ガンダムビルドダイバーズ:Ricorda   作:麻婆炒飯

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相変わらずスランプ状態を出たり入ったりしてるので初投稿です。



[第二十九話]恐ろしき者達。新たな邂逅

時は暫し遡る。

 

「Gloria」と「終末チェスタイム」のフォースバトルは、宇宙空間を舞台に開幕の狼煙を上げた。

 

ルールは完全殲滅形式、他制限等々一切無し。

縛るものの無い戦いは開幕の瞬間から、Gloria側の誰もが予測していなかった展開を迎える。

 

「状況開始…いつも通りに行くよ。オズマとヒバリさんは前衛に、ズィーベンは私の側で…ッ!?」

 

開幕お決まりの指示を飛ばしている最中、いきなり後方から響いた爆発音にμを初めとした味方全員が振り返り、その惨状を目の当たりにする。

 

「そん、な…!?」

 

「マジで実行する奴がいるかよ…」

 

空中要塞ガラッシアが、薄紫色の爆煙を上げてその躯体を大きく傾ける。その各部位には、合わせて5本の鉄杭が深々と突き立てられており、それがガラッシア撃墜の致命打になった事は明白であった。

 

本来なら有り得ない。

ただの鉄杭を刺された程度で、Gloriaの虎の子たる空中要塞が落ちる筈が無い。それはつまり、撃たれたものがただの鉄杭では無かったのだろう。

当然、その正体を追って全員が視線を1箇所に集中させる。そこには、ガラッシアを撃墜させた張本人が、機体から過剰に高まった熱を逃がす為に発生した蒸気の雲から、徐々に姿を現していた……

 

その姿は、一言で言えば「巨躯」であった。

Ξガンダム等、30mはあろうMS系統から流用したと思しき大型フレームに、同機をはじめZZやドーベンウルフ等の分厚い装甲で防御力を追究したボディ。

機体の肩からはアームが伸びて四つの盾が接続され、タンクとしての性能を極めていると言って良いだろう。だが、この機体の問題はそれ等では無い。

大柄な機体の真正面には、X字状に展開されたピーコックスマッシャーをベースに組み上げられた超大型連装ボウガン。伸ばした両腕と腰や胴体から伸びるサブアームで固定された武装には、併せ5機の装填欄が設けられ、各部から硝煙が上がっている。

 

「ダインスレイヴを連装化させてぶっ放す…理論上はそれで墜とせるだろうが…マジでやるかよ…」

 

ダインスレイヴ

機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズに登場する兵器であり、おそらく同作中において最強クラスの破壊力を持っているであろう射撃兵装の1つだ。

その運用形式は複数存在するものの、今オズマ達の視線の先にいる巨躯のMSが扱っているのは、形状からしてガンダムフラウロスの背部に装備されていた二門のダインスレイヴ、通称ギャラクシーキャノンを3機分揃えてそれぞれ移植した代物だろう。

その全ては、ダインスレイヴ砲を5発同時発射する為の機構。常軌を逸した反動に、負荷の強過ぎる出力。これ等を御しきる為に機体を大型化させ多数のアームで砲身を抑え付け、ガンダムF91やガンダムDX由来の排熱機構を多く取り入れてさえいる。

 

となれば、μ達Gloriaの面々がここでやるべき事は、もう半ば決まっているようなものだった。

だが、悪夢は終わらない。

 

「っ…!オズマ、ヒバリさん!あのデカブツを墜として!私とズィーベンは他の2機を……」

 

『────させると、思うかい?』

 

「そん、な……!?」

 

μが通信を繋いで再編成した策略を伝えようとしたその時、今度はμのすぐ隣から衝撃音が響く。

 

そこを見遣れば……ズィーベンの愛機である

ガンダムエピオンライデンシャフトがその胸部から緑の蛍光色に光る三日月型の刃を生やして佇み、その機能の殆どを既に停止させていた。

敵の奇襲。索敵役としての役割も担うガラッシアを手早く落とし混乱の隙に乗じて、如何なる手を使ってかレーダーにさえ捉えられる事無くズィーベンの機体の背後にまで接近した敵……

コーチのガンダムdeath scythe Lustが大型のビームサイスを用いてその背中から貫いたのだ。

 

「くぅっ……お姉様、申し訳ございません…!」

 

『ククッ…サヨナラ、健気な仔犬チャン。』

 

ズィーベンが零した謝罪の言葉だけを遺し、エピオンが爆散する。今まで無かった事のせいか、μは意識せず、電子の海へ還されていくズィーベンへとブリランテの手を伸ばし掴もうとしていた。

 

「チッ…!今はコイツを墜とす…!」

 

『見え透いた挙動、生温いわッ!』

 

「ぐッ…やっぱ来たか…ヒバリィ!やれッ!」

 

「承った…!」

 

目標へと向かうオズマのレグルスRと、ヒバリのアストレイ。それを待っていたとばかりに響く咆哮と続けて、黒影がオズマに襲いかかる。

その姿は、豪奢の一言に尽きる。

ガンダムバエルをベースに金をあしらった漆黒に染め上げ、両腕にはゴッドガンダムのマニピュレータ、背中には4基に増設されたスラスターウイングと、2枚の鋼翼。原典よりも遥かに凶悪さを感じさせる外見をしたMSの名は、ガンダムベルゼブブ。

Kingの愛機である格闘機であった。

奇しくも近接格闘に重きを置いた機体同士、しかもお互いにベースはガンダムフレーム機である、バルバトスとバエル。偶然か必然か、それは一瞬でありながらも熾烈極まる武闘を演じる事となった。

その横をヒバリが通過し、防御偏重でありつつも武装の影響で機動性皆無となっている巨躯の機体をたったの一手で斬り捨てる事で、作戦そのものは一応の成功を奏したと言ってもいいだろう。

だがそれだけだ、数度の打ち合いを経てガンダムベルゼブブの爪に腹部を貫かれたレグルスRの爆散を後目に、Kingはそのままヒバリの駆るMS、

アストレイ・月煌へと狙いを定めて襲い掛かる。

 

そんな混乱の中で、μとブリランテはコーチの機体に翻弄されている。μが講じる一撃一手は尽く躱し捌かれ、弄ばれる中でジワジワと耐久値を削られる様は少しずつ、しかし着実に冷静さを奪っていく。

 

「ぐっ…うぅ…何で…!」

 

『ンン───、精度は良い。威力も練度も中々だ…けど、ちょっと継戦能力と判断力に欠けるな。』

 

「ふざけ…あぐっ…!」

 

一瞬でも隙を見せれば間合いに踏み込まれ、隙を潰せば姿を消して掴めない。結局メインであるツインバスターライフルがマトモに機能しない状況を強いられ、マシンキャノンとフェザーファングで戦況を維持するくらいしかできる事が無い。

悔しかった。

勝つ為にどんな事でもすると決めた。なのに手を講じればその先から更に上が出てくる。

かつての誤ちへの禊も兼ねたチャンプとの戦いで、このGBNの最上を見た気になっていた。

そうして掛け替えの無い仲間を得て、着実に歩を進め…思いもよらない場所でまた押し留められた。

 

『さて、そろそろ終わらせようか』

 

「まだ、私は……まだ────ッ!」

 

 

 

視界の外側で、Kingのガンダムベルゼブブがヒバリのアストレイを撃破し、それに呼応するかのようにコーチのDeath scythe lustがブリランテの目の前に現れる。最後の好機、μはツインバスターライフルを連結させてドライヴァークを装備する。

対する目の前の死神は着込んでいたアクティブクロークを6つに割れるように展開させ、その裏側に仕込まれていた彼の真価が顕になる。

その姿を目に焼きつける余裕すらも無いμはお構い無しに操縦桿の引き金を弾いて────、

 

 

閃光が、六枚翼の天使を呑み込んだ。

 

 

 

『ンン……才能やその辺は悪くなかった。けどまぁ…まだ若いね。どっかの鬼ちゃんに肖って言うなら、「まだ食べ頃では無い」、ってところかな。』

 

 

「ッあ……こん、な…何で……」

 

 

 

漂うMS、鮮やかな躯体を煤に汚したブリランテは、両腕と左脚を失い腹部を抉り取られながらもコックピット内のパイロットを護ったまま漂い続ける。

 

そしてその近くに漂う大型デブリに片膝をつき、大鎌を手に携えたコーチの愛機たるガンプラ、

ガンダムDeathscythe・Lustが、μとブリランテの陥った惨状を見下ろしていた。

 

既に要塞ガラッシアは墜ち、掛け替えの無い仲間であるオズマ達4人のMSも撃墜、または戦闘不能と言える状態にまで追い込まれていた。

 

 

 

「ま、これも勝負だ。…また遊ぼう。」

 

 

 

「ッ……ぐ…うぅ…」

 

コーチが通信機越しに投げ掛けたその言葉を最後に、μの意識は擬似的な死亡による強制送還という措置を以て、暗闇へと沈んで行った────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空中要塞ガラッシア、中央庭園。

要塞の中にあって不自然な程に緑で溢れた庭園の片隅、違和感なく配置されたベンチにμは座り俯いて、負の気配とも言うべき雰囲気を醸し出していた。

 

「────────。」

 

「お姉様……」

 

もしも知らない人が見たら驚く程自然に隣へ座り寄り添うズィーベンが、俯いたままのμへ心配そうに語り掛ける。しかしμからの返事は戻って来ない。

 

フォース「終末チェスタイム」とのバトル、そして完膚無き迄の敗北が余程効いたのだろう。Gloriaの面々の精神状態は惨憺たるものであった。

μは言わずもがな、ズィーベンは普段から放っている根拠の無い自信がなりを潜め、ヒバリは中央の大樹に背を預け立ってはいるものの珍しく目は開き、眠る事なく無言で考え事に耽っている。

オズマに至ってはバトルが終わって少しすると突然慌ててフォースネストから出て行ったまま、未だ戻って来ていないという目も当てられない有様だ。

 

しかし、そんなお通夜の如き空気を見事ぶち破るような出来事が突如として一同に襲い掛かる。

それは3人が聞き知った声を切っ掛けに訪れた。

 

「ッででででで!!耳引っ張んな!解った、今更抵抗なんざしねぇから!離せってェッ!?」

 

「フンッ!煩いですわよ!開けなさいッ!」

 

「ぬぅおわっ!?ってて…ぐぇッ!?」

 

中央庭園とフォースネストの入口を結ぶ機械扉の向こう側から、苦痛に喘ぐ声と高飛車なイメージを抱かせる声が響いて来る。程無くして扉が開かれ、放り投げられる形で庭園にオズマが飛んで来た。

そして続けて入って来た人物がオズマを踏んで乗り越え、ダンッ!と擬音の聞こえてきそうな足踏みで仁王立ちで止まり有無を言わさずに口を開いた。

 

「ごきげんよう、Gloriaの皆々様方ッ!(ワタクシ)の名は『ティアフォニア・カイエル』、オズマの顔に免じて、貴女達3人……オズマも混ぜて4人ですわね。根っこから鍛え直しに来ましたわッ!!」

 

嵐の如く令嬢が、現れた。

 

 




[情報解禁]

ティアフォニア・カイエル

どっかで聞いたようなファミリーネームを名乗る、お嬢様然とした装いの少女。
真紅のドレスに腰まで伸びるストレートの黒髪を揺らす、キリッとした目付きが特徴的な少女。その言動はお嬢様と言うべきソレであり、登場から早々にオズマを引き摺り踏み付けにするようなエグいパワフルさを見せ付けてきたが……?


更なる詳細は次回に( ˇωˇ )
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