彼女を巻き込んでしまう。 しかし。

 

「都ちゃん!」

 

 ただならぬ様子の都を見て、裕子は体を起こしその俯いた顔にずいっと自分の顔を近づける。

 

「は、はい!?」

 

「悩んでる事があるなら話してください! 私がさいきっく・お悩み解決してみせますよ!」

 

 純新無垢に目を輝かせながらそう言ってくるものだから、都はつい顔を逸らしてしまった。

 

「う、うぅ〜〜〜……」

 

 しかしこの夏休みを通して裕子を少し理解した都は、彼女を信じてみることにした。 はぁ……とため息を履いてから頭の中を整理し、口を開く。

 

「裕子ちゃんは“人喰い山”の噂を耳にした事はありますか?」

 

「人喰い山? いえ、ありませんね」

 

「ここからさほど遠くない所に、そんな噂の立つ山があるんです、噂になったのは何ヶ月か前の事なんですけど、なんでもその山に入ったら最後、誰も帰ってこないらしいんです」

 

「ふむふむ……」

 

 何が言いたいのかはまだよく分からないが、裕子は都の言葉をひとつひとつ噛み砕いて理解していく。

 

「つまり行方不明者が続出しているんです」

 

「なるほど、ミステリーですね!」

 

 と、都が好き好むワードを口にしてみたものの、場の空気は良くなるどころかより一層都の表情を深刻なものに変えてしまった。

 

「私も、本来ならそう言って飛びつくところなんですが……実は……」

 

「……なにか、あったんですか?」

 

 思っていた以上に深刻な話になる事を予感した裕子は、強ばった表情で都を凝視する。 緊張感のあまりか、クーラーがガンガンに効いているにも関わらず、嫌に汗ばんできた。

 

「私のおじいちゃん、警察官なんです、それも人喰い山のある集落の交番に勤務してて……それで、あまりに不審な行方不明が続くから県警の人達と一緒に捜索するって一週間前に聞かされて……」

 

「え……そ、それって……もしかして……!?」

 

 最悪の展開を予感し青ざめた裕子の考えを肯定するように、都は頷く。

 

「次の日から……帰ってこないんです……」

 

 その言葉に、裕子はゆっくりと身を引く。 わけも無く音を立てないように気をつけながら、ゆっくりと。

 ようやく落ち着ける体勢で座り込んだ時、お互いの間に重たい沈黙が訪れ、クーラーと窓越しに聞こえるぼやけたセミの鳴き声だけが耳に届く。

 

「そ……それで、都ちゃんはどうしたいんですか?」

 

 重要な部分はそこだ。 都はどうしてもこの話を切り出したくて、そう出来なかったのだということは誰の目にも明らかだ。 ならば、この話がここで終わりなわけはない。

 ただ、裕子にはなんとなく自分に寄せられている期待が理解できる。 話しにくいというならば、自分の口からハッキリと言ってしまった方が都のためだろう。

 

「……私の超能力なら、おじいさんを見つける事ができるかもしれませんよ!」

 

「う……お見通しですか……裕子さん探偵に向いてますよ」

 

「お任せ下さい! 中学生の頃に迷子の子供を探し当てたことだってありますから! あの時はビビっと来たんです! 何かこう、誰かに導かれるように!」

 

 自信に満ちたその瞳と言葉に、都は言葉を失った。

 話を切り出せなかったのは恐れていたからだ、人喰い山の事ではなく、裕子の超能力を個人的な理由で利用しようとしていたこと、無関係な裕子を危険に巻き込もうとしていたこと。 それを知られてしまったら失望されるのでは無いかという恐れ。

 見誤っていたのは、裕子が底なしのお人好しだということだ。

 

「そうですね……はい、その通りです! 悩んで行動を起こせないのは名探偵のする事ではありません!」

 

 都が立ち上がり、裕子もそれに続く。

 

「この名探偵・安斎都、全ての謎を解き明かしてみせます!」

 

「そうです! その調子ですよ!」

 

「私の推理力と裕子ちゃんの超能力が合わされば迷宮入りは有り得ません! 超能力の謎は一旦後回しです、人喰い山の謎を解明すれば自ずと点と点は線になって繋がるはず! です!」

 

 などと、すっかり調子を取り戻した都は、いよいよ人喰い山の謎を解明すべく裕子と共に禁域へと足を伸ばすのであった。

 そしてこの日、彼女たちは知る事になる。 人喰い山の真実と、闇に潜む怪奇なる存在と……どうしようもなく残酷な、怪獣時代がもたらす惨劇を。

 

 

 

〈同日、15時52分〉

 

 人喰い山の麓まで自転車でたどり着いた2人は、人が通れるように踏み固められた山道を進んでいく。 道とは言っても大部分が雑草で隠れており辛うじてここが道なのだと分かる程度のものだ。

 学校指定のジャージに着替え、動きやすい格好で来たものの、あまり人の手が入っていない山を登るのは想像以上に苦労した。

 汗ばむ肌に服が張り付く不快感に耐えながら、息も切れ切れで言葉を交わす余裕も無くなってきたところで、裕子はふと浮かんだ疑問を口にする。

 

「そういえば、この事件というのはいつから始まったんですか?」

 

 都は息を整えるために数歩の間を空けて答える。

 

「今年の春頃に、山菜採りに入ったこの山の所有者の人が行方不明になったそうです、その後この地域の人達が探しに入って次々に……という事らしいです」

 

「う〜ん……なんで、すぐに警察の人たちは探さなかったんでしょうか?」

 

「怪獣が関わってるかもしれないからGフォースと協力するはずだったんです、でも、Gフォースも人手不足でなかなか来られなくて、仕方なく先週警察だけで山に入る事になったって、おじいちゃんが言ってました」

 

 福井県にG対策センターはなく、近いところでも大阪か愛知になってしまう。 怪獣災害対策において最も優先すべきは都市部の防衛であり、地方はどうしても後回しになる。

 こればかりは仕方がないものの、実際のところ設置となるとそれだけ軍事力の増強を進めるという事でもあり、地方へのG対策センターの設置は賛否ある。

 増え続ける怪獣災害と、G対策センター設置に関する世間の是非による板挟みのジレンマは、今後もさらに加速していくことになるのだが、それはまた別の話。

 

「はぁ……はぁ……!」

 

 しばらく無言で山道を歩き続けたが、行方不明者の影も形も見当たらない。 夏の暑さと舗装されていない道でどんどんと体力を奪われた都は、膝に手をついて立ち止まってしまう。

 

「少し、休みましょうか……?」

 

 裕子も息を切れ切れにそう提案すると、都は頷いて丁度近くにあった岩に腰掛け、裕子は木の幹を背にして地べたに座り込んだ。

 そもそも裕子のサイキックとやらを実証できていないのに、なぜ今山に入ってしまったのだろうとか、こうして歩いているだけで簡単に見つかるのなら行方不明者が続出するわけが無いのにといった雑念が2人の頭を過ぎる。

 

「失敗しました……」

 

 と、小さな声でつぶやくのは都だ。 暑さと疲労にやられ、ぼうっとした頭はむしろ冷静な思考を都に取り戻させた。

 

「おじいちゃんの事が心配で、考え無しに行動して……本当にごめんなさい……」

 

 らしくない弱音が次々に口から溢れ出す。 都も、祖父が帰ってこない事から焦りと不安に駆られていてどうしようも無かったのだとはいえ、やはり裕子を巻き込んでしまったことは後悔している。

 だが、そんな都の言葉に返事が帰ってこない事を不思議に思い、都が顔を上げると、裕子はただでさえ特徴的な丸い目をさらに丸くさせて、道の先の方をじっと見つめていた。

 

「ど、どうかしましたか?」

 

「…………」

 

 答えない。 とうとう愛想をつかされてしまったのかと思い立ち上がって近づくと、声をかけるより早く裕子が妙な事をつぶやく。

 

「蝶々が飛んでました……」

 

「え……?」

 

 裕子はゆっくりと立ち上がり、さらに言葉を続ける。

 

「あの時もそうでした、あの時も、あの時も……必ず蝶々が飛んでるんです」

 

「裕子さん……?」

 

 驚くほど静かに淡々と紡がれる裕子の言葉に、都は得体の知れない不安を覚え、さっと体温が抜けていくような感覚に陥る。

 あの時、が何を指しているのかは分からないが、裕子はどこか心ここに在らずといった様子で、都を置いてゆっくり、ゆっくりと道を進んでいく。

 

「ま、待ってください! あの、蝶々がどうかしましたか!?」

 

「いつもそうなんです、私が何か不思議な力を使える時は、いつもあの蝶々が近くに飛んでいて……」

 

 都は裕子の視線の先を見つめるが、蝶々とやらはどこにも見当たらない、辺りを見渡しても同じだ。 どこにも、裕子の言う「蝶々」は見つからない。

 

「どこにいるんですか、その蝶々は!」

 

「えっ? どこって、ほらあそこに……あれ?」

 

 驚いたように振り返った裕子は、そう言って進行方向を指差すがどうやら見失ったらしい。

 さっきまでの様子から一変、すっかりいつもの調子に戻った様子でキョロキョロと辺りを探すが、やはり見つからないようだ。

 

「お、おかしいですねぇ……」

 

「…………ま、まあ、見つからないならいいでしょう!」

 

 裕子はまるで何かに操られているかのように見えた。 見えない何かを見て、それに引っ張られていく裕子。 加えて山の中というロケーションもあってか都は酷く恐怖した。

 都はこれ以上この話に踏み込む気にはなれず、落ち着くために深呼吸をする。

 

「……おや?」

 

 すると、都は数メートル先に奇妙なものを発見し、どこにしまっていたのか虫眼鏡を取り出す。 しゃがみこんで観察していた物を裕子も覗き込むと、見たこともない大きなキノコが生えていた。

 傘の部分は泡立ったように無数の丸い傘が集合しており、一見しめじのように見えるが、柄は一本の太いものとなっている。

 

「変な形のキノコですね、都ちゃんはなんというキノコか分かりますか?」

 

「むむむ……分かりません、私も見た事がないです……」

 

 キノコの判別は非常に難しいと聞く、傘の色は茶色くパッと見危険なようには見えないが、得体の知れないキノコには触れるべきではないだろうと思い、都は念の為スマホで写真に収めた。

 そして観察を終えて立ち上がった、その時だった。

 ガサガサ、と茂みの中から物音が聞こえてきて、2人はギョッとして振り向く。

 ガサガサ、ガサガサ、近づいてくる物音から遠ざかるように一歩後退すると、茂みの中からタヌキが顔を出した。

 

「び、びっくりしたぁ〜〜! 可愛らしいタヌキじゃないですか!」

 

 2人はほっと胸をなでおろし、走り去るタヌキの後ろ姿を見送った。

 

「ま、まあ山ですから、動物も出ますよ! さあ、先を急ぎましょう都ちゃん!」

 

「そうですね! まだ行方不明の原因も分かっていませんし、このまま……」

 

 ガサガサ。

 

「えっ! また!?」

 

 ガサガサ、ガサガサ、またもや茂みから音が聞こえる、しかし……。

 

「都ちゃん、これは……」

 

 ガサガサ、ガサガサ、ガサガサ……近くからも遠くからも草木をかき分け何かが動く音がする。 右からも、左からも、あらゆる方向と距離で一斉に何かが動いている。

 

「囲まれてる……?」

 

 そして、2人の背後から一際大きな音が聞こえて、反射的に振り向く。 飛び出してきた「ソレ」は、大きく、茶色く、遠目には熊にでも見えたかもしれないが、ハッキリと人型をしていた。

 

「ァ゛……ア゛……」

 

「キャアアアアアアア!!」

 

 咄嗟に抱き合った2人の悲鳴が山の中に響き渡る。 気づけば、辺り一面でそれらは立ち上がり、2人を囲っていた。

 人型をしているが、茶色い皮膚はボコボコと泡のように隆起しており、手足や首は太く、特に5本あるように見える指の太さは都の腕ほどであった。

 何よりも特徴的なのはその頭だ、まるでキノコの傘のようになっており、都は先程見た奇妙な形のキノコを思い出す。

 

「これ、あの、頭ッ! さっき見たキノコの……!」

 

「怪獣!? か、怪獣なんですかこれは!?」

 

 とっくに確信した、これこそが連続行方不明事件の真相なのだと。 謎のキノコと謎の怪獣、この山は既に、怪獣の巣窟と化していたのだ。

 逃げなくては、この事を誰かに伝えなくては、なんとか逃げ出そうとするが恐怖のあまり足がすくみ思うように動けない。 なによりも道を戻ろうにも怪獣が行きも帰りも立ち塞がってしまっている。

 どこかに逃げられそうな道は無いのかと、裕子が怪獣たちを見ているとある事に気づく。

 

「都ちゃん! この怪獣たち、何体か服を着てますよ!」

 

「服……? あ!」

 

 いくつかの個体が上半身にボロボロの布切れを纏っていたが、確かによく見れば服の形をしていたように見える。 下半身もそうだ、全てでは無いがやはり布切れが巻きついている。

 

「まさか…………行方不明になった、人たち…………?」

 

 信じられなかった。 だが都の推理は当たっている。

 寄生怪獣マタンゴ──あるいは、寄生菌類マタンゴ。 後の調査によりこのキノコには、全ての怪獣が共通して持つオルガナイザーG1が備わっていた事が判明する。

 それを持つ細胞を指してG細胞とも呼ばれるこの物質は、植物や微生物、菌類まで侵食する。 ほとんどの場合は無害か、影響があっても死に至らしめるものだが、万が一このG細胞に適応してしまった時……それは、怪獣と化す。

 すなわちマタンゴとは、キノコの見た目をした紛れもない怪獣なのだ。

 

「このキノコのせいで、人が……! 怪獣になった……!? そんな、それじゃ……それじゃあ、おじいちゃんは!?」

 

 パニックになりながらも祖父の痕跡を探す、幸いにもマタンゴたちの動きは緩慢で、こちらの様子を伺うようにジワジワと近づいてきていた。

 

「おじいちゃん! 私だよ!! おじいちゃん!!」

 

 もしこの中に祖父が居るのなら、青い制服を着ていたはずだ。

 だが、ぞろぞろと集結しつつあるマタンゴの中から必死になって探してみて分かったが、布切れを被っている個体の方が明らかに少ない。 ほとんどの場合において体の肥大化に耐えられず完全に破り捨てられてしまっているのだろう。

 

「おじいちゃん!! おじいちゃん、どこなの!! おじいちゃん!!」

 

 返事を求めて呼びかけるも、何も返って来るはずもない。 それでも喉が痛くなるほどに叫んでいるうちに、かえって都は少しずつ冷静になってきた。

 いや、冷静と言える状態ではない、それでも本能で拒み続けていた現実を徐々に理解し、理性の方が勝った時、都の心はバランスを崩してバラバラに崩壊していく。

 

「嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ!!!! 嘘だあぁぁぁぁあぁぁぁぁあ!!!!」

 

「都ちゃん!! 落ち着いてくださいっ!!」

 

「うそだよ!! そんなの……違う、ちがう!!」

 

 目の前に姿を見せた真実を、都は否定する。 両手で頭を抱え、髪を掻きむしり目を伏せる。 嗚咽を漏らしながら、うそだ、うそだと何度も何度もうわ言のように繰り返す。

 それは探偵が己の責務を放棄した事に他ならない。

 

「都ちゃん! 都ちゃん!! しっかりしてください!! 都ちゃん!!」

 

「ゆ、ゆう……こ、さん……!」

 

 浅い呼吸で声を途切れさせながらも、必死に伝えるべき言葉を繋げる。

 

「ごめ、ごめん、な、さいっ……! わたしっ! の、せいでっ……こんな、事に……っ!! 」

 

 しかしその言葉は、都が冷静な判断力を完全に失われている事を明らかにしただけだった。 このままではいけないと裕子は都の手を引く。

 

「逃げましょう! 早く! この事を誰かに伝えないといけません!」

 

「だれ、誰か……誰に……逃げ……でも、おじいちゃんを、探しに……!」

 

 都は体の力が完全に抜けてしまったのか、手を引かれても立ち上がることができない。 あるいは、逃げるという考えすら頭の中から消え去っているのか。

 

「危ない!!」

 

 都の背後に迫っていたマタンゴが腕を振り上げたのを見て、裕子は有無を言わさず都の体を引っ張り、振り下ろされた攻撃を回避する。 咄嗟の事で気が動転した都は足をもつれさせて倒れ込むと、巻き込まれた裕子もろとも道脇の傾斜を転げ落ちてしまった。

 勢いよく滑落する2人は、マタンゴ達の間をすり抜けて下へ下へと落ちていく。 マタンゴは視力や聴覚も弱いのか、その軌跡をゆっくりと体ごと振り向いて追うのが精一杯だった。

 

「う……ぅ……ゆ、裕子……さん……」

 

 うつ伏せに倒れ込む都が、痛みに耐えながらも腕で上体を起こし裕子を探す。 少し離れたところに裕子の姿を見つけた都は、自分の怪我の程度も確認すること無く、這いずって裕子に近づく。

 裕子からの返事はなかった、しかし呻き声が聞こえる。 意識はあるようだ。 不幸中の幸いか、マタンゴから大きく距離を離しながらも、2人に大きな怪我はなかった。

 

「裕子さん……裕子さん! しっかりしてください! 裕子さん!」

 

「都ちゃん…………あ…………?」

 

 ゆっくりと目を開くと、涙と土でぐちゃぐちゃになった顔で覗き込む都の姿を見て無事である事に安堵するのも束の間、裕子はふと視界に映りこんだ別のものに気を取られた。

 まただ、また蝶々が飛んでいる。 ひらひらと、黄金に光り輝いている蝶々が、どこかへ飛んで行った。 その動きはまるで、自分を導いているようにも思えた。

 蝶々が見えなくなった頃、都の嗚咽に気が付き視線を戻すと、両手で目元を抑えながら力なくへたりこむ姿があった。

 

「裕子さん……私……こんな事になるなんて、思ってなくて……! 誰もいなかった……! 誰も、おじいちゃんも……みんな……! みんな怪獣になっちゃったなんて……!」

 

 みんな怪獣になった。 それが連続行方不明事件の真相。 先程は逃げるのに必死で考えている暇もなかったその事実を改めて理解した時、裕子もまた自然と涙を零した。

 真相を知ったとして、どうするつもりだったのか。 助けたかったと思った、けれど今となっては分からない。 小説の名探偵のように事件を解決に導けるわけもなければ、SF映画のように超能力で戦えるわけでもない。 ただひたすらに、己の無力さが胸に突き刺さった。

 

「こんな事になるなら、何もしなければよかった……」

 

 都のその言葉は後悔と諦めに満ちていた。 だがこの言葉が、裕子に立ち上がる気力を与える。

 

「都ちゃん!!」

 

 体を起こすと共に都の両肩を掴み、名前を呼ぶ。 都はそれに怯えるようにビクリと顔を上げると、いつになく強く真剣な裕子の眼差しに身を強ばらせた。

 

「あなたは名探偵です!」

 

「え…………?」

 

 その口から出た言葉に、都はポカンと呆気に取られる。

 

「都ちゃんは事件の真相に辿り着いたんです! 意味はあったんですよ!」

 

「でも……でも、これからどうすれば……」

 

「それは都ちゃんが考えてください!」

 

「えぇ!?」

 

「事件の真相を突き止めて、次に探偵は何をするんですか!? 」

 

「探偵は……」

 

 有無を言わさぬ裕子の問いかけの意味が、何を伝えようとしているのか分からなかった。 だがそれは一瞬の事で、その真意に気づいた都はまたひとつの謎を解く。

 

「……犯人が誰なのかを明かします! 私は……この連続行方不明事件の犯人を、伝えなくてはいけません!! 私は名探偵なのですから!!」

 

 都は立ち上がった、この山で起こっている全ての事を明かし、事件を解決に導かなくてはならない、それこそが名探偵の責務なのだから。

 

「しかし、まずはこの山から出ないといけません……」

 

 獣道ですらない山の中に立ち尽くし、都は周囲を見渡す。 まだ距離はあるがマタンゴはこちらに迫ってきており、時間に余裕は無い。

 

「問題ありません!」

 

 どうにか逃げ道を探さなければ、と考えていた所で、裕子が自信たっぷりに言いながら胸をドンと叩く。

 

「私、気づきました! 私がなにか不思議な力を使える時は、いつだってあの光る蝶が見えたんです!」

 

「それって、私には見えない蝶々の事ですか?」

 

「はい! なぜ私にだけ見えるのかは分かりませんが、あの蝶の後を追えばもしかすると……いえ、きっと安全に山を下れるはずです!」

 

 そう言って裕子は何かを指さした。 見えないが、きっと裕子はその光る蝶とやらを指さしているのだろう、見間違いなどではなく、今もハッキリとその目に。

 夏休み前からずっと探ってきた裕子の超能力の正体を掴みかけて来た、それもまた都を今一度奮い立たせる燃料になったのは言うまでもないだろう。

 この世界は謎に満ちていて、好奇心はどこまでも人に活力を与えるのだ。

 

「ええ、きっとそうですね! 行きましょう裕子さん!」

 

 裕子の指す方向は草木生い茂る獣道だが、多少無理をすれば何とか進めそうだ。 マタンゴの追走に気をつけつつ、2人は道を進む。

 マタンゴに捕まればどうなるのかは分からない、捕食されるのか、はたまた仲間を増やそうと同じマタンゴにされるのか。

 マタンゴがどうして山を降りて来ないのかも謎だが、あの鈍足で今まで発見されていないという事は、山を下ってしまえばそれ以上の追跡も免れられる可能性が高い。

 草をかき分けながら一歩ずつ安全を確かめて進んでいると、道すがら裕子が己の過去の事を語り始めた。

 

「私がサイキックパワーに気づいたのは7歳の頃でした、本当に些細な事ですけど、私は未来に起きる出来事を知れるようになったんです。 それから、年々力が大きくなってるような感じがして、予知夢を見ることも多くなりました」

 

「7歳と言うと、小学一年生の頃ですね、9年前ですけど何かあったんでしょうか?」

 

「うーん……曖昧なんですけど、その日なにか変な夢を見たような気がします……夢から覚めたら、突然そうなってました」

 

「夢……9年前……2011年……あれ?すみません、それって何月頃だか覚えてますか?」

 

 2011年という年代に引っかかった都がそう問うと、裕子は記憶の端から絞り出すように頭を捻る。

 

「雪は降ってなかったけど寒かったような……多分、11月くらい……あ! そうだ! 確かその日に怪獣が現れたのを覚えてます!」

 

 推理は的中した、サイキックパワーには間違いなく怪獣が関わっている。 パズルにピースをはめ込むように、パチッと物事が繋がりだした。

 されど、改めてパズルに例えるならようやく隅の1列だけを揃えられたような、まだ全体像を想像する余地もない状態にしかなっていない。

 それでも都は思考した、自分がいま怪獣から逃げている最中である事を忘れるほどに、考える事に没頭した。

 結論から言えば都は今後も全ての真相を知ることは無い。だが、その切れ端のようなほんの僅かな答えには近づいた。 裕子にしか見えない蝶、怪獣が現れた日に見た夢、目覚めた時に突然使えるようになっていた超能力。

 未だこの世に生きる大半の人間が知らない“その存在の可能性”に、都は誰よりも早く辿り着いた。

 

「裕子さん……その力は……」

 

「……?」

 

「……“怪獣”の力、じゃないでしょうか……?」

 

 都の口から発せられた推理は、恐ろしいものであった。 彼女は今もこうして自分に宿る力の事を、怪獣によるものだと言ったのだ。

 そう思うと、途端に怖くなってくるのは必定だが、そんな心中を察してなのか、あるいはまだ推理の途中だとばかりに、言葉を続ける。

 

「けどそれは、人に害のある怪獣じゃなく私たちに味方する“何か”なのではないかと、私は思います……そう、そうだ、答えはずっとそこにあったんです! 私たちは今、その答えに向かって歩いている!」

 

 興奮する都の言葉は具体性を欠いていて、裕子にはまるで理解できなかった。 しかしその目線の先が自分ではない事に気づくと、同じ方向を向き直す。

 黄金の蝶が、舞っていた。

 

「あれが……怪獣……?」

 

「私には見えませんが、やはり居るんですね、そこに!」

 

 まるで犯人を名指しする探偵ドラマの決めゼリフのように、都は指をさしながら言った。

 

「そうか……そうだったんですね……やっぱり、ずっと語りかけていたのは……夢の中で私が見たのは……」

 

 裕子が蝶の方へ手を伸ばした、その時。 草木を勢いよくかき分ける音と共に、裕子と蝶の間を遮るようにしてマタンゴが倒れ込んできた。

 

「きゃあぁ!!」

 

 傾斜を転がり落ちてきたのだ、動きの遅いマタンゴでも、滑落するスピードを利用すれば2人に追いつくのは容易。 もっともマタンゴは考えてそうした訳ではなく、単に足を滑らせて落ちてきただけなのだが2人にとっては再び危機的状況になった事に違いはない。

 ゆく道を塞がれた、咄嗟の事で完全に身が竦んでしまい倒れているマタンゴを飛び越えて進む暇がなかった。 マタンゴは立ち上がり、ジリジリと迫ってくる。

 

「さいきっく……止まれ!!」

 

 ダメ元で念力が使えないかと裕子が手をかざしても、そんな事は起きない。 逃げ道をさぐって都が振り返っても、既に自分たちの足跡を辿ってマタンゴ達がこちらに向かってきていた。

 かつてない絶体絶命の状況を打開すべく思考を巡らす、いっそのこともう一度落ちてみるか?

 無理だ、さっきのような斜面は近くにない、この獣道を歩くのだって大変なのに、この他にはとても人が踏み込める場所もない。

 逃げられない、捕まる。 非情だがそれは決定的な事実。

 ここまでなのか、と都も裕子も諦めようとしていた、だが助け舟はあまりにも意外な方向からやってきた。いや、滑り落ちてきた。

 

「え!?」

 

 道を塞いだマタンゴと同じ場所を滑り落ちてきたもう一体のマタンゴが、あろう事か、仲間であるはずのマタンゴを背後から羽交い締めにしたのだ。

 知性も理性も完全に失っているはずのマタンゴに、羽交い締めなんてできるはずもない。

 まさか、と思った。 しかし証拠がない、そのマタンゴもまた一糸まとわぬ姿をしており、誰であったのかを突き止める事は出来ない。

 祖父である証拠が何も無いのだ。

 

「おじい……」

 

 呼びかけてみたら応えるだろうか、という期待があった訳では無いが、自然とその名前が口から漏れ出す。

 そして都が言い切るよりも早く、“彼”は羽交い締めにしたマタンゴを茂みの方に引きずり、2人に道を明け渡した。

 何故、そんな事が出来たのか分からない。 菌糸に寄生され、脳も完全に支配されていたはずだったのに、彼は見まごう事無く2人を助ける行動を取った。

 

「…………」

 

 気まぐれでそんな行動を取る生物では無い、マタンゴと化した人間が、同族から人間を救うなど有り得ない。

 けれどもう、都に迷いはなかった。

 

「……ありがとう」

 

 意を決した力強い目と声で、そう言い残して都は歩き出す。 その意志を汲んで裕子も先を歩き出した。

 振り返らない、考えるのは後でいい、残されたこの最後のチャンスを逃してはいけない。

 追いすがるマタンゴ達を振り切って、2人は山を下った。

 

 

 

〈同日、16時39分〉

 

 麓まで辿り着いた2人が最初に目にしたものは、2台の黒いトラックと黒い隊服を着た十数名の男たち。 トラックの荷台に印字された「G FORCE」の文字を見て、都はこの人物達の正体を知る。

 

「Gフォース……なんで……?」

 

「君たち! 今山から降りて来たのか!? 隊長!」

 

 2人に気づいた隊員の1人が駆け寄り、上官を呼ぶ。

 既にこの行方不明事件は怪獣絡みの案件の可能性が高いとして、Gフォースが捜索に当たる事になっていた事を都は知らなかった。 助かった、よりも先に、自分が命懸けでやった行為は無駄だったのか?という念が頭をよぎる。

 

「要救助者2名を確保! 医療キットの用意を急げ!」

 

 隊長と呼ばれた男が指示を飛ばす。

 

「もう安心ですよ、さあ、早くこちらへ!」

 

 無駄だった? Gフォースが今日捜査するのならば、自分達がやってきた事は、全て?

 ……いや、違う。 怪獣案件だと分かっていても、アレはGフォースにとっても未知の怪獣のはずだ、都はスマホを取り出して、隊長に見えるように突きつけた。

 自分たちが命懸けで掴み取った事件の証拠品は、決して無駄では無いはずだ。

 

「ここに……ここに、山に住む怪獣の写真を撮ってきました!」

 

 隊長は目を丸くした。 それは、Gフォースにとっては値千金の情報に他ならない。

 Gフォーストラックの椅子に座って応急処置を受けながら、都と裕子は山で見聞きした事を余すこと無く隊員たちに話した。 ただ一つ、マタンゴの中に自分の祖父がいるかもしれないという事だけを除いて。

 伝える必要は無い、もしそれで隊員達の心に躊躇いが芽生えてしまうようであれば、駆除に差支えが出るかもしれないからだ。 裕子にも事前にその話だけはしないようにと頼んで、それ以外の分かっている全てのことを伝えきった所で、都は力が抜けたのか隣に座る裕子の肩に頭を預ける。

 

「…………」

 

 それ以上は何も喋らなかった。 Gフォースは聞かされた情報を元にもう一台のトラックに集合し作戦会議を行う。 自分たちの掴んだ真相は確かに伝えられ、役に立った。

 探偵の仕事は終わりだ、後は、事件が解決に向かうのを待つだけになる──。

 

 2人は病院で精密検査を受ける事になり、その場に来た救急車に乗ることになった。

 救急車に案内される途中、装備を整えたGフォース隊員が早足に脇をすり抜けていくのを横目にして、とうとう堪えきれなくなった都は大粒の涙を零しながらわんわんと泣き出し、つられて裕子も泣いた。

 怪獣に襲われて怖かった、と思われているだろうか。 それも事実だが、彼女たちが泣いている本当の理由はここにいる誰も知ることはない、年甲斐もなく子供のように大泣きしながら、2人は救急車に乗せられた。

 

 検査の結果、擦り傷と軽い打撲以外に2人に目立った怪我はなく、数日後には回収したマタンゴのサンプルデータを元に再検査を受けたものの、マタンゴの菌糸にも感染していない事が判明した。

 あの後、さらに増員しながら山を数日かけてくまなく調査し、怪獣やキノコは漏れなく駆除され、マタンゴという名で報道されたと同時に「人喰い山の怪奇」は幕を閉じた。

 もうあの山には怪獣の欠片も残されていないし、特徴的な見た目が目立つマタンゴのキノコも今後見付かれば即座に駆除される事だろう。

 結局、何故あの時、あのマタンゴだけが都たちを助けてくれたのかは分からない。 跡形もなく迷宮入りを果たしてしまった。

 でもそれでいいのだと、都は思った。 あの出来事は自分達だけが知っていればいい、心の内に閉まっておければ、それでいいのだ。

 

 探偵は、事件を解決へと導く事が役目なのだから。

 

 

 

〈9月1日、12時10分〉

 

 夏休みが明け、始業式を終えた都は教室の中で自分が噂になっている事を知った。 報道では要救助者2名とされていたが、どこからどう広まったのか、その2名が都と裕子である事が知れ渡っていたようで、田舎特有のコミュニティの恐ろしさを身をもって体験した。

 

「都ちゃん! 山で怪獣に会ったって!?」

 

「いや、あの、まあ……」

 

「大丈夫?怖くなかった?」

 

「マタンゴって言うんでしょ?もしかして都ちゃんが名前付けてたり?」

 

「そんな事はないですけど……」

 

「都ちゃーーーーん!!」

 

 クラスメイトに囲まれオロオロとたじろぐ都に、誰よりも通る大きな声で呼びかけたのは、2つ隣の教室から走り込んできた裕子だった。

 

「一緒に帰りましょう!」

 

 裕子もまた今の都と同じ状況に陥りかけたところを脱して駆けつけたのだ。 クラスメイトの視線が裕子に集まる中、都はカバンを手に立ち上がると、生徒たちの間をすり抜けるようにして教室を飛び出した。

 

「都ちゃん!?」

 

「あ、あの子! たしか超能力者の!」

 

 2人は走った。

 自称・名探偵と、自称・超能力者。 学校でも噂の変わり者2人は、これからさらに変わり者コンビとして名を知れ渡らせる事になっていく。

 けど、自称は自称だ、都は名探偵でもなく、裕子も超能力者などではない。 あえて言うなら、そんな理想に憧れてひたむきに青春を謳歌する、2人の女子高生。

 

「都ちゃん! 今日こそ!」

 

「裕子さん! 絶対に!」

 

「「スプーン曲げるぞ〜〜〜!!」」

 

 残酷に塗り潰されようとする世界の中で、今しかない瞬間を力の限り走り抜ける。

 好奇心の先に見える光に向かって、ひたむきに。

 

 

 

 

 

〈エピソード2.5:人喰い山の怪奇〉 ─完─

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