ガンダムビルドダイバーズ:Ricorda   作:麻婆炒飯

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今日はエイプリルフール4日目なので特別回です。

※前回と引き続きこのお話が本編に関与する事は今後一切ありません。よって読み飛ばしても何ら問題はありません。





[番外編]エイプリルフール特別編[後編]

「ふぅ……」

 

ハードコア・ディメンション・ヴァルガにて繰り広げられた未曾有の蹂躙劇から数十分後。

廃墟街エリア郊外にてたった一機で佇む超巨大MS、ハイメガジャバウォックとそれを操るダイバークオンは、獲物が動かなくなり1つずつ電子の海へと還元されていくのを見ながら大きく溜息を吐いた。

今や足元に散らばる敵も随分とその数を減らし、無差別に歩くだけでは当たらなくなってきた。

かと言って避けた連中が何をしたところで、という話なのだが…無意味な精密作業は遠慮したい。

憂さ晴らしもそこそこ出来たし、そろそろ帰るか……等と思考の片隅に浮かばせていたクオンであったが…そのコックピットに通信が飛び込んできた。

 

「こんな時にいったい誰……なっ…!」

 

誰かと思い通信画面を開く……がすぐにそれが誰かを理解したクオンは一度崩したキャラを建て直す。

 

『やあクオン嬢、数日ぶりだね。』

 

「トーチ……」

 

『うん、声が恐い…やっぱり怒らせたかな。』

 

「いいや?むしろ感謝しているとも。貴様のお陰で、我はこの境地に至った。先日の分も込めて、たっぷりと礼をしてやりたいくらいだな。」

 

『ふむ…それは楽しみだ、では僕も…この最高傑作、「ティアマット」で答えるとしようか…ッ!』

 

終末の竜と法衣の男が語らう最中、行動停止し たハイメガジャバウォックに向け敵機が接近する。

それはデンドロビウムを実弾偏重にカスタマイズした機体であり、ハイメガジャバウォックにとって、ビーム兵器よりは余っ程効果のある───無論単純なダメージ量で言えば微々たる差しか無いのだが───小型核や砲撃を主体にした武装であった。

 

オーキスの砲塔……ビーム砲代わりに装備された核弾頭の砲門が、ハイメガジャバウォックの胴体を捉える。そうしてコックピットに乗ったダイバーが発射ボタンを押そうとしていたその時────、

 

 

轟音と共に、地中から戦艦が生えてきた。

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

「は…?」

 

全くもって意味が解らない。

いや、何が起こっているのかは分かる。

「艦首に掘削機を装備した戦艦らしきもの」が、

ヴァルガの地表を突き破って眼前に現れたのだ。

それだけでは無い。この戦艦…脚と身体が生え、MSとして(めちゃくちゃ強引に)成立していた。

 

戦艦……形状やサイズからして、鉄血のオルフェンズに登場する鉄華団の旗艦、イサリビがベースに使用され、艦首上部から生えるようにネオジオングの本体が接合されている。頭はサイズを合わせたシナンジュ風ヘッドに変更されているうえ、背部ユニットは丸ごと排除され、代わりにガンダムAGEの大型MS、シドが張り付いて翼を形成している。

更にはその腕。腕部先端にあろう事かディキトゥスのMA形態を丸ごと手として装着しているのだ。

また、改造が加えられているのは機首だけでは無い。イサリビ特有の長い艦尾に関節が仕込まれ尻尾のように改造され、艦底にも怪物じみた脚部が取り付けられていたりと、最早全体を見れば戦艦とは到底言えない何かに仕上がっていた。

まさしく「頭ナイトメアハロウィン」と言って相違ない出来栄えのガンプラだろう。

 

彼……トーチが言うにはその名は「ティアマット」だと言う。その名は最古の神話に語られる地母神であり、その身だけで地球を一周してしまう程の体躯を誇った巨龍の姿をしているのだとか。

そのサイズ感から考えれば、成程確かに似合いの名かも知れない。だがそれを実行する奴が居るか、と問われれば勿論その答えはNOである。

 

だが……不思議とクオンは昂っていた。

ハイメガジャバウォックを造ってトーチを見返してやろう、そう思い立って組み上げたは良いが、いざ実戦となるとそのあまりの特異性に物足りなさが込み上げてくる。バトルの中に臨場感が足りなさ過ぎる、とでも言えば丁度いいだろうか。

それ故に、見返したいと思ったトーチ本人が、近しいスケールの超大型MAを持ち出して相対してくれた事は、呆れると共に何処か嬉しくもあったのだ。

 

先程までただ踏み潰すだけの操作しかしていなかったクオンだが、息を飲むと同時にコックピット内の操縦桿をしっかりと握り直す。

 

「クク…ククク……良いだろうトーチ、我が力…その身で以て受けて見せるがいいッ!!」

 

かくして、激闘の火蓋が切って落とされた。

ハードコアディメンション・ヴァルガの一角を消し飛ばす程の戦い、後に「GBN怪獣大戦争」と呼ばれる見るからに出演作品を間違えた大激戦である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

「………で?つい羽目を外してしまったと。」

 

「はい」

 

「サーバーへの負荷は失念してたと。」

 

「はい」

 

「楽し過ぎて運営さん達の苦労も失念してたと」

 

「はい」

 

「…………はぁー…」

 

時は数時間後、場所は有栖川邸。

我が家のリビングで正座する父・燎と、その正面に立って腕を組み、大きな溜息をつく美優が居た。

 

GBN怪獣大戦争───ハイメガジャバウォックと、MSティアマットの大決戦は熾烈を極めた。

あらん限りのビーム兵器を惜しまず放ち互いに拡散し、実弾兵器による弾幕の嵐がフィールドを満遍なく覆い尽くす。弾かれたビームや回避されたミサイルはもれなくヴァルガの大地を焼き尽くし、周辺の人々を巻き込む未曾有の災禍へと発展したのだ。

 

更にはGBNが想定していない巨体のデータ塊が複数機、無数の攻撃を放ちながら高速機動で動き回りデータ要素のあらゆるパターンを必要以上に行使する行為は当然、ヴァルガの管理サーバーだけでなく、GBNメインサーバーにも決して軽くは無い過負荷を与える事となってしまった。

 

運営はただでさえ忙しい中で引き起こされた訳の分からない処理業務にてんてこ舞いになり、GMの緊急的な決定を以て、丁度GBNにログインしていた

「2人を止められる関係にある者」2人へと、臨時の助けの手を求めたのであった。

1人はトーチの所属するフォースのリーダーにして、彼の一人娘である「μ(ミュー)」。

もう1人はフォース「天地神明」のフォースリーダーにして個人ランキング10位の強者、加えて今回の一件に関わるクオンが好意を示している人物、

現人神と名高い「テンコ」である。

 

2つ返事で了承した二人はヴァルガへと赴き、そしてなんと「二機の巨龍を完膚無きまでに撃破する」事で怪獣大戦争を終結させた。

……とは言っても、この戦いにμは全くと言って良いほど加わっておらず、μがヴァルガに到着したのはテンコの狩る「天帝天照」がティアマットとハイメガジャバウォックを討ち果たした直後であったのだ。

 

いったいどうやって倒したのか気になるところであったし、後程実際に問い詰めもしたが、当のテンコには笑って受け流されてしまった為に真相は闇の中に消えて終わってしまった。

 

その後μはトーチと共に駆け付けたGMへ平謝りし、後日改めて謝罪に伺う、と約束を取り付けて一先ずはログアウトをして今この瞬間へと至る。

 

「ただでさえフォースネストの事で父さん色々やってたんだから、運営さんに迷惑掛けないで。」

 

「はい」

 

「という訳で、例外なく今後一切、MSティアマットを使ったGBNへのログインは禁止ね」

 

「えっ」

 

「え、じゃない。解ったらティアマット片付けるよ。私はご飯作るからその間に済ませて来て。」

 

「……………」

 

「返事は?」

 

「はい」

 

GBN有史以来の未曾有の大事件を終えて、有栖川家の長い夜は更けていく。

正座から立ち直った燎は「今頃はテンコ殿に叱られていたクオン嬢も追い討ちで叱られている頃かな」等考えながら、また美優の怒る姿を見て今は亡き妻の姿を想起しながら、己に課せられた片付けの任務へと着任するのであった─────。

 

 

 

 




[Special Thanks !!]

テンコ様。(アルキメです。様作「お嬢様はピーキーがお好き」より許可を得て拝借)
個人ランク10位を意図的に維持するすげぇヒト。神々しいし神秘的なので非常に好き。

クオンちゃん(前回より引き続きの為割愛)

[情報解禁]

MSティアマット
全長(艦首〜尻尾先端まで)約650m
全高(頭頂部〜艦底まで)約200m

基礎動力 エイハブリアクター

武装:艦載兵器(主砲、ミサイルetc)
艦首部ビームバンカー
シド・スレイヴ(最大11機)
翼部ビームライフル6門
翼部フェザーミサイル×多数
etc……

装甲:ナノラミネートアーマー
電磁装甲

備考:自己修復機能&阿頼耶識搭載
サイコフレーム搭載
光学迷彩システム「見えざる傘」搭載

デカァァァァイッッ!!!説明不要ッ!

ある日の出会いを切っ掛けにかつて作り上げた秘蔵の機体をブラッシュアップした有栖川燎作の狂気の産物。
HGガンプラに合わせたサイズ感でフルスクラッチした戦艦イサリビをベースに、艦尾に関節を仕込みダナジンを参考にした長大な尻尾を、艦底にバルバトスルプスレクスの腕部をPGサイズまでスケールアップし、装甲とスラスターを増設した獣脚を装着している。
また艦首上部にはネオジオングの腰から上を接合させ、頭部にサイズ感を合わせたシナンジュ風の頭部を取り付けてMSっぽい見た目に仕上げた。
更には腕部にディキトゥスMA形態を左右作り上げて手として装着し、背中にはサイコシャードを取り外し代わりにフルスクラッチした破壊者シドを、ヴェイガンギアに被せるのと同様の法則で装備させて翼にしている。

戦艦由来の重装甲と超出力、またナノラミネートアーマーで殆どの射撃攻撃を受け付けない。
その上満載された戦略級兵装で戦う……というより殲滅する様はまさしく悪魔のソレである。
クオン嬢のハイメガジャバウォックと激戦を繰り広げた後、テンコ様の天帝天照に完膚無きまで叩き潰されてスクラップと化し、挙句美優によってGBNへの登録を禁止されてしまい現在は有栖川邸にある展示部屋の片隅で密かに手入れされながら眠っている。
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