あ、キラメイオレンジ様の
『ビルドダイバーズREBOOT』より、日常のほんの一幕をチラリとお借りしました。この場を借りて感謝申し上げます。
『う、うわあぁぁぁぁッ!!』
「…ッ!チエ!?こ、の…折角足洗ってここまで来たってのに、何なんだよコイツ…ふざっけんな…!」
某日、クルジス戦跡再現ディメンション。
機動戦士ガンダム00の主人公、刹那・F・セイエイの幼少期の記憶に登場する戦場をモデルにしたディメンションにて、1つの戦線が展開されていた。
……否、これを戦線と言うにはあまりにも一方的な戦況で、その様相は蹂躙とでも言ってしまった方が意味的にもいっそ正しいのかも知れない。
最初この戦いは3対1…つまり圧倒的な数の差を有した状態で始まった。味方は自身のイモータル・ローゼン───黒系の耐ビームコーティング塗料で染めたローゼン・ズールに、リフレクタービットを参考にしたモノに同様の塗装を施したローズビットを2機追加したタンク型のガンプラ───を最前線に置き、
格闘役のチエが駆るイフリートのカスタマイズ機、
そして後方狙撃役のカツマタが操る、狙撃型にカスタマイズされたケンプファー・シャルフシュッツェの3機で編成された
……そう思っていた。
バトルが始まるとほぼ同時、敵機は───
白黒のウイングガンダムゼロの改造機は、バスターライフルを片手で構え、前衛の2機を無視して真っ先に遥か後方にいるケンプファーを撃ち抜いた。
一瞬の出来事だ、一瞬でカツマタのケンプファーは上半身を融解させ消滅し電子の海へと還った。
たったこれだけで3人組の戦略は崩壊した。想定外の初手で狼狽えた隙を狙い突撃してきた敵機は瞬く間にイフリートを容赦なく滅多斬りにした挙句、
トドメと言わんばかりに大型実体剣───機動戦士ガンダムSEEDシリーズの外伝作品の主人公、ロウ・ギュールが自作した工具、カレトヴルッフをベースにした黒い剣───をイフリートの頭部に突き刺し潰して、機体を踏み付け佇む姿を、たった1人残されたリーダーのチヒロは目にする羽目になった。
「ちく、しょう…なんで、アタシ達がお前に何したって言うんだよ!GPDの亡霊…っ!!」
戦意を喪失し、ビット兵器を操るのすら忘れて通信機越しに対戦相手へと怒りをぶちまけるチヒロ。
元々3人でミッションを話し合っていたところに突如現れた敵───かつての鮮やかさを喪った
ウイングゼロ・ブリランテは3人へ通信を投げかけ、そしてその応えを経てバトルを挑んで来た。
3人なら勝てるだろう、とたかを括った結果がこれだ。自分達の未熟が祟ったものとはいえ、それでも突然現れた勝負を挑み、そして蹂躙していく相手の姿を見て悪態を突かずには居られなかった。
チヒロの怒りに、ブリランテのパイロット───
クアドラプル・バトルロワイヤルやその他諸々の戦績を経て先日Cランクへと昇格したμは、まるで感情を何処かに捨ててきたような声色で淡々と答える。
『…今日は普段よりもほんの少し機嫌と調子が良いみたいだから、もう一度だけ聞いてあげる。』
『
「なん、だよ…またそれかよ…巫山戯んな!あんなガンプラが壊れる遊びなんか、大っ嫌いだよッ!」
『そう…じゃあ、バイバイ』
「う…あ…あぁぁぁぁッッ!!!」
μはブリランテの操縦桿を手繰り、足元に倒れ伏すイフリートへ突き刺した剣とは別の…左手に持った同種の剣を振るって、咄嗟に防御へと回るローズビットごとイモータル・ローゼンを叩き斬る。
左肩から右腹へ向けて笠懸に切り裂かれた機体は力無く崩れ落ち、無惨にも足元のイフリート諸共爆散、そして消滅…電子の海へと消えていった。
後に、イモータル・ローゼンを操るダイバーチヒロはこの時のブリランテの姿をこう語ったという。
「枯れた翼を背負う悪魔のようだ」と───。
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GBN内、某所
とあるバーのカウンター席に2つの影が在った。彼等はそれぞれグラスを片手に言葉を交わす。
「対象は未だに補足出来ず、日に日に被害報告と目撃情報が増えるばかり、か───。」
「あぁ。強引なものではあれ曲りなりにも正式な手続きを踏んでバトルに移行している以上、PKerとしての通報や救難信号も意味を成さない。…相手は、想像していたよりもずっと手強いよ。」
「公開ログからそれらしき会話、噂を辿り凡そ絞れてはいるが、それもやはり疑惑の域を出ない。」
「明確な不正行為では無いから、GMも動けないそうだ。やはり地道に捜索する他に無い…人手が欲しいところではあるけれど、以前のように有志連合を再組織するような大規模案件でも無いからね…」
「…我々も投入できる限りの人手は出そう。加えて、信頼のおける上位ランカー諸兄の力を借りる事も勧めたい、が…力づくでの確保には変わらず反対か。」
「この案件、必ず何らかの理由がある筈だ。そうでなければ確認されている言動の説明がつかない。
…そしてその理由は、僕が直接聞くべきだと思う。」
「全く…となればやはり方針はそのままに、最悪の場合に助力を求められるのも多く見積って3人…といったところか。…君の在り方には、良くも悪くも二つの意味で尊敬の念を抱くところだ、キョウヤ」
2人のうち片方───フォースランキング2位にして誰もが知る最古参の強豪フォース「第七機甲師団」のフォースリーダー、「智将」ロンメル───
彼がもう1人、
そしてその姿を背中で見送るもう1人───
このGBNにおいて常に最強の座に在り、
「大人気ない人GBN代表」、
「もう全部あいつ1人でいいんじゃないかな」、
「チャンプはさぁ…」等、様々な逸話を残す絶対王者。フォースランキング及び個人ランキングの両面で1位という不動の地位を持つ最強のダイバー
「クジョウ・キョウヤ」────彼は1人苦笑を零して席を立つ。既にそこにはいない友へと言葉を投げかけそして…そのまま何処かへ去っていくのだった。
「まさか、尊敬されるような心根は持っていないよロンメル。僕は、彼女のことを放ってはおけない───人よりも少し、ワガママなだけさ。」
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再び場所は変わって、
GBNセントラル・ディメンション中央ロビー。
その建物を支えるようにそびえる幾つかの支柱を背もたれ代わりに、置かれたベンチへと座って1人無言でコンソールパネルを操作する少女がいた。
μだ。その日も次の獲物───GPDを蔑ろにする愚かしい連中を探し求めて、黙々とコンソールパネルを操作するフリをしながら周囲の会話を盗み聞く。
セントラル・ディメンションは平和だ。バトルや喧嘩は禁止され、不正行為やバグ、その他の違反が確認されれば即座にGBNガードフレームが動き排除する。その環境もあって、この中央ロビーでは余程個人的な話でも無い限り、大して意識もせずおおっぴらに公開したまま喋るのが一般的となっていた。
だからこそ、獲物はそう苦労する事無く見つかる。
加えて様々な噂も、有名になった幾つかは中央ロビーに常駐しているだけで自ずと耳に入ってくる。
それ等の情報から獲物を探し求めて、μはパネル操作片手に周囲の乱雑な声へと耳を澄ませる───。
『お待たせー』
『もー、遅いよー』
『あはは、ごめんごめん』
『ぶふっ、何それぇ』
『何で笑うのー!ホントなんだってぇ!』
『ししょーっ♡』
『だーかーら!くっつくなってー!』
「───チッ…」
思わず舌打ちをしてしまった。
GPDには無い喧騒、数多いるダイバー達の数多くが笑顔でいる、その景色を見て苛立ちが募る。ここにいる連中のうち過半数、それ以上がGPDを経由していない、中にはGPDを知らない者も少なくない。
こうしてGBNが盛り上がれば盛り上がる程、その裏で犠牲になったGPDは蔑ろにされていく。
その現実が許せなかった。
その現実を認めたくなかった。
GBNを認めそうになる自分が許せなかった。
…深呼吸を1つ。
心の内で燃え盛る憎悪の炎を強引に鎮め、再度周囲の声に耳を澄ませる。今やるべきは怒りに任せて暴れる事じゃない。…1人ずつ、確実に敵を仕留める事。そうしていつか、GPDを蔑ろにする奴等を根絶やしにする事。その為なら手段は選ばない。
『おーし、全員揃ったな?』
『『はい!』』
『君初心者?今おすすめのミッションが───』
『あっ…えっと…その……』
『───なぁ、あの話もう聞いたか?』
『聞いた、また出たんだってなGPDの亡霊』
『出会い頭に1個だけ質問をして、答えがお気に召さなかったら強引にバトルを挑んで初心者でも容赦なく心を折りにかかる…ってな。迷惑な奴だよ』
『だいたい変な異名だよな。何でGPD…あんなとっくに廃れたゲームを異名にしてるんだか…』
『さぁなぁ…被害者も何を聞かれたのか頑なに言わない…っていうか奴の話題に答えないって話だし。』
『トラウマ植え付けられてんのかね…』
『辛気臭い話止めようぜ、それより───、』
コンソールパネルを閉じる。例の噂話をしていた2人組の動向に視線を追わせ、行き先を確認する。
次の獲物は決まった。ミッションの相談内容から何処に向かうのかを粗方予測し、一足先にセントラル・ディメンションを出る。奴等を、狩るために。
射出カタパルトに設置されるブリランテ───これまでとは装備やカラーリングを一新し、かつての鮮やかさを失った新しい姿───の中で操縦桿を握り、射出カタパルトから放たれ飛び出す。
翼を枯らしたゼロはもう、鮮やかなままではいられない。憤怒と憎悪と哀しみに身を任せ、
「ごめんなさい、ブリランテ…大好きな貴方にこんな事をやらせて、ごめんなさい───」
原作キャラの台詞作るのハジメテなので、至らない、イメージと違うところは各々でこーんな感じのこと言ってるんやなって脳内変換して頂けると幸いです。
プチ機体紹介
ウイングガンダムゼロ・ブリランテ[闇堕ち]
かつてのブリランテを色変、改造したガンプラ。元々背中にあったゼロのウイングバインダーはオリジナルのポリキャップを作って腰横のスカート部分に移植、背中にはアストレイレッドドラゴンのフライトユニットを改造、色変しカレトヴルッフを5基装備し翼のように装備させたパーツを移植してある。
憧れの姿からはかけ離れてしまったようだ…
※この世界では現実で販売されていないキットが当たり前のように販売されています。カレトヴルッフもプレミアム財団Bで販売されています。決してフルスクラッチやプレミアム付録品ではありません。