ガンダムビルドダイバーズ:Ricorda   作:麻婆炒飯

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此方でもあけましておめでとうございます。
三賀日はしっかりサボタージュを満喫しましたので初投稿です。


[第二十一話]決闘、そして栄光へ

GBN、南極再現ディメンション。

星の果て、極寒の大地にて──────、

 

2機のMS、

オズマの駆る紅い悪魔(レグルスR)と、

ズィーベンの駆る情熱の双頭龍(ライデンシャフト)が対峙していた。

 

「覚悟なさい、お姉様を誑かした塵虫…!」

 

「えぇ…俺なんかやったっけ…?」

 

何故この2機が決闘を行う運びとなったのか。

 

時は少し遡る──────。

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

GBN内某所、とあるカフェの個室スペース。

つい先程中央ロビーで騒ぎを起こしてしまったμ達4人は、逃げるように移動して声の漏れない仕様になっている場所を借りていた。

 

「っ──────。」

 

「ウゥ──────。」

 

「──────Zzz…」

 

「──────(このゴミムシが…)

 

率直に言ってその空気はお通夜であった。

μは沈黙を貫いて周囲を見渡し、オズマは未だに続く腹の痛みでそう饒舌に話せる状況では無く、ヒバリは沈黙に耐えきれずうたた寝を始め、ズィーベンは相変わらずオズマに殺気を向け続けている。

 

この沈黙を一番最初に破ったのは────、

 

「このメンバーで、フォースを組もうと思う。」

 

「お姉様っ!?」「Zzz……んむ…?」

「はぁッ!?μお前なに痛ッテェ…」

 

その反応は三者三様だ。ズィーベンは耳を疑うように聞き返し、オズマは同様だが途中で言葉が途切れる。ヒバリに至ってはつい先程まで寝落ちかけていて、話そのものを全く聞いていなかった。

だがここまではμも想定していた。μはそのまま場を沈めると、改めて自身の決断…その理由を最も付き合いの長いオズマを主体にして話し始める。

 

「前に無双ミッションをやった後からずっと思ってた事だけどね、オズマ。私達だけじゃ、対多数の対応力が致命的に弱いと思うの。このままじゃどうやったっていずれどん詰まりになるし、チャンプやAVALONに勝つ事だって夢のまた夢だよ。」

 

「それは…まあ、そうだが…」

 

上出来だ。オズマはこれだけの説明で全てを理解してくれた。ならば言う事は無い、と言うようにオズマは席に座り直す。しかし今度はズィーベンが座ったオズマと代わるように立ち上がって────、

 

「待ってくださいお姉様!私にお姉様とフォースを組めと仰るのなら喜んでお受け致します!ですが!この男は!この男だけはいけません!」

 

「それは、どうして?」

 

「この男は!本気も出さずお姉様に寄生しているんです!必殺技まで会得しているというのに!お姉様と共に戦う場では一切その札を切らずに!お姉様に負担を強いていたんですよ!?」

 

「ッ…スゥ…フゥ…あのな嬢ちゃん、俺の必殺技は…」

 

「いいよオズマ、私から話す。」

 

勿論、この可能性も織り込み済みだ。

ズィーベンがここまでオズマを目の敵にしてるとは思わなかったが、それでも彼女が反対派であるならやりようは幾らでもある。実際、彼女はオズマについて色々と誤解をしているようだし……等と思考しながら、ズィーベンの方に向き直る。

 

「先ず、勘違いから訂正しておくね。オズマの必殺技は無双ミッションの最終盤で発現したものだよ。それ以降はお互いの予定が噛み合って無いから、オズマが本気を出して無い事にはならないかな。」

 

「ッ───!」

 

「それにね…オズマは、私の恩人なんだ。貴女が何を思ってオズマを敵視するのかは解らないけど、出来たら、あまり悪く言わないであげて欲しい。」

 

「μ…お前……」「お姉様……」

 

「何より、オズマは最前線に必要な戦力だよ。オズマ程の突撃力はそれこそ、GPDの中でも上位の世界ランカーじゃなきゃ出せない。…それともズィーベン、貴女は突撃能力でオズマを超えられる?」

 

「お姉様……わかりました。」

 

良かった、分かってくれたみたいだ。最後の一言を言った瞬間にオズマがずっこけてたけど、まぁ気にする必要は無いだろう。ヒバリさん…?はこの調子なら二つ返事でオズマについてきてくれそうだし、他にはこれと言って目立つ課題は──────、

 

「オズマ、私と決闘をしなさいッ!」

 

「─────はっ…?」

 

ズィーベンは納得して席に座る…かと思いきや、斜め向かいのオズマに向き直り力強く指をさしてそう言った。…オズマとの決闘、その開始宣言であった。

 

 

 

「──────なんで……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

時は戻って、南極再現ディメンション。

オズマとズィーベン、2人の決闘の火蓋が今、切って落とされようとしていた──────。

 

「ったく…仕方ねぇ…おい嬢ちゃん、これ終わったら、あんまμを困らせてやるなよ。」

 

『ふんっ、それは此方の台詞です!私が勝ったら、もう金輪際お姉様には近付かないように!』

 

 

B a t t l e S t a r t !

 

 

2人の言葉に重なるように、開戦を告げる電子音が鳴り響く。真っ先に動いたのは紅い悪魔だった。

 

「ッッッらァ!!!」

 

『ッ…!消えなさい、塵虫ィッ!!』

 

猛獣のように突撃するレグルスは南極の氷を抉り溶かして突き進む。直線上には鮮やかな決闘機。通信機越しに歯をかみ締めたズィーベンは、ライデンシャフトの背に備えられた高エネルギー長射程ビーム砲を撃ち放つ。迫り来る赤い光を……紅い悪魔は突撃の勢いそのままに跳躍し、跳び越えて見せた。

 

『チィッ───!』

 

「いやいや、いくら何でもそんな一直線な射撃に当たってやる道理は無いでしょうよ…ッとォ!」

 

『くッ───!?』

 

上に跳んだレグルスがスラスターをふかし直角に軌道を折れ曲がらせて、重力による落下速度込みでの突撃をライデンシャフトへと仕掛ける。

この反撃を予想していなかったのだろうか。ズィーベンは意表を突かれたように左腕のシールドからヒートロッドを引き抜き、簡易ヒートソードの形態でレグルスのクローによる衝撃を受け止めた。

 

『生意気な…こんなモノ、お姉様の愛の結晶である私の、ライデンシャフトなら────ッ!?』

 

通信機の向こう側で、一気に戦況不利へと立たされた屈辱感からか声を荒立たせるズィーベン。

しかしそれによって彼女が執った対抗策は、龍の異名で呼ぶにはあまりにも間の抜けた一手だった。

ズィーベンはコックピット内でレバーを引き、自身のライデンシャフトを変形させようとしたのだ。

 

ガンダムエピオンライデンシャフトは、その名の通り新機動戦記ガンダムWに登場する決闘機、ガンダムエピオンをベース機としたガンプラである。

胴には「お姉様の魂」たるウイングゼロを、

背には「運命」を意味するデスティニーガンダムのバックパックを装着し、μのウイングゼロブリランテを意識したカラーリングで染め上げている。

その姿は洗練されていながらも何処か歪で、所有者たるズィーベンの異様さを物語っている。

 

現にこのライデンシャフトには1つ、致命的な弱点が存在していた。だがそれは、自身の相棒(ガンプラ)の事を隅々まで知り尽くしていれば…今のズィーベンに並ぶランクのダイバーならば、余程動揺しない限り決して起こり得ないような弱点の発露であった。

 

ライデンシャフトは、特定条件下において変形機構が使用不可能になる弱点を抱えている。

ズィーベンが「お姉様との運命」に拘るあまり換装させたデスティニーガンダムのバックパック、そしてそこに懸架される様々なパターンの武装のうち一部が、変形時に機体と干渉してしまうのだ。

 

その弱点をズィーベンは把握していなかった。

コンソールに現れた『ACTION ERROR』の表示と共に途中で中断されてしまった変形は、ズィーベンの動揺も相まって戦闘中だというに、相手のオズマへ致命的な隙を生み出してしまった。

そしてオズマは、そのあからさまな隙を見逃してくれるような心優しいダイバーでは、決して無い。

 

「ッ!そこだッ!!」

 

「ッ!?きゃあッ!!?」

 

ズィーベンの見せた隙をオズマは見事に突いて見せ、レグルスは仰向けに倒れ込んだライデンシャフトに馬乗りになる位置関係でマウントを取る。

バトル開始から実に30秒、決闘と言い現すにはあまりにも呆気ない幕引きであった。

 

だがしかし──────、

 

『───何故、トドメを刺さないんですか』

 

「ッ──────。」

 

オズマは、レグルスの爪をライデンシャフトのコックピットへと接触させたまま、いつでもトドメを刺せる状態にしながら、その行動を取らなかった。

そしてズィーベンの問い掛けに応じるように、通信回線をより強固な回線へと切り替える。

 

「なぁ、嬢ちゃん……いやズィーベン」

 

『何ですか。気安く名を呼ばないで下さい。』

 

「お前さんがμの奴にほの字なのはまあ解った。アイツの迷惑にならん範疇ならある程度は見逃すさ。今後の戦術の中で、アイツの盾になってやるお前さんの姿も想像出来る。だがよ────、」

 

「もう少しだけ、手前(テメェ)と一緒に飛んでくれる相棒のことを、気にかけてやっちゃくれないか?」

 

『──────ッ…!!?』

 

「今のままじゃ、幾ら何だってお前さんの相棒が悲惨に過ぎるだろ。センスが良いのは認める、腕も決して悪か無ぇ。…けどせめて、自分の相棒が何を得意としてて何が不得手なのか、知ってやってくれ。」

 

ズィーベンは、初心者である。

天賦の才こそ有しているが、実働的なGBN…引いては機動戦士ガンダム系シリーズ作品に手を伸ばしてから、まだ4ヶ月すら経過していないのだ。

全てはお姉様の為。

お姉様への愛を捧げる、ただその為だけにそれらしい名を冠する武装をネットの海から調べあげ探し出して、組み合わせたに過ぎないのだ。

故に、その技術はともかく、頭脳に保有している知識はまさしく初心者のソレであった。

 

そんな折に掛けられた言葉、それは奇しくも憎い相手から齎されたもので…けれど、それはどうしようもなく疑う余地の存在しない正論だった。

 

『エピオン…私…私、は……』

 

「…だがまぁ、経緯はどうあれ勝ちは勝ちだ。ここは一旦幕引きにさせて貰うぜ、お嬢さん。」

 

 

『Battle Ended』

 

そうして、オズマのレグルスが掛けた爪を改めて振り下ろし、到達な決闘は幕を降ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻り、先程の予約席。

敢えて決闘を見ずに、ヒバリとの雑談に花を咲かせていたμ。そこへオズマとズィーベンが帰還する。

 

「ん……決まったみたいだね。」

 

「あぁ、まぁな。」

 

「っ───────。」

 

並んで帰った二人の雰囲気…主にズィーベンの殺気は、先程とは打って変わって也を潜めている。

決闘では少なくとも、オズマに対しズィーベンが殺意を抱かなくなるだけの何かがあったのだろう。

その事実にμはほんの少しだけ胸に引っかかる違和感を押し殺しながら、ズィーベンへと微笑みかけた。

 

「ズィーベン、もう大丈夫?」

 

「────はい、迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした、お姉様。此度の一件、オズマの事を一先ず今だけは認めてみようかと思います。」

 

「────うん、良かった。」

 

「けれど!もしこの男がお姉様をまた誑かそうものなら、その都度覚悟してもらいますから!」

 

「え」

 

「あー…まあ、良いか。」

 

「えぇ…まぁ、オズマが良いなら…?」

 

微妙な落としどころに落ち着いたようだが、これでμがフォース結成を提案した4名────、

 

GPDの亡霊、μ

 

紅い悪魔、オズマ

 

情熱の双頭竜、ズィーベン

 

紫檀の武者、ヒバリ

 

4人全員が、フォースの加入に全面同意した。

ここに、新たなフォースが誕生したのである。

 

 

 

「そういやμ、フォース名は決めてんのか?」

 

「うん、私達のフォースの名は…」

 

 

 

Gloria(グロリア)……フォースGloria(グロリア)、だよ。」

 

 

 

 




新フォース結成!
フォース「Gloria」

次回、フォース結成はしたものの、まだまだ山積みの課題に直面する事になって…!?
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