次回への場繋ぎ回的なモノなので初投稿です
ある晴れた日、某カフェテラスにて────、
2人の男性が1つの席に向かい合っていた。
片や濃茶の短髪に厳しい面持ちに、スーツが厳格さを醸し出す男性。手元には闇のように黒いコーヒーが湯気を立ち登らせ、よりその威厳を惹きたてる。
片や黒に艶がかった髪質の、座っていても目立つ程に長身の男性。その背丈から来る威圧感とは裏腹に、穏やか極まるにこやかな面持ちと、手元に置かれたカフェオレ、そして食べかけのショートケーキで不思議な愛らしさ(?)が際立つ人物だ。
一見対照的な雰囲気を持つ2人ではあるが、その容姿は互いに「美形」な部類であり、道行く人の注目を集める。そんな中、厳格な男が口を開いた。
「勘弁して頂きたいところです、有栖川さん。」
「ふふ、君もいずれ所帯を持てば解るさ、葛城くん。父親というのは、我が子の為ならばどんな無理でも叶えてあげたくなるものなんだよ。」
「む……しかし…」
「何、確かに優遇をしろと言っているようなものだけど…そこまで無理は言っていないつもりだよ?ただ登録する機体を、平時は娘達のフォースの共有オブジェクトとして残しておいて貰いたい、それだけじゃないか。AIに操作権を貸与した状態での擬似的な常時ログインなら、充分に可能だろう?」
「…確かに、単なる技術的観点だけならば問題無いでしょう。コストも殆ど掛からないと言って良い。ですがこの案件はそういう問題では無く…」
「お偉いさん達が口煩い…かい?」
「ッ……解っているのなら尚更、この件についてはどうかご理解頂きたいですね、先輩。」
「そうだね、確かに彼等は己の利益を揺るがす可能性は断固として認めないだろう。だが…葛城くん。僕が自分の利益の為だけに、可愛い昔馴染みの後輩をわざわざ危険に晒すと思うかい?」
「────既に、手は打ってあると?」
「ふふ…そこは、君の想像力にお任せするよ。」
「…………はぁ、全く…貴方にはいつも敵わない。…解りました、ですが1つ条件があります。」
「有事にはそちら側としての全面協力、だろう?勿論受けるとも。…この件が無くとも、葛城くんが僕を頼ってくれれば手を貸すんだけどね。」
「断ります、貴方に一方的な借りを作り続けるとどうなるかは、嫌という程見てきましたから。」
「それは残念だ。…さて、相談も纏まった事だし、そろそろ僕はこの辺でお暇しようかな。」
「では、少し間を置いて。」
「うん、ありがとう葛城くん。」
食べかけであったケーキをいつの間にか平らげた穏やかな男…
「本当に、貴方にはいつも敵わない。…ああ、すみません。残りの会計をお願いします。」
「既にお連れ様から頂いていますよ。」
葛城は天を仰ぎ、大きな溜息を零した。
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父にフォースネストの作製を依頼した翌日、
早速メンバー3人に約束を取り付け、フォースネスト作製計画について一通り説明をする事になった。
父との事前相談の中では、何でも満足の行く精度に仕上げるには早くても半月、細部の作り込みを限界まで極めるのなら1ヶ月程必要になるという。
父がどちらが良いかと聞くので、美優は真っ先に後者を選択した。折角作って貰うのだから可能な限界を極めて欲しい。妥協なんて以ての外だ。
結果、Gloriaのフォースネストは1ヶ月程の間は初期状態で我慢する事に決め、それまでは父を迎えて恥ずかしくないよう全力でGBNを楽しみ、フォースとしての活動を続ける事になった。
勿論この事はオズマ達フォースメンバーにも話してある。…流石にそれが父であるという事は伏せてあるものの、大筋で合意を得る事は出来た。
そこから先の活動期間は思っていたよりも過密なスケジュールになり、怒涛の1ヶ月となった。
ある時はイカれた金ピカ野郎共のフォースとぶつかり合って味方撃墜無しでの完勝を収めたり、
ある時はガンダムZに登場するジェリド・メサみたいな奴に「ウイング=可変機=Z=カミーユ」という伝言ゲームみたいな理論で絡まれたり、
またある時には、クロスボーンX1を追い掛ける両目眼帯の変態男による追走劇に巻き込まれたり、
そんな事をしてるうちに、気付いたら年を越してしまっていた。今になって思い返してみると、随分と慌ただしい数日間だった気がしないでも無い。
だが年を跨いだからといって、この慌ただしさがなりを潜めてくれる事は決して無かった。
元日にはフォースメンバー総出で、天地神明というフォースが開催するフォースフェス…という名の天地神社初詣におめかしをして参加した。
……とは言ってもこの日はフォース活動もお休みにして、各々の時間を楽しむ事にしたのだが…私の振袖を見て早速ズィーベンは生身でトランザムしてたし、先に私の晴れ着を見たから、といういくらなんでも理不尽極まりない理由でオズマは刺された。
ヒバリさんは…結局お祭りが終盤になるまで合流出来なかったけれど、どうやら神社の傍らにある庵でずっとお茶してたらしい。…後で公開アーカイブを確認してみたらこの間の両目眼帯男が一緒だった。
余談だけど、この日のオズマは2回刺された。
新年だからズィーベンも張り切ってたのだろうか、とも思ったけど、どうやら大本命イベントのガンプラ羽根突き大会で敗北した腹いせだったようだ。
我ながら、年末数日間の慌ただしさを1つに纏めて煮詰めたように濃密な1日だったと思う。
それでもみんな各々が思う全力の楽しみ方を満喫していたみたいで、私としても満足な1日だった。
────私はどうしたのかって?
…勿論、普段は絶対に出来ない露店巡りで全店制覇、個人用のBCをたっぷり落としていったよ。
お金はこういう時にこそ使わなきゃね。
とにもかくにも濃密な元日は終わりを告げ、翌日は事前に示し合わせ、三賀日の間フォース活動無しの完全休養期間にした。私もその間はログインせずに寝正月をやってみたり、このお正月休みを全力利用してジオラマ作製に取り組む父のサポートに回ったり…意外と時間は早く過ぎ去るものだった。
そして各々の休みを終えた後、最初の集合日。
予め約束を取り付けたフォースGloriaの面々は、
セントラル・ディメンション、中央ロビーにて数日ぶりに顔を合わせる運びとなった。
「お姉様ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「はいはいストップ、ズィーベン、あんまりμを困らせてやんなっていつも言っtぼぅぁッ!?」
「何故ッ!貴方が!いつも!受け止めるのですか!いい加減にしないと刺しますよオズマッ!!」
「もう…刺してるっつぅのォ……」
「……ふふっ。…コホン、いつも通り、ちゃんと全員揃ったね。じゃあ今日もやろうか。」
いつも通り。そう、いつも通りだ。
オズマとズィーベンが凌ぎを削り、突撃して来るズィーベンをオズマが受け止め例の如く刺される。
そして気付けばヒバリさんが後ろにいる。
当たり前の事だけど、こんなに嬉しい事は無い。
「はぁっ!笑顔のお姉様!素敵!!」
「ぐぉぇ…痛ってェ……」
「もう。…さ、行くよ。」
「是、往こう」
「はいお姉様!オズマもいつまで寝てるのですか、さっさと起きて着いて来なさい!」
「容赦無ぇ…」
そしてこの日も、これまでの忙しい数日間と何ら変わらないフォースミッションの制覇、予定の空いているフォースとのバトル、そうして何もやる事が無ければ腕試しにとヴァルガへ繰り出してみたり。
変わらない日々が続く。
そして──────、
早くも1ヶ月が経ち、約束の日が訪れた。
Special Thanks!
両目眼帯の変態男
→X2愛好家様より、The-Bineさん
天地神社初詣
→青いカンテラ様より、フォースフェス編の一幕をもう少し掘り下げさせて頂きました。
初詣回は、もし需要があればいずれもっと掘り下げたいなぁ、なんて思ってたり思ってなかったり……