エリオ、ビアンク、冬夜は【
ちなみに馬車に乗せてもらった(というより強引に乗せられた)直後に教えてもらったことだが、もともとこの道は《
80年ほど前に最後のマルドゥク大公が亡くなった時に、万一マルドゥク大公家が断絶した場合に吸収合併を実行するという内容の条約を結んでいたベルファストに併合されたことで国境としての役割を終え、現在は公道として利用されているのだとザナックは語った。
この話を聞いた冬夜は当時の両国の関係が1900年代のフランスとモナコのものに酷似していることに気付き、エリオは昔訪れたことのある地球の国、アメリカとカナダの国境線の一部が、詳細こそ違うがこの道と瓜二つであったことを思い出していた。
一方のビアンクは馬車の揺れが気になっているらしく、頭をきょろきょろと落ち着きなく動かして馬車の中を見回している。
ザナックはどうも落ち着かないビアンクの様子を見て苦笑いし、エリオは特に注意をすることもなく流れるように通りすぎる木々を車窓から眺め、冬夜は落ち着きのない様子のビアンクを
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しばらくして、馬車はリフレットという町の入り口に着いた。
魔物から住民を守るためなのか、あるいは元々国境警備のための大規模な
ザナックさんは門番と思われる鎧姿の男性に、通行許可証らしき紙を見せている。
男性はうなずいて関所のような建物の扉を開いて、僕らが通ろうとしたときに別の衛兵さんがビアンクを見て驚きながらエリオさんに声をかけた。
「きっ、君!その魔物は…………」
「大丈夫。ちゃんと言い聞かせてますから、嫌がるようなことをしなければ害はないですよ」
エリオさんはもう満面の笑みを浮かべて兵士に答えている。ビアンクも妙に誇らしげに笑顔を見せていて、衛兵さんもさっきより困惑しているのが嫌と言うほどわかる。
この人、本当に何者なんだろう…………
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その後しばらくして、無事ザナック氏の洋服店(興味本意でトウヤくんに翻訳をかけてもらったら拍子抜けするくらいダサい店名だった)からこの国にいても違和感のない着替えと、十日ちょっとは問題なく生活できる額のお金を貰って町に出た。
ちなみに衣服の売却については僕は愛用のブーツを分獲られそうになり(全力で死守したけど)、トウヤくんは上着から下着まで身ぐるみ剥がされてた(背中の筋肉はかなり薄くて、後ろ姿は完全に女の子に見えた。かわいい)。
「エリオさん失礼なこと考えてるでしょ?」
上の空で思い出していると、右隣のトウヤくんがジト目で僕を見てくる。それはもう本当にいやそーな顔で。
左隣のビアンクも嫉妬全開の視線で僕を睨んでる。もともとつり目で、〔睨み付ける〕時の視線がより鋭いのがまた愛嬌があっていい。
「やっぱり分かるんだね」
「足の動き、誰が見ても不自然でしたよ」
なるほど、歩き方だけで思考を読めるとはずいぶん頭がキレる子だな……頭のキレがいいと言えば、
それから
「そうだエリオさん」
「ん?」
おっと、考え過ぎた。意識を現実に戻した僕は、トウヤくんに視線を向ける。
「何?」
「せっかく町に着いたんですから、宿をとって観光しに行きませんか?」
新しい場所に来て好奇心が刺激されたみたいだ。無意識なのか、少し目が輝いている気がする。
「じゃ、勉強がてら少し観光しようか。ビアンクも来る?」
「くぅん♪」
ビアンクの返事を合図に、僕らは早足で大通りを走り出した。