ガンダムビルドダイバーズ:Ricorda   作:麻婆炒飯

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オリジナル機考えるの大変なんじゃぁーッ!
毎日が先駆者様に五体投地の日々です。


[第八話]クアドラプル・バトルロワイヤル[後1]

クアドラプル・バトルロワイヤル出場選手控え室。その片隅で他者の介入を拒絶するプライベートモードを使用し、自身の端末を見つめる少女がいた。

 

少女が見つめる画面にはとあるバトル───先程行われたクアドラプル・バトルロワイヤル選抜戦Bブロックの映像記録が再生されている。紅い悪魔…ガンダムバルバトスをベースにしたと思しき改造機が2機の大型MA(モビルアーマー)……だった残骸が無惨に転がる上に、それを踏みつけにして立っている、そんな惨状だ。状況がここに至るまでの試合時間は実に13分。観客席の誰もが真っ先に敗れ退場すると思っていたDランクのルーキーは大多数の予想を裏切り、暴力的かつ圧倒的な勝利をもぎ取って見せた。

 

同時参戦した敵MA2機───ハシュマルの改造機とシャンブロ───は彼の同行に目もくれず、その図体故に見つけやすい姿をお互いバトル開始から間も無く確認し、MA同士での一騎打ち(怪獣大戦争)へ突入した。

 

シャンブロが頭部からメガ粒子砲を放てばハシュマルの堅牢なナノラミネートアーマーによって拡散無力化され、ハシュマルが頭部からの高エネルギービーム砲で応えればシャンブロがリフレクタービットによるIフィールドで巧みに弾き威力を相殺する。

もしこれがリアルの戦争なら、互いにいつまでも決着がつかない砲撃の応酬で、ひたすら周辺被害のみが拡大し続ける終末戦争なバトルになっていた事だろう。ここがGBN…負けても死なない遊びの世界だからこそ、観客達は熱狂できるのだ。

 

そんな戦場に横槍を入れ状況を動かしたのがDランクルーキー、件の紅い悪魔である。だがその初動に対して他の2機はほとんど興味を示さず、唯一ハシュマルを操るダイバーが示したリアクションもただ煩わしげにワイヤーブレードをけしかけるのみ。

…もしもここで、2機が全身全霊でこの悪魔を殲滅していたなら話は変わっていたかもしれない。

だがそうはならなかった。バルバトスの元へ飛んだワイヤーブレードは彼の手によって去なし左小脇に抱えられ、右手の格闘兵装によってワイヤーを叩き斬られ奪取される。バルバトスはそのままハシュマルの腹下へと潜り込んで下側から接続部の隙間を縫うようにブレードを突き刺し、それを常軌を逸したパワーで蹴りつけ中枢へと強引に届かせて無力化。

原作でさえ行われなかった効率を最優先した戦法は天使を討ち取って尚もまだ終わらず、機能を停止したハシュマルの脚を掴むと異様なまでの膂力でその躯体を持ち上げ、力任せにもう1機…動きの緩慢なシャンブロへと投げ付け機体を押し潰した。

そこから先はもうただの蹂躙だ。ただでさえ緩慢な動きのシャンブロを巨塊で押し潰したとなれば行動の復旧には手間がかかる。その隙にバルバトスが死角を陣取り持ち得る装備を全て駆使した凄まじい暴力の嵐で、ただひたすらに動かなくなるまで殴り叩き斬り潰し、そうして戦闘を終わらせた。

 

「あの暴力的な挙動…間違いない、1度だけ世界大会の本戦に出てる…オズマ…警戒しておこう…」

 

μは、幼い頃よりGPDの大会記録映像を見て育った。何度も繰り返し焼き直し見続けた映像は今や少し意識するだけでどれも鮮明に思い出せる程だ。

その記憶の片隅、意識のうちでは名人の勝利記録として記憶していた部分。ある年の世界大会、本戦第一試合。名人の操るガンプラを暴力的なバトルスタイルで数手相手取り、そして敗北したビルダー。

彼は赤く染めあげたガンダムバルバトスの改造機を使用していた。挙動といいガンプラのデザインといい、間違いない。ある種今回の大会の中で最も警戒すべき相手だ。先程終わったCブロックの勝者も、今やっているDブロックの勝者も決して油断していい相手では無いにせよこの悪魔程では無い。

 

「いざとなったら切り札もある…できる事は全部やったし…行こう、もうすぐ次が来る…」

 

自分以外に誰もいない控え室のプライベート仕様を解除しBブロックとCブロックの勝者がいる部屋へ戻る。μにとって初めての公式戦、その2回目にして決勝戦が膜を開けようとしていた。

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

『さあさあ皆様お待たせ致しました!番狂わせ続きで今回も大熱狂のクアドラプル・バトルロワイヤル、ついに決勝戦です!では!今回予選4大ブロックを突破した勇者達をご紹介致しましょうッ!!』

 

トラッキーの声が通信機を通してコックピットまで聞こえてくる。相変わらず威勢のいい声は観客達の熱狂を誘い、決して彼等を飽きさせない。トラッキーはGBNプレイヤーであると同時に、あの役割に誇りを持っているのだと理解する。

…だが今はそんな事を考えるべき時じゃない。暗闇に包まれたコックピットの中で目を閉じて息を整え、操縦桿を握り集中力を高める。…どうやら最初にトラッキーに紹介されたのは私だったらしい。なんて思考を一瞬巡らせすぐに頭の片隅へ追い出して意識を収束させる。

 

『続きましてェ、真紅のガンダムフレームを駆り、恐怖のMA大戦争を圧倒的なワンマンショーで征したBブロック勝者ァ、オズマァーッ!!』

 

移り変わったコンソールに映し出される紅い悪魔と、今の雰囲気に若干居心地悪そうな男。今回最も警戒すべき相手。場合によってはCとDの勝者を先に潰してでも集中した方が良いだろう。幸いにもCとDでは番狂わせも起きていないようだったし、となれば残りの2人はAブロックでフルアーマーガンダムを使ってたIOとかいう人と凌ぎを削り合えるか、というぐらいの実力。となればやはり先に潰して広さを取る方が良い。これで作戦は決まった。

 

『さぁさお次はCブロック!流石の番狂わせも全てのブロックでとまでは行かなかった様子、此方の勝者は決勝常連!我らがお馴染みアサルトバスターガンダム(グゥレイト)とォ、Mr.炒飯だァーッ!!』

 

Mr.炒飯。ガンダムSEEDに登場したディアッカ・エルスマンにラウ・ル・クルーゼの仮面を被せたダイバールックの男。名前は某ネットスラングから取られているようだが…そのネーミングはもう少しどうにかならなかったのかと言いたくなる。

操るガンプラはバスターガンダムをベースに同作に登場する追加武装のアサルトシュラウドや、後継作品に登場するレジェンドガンダムが背部に装備しているドラグーンを半円型の基盤にして…バックパックに取り付けた?と思しき見た目だ。ちょっとゴテゴテが過ぎる気がするが、やはり腕は良いのだろう、カラーリングを調整しているおかげかそこまで明白な違和感は感じない。

そう考察しているうちに最後の1人、Dブロックの勝者を紹介するトラッキーの声が聞こえてきた。

 

『そしてェッ!クアドラプル・バトルロワイヤル決勝常連組の紅一点!乱闘必至のバトルロワイヤル中でも冷静、冷徹さを失わない可憐な殺人者(プリティ・マーダー)ッ!この異名と同じ名を持つ機体を相棒とするAランクダイバー、フラファだァーッ!!!』

 

他の人に比べて紹介が若干長かった気がする。気合いの入った口上で紹介されたダイバーが操るのは…ガンダムTR-6ウーンドウォートをベースにした改造機だ。Dブロックでの彼女のバトル映像は生憎見ていなかったので、どんな手を使ってくるのか全く分からない。司会者があれ程熱のこもった紹介をするのだから、生半な相手では無いだろう。こういう不確定要素はさっさと潰しておくに限る。

これで4人、全出場者の紹介が終わった。

これから始まる決勝戦、μは再度息を整え操縦桿を握り直し、直に開かれるであろう前方を見つめる。

そしてトラッキーの開始宣言を待ち構え…

 

『さぁ皆さん、お待たせしましたッ!これよりクアドラプル・バトルロワイヤル決勝戦、開幕となりますッ!番狂わせが続く今大会、果たして今回も常連ダイバーが頂点に登るのか、それともルーキーが常連組2人を見事討ち倒し、勝者の頂へと至るのかッ!それが如何なる結果になろうとも、我等はただこの戦いの結末を見届けるまで!では参りましょう、

クアドラプル・バトルロワイヤルッ!』

 

 

 

レディーッ、ゴーッ!!!

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

これまでのバトルの中で最も熱のこもった、力強い開始宣言と同時に射出ハッチが開かれ、出撃する。第1試合と同じく白から始まったフィールドは外に出て間も無く電子の海を垣間見せ、姿を変える。

 

『今回は3機とも遠い…探すしか無いか…』

 

クアドラプル・バトルロワイヤルにて使用されているシャッフル・ディメンションは広大だ。

果てが無い訳では無いが、それでもガンプラ4機が配置されるランダム性の次第によっては中々遭遇できないという事も決して有り得なくは無い、と言える程度には広さを確保しているフィールドであった。

そんなフィールドであるからこそ、μはこの状況に若干辟易としつつも大人しく探索に身を費やす。ブリランテのバーニアをふかして機体を飛ばした。

仮に敵が先に此方を発見して射撃を狙ったとしても決して命中させられないよう、ブリランテの飛行軸を定期的に揺らしブレさせながら……

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

シャッフル・ディメンション内、森林地帯。

無数の枝を巻き込みへし折りながら戦線を展開する2つの影。1つは森の草木に紛れ込む色の「アサルトバスターガンダム・G」、全身に搭載した砲撃兵装を巧みに扱い、既に数発放っている。その砲身が捉えるもう1機の影は…紅い悪魔のガンダムフレーム。

名を「バルバトス・レグルス」という。ガンダムバルバトスをベースに腕をガンダムレギルスのものと組み換え、背部スラスターにガンダムバエルのスラスターウイングを通常の2倍にあたる4機装着した超高機動ビルドのピーキーな機体となっている。

その機動力で木枝の妨害をものともせずに潜り抜け、敵機から数度放たれた砲撃を回避していた。

 

『ったく、よりにもよって一番相性の悪いオタクと真っ先に逢うとは思わなかった…よッ!』

 

「ハハッ、そりゃあスミマセンねぇ、折角ここまで来た以上、こっちも勝ちたいもんでッ!」

 

再度数発、実弾とビームを織り交ぜた砲撃が飛び来る。多少の細い木ならばと幹ごとへし折って突き抜け回避を繰り返す。だがこのままではキリが無い。

バルバトスの操縦者…オズマはその思考を即座に巡らせ回避から一転、正面攻撃へと移行する。幸いにもアサルトバスターの攻撃は殆どがビーム兵器だ。

ガンダムフレームをベースにしたガンプラは完成度さえ高ければ、もしくは専用の塗料を用いていれば、基本的にビーム兵器に対して圧倒的なアドバンテージを持つ。そしてこのバルバトス・レグルスは、システム上のアドバンテージを得るだけの完成度を誇り、その上で下地に専用塗装を用いている。二重のビーム対策で、今のレグルスは原作のガンダムフレーム以上のビーム耐性を獲得している。

これ等を以てすれば、この突撃行為に警戒すべきは実弾兵器のみ。それもレグルスに移植したレギルスの腕…ヴェイガン系列器の電磁装甲で迎え撃てば、その多くは防ぎきれる。アサルトバスターのパイロットが言った「相性が悪い」というのは純然たる事実なのだ。このバルバトス・レグルスは、射撃において彼のダインスレイヴでも使わなければ貫く事は叶わない。…格闘兵器ならばその限りでは無いが、突撃を効果的に成功させるだけの防御力は有している。そしてこの突撃作戦は、何ら問題無く成功した。

アサルトバスターの胴はX字型に切り裂かれ、機体が膝から力無く崩れ落ちる。

その相性差の通り、レグルスはアサルトバスターが放つ全ての攻撃を凌ぎ右手に備えた格闘兵装───レギルスライフルの照射口からスコープ部分に掛けて高出力のビーム刃を形成させたオリジナル武装、レグルスブレードで叩き斬った。

 

 

『まぁじか…敏腕ルーキーの快進撃なんて嘘だね。オタク、もしかしなくてもGPD経験者だろ…?』

 

「───まぁね、隠すつもりは無いけど、聞かれてもいないし。なら答える必要無いでしょ?」

 

『…そりゃあそうだ、そんな義務無いからねぇ…あーあ、今回の大会は大荒れ模様だなァ…オタクといい、「GPDの亡霊」といい…ほんと参っちゃうよ』

 

「亡霊?」

 

『気を付けなよ似非ルーキー、あのお嬢ちゃん…いっそ二代目を相手にするくらいの気迫でいかなきゃ、冗談抜きで鼻っ柱へし折られるぜ…』

 

「ちょ、そりゃどういう…うおっ」

 

 

詳しい話を語ること無く、Mr.炒飯はアサルトバスターの爆散と共に消失、データの海へと還って行った。…GPD経験者であれば、ウイングガンダムという存在に多少の覚えはあるだろう。

これまではそれ程気に止めて居なかったが、言われてみればという話だ。あの肩部の特徴は1人しか思い当たらない。まさかあの伊達男本人では無いにせよ、Mr.炒飯の言葉にも信憑性があるというものだ。

 

「───まさか、この歳になって二代目(・・・)の名を聞く事なるたぁね…っと、噂をすれば何とやら……」

 

先程の砲撃戦で木々がなぎ倒された事で多少開けた場所に、空から機影が降りてくる。件の相手だ。自然と、操縦桿を握る己の手に力が入る。

 

『───やっと見つけた…さ、やろう。』

 

「はいはい…血気盛んなお嬢さんなこって…ッ!」

 

μの、翼を持つ色鮮やかなガンプラ───

ウイングガンダム・ゼロ・ブリランテが高出力ビームソードを発振させ、独特な型で構える。

 

オズマの、紅く彩られたガンプラ───

ガンダムバルバトス・レグルスがレグルスブレードを構え、同じ片手大型剣の形状であるが故に近しい、それでいて明確な違いを感じさせる構えで応える。

 

2機のガンプラ───鮮烈な翼と紅い悪魔が互いのスラスターを最大限にふかし小枝を吹き飛ばしながら駆け出し、ついに、激突した。




今回はここまで、次回いっぱい使ってウイングVSバルバトスやります。え、ウーンドウォートはどこ?…さぁ、迷子じゃないっすかね(口笛)
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