ガンダムビルドダイバーズ:Ricorda   作:麻婆炒飯

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ハイパースランプから脱出したので初投稿です。


[第二十七話]銀河の真価、そして邂逅

GBN宇宙戦用バトルフィールド

コンペイトウ周辺宙域。

 

初代ガンダムにおいてはソロモンと呼ばれ、連邦軍によって制圧されてからはコンペイトウと名付けられた宇宙要塞とその周辺宙域を再現したフィールドを、多彩な色調の閃光が無数に飛び交っていた。

 

『ハーッハッハッハーッ!!どうかねフォースGloriaの諸君ッ!我々「ファンネラーズ」の超絶無敵ファンネルラッシュの味はァッ!!』

 

「面倒臭ェこと極まりねぇよッ!!」

 

「今回ばかりは…オズマに同意ですね…!」

 

「むぅ…あまり、好まぬ…」

 

体育会系をそのまま体現したような男の野太い声にオズマが食い気味な怒声を投げ返すと、ズィーベンが珍しくオズマの言葉に賛同し、ヒバリが覇気のかけらも感じられない気の抜けた声で呟いた。

そしてそんな彼等が乗る機体は今…幾つあるのかも解らない、無数のオールレンジ兵装が放つ弾幕を必死に避けながら進んでは退き、進んでは退きを繰り返している。もうかれこれ15分は経っただろうか。

 

敵…この日の対戦相手のフォース名は、

「絶対鏖殺ファンネラーズ」。やけに物騒な漢字に続く通り、オールレンジ兵装に魅了され、同装備搭載機で統一している愛すべき馬鹿達の集団だ。

 

フォースリーダーはゴンザレス。

乗機はοガ(オミクロン)ンダムファンネルスペシャル……Ξガンダムをベースに、肩にクシャトリヤのバインダー……の表にナイチンゲールのバインダーを貼り付け裏表全てにファンネルを搭載する謎兵装を4機装備し、背中にはレジェンドガンダムのドラグーンを取り付ける基部を縦向きにして3枚並べ装備、極めつけは両腕にリボーンズガンダムのシールドを装備し小型ファングをばら撒くという、ライフルやサーベルの一切をかなぐり捨てた超ファンネル特化型MSだ。

勿論その武装もイカれているの一言で、総数44機のファンネルに、ファンネルミサイル、9機のドラグーンに3本の突撃砲、そして数えるのさえ億劫になる小型ファング…と誰が見ても苦笑いしそうな構成をしている。彼のシャフリヤールが見たらこの男を助走をつけて殴り飛ばすだろう。

 

そしてフォース・ファンネラーズのメンバーは3人で構成され、ゴンザレス程では無いにせよ他メンバーもそれなり以上にヤバい奴等で揃えられている。

 

片やダイバーネーム、キオ・アサッテノ。

ガンダムAGE-FXをベースに両肩と背中に合計3機、ダブルオークアンタのソードビットを装着するバインダーを装備した、物理斬撃系オールレンジ攻撃染めのイカれた奴。干渉の問題上肩と背中のCファンネルだけはオミットされているものの、その代わりと言わんばかりに他の部分…本来はFXバーストモードを演出するビームパーツを取り付ける部分に、これでもかとCファンネルをフル装備させているのだ。

そしてクアンタのソードビットを加えてその総数は実に30機、頭が痛くなる構成だ。

 

片やダイバーネーム、出汁。

何も考えてないんだな…と思わせるネーミングセンスに対し、機体はギラーガをベースにして両肩に4枚、両腕に2枚バックパックのXトランスミッターパーツに2枚ずつ、合計8枚のレギルスシールドを装備した、やはり何も考えずひたすらビットの数を増やしたかのような装備になっている。

 

つまるところ、3人全員が頭の痛くなるような数のオールレンジ兵装を装備しているのだ。しかもそれ以外は機体据え置きの装備のみ、場合によってはパーツ干渉でそれすら使えないという有様。尖り過ぎた方向音痴集団と言っても過言では無いだろう。

 

だがその尖りに尖ったロマン構成が今、実際にGloriaのメンツを悩ませている訳で……

 

「キリが無い…トーさん、アレ出来る?」

 

「お、おいμいきなりどうし…どぅわッ!?」

 

「オズマッ!無駄口叩いてると墜ちますよ!」

 

仲間達が四方八方から襲い来るオールレンジ攻撃の数々に手を焼く中、μは何やら決心をしたように呟くと、同宙域に在留している拠点…空中要塞ガラッシアに居るトーチとの通信を繋ぎ、何やら確認を行う。

オズマは何をするつもりなのかてんでわからず言葉を投げ掛けながらも弾幕回避に手を取られて対応が追いつかない。そしてそれはズィーベンやヒバリも同じであり…その時、ガラッシアが動いた。

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

視点は移り変わって空中要塞ガラッシア、

メインコントロールルーム。

 

無数の電子機器類に囲まれた部屋にて、要塞の産みの親であるトーチは画面に向き合い、ひっきりなしにコンソールパネルを操作していた。

そこに通信が入る。

 

『トーさん、アレ出来る?』

 

アレ。その単語を聞いた時、思わずトーチの頬が緩んだ。やっと、待ちに待ったこの時が来てくれたのだと、心の奥底が喜びに満ち溢れた。

トーチは迷わず、自身が被るヘッドセットに備え付けられたマイクを傾け愛しの娘に言葉を返す。

 

「勿論、いつでも準備は出来ているよ。」

 

その一言だけを返すと再びコンソールパネルの操作を再開し、そして組み上げていた虎の子たるコードに、実行の号令を意味する信号を投げ掛けた。

 

「ミノフスキー粒子逆探知開始、範囲最大。捕捉(キャッチ)、システム稼働…装甲展開、メガ・サイコフレーム最大露出、Code:UNCHAIN。承認、空中要塞ガラッシアデストロイモード・アンチェインド、起動。」

 

 

『NT-D』

 

コンソールパネルに、文字列が浮かび上がる。それは宇宙世紀の中で生み出された1つの到達点であり、未だその正体については考察班の間で議論が別れる力。…空中要塞ガラッシアに隠された恐るべき真価、その1つが今、GBNに姿を現した────。

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

『────ッ!?』 『なッ…!?』

 

『む……?』 「────来た。」

 

宙域を強大な波動が伝搬する。

μを除くGloriaの面々は何事かと波動の発生源を追って振り返り、間も無くその正体を理解した。

 

空中要塞ガラッシア。

Gloriaのフォースネストたる巨大要塞が変形する…否、これは原典に従って変身とでも言うべきか。

 

円筒形の要塞本体が鳴動し、その外縁装甲をスライドさせる。中からは紅く輝くサイコフレームが姿を見せ、まるで要塞本体上を這うかのように、螺旋状に配置された紅い輝きを余す事無く晒して行く。

それだけでは無い、要塞を囲む環状パーツも同様に装甲をスライドさせ、外回りを大きく一周する形で紅く輝くサイコフレームがその姿を顕にする。

 

Gloriaのフォースネスト、空中要塞ガラッシアは暗黒の宇宙に在って尚も決してその姿を見失わない、禍々しくも鮮やかな紅を魅せつけた。

 

そしてその姿に魅了されたのは何もGloriaの面々だけでは無い。同じくその場にいる対戦相手の

「ファンネラーズ」の3人もまた、その輝きに目を奪われた。それが敗北の宣告であるとも気付かずに…

 

 

『────ハッ…!?おい何をしてるお前達!さっさとオールレンジ兵装をしまえ!でないと…』

 

「もう、遅いよ」

 

その意味に真っ先に気付いたのは、ファンネラーズのリーダーであるゴンザレスだった。だがしかし、それすら既に遅い。次に彼の耳へ届いたのは…仲間であるキオと出汁、2人の断末魔であった。

 

『嘘だろ!?うわ、わぁァァァッ!!?』

 

『サイコミュジャックの規模が、アァッ!!?』

 

サイコミュジャック。

映像における明確な名称としてはガンダムNTにて初登場し、しかしその現象そのものはそれよりも過去から複数回に渡って使用されてきた、サイコミュ、またはそれに類する感応波によって敵機やその武装の制御を奪い取る機能、或いは力。

トーチは空中要塞ガラッシアの各部にサイコプレートを内蔵させ有事にそれを露出させる事で、物理的にフルサイコフレームを越えるサイコフレーム露出範囲を実現させ、その上でのサイコミュジャックを発動し宙域内に放たれた全てのオールレンジ兵装の制御権を根こそぎ奪い取ったのだ。

ことGBNにおいて、オールレンジ兵装は全てサイコミュ兵器のカテゴリに分類される。それを利用したこの攻撃は、それこそサイコシャードを発現させたユニコーンガンダムで対抗しなければ、突破は叶わないだろう。そうでなければ、奪い取られた自身の武器で蜂の巣にされる運命は避けられない。

 

キオ・アサッテノは自らのソードビットやCファンネルで微塵切りに刻まれ、出汁は光に呑まれ消失し、それぞれが自身の武器で電子の海へ還ると、それ等も漸く消滅する。唯一自身の武器の扱いに慣れたゴンザレスも、己のファンネルによる一斉射撃を捌くので精一杯、という目も当てられない惨状だ。

 

そうなってしまえば隙は余りにも大きく……

 

『ッしゃァ隙有りィッ!!』

 

『な、な、なぁァァァッ!!?』

 

即座に反転、突撃を仕掛けたオズマのバルバトスがファンネルの雨を多重ナノラミネートアーマーで凌ぎ、爪をコックピットに叩き込んで…戦いは終わった。その余りにもあんまりな結果は、ランダムで公開されていたアーカイブを見たダイバー達をドン引きさせる結果になったという────。

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

「まったく、彼処はお姉様が決める場面でしょう!貴方がぶん取ってどうするんですか!」

 

「痛って、良いだろ別に…μだって気にしないって言ってくれてんだし……なぁ?」

 

「問答無用ッ!!」

 

「ガへァッ」

 

GBNセントラル・ディメンション中央ロビーに通じる廊下を歩くGloriaの面々、ズィーベンはオズマに文句を投げかけ、オズマがすかさず反論して刺され、μはその見慣れたやり取りに呆れて溜息をつく。

そしてヒバリは一行に寝落ちたままついて歩く。

最早フォースGloriaを知る者であれば誰もが見慣れたと言っても過言では無いやり取りをしながら歩いていると……ふと、正面向こう側から歩いてきた3人組とかち合い、お互いに足を止めた。

 

「やぁ、コンニチワ」

 

「………どうも」

 

「ククッ、警戒されてるなァ…もうちょっとフレンドリーに接してくれよ、折角次の対戦相手と奇遇にもこんなところで出逢えたんだから、なぁ?」

 

「ッ…てぇとアンタ達が明日やり合う予定になってる、『終末チェスタイム』御一行ですかい?」

 

「あっ……オズマ…?」

 

素肌に直接黒いジャケット、黒のスキニーパンツを身に付け、紫色のファーを首に巻いた長身黒短髪の男は、挨拶に続けて蠱惑的な声音で囁く…が、間も無く割って入ったオズマがμを背に隠す事で、その言葉をそれ以上μの耳に届かせないように遮る。

その瞳に宿っているのは普段の気が抜けたソレでは無く、炎の灯った…かつて、道を踏み外したμを連れ戻した時と変わらない、強い意志の色であった。

 

この日、GBNにごくありふれた日常の中で、後にフォースGloriaをして最強の敵であったと言わしめる熾烈極まる戦い。その相手、「終末チェスタイム」との、初めての邂逅が果たされた────。

 

 




( ˇωˇ )特に書くことは無いんじゃよ。
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